涼しくなったのに、帰り道でどっと疲れる秋の釣り

ひんやりした空気の中でロッドを振っていると、汗をかいている感覚はほとんどありません。
夏のように水を飲む気にもならず、気づけば朝から夕方まで休憩もとらず、ノンストップで竿を振り続けてしまう。
ところが納竿した途端、どっと疲れが出たり頭が重くなったり。心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
そんな秋から冬にかけての不調、水分不足が関係しているかもしれません。体の水分が減っているのに自覚がない状態は「隠れ脱水」と呼ばれ、秋は夏より気づきにくいぶん厄介です。
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そこで今回は、秋の釣り人に隠れ脱水が起こりやすい理由と、釣り場ですぐ実践できる対策を紹介します!
秋になっても続く熱中症の救急搬送

熱中症や脱水と聞くと、真夏だけの話だと思ってしまいがちです。
ところが搬送された人のデータを見ると、9月に入ってもまったく油断できないことがわかります。
令和7年9月の1か月間に、全国で9,766人が熱中症で救急搬送されました。前年の9月にいたっては11,503人と、さらに多い人数が記録されています。
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「もう涼しいから平気」という体感と、実際のリスクとのあいだにはズレがあるということ。
空気がひんやりしているぶん、喉の渇きに気づきにくく、気づかないうちに隠れ脱水が進んでしまうのです。
参考:総務省消防庁「令和7年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況」
秋の隠れ脱水が起こりやすい理由

秋は涼しく、夏のように汗をかいた実感もありません。
のどが渇かないから飲まない、という流れが自然にできあがってしまいます。「のどが渇いたら飲む」では遅く、のどの渇きを感じる前からこまめに水分をとることが大切です。
そもそも体から水分が出ていくルートは、汗だけではありません。安静にしている成人でも、呼吸や皮膚から気づかないうちに約0.9L、尿や便とあわせて1日におよそ2.5Lの水分が失われるとされています。
ランガンで歩き回る秋の釣行なら、その量がさらに上乗せされると考えるのが自然でしょう。
さらに釣りは、アタリを待つあいだも、すさまじい集中力を要するアクティビティ。魚の気配に神経を注いでいると、体が出す小さなサインなど簡単に見落としてしまいます。
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「別に喉も渇いてないし、まだいいか」と思っている時間帯こそ、いちばん危ないタイミングかもしれません。
参考:東京都熱中症対策ポータル「よくあるご質問」、環境省「健康のため水を飲もう」推進運動
隠れ脱水が釣りにもたらす3つの影響
たかが水分不足、と侮れないのが隠れ脱水です。
釣果に直結するものから、命に関わりかねないものまで、影響の幅は意外と広いもの。
どんなことが起こりうるのか、3つに分けて見ていきましょう。
集中力が落ちてアタリを逃す

脱水が進むと、全身のだるさや集中力の低下が起こることが知られています。
頭痛や気分の悪さをともなうこともあり、要するに釣りどころではなくなってしまう状態です。
繊細なアタリを取る釣りほど、この影響は大きくなります。アジングやカワハギ、渓流のミャク釣りなど、手元の違和感で掛けていく釣りでは、集中力が一段落ちただけで釣果に露骨に表れるもの。
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「今日は妙に手返しが悪いな」「いつもなら乗るはずのアタリを逃している」と感じたら、隠れ脱水によって集中力が落ちているからかもしれません。
足場の悪い釣り場での転倒や落水

脱水が進んだときに現れる症状のひとつが、めまいやふらつきです。
これが釣り場で起きると、単なる体調不良では済まなくなります。
テトラ帯、磯、堤防の際、濡れた船のデッキ。釣り人が立つ場所は、もともと足元が不安定なところばかりです。
ほんの一瞬バランスを崩しただけで、転倒や落水につながりかねません。ライフジャケットの着用はもちろん大前提ですが、そもそもふらつかない体調で釣りをすることのほうが先。
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秋は日が短く、薄暗い時間帯の釣行も増えるので、なおさら注意したいところです。
熱中症、そしてその先の健康リスク

隠れ脱水は、熱中症の一歩手前の状態ともいわれます。
涼しい秋でも、日射しの強い場所で長時間過ごせば、そのまま熱中症へ進んでしまうことは十分にありえます。
さらに怖いのが、体の水分不足が熱中症だけでなく、脳梗塞や心筋梗塞といった健康障害のリスク要因になると指摘されている点です。
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釣りを長く楽しみたいなら、水分補給は道具選びよりも優先順位が高く、とても大切な準備といえます。
参考:厚生労働省「職場における熱中症予防対策マニュアル」、環境省「健康のため水を飲もう」推進運動
秋の釣行で隠れ脱水を防ぐための3つの習慣
涼しくて心地よくなり始めた秋の釣行で、隠れ脱水を起こさないためのポイント3つを紹介します。
出発前から始めるフライング給水

秋の脱水対策といっても、やることは真夏と変わりません。
涼しくなると忘れがちな水分補給を、夏と同じようにこまめに続けるだけです。
朝起きたら1杯、道具を積み込む前に1杯、車の中でも1杯。釣り場に立った時点で既に水分が満たされている状態をつくっておくと、その日のコンディションがまるで変わります。
日中は1時間に1回程度を目安に、こまめに水分を補給するのが理想。釣りをしている最中なら1時間ごとにタイマーをかけてもいいですし、「このポイントを打ち切ったら一口」とキリのいい区切りで決めておくのもおすすめです。
一気に大量に飲むよりも、少量をこまめに、が基本です。
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ポケットやライフジャケットのホルダーには、水やスポーツドリンクのペットボトルを必ず1本挿しておきたいですね。
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水と麦茶を軸に組み立てる飲み物の中身

秋の水分補給は、水か麦茶がおすすめです。
どちらもカフェインの影響を気にせず飲めて、味に飽きにくく、口のなかもさっぱり。食事にも合わせやすいので、釣り場のお昼ごはんとも相性がいいですね。
そのうえで、ランガンや磯歩きで汗をかきそうな日には、スポーツドリンクを1本加えておくと安心です。
汗をかくと、水分と一緒に塩分も出ていきます。塩分濃度0.1〜0.2%程度の飲み物なら、失ったぶんを効率よく補えるため、長時間の釣行や、思いのほか気温が上がった日に効果的です。
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気をつけたいのは、コーヒーや緑茶、紅茶ばかり飲んでしまうこと。
カフェインには利尿作用があり、たくさん飲むとそのぶん尿として体から出ていってしまいます。
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トイレの場所を確認するか、簡易トイレを準備しておく

釣り場によっては、トイレが遠かったり、そもそもなかったりします。
トイレに行きたくないから水分を控える、という方も少なくないのではないでしょうか。
気持ちはよくわかります。ただ、それで体調を崩して釣りを切り上げることになっては本末転倒です。
対策として、釣行前に最寄りのトイレを地図アプリで調べておきましょう。コンビニや公園、漁港の公衆トイレなど、場所さえわかっていれば安心して水分をとれます。
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トイレがない釣り場なら、携帯トイレを1つ持っていくのがおすすめです。
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釣り場で使える自分の体のセルフチェック

水分が足りているかどうかは、トイレのたびに確かめられます。
尿の色が濃くなっていたり、排尿回数が減っていたりするときは、水分が不足しているサインです。
もうひとつ、道具なしでできるのが爪押しチェック。手の親指の爪を、反対の指でぎゅっとつまんでみてください。
指を離したとき、白くなった爪がピンクに戻るまで3秒以上かかるようなら、脱水を起こしている可能性があります。唇や口のなかの乾き、皮膚のかさつきも、脱水の初期に出やすいサインとされています。
見落としやすいのが、頭痛やだるさ、集中力が続かないといった変化です。釣りに熱中していると単なる疲れと片づけてしまいがちですが、「なんとなく調子が出ない」と感じたら、いったん竿を置いて水分補給の休憩をとりましょう。
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感じ方には個人差がありますので、めまいや強い頭痛、吐き気などがあるときは無理をせず釣りを切り上げてください。
症状が続く場合は、かならず医療機関に相談しましょう。
参考:厚生労働省「熱中症の予備軍『隠れ脱水症』の見つけ方」、独立行政法人国立病院機構 熊本南病院「夏に注意してほしいこと」、厚生労働省「職場における熱中症予防対策マニュアル」
涼しい季節も水分補給を忘れずに

秋の釣りは、暑さのストレスから解放されて集中できる、一年の中でも指折りの好シーズンです。
だからこそ、水分のことがすっぽり頭から抜け落ちてしまいます。汗をかいた記憶がない日でも、体からは静かに水分が出ていく。この一点さえ覚えておけば、行動は自然と変わってくるはずです。
やることはシンプルで、出発前に1杯、釣り場では1時間ごとに一口、そして飲み物の主役を水や麦茶にしておくこと。それだけで、帰り道のだるさや翌日の抜けない疲れが、少し軽くなるかもしれません。
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体調の感じ方には個人差がありますので、不調が続くときは自己判断で済ませず、医療機関に相談してくださいね。
しっかり水分をとって、澄んだ空気の中で秋の一尾を思いきり楽しみましょう。
画像制作:TSURI HACK編集部
