【釣具の大敵】サビ・カビ・加水分解を防ぐには?

今年も梅雨の季節がやってきました。
このジメジメした高湿度の時期、じつは釣具にとっては非常に過酷な環境です。
気づかぬうちに劣化が進み、いざ使おうとしたらサビていたり、カビが生えていたり、リールのノブがベタついていた……なんて経験はありませんか?
山根
今回は、梅雨時に発生しやすい「サビ」「カビ」「加水分解」といった釣具のトラブルについて、その原因と対策を詳しく解説していきます。
サビ

釣具に残った水分が乾ききらないと、サビの原因になります。
湿度の高い梅雨時期は、タックルボックスを開けておくだけではなかなか乾かず、気づいたらサビちゃった……。という事態も、決して珍しくありません。
カビ

釣具に限らず、梅雨はカビとの戦いの時期でもありますよね。
久しぶりに使おうとしたロッドのグリップにカビが生えていた……という経験がある方も多いのではないでしょうか。
加水分解

気付いたらリールのハンドルノブがベトベトになっていた……。なんてご経験ありませんか?
これは“加水分解”という、水分によって起こる化学反応で発生するもので、湿気の多い梅雨から真夏にかけてはとくに注意が必要です。
山根
これらのダメージに共通する対策は“湿度を下げること”つまり乾燥させることです。
しっかり乾かすことが大前提

釣具を保管する上で、一番大事なことは水分をしっかり乾かすことです。
濡れたまま放置するとサビやカビ、加水分解が発生する速度が早くなりますので、拭き上げたり陰干ししたりしてしっかり乾かしましょう。
とくにルアーのスプリットリング周りは水が残りやすく、サビやすいです。
シリカゲル(乾燥剤)を活用する

手軽な方法としてオススメなのが、シリカゲルを収納ボックスや竿袋などに入れておくことです。
シリカゲルを用いた乾燥剤は100円ショップでも販売されており、天日干しや電子レンジを使って再利用することも可能です。
▼お菓子の乾燥剤は要注意

乾燥剤にはシリカゲル以外にも、生石灰や塩化カルシウムが使われていることがあります。
生石灰や塩化カルシウムは水と反応し、発熱したり溶解したりしますので、お菓子や海苔に入っている乾燥剤を使う際は、必ず成分表示を確認しましょう。
珪藻土(マット・スティック)を活用する

釣具を陰干しする際に、珪藻土マットの上に並べることで拭き残してしまい滴る水滴を瞬時に吸着させることができます。
珪藻土には調湿機能という特性があり、吸い取った水分を時間をかけて水蒸気として放湿してくれるため、干す手間なく繰り返し使えるのも、珪藻土の特長です。
アイリスオーヤマ 速乾快適バスマットL
幅x奥行 | 60×39cm |
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100円ショップなどでは小さな珪藻土スティックも販売されており、シリカゲルの代わりとしてルアーケースに入れておくのもアリでしょう。
お米や炭も乾燥剤の効果あり

余談になりますが、シリカゲルや珪藻土と同じようにお米や炭も乾燥剤としての機能を持つようです。
お米はフライパンで軽く炒ってから、炭は天日干ししてから使うと、より効果的。
共通する特長は、水分を吸着しても化学反応を起こさず、乾燥させることで再利用可能であるという点です。
山根
とにかく、釣具を保管する際は、周囲の湿度を下げることを意識するのが大切です。
加水分解にはエタノールとメラニンスポンジ

さて、加水分解によるベタつきですが……。残念ながら加水分解は止めることができません。
とはいえ、軽度であればベタつきを軽減し、進行を遅らせることは可能です。

リールのハンドルや釣り竿のグリップが加水分解してしまった場合は、無水エタノールを軽く染みこませたメラニンスポンジで磨くことで、ベタつきをある程度軽減できることがあります。
ただし、加水分解そのものは元に戻すことができず、エタノールでも完全に除去できないケースも多いため、症状がひどい場合は経年劣化と割り切って、買い替えを検討するのが現実的です。
山根
※エタノールによって色落ちやリール性能の不具合が発生する場合がありますので、エタノールが他の場所につかないようにマスキングをするなど対策をした上で、あくまでも自己責任で試してみてください。
健栄製薬 無水エタノール
内容量 | 400mL |
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成分 | エタノール (C2H6O) 99.5vol%以上を含有 |
直射日光や高温は加水分解を進行させる

加水分解の進行を遅らせるには、保管時の湿度を下げるだけでなく、直射日光や高温を避けることも重要です。
加水分解は、気温が10℃上がるごとに進行速度が約2倍になるとされており、紫外線もそのスピードをさらに加速させる要因となります。
温度と紫外線にも注意

直射日光でカラッと乾かした方が良さそうな気がするかもしれませんが、紫外線や温度も釣具にとってリスクということを忘れてはいけません。
濡れてしまった釣具は風通しの良い場所で陰干しして、湿気対策をした上で保管するように心掛けましょう。
山根
シューズ類も加水分解が起こりやすいアイテムのひとつなので、注意が必要です。
雨上がりの車内放置は絶対NG

ちなみに、濡れたレインウェアや釣具をそのまま車内に放置し、翌日が真夏の晴天だった場合、車内は一気に高温多湿に。
湿気と紫外線のダブルパンチで加水分解が急速に進行してしまいます。劣化を防ぐためにも、濡れた物を車内に置きっぱなしにするのは絶対に避けましょう。
山根
加水分解とは関係ありませんが、真夏のある日、濡れたザイルや靴、ウェアを車内に放置して窓を閉め切っていたところ、ライジャケが勝手に膨らんでしまいました。濡れた物があると、想像以上に車内の湿度が上がるので要注意です!
湿気に負けるな

釣具にとって、湿気や高温は見えない大敵。
サビやカビ、加水分解といったダメージは、放っておくと着実に進行してしまいます。
梅雨から真夏にかけては、ちょっとした対策が釣具を守るカギ。身近な乾燥グッズを活用して、大切な道具を長持ちさせましょう!