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【釣り×科学】魚はなぜ跳ねる?4つの理由と時合との関係(2ページ目)

(2) 逃避のための跳躍

敵から逃げるために水面に飛び出す魚として最も有名なのは、トビウオの仲間だろう。

水中で助走をつけて高速で水面に飛び出し、発達した1対の胸びれ(と、多くの種では1対の腹びれも)を広げて、水面から高さ数メートルまで上昇し、距離にして数十メートルも離れた場所にまで飛翔する。[5]

かれらと異なるタイプとして、水中で大きく広げた胸びれを勢いよくたたみ、その反動で水面に飛び出す魚もいる。

観賞魚として知られるアフリカ原産のバタフライフィッシュや南米産のハチェットフィッシュは、水面付近を飛ぶ虫の捕食と、敵からの逃避の両方の場面で跳躍することが知られている。[6,7]

(3) 障害物を越すための跳躍

川を横断する堰やその脇の魚道では、時期により、水の流れに逆らって上流へ向かいジャンプを繰り返す魚がみられることもある。

秋に起こるサケの遡上や、初夏にみられるアユの遡上などが有名どころだろう。[8,9]

人工物のない自然状態でも、流れの速く、泡を立てて水の落ち込むような瀬を通過して川の上流へ向かう彼らは、落ち込み場所付近で体感する落水刺激(水流)や混雑具合(魚の密度)の刺激に応じて、こうした跳躍行動をみせると考えられている。[10,11]

(4) 寄生虫を落とすための跳躍

海に浮かべた生け簀で養殖されるアトランティックサーモンは、水温の高くなる夏、体表につく寄生虫の密度が高くなるほど、跳躍を多く繰り返すと報告されている。

特徴的なのが水に落ちる時の身体の向きで、水面に飛び出てから身体を90度横倒しにし、体側から着水する様子が観察されている(川を遡上する際は、飛び出した向きのまま、腹側から着水する)。[12]

あるいは、全身を空中に出さず、水面に少しだけ身体を出してぐるりと反転する「ローリング」が見られることもあり、この行動も何らかのストレスを受けた魚に特徴的な行動とされる。[12]

海水、淡水を問わず、魚の体表につく寄生虫は多く知られているし、他にも高水温や貧酸素、過密状態といったストレス要因も多く存在する。

魚にとって不快な条件の時にも、水面を割る行動が生じることは覚えておいてよいかもしれない。

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