激安中華釣具を大量に買ってみた

昨今、何かと話題の激安中華釣具。
「本当に使えるの?」「すぐ壊れない?」といった疑問の声も少なくありません。
そこで今回は、実際にAliExpressでいくつか購入して試してみた筆者が、率直なレビューをお届けします。
まずは、その購入品を軽く紹介していきましょう。
VENOM AVG703C

メバリングと3gまでの軽いリグを使用するチニング用に購入したのがベイトロッドのVENOM AVG703Cです。
購入金額はおおよそ6,000円でした。

3ピースで仕舞寸法は74cm。
自転車で釣りに行く際に大活躍しています。

全体的にしなやかで、曲がりの違和感はありません。
VENOM AVG703Cは筆者にとって初めての中華製ロッドでしたが、期待以上の仕上がりに驚きました。
ORCA LURE Ⅱ

渓流用のサブロッドとして購入したのがORCA LURE Ⅱ C508ML。
購入金額はおおよそ2,000円でした。

リールシートを締め込むときに「カチカチ」となるラチェット構造を採用しているのが印象的です。
また、木目調の塗装をしており、グリップ周りの作り込みがしっかりとしています。
ややハリがあるブランクスでパワーもあり、サブロッドとしては十分かなといったところです。
AURORA AIR

VENOM AVG703Cと同時に購入したのがベイトフィネスリールのAURORA AIRです。
おおよそ4,500円で購入しました。
仲間が使っているのを借りたところ、2gほどのプラグでも快適にキャストでき、軽量ルアー対応の実力は予想以上です。

スプールの重量を測ってみると、PEライン0.4号を50mほど巻いた状態でもまさかの4.9gとかなり軽量。
このスプールの軽さが、軽量ルアーへの対応力を高めていそうです。

また、ハンドルはおそらくカーボン製で、全体の自重は115.2g。
全体的に樹脂で作られている感が否めませんが、それでも軽すぎるくらいの自重に仕上がっています。
CAST X

チニング、バス用に2台購入したのがCAST Xです。
購入金額はおおよそ2,000円でした。

深溝タイプ、浅溝タイプの2つのスプールが付属していて、それに魅力を感じて購入しました。

パーミングカップが完全に分離しないので、釣り場でスプールを交換したいときにも安心です。

サイズは70〜100番程度で、3gほどのルアーも楽にキャストでき、フィネス領域まで対応可能です。
1台でなんでもやりたい筆者のようなわがままアングラーには、ぴったりのリールかもしれません。
COMMAND POWER

ハードロックフィッシュやシーバス用に購入してみたのがCOMMAND POWERです。
購入金額はおおよそ4,500円でした。

今まで購入した中華製リールの中でもっとも作りがしっかりとしており、しっかりとした剛性感があり、ガタつきはほとんどなし。
また、ドラグもかなりスムーズで、ドラグを効かせてやりとりするような釣りにも問題なく使えます。

PE2号を200m巻ける200番ほどのサイズで、ソルトではかなり汎用的に使えるのも筆者的には魅力でした。
パワーが必要な釣りを中心に使いたいアングラーが持っておくと、かなり重宝するのではないでしょうか。
激安中華釣具はこんなところが魅力的
とにかく安い

購入したベイトリールはすべて5,000円以下、ロッドも高くても6,000円ほどとかなりの低価格。
釣具にあまりお金をかけられない人や、まずは始めてみたい初心者にとっては大きな魅力です。
十分な性能があってそれなりに使える

「安い=使えない」と思われがちですが、実際にチニングやメバリング、バスなどで使ってみたところ、意外としっかり使える印象でした。
リールでは巻き感やキャスト精度、ロッドでは感度や操作性にこだわらなければ、ライトなルアーフィッシングには十分対応可能。
短時間の釣行やサブタックルとしてなら実用レベルといえ、コスパは非常に高いと感じています。
ここは注意点!安いのには当然理由がある
製品のばらつきが大きい

同じ製品でも「当たり外れ」があるのは、正直なところ中華製タックルに感じる特徴のひとつです。
とくにリールは外観に問題がなくても、巻き感やクラッチの重さ、ドラグの滑らかさなどに個体差があることがあります。

筆者の推測に過ぎませんが、これはパーツの製造精度に対する“許容範囲(=公差)”が広く設計されているためではないかと考えています。
公差とは「このパーツは◯mm〜◯mmの間ならOK」といった、パーツの寸法に対する許容幅のこと。
中華リールは多少のズレがあっても「使用に支障がなければ問題なし」というスタンスで組み上げられている印象です。
山下
実際、筆者が購入した2台のCAST Xを比較すると、1台はハンドルのガタつきが大きいように感じています。
購入する際は、「個体差も許容できるか」といった視点で選ぶことをおすすめします。
細部の精度が甘い

リール内部のパーツや、ロッドのガイド取り付けなど、細部を見ると粗さが目立つものも少なくありません。
リールでは、振ってみるとガタガタと大きな音が発生するのは大手釣具メーカーのものと大きく異なります。

ベイトロッドのVENOMでは、トリガーの位置が悪いのか長時間釣りをしていると手が痛くなることも正直ありました。

また、ORCA LURE Ⅱでは、トップガイドと1番ガイドの間が広く、どうしても見た目に違和感を覚えます。
山下
多少のガタつきや作り込みの甘さは気にしない、そうした“割り切り”が必要だと感じました。
耐久性には期待できなさそう

リールを数か月使用していると、巻き感が変わってくることがあり、正直、耐久性にはあまり期待できない印象です。
実際、CAST Xを約6か月使用したところ、ドラグの効きがカクカクして一定に動作しなくなることがありました。
箱が大きく壊れた状態で届くことがある

中華製タックル購入時に注意したいのは、外箱が大きく破損した状態で届くことがある点です。
実際に届いた商品の中には、リールの外箱が大きく潰れていたことが何度もありました。
山下
こういった点も含めて、「海外通販ならではの雑さもある」と理解しておくと、余計なストレスを 感じずに済む でしょう。
筆者自身は「お試し」くらいのスタンスで使用しています。
安いものを探している人なら使ってみて

細部の精度や耐久性では、大手釣具メーカーのものに劣る点もあります。
とはいえ、「とにかく安く釣りを始めたい」「安いサブタックルが欲しい」といったニーズにはしっかり応えてくれる製品たちです。
初期投資を抑えたい初心者には、試す価値がある選択肢といえるでしょう!
撮影:山下洋太