ノーマルには不満がありました。
2022年モデルのステラ。言わずと知れた、シマノ社が誇るフラッグシップスピニングリールです。
頑丈なボディとローター、他の追随を許さない巻き心地、高級感溢れる佇まい。
「いつかはステラ」とも表現されることがある、釣り人なら誰しもが認めるハイエンドリールです。
しかし、そんなステラといえども量産の工業製品。実際に釣りをすると不満は出てきます。
筆者の場合、ハンドル軸方向のガタと巻き感度に不満がありました。
衝撃を受けたIOS FACTORY
ステラ、イグジスト、ヴァンキッシュ、セルテート……どれも素晴らしいリールだと思いますが、どれも完璧ではなく、それぞれに足りないところや不満に思うことがあります。
これらはアフターパーツやチューニングで改善されるのか? いろいろと調べたものの、なかなか手を出せずにいました。
そんな中、某釣りイベントにてIOS FACTORYのチューンドリールを触る機会があったのですが……
もうビックリ! まるで別物に思えるフィーリングに衝撃を受けました。
すべての回転という回転が軽く、ノーマルのようなガタは皆無、「え、こんなに違うの?」と思わず声に出てしまったほど。
IOS FACTORYにチューニングを依頼しようと、その場で即決したのは言うまでもありません。
IOS FACTORYへチューニングを依頼
まずはIOS FACTORYのHPにて、「リール整備案内」を熟読。
さまざまな注意点や確認事項があるので、それらを理解した上でまずは見積もりのメール or 電話をします。
この時にどんな用途でどのようにチューニングをしたいか、そして予算を伝えてプランを決めればスームーズでしょう。
同時に納期の目安も教えてもらえましたよ。
その後、整備確認シートをプリントアウトして記入。リールと一緒に送ります。
筆者は「どうせ出すなら……」と、迷わず高感度&軽巻き仕様のフルチューンを依頼しました。
後は待つだけです!
ステラが返ってきた!
しばらくワクワクしながら待っていると、納期通りにステラが返ってきました。
さっそく回してみるとビックリ!
手持ちのどのリールよりも巻きが軽いんです。
お手持ちのリールで動画のように試してもらうと、どれだけ回転が軽いかよくわかるはずです(笑)
そもそも、ステラは巻き始めがあまり軽くないはずなのに、ノーマルのイグジストやヴァンキッシュの初動が重たく感じてしまうほど。
そしてハンドル軸のガタは皆無と言っていいほどに消えていました。
念入りなクリアランス調整とギアへのラッピングが施されたようですが、正直、期待を遥かに超えた出来栄えです!
お気づきかもしれませんが、IOS FACTORYのオリジナルパーツも組み込まれているので紹介します。
ラインローラー IMPACT
純正のラインローラーはグリス仕様なので回転が重いのですが、IMPACTはオイル仕様なのでめちゃくちゃ回ります!
ラインローラーの回転性能は巻きの軽さに直結する要素です。
ラインローラー本体にディンプル(窪み)があるため、回り具合もよくわかりますね。
カラーも数種類あり、リールの色や他のパーツと合わせられるのも◯。
純正のような一体型ラインローラーではなく、オーソドックスな2BB仕様なのでメンテナンス性も優れます。
Sシステム
純正では樹脂製のドラグラチェットを、アルミマシンカット製ハウジングに置き換えるアイテム。
このハウジングと高精度なベアリングでスプールを支持することで、ドラグワッシャーの面圧を一定に保ち、リニアなドラグ性能を発揮するそうです。
ドラグサウンドは、純正よりも金属的かつやや高音に変化。
より精密機械感が強まって釣り人のテンションも上がりますね!
アクリスタ2
イベントでデザインに一目惚れし、握った瞬間のしっくり感が抜群だったので思わず購入してしまいました(笑)
アクリル製で、一見「ツルツルしていて滑りやすそう」に思えるのですが、実際はかなり滑りづらいです。
カラーは数種類あり、筆者はラインローラーと合わせてブルーをチョイスしました。
もちろん交換した純正パーツはすべて返却されます。
フルチューンドステラを実釣インプレ!
いくらカッコ良くても、いくら空回しが良くても、実釣での使用感が良くないとお話にはなりません。
ということで、メバリングでその真価を検証してきました。
今まで感度というとロッドやラインの性能に大きく左右されるものだと思っていましたが、「リールの性能でこれほど変わるのか」と衝撃。
軽巻きとよく回るラインローラーの恩恵か、流れの強弱や変化、魚からの小さなコンタクト、軽量リグのボトムタッチなど、水中からの情報量が圧倒的に多くなりました。
情報量が増えると格段に釣りをしやすくなり、間違いなく釣果に直結します。
ノーマルの22イグジストを同じロッドにつけて比べてみたのですが、体感では倍に近いインフォメーションを得られました。
ノーマル状態ではステラよりもイグジストの方が高感度だと感じていたので、この変わりっぷりにはただただ驚き。
ドラグに関しては、純正に不満はなかったのですが、Sシステムで魚を掛けると「ああ、これだけ改善の余地があったのか……」と思わされます。
ドラグの動作がビタッと安定するので、とくに細糸を使うライトゲームでは恩恵が大きいと感じました。
IOS FACTORYのフルチューン、凄いです。
チューニングの注意点について
IOS FACTORYのチューニングには大満足で、今後は他の手持ちリールもチューニングを進めていこうと考えています。
しかし、意図もなく「何でもかんでもフルチューンすれば良い」というわけでもありません。
最後に、チューニングを検討している方に筆者なりの注意点をご紹介します。
チューニングの指向をしっかり考える
今回筆者が依頼した高感度&軽巻き仕様は、車に例えるならF1マシンのようなレーシング仕様です。
巻きの軽さや感度を極限まで引き出すために、残念ながら「耐久性はノーマルより落ちる」とのこと。
公式サイトで紹介されている釣行後のメンテナンスが必要で、ノーマルよりもオーバーホールの頻度は上がるそうです。
釣りの種類によってもリールに求められる要素は違うため、ライトゲームは感度に振り切ったチューニング、サーフはある程度耐久性もケアしたチューニングを進めようと筆者は考えています。
コストもしっかり考える
今回は「できることは全部お願いします」と、アフターパーツもフルに組み込んでもらったため、“そこそこ良いリールが1台買える”くらいの費用になりましたが……
まずはラインローラーなどのパーツから買って、最後にオーバーホールついでにチューニング。
逆に、まずはチューニングだけを依頼し、徐々にアフターパーツを装着していく。
といった進め方も全然アリだと思います!
お試しあれ!
思い切って初めてのリールチューニングを依頼してみましたが、非常に価値ある投資でした。
決して低コストではありませんが、アフターパーツの価格も大きいため、作業代はリーズナブルだと感じています。(もちろんクオリティも加味したうえで)
費用が安いと思うか高いと思うかは人それぞれですが、“新しい世界”を見てみたい方にはおすすめです!