霞ヶ浦は1日に100匹バスが釣れた!?元漁師が語る“霞の過去”と“令和のバス釣り事情”

2022/06/16 更新

かつては一日で100匹のバスが釣れたと言われる霞ヶ浦。今のデスレイクと言われる姿からは想像もできませんよね。今回は漁師とプロガイド、二つの目線で霞ヶ浦を見てきた筆者(安江 勇斗)だからこそ話せる「霞ヶ浦の令和の姿」を語ります

制作者

安江 勇斗

霞ヶ浦をメインにバスボートでのガイド業を営んでいます。霞ヶ浦に魅了され、愛知県から茨城県に移住。釣りの勉強をしながら、7年間霞ヶ浦の漁業も経験しました。おかっぱり、レンタルボート、バスボートまで様々なスタイルでバス釣りを楽しんでいます。depsフィールドテスター/RYUGIフィールドモニター /bassbrigadejapan /ワールドタックルハウス/東レモノフィラメント

安江 勇斗のプロフィール

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出典表記のない画像撮影:安江 勇斗

霞ヶ浦(霞水系)の“令和の姿”

霞ヶ浦 霞ヶ浦。琵琶湖に次ぐ、日本で2番目に広い湖

茨城県南東部に広がり、西浦・北浦・外浪逆浦(そとなさかうら)・北利根川・鰐川・常陸川などの各水路の総体を霞水系と呼びます。

霞水系に浮くバス釣りガイド安江 勇斗
かつては海の一部だった霞ヶ浦。千年前の地図を見ると写真↑の後ろ辺りは全域海だった事が伺えます。

現在は形を変え、最下流にある水門のおかげで塩分濃度は高くなく、淡水の魚にとって暮らしやすい環境になっています。

最大水深は7m。平均水深は4mと全体的に浅め。一般的に言われている霞ヶ浦=マッディーシャローのイメージそのまんまの湖です。

エリアによって水質は違いますが、平均的は水質はステイン~マッディーの間といったところ。

おかっぱり・ボート問わず楽しめる、関東屈指のバス釣りフィールドとして、様々なトーナメントの開催湖にもなっています。

安江
今回は、霞ヶ浦の元漁師、現プロガイドの筆者だからこそ話せる「今の霞ヶ浦の姿」を編集部0氏との対談形式でお伝えしたいと思います。

Q.なぜ、霞ヶ浦の漁師に?

霞ヶ浦の漁船
編集部O
安江さんは現在、霞ヶ浦でバス釣りのプロガイドをされていますが、その以前は漁師をされていたそうですね? そのきっかけを伺いたいです。


安江
釣りを通して知り合った人の紹介がきっかけです。2013年頃から7年ほど漁師のアルバイトしていました。


もともと、魚や水辺が好きと言うのもありましたが、霞ヶ浦に対する知的好奇心だったり、漁師の仕事を通じて霞ケ浦のことを深く知りたいという気持ちもありました。

霞ヶ浦は広大で荒れる湖です。船を安全に航行させる技術を学んだりと、漁師の経験が今のガイド業にも役立っていると感じます。

ガイド業はプロガイドの成田紀明さんに影響を受けたのが大きいですかね。

Q.タフを通り越してデスレイク!?

霞ヶ浦(土浦)
撮影:TSURI HACK編集部
編集部O
今ではデスレイクとも囁かれるほど、タフなイメージが浸透している霞ヶ浦ですが、安江さんが、この10年間を振り返って感じたバス釣りの変化を伺いたいです。


安江
昔に比べ、釣れる数は確実に減りました……。


この10年で見ても、バスの総量はかなり減ったと思います。体感的に10年前の1/3~1/4くらいかなと思います。

トーナメントレコードは各大会で更新されたりしていますので、平均ウェイトは上がっているのかもしれませんね!

Q.大昔は天国だったって本当?

霞ヶ浦の水門
編集部O
1990年代の後半頃だったかな?当時の霞ヶ浦は、小学生だった私でもイージーに釣れた記憶があります。

ただ、それよりも以前(1980年代)は日に100匹釣れたなんて噂を聞いたことがあるんですが、本当ですか?


安江
自分も実際には体験したわけではないですが、当時を経験した先輩方にお話を聞くと100本オーバーを経験している方はかなりいますね。

一番印象に残っている話が、1つの水門で朝から夕方まで釣れ続け、100匹以上釣れたと言う話です(笑)


編集部O
過ぎてしまった事を悔やんでも仕方ありませんが、一生に一度で良いので、そんな時期を経験してみたかったです(泣)

Q.バスが釣りづらくなった原因は?

霞ヶ浦のバス
撮影:TSURI HACK編集部
編集部O
ズバリ、バスが釣りづらくなった要因はどこにあると思いますか?


安江
様々な要因があると思いますが、おもに3つの要因が考えられます。

①ブラックバスの減少

霞ヶ浦の大雨2019年10月の大雨によって起こった魚の大量死。

霞水系全体を見ても魚種問わずかなりの打撃を受けたと思います。

②アングラーの増加

霞ヶ浦の見えバス
霞水系が人気フィールドとなり釣り人口が増加しました。アングラーが増える=バスの取り合いになる為、釣りの難易度は上がりますね。

霞水系は釣り人への地元住民の方々の理解も厚く、駐車場問題も少ないので、メディアが多く取り上げるのも理由の一つだと思います。

③障害物の減少

霞ヶ浦で減少するアシ
アシの減少もそうですし、漁業の衰退によって、杭や漁礁などの障害物が減少しました。

バスは障害物に依存する生き物なので、障害物を通して口を使わせにくくなったのも理由の一つだと思います。

Q.霞水系のバス釣りはどう変化した?

霞ヶ浦のパワーフィネス
編集部O
私の霞ヶ浦のイメージって、10年前からアップデートされてなくて、水路でタイニークランクで爆釣! みたいな有名動画のイメージなんですが……

アングラーの釣りのスタイルには、どんな変化が見て取れますか?


安江
この10年で見るといろいろな流行りはありましたが、フィネス主体のフィッシングスタイルが主流になってきたと思います。


10年ほど前から徐々にベイトフィネスが流通し、今では当たり前の装備に。

近年は、スピニングタックルに4lb前後のセッティングが霞アングラーの通常装備になってきているので、よりフィネス思考になってきているのではないでしょうか。

プレッシャーも高まり、バスも減少していますが、ビッグベイトのような大味な釣りが効かなくなっていくわけでないので、状況に応じた判断能力が問われるフィールドになってきたと感じます。

Q.今、漁でバスは獲れますか?

霞ヶ浦の定置網に入った50UPのバス
定置網に入った50UPのバス
編集部O
バスが減ってきているとのことだったんですが、漁の仕掛けにバスが入ることってあるのでしょうか?


安江
入る事はありますが……今は滅多に入りません。


霞ヶ浦では定置網漁とトロール漁(船の後方で網を引っ張る漁法)が有名ですが、どちらもあまり入りません。

ただ、僕が手伝っていた定置網場は泥底でバスがあまり好まないような場所だった事が関係していると思われます。

一級エリアのそばだったり、ハードボトム帯に設置したら、もしかしたら沢山入るかもしれませんね!

20年ほど前は、どの漁法でも沢山獲れた為、河口湖に生きたまま放流していたというので驚きです。

Q.霞水系で釣れた最大サイズは?

安江さんの霞水系の自己記録である53.5cmバス
編集部O
ビッグバスレイクと言うイメージもありませんが、今までに釣れた最大サイズを教えてください。


安江
僕の霞水系で釣れた最大サイズのバスは53.5cm。過去2回、同じサイズを釣っています。


サイズの計測の仕方で長さは前後しますが、口閉じ尾開き計測で55cmを超えるバスはかなり珍しいと思います。

霞水系では50UPをキャッチできたら自信を持って自慢できる釣果と言えると思います!

編集部O
安江さんが聞いたことのある最大サイズは何cmでしょうか?


安江
ロクマルの釣果は2回聞いています!


その他にも漁師さんの定置網に超大型のバスが入ったという話も聞いたことがります。

場所は和田のワンドの中で重さが3500gオーバーとお聞きしました。重さからしてパンパンの体系の50cm後半、もしくはロクマルですね!

Q.アメリカナマズは本当に増えている?

霞水系のアメリカナマズ
編集部O
テレビやYouTubeでアメリカナマズを釣る企画を多く見るようになってきました。アメリカナマズの数は増えているのでしょうか?


安江
アメリカナマズの釣り人口の方は、年々確実に増えています!


年齢層は様々で、誰にでも釣りやすく食べられるのが人気の理由かと思います。

ただ、アメリカナマズ個数自体は、減少傾向にあるのでは? と感じています。僕が漁師で働きだした2013年頃から見ても、漁で獲れるアメリカナマズは年々減っていっていきました

また、10年くらい前はスピナーベイトといった巻物の釣りでよく釣れたのですが、今はさほど釣れないので、それだけを見ても数の減少を感じざるを得ません。

ただ、ポイントによってはまだまだ沢山いますし、今後これ以上数が少なくなることはないのでは? とも思います。

 




Q.バスが捕食しているベイトの種類は?

霞水系のベイトフィッシュ
編集部O
霞ヶ浦と言うと、エビパターンやシラウオパターンといったものがメディアでは有名ですが、メインのベイトは何になるのでしょうか?


安江
霞ヶ浦には沢山の種類の魚がいます。バスが捕食していると思われる順にベイトの種類を挙げますね!

エビ

霞水系のエビ
エビとゴリのシーズンは5月~11月くらい。霞水系全域に存在するため、多くのバスに捕食されていると考えられます。

動きが鈍く栄養価が高いのも好んで食べられる理由の一つだと思います。

とくにエビを意識した釣りはシーズンを通して有効なので、困ったら海老をイミテートした釣りを展開することで状況を打破できることが多いです。

②ゴリ

霞水系のゴリ
ゴリとはウキゴリやヌマチチブのことで、淡水にいるハゼのような生き物。

霞ケ浦に多いのはウキゴリ(3〜5cm前後)。名前の通り少し浮いて泳いだりもします。

場所を選ばずにどこにでもいるゴリですが、とくに集まりやすいのは、夏季の水が動く水門。

そのほかにも、バスとリンクしやすいテトラ帯やハードボトムにいる事も多いです。バスを釣りやすくしてくれる立役者ですね。

③ボラ

霞水系のボラ(イナっ子)
ボラは霞ヶ浦のどこにでもいる魚です。サイズは様々で1cm~20cmほどの個体が捕食されていると思われます。

3月後半から群れを成す稚魚が見え始め、夏ごろには7cm前後に、1年後には15cmオーバーになると思われます。

水路でボラを追いかけるバス
水路でボラを追いかけるバス
6月~7月に横の動きに好反応になったり(ワカサギは夏ごろにはまだかなり小さい為)、ビッグベイトが有効なのもかなりボラのおかげがあると思います!

④ワカサギ

霞水系のワカサギ
ワカサギは春に生まれて7月頃には5cmほどになります。

夏の間は高水温の影響で成長速度が遅く9月頃から一気に成長し12月には12cm前後に。

そこからはあまり成長せず、2~3月ごろに産卵の為シャローに差してきます

他の魚があまり活発に動かない低水温期に活発に動いてくれる、冬の霞水系を支えてくれる頼もしいベイトです。

⑤白魚

霞水系のシラウオ
シラウオは春に生まれて、夏ごろには〜4cmほど、12月頃には春に見かけるような6~7cmほどになります。

ですが、普段はバスとリンクしにくい場所とレンジに漂っているため、捕食されているのは白魚が産卵の為シャローに上がってくる2~5月の時期

このタイミングで白魚パターンが有効になります。

番外編(淡水サヨリ)

霞水系の淡水サヨリ
正式名所はクルメサヨリ。汽水域に生息するサヨリでまだまだ謎の多い魚です。

6月~11月ごろ見られるようになり、水が良い場所好み、バスの大好物なので岸際で発見できればチャンス。

Q.今の霞ヶ浦の“魅力”とは

編集部O
天国だった時代を知る者にとっては、今やデスレイク化しているとも言える霞ヶ浦ですが、今の霞の魅力とはなんでしょうか?


安江
沢山あるので、一つずつ紹介しますね!

トーナメント好きにはたまらない環境

霞水系のトーナメント
まずトーナメントが盛んなところですね。ボートのトーナメントはもちろん、おかっぱりの釣り大会も盛んに開催されています。

シーズンになれば、毎週どこかしらで大会が開かれていますので、トーナメント好きにはたまらない環境だと思います!

様々なスタイルで楽しめるフィールド

霞ヶ浦に浮くバスボート

霞ヶ浦はバスボート、レンタルボート、カヌー、フローター、おかっぱりなど、様々なスタイルで楽しめるフィールド

レンタル以外の浮きモノが禁止されているフィールドも多い中、貴重なフィールドだと思います。

霞ヶ浦と言う“ブランド力”

霞水系のバス
様々な要素で釣るのが難しくなっている霞ヶ浦ですが、そんな中釣れるバスはとてもうれしいものがあります。

アングラーの熱量も高く、良い釣りをしたら注目の的になる。これはもう霞ヶ浦ブランドといって良いと思います。

バスフィッシングに対する地域の理解

釣りをしていて、地域の人とトラブルになるようなことが少ないです。

ブラックバスの歴史が長い霞ケ浦ではバスフィッシングが当たり前の光景になり、受け入れられているのかなと感じます

安江
笑顔で「釣れますかー?」などと声をかけられることもあり、とても気持ちよく釣りができます

Q.霞ヶ浦が一番楽しい時期は?

霞水系の梅雨
編集部O
安江さんが思う、霞ヶ浦のバス釣りが一番楽しい時期はいつでしょうか?


安江
6月中旬~7月中旬です!


産卵行動から回復しシャローで活発に餌を求める6月中旬~7月中旬が個人的に楽しい時期と思います。

8月にもなると水温が高くなり、多くのバスが深い場所にレンジが落ちたり食いが悪くなるため、6月中旬~7月中旬という時期が個人的に好きな時期です!

最後に

霞水系の陸っぱり
編集部O
これからか霞ヶ浦に訪れる方にメッセージをお願いします。


安江
今はネット上に旬な釣り方やエリアの情報があふれているので、しっかりと釣果を出したい方は事前に情報をチェックしてから足を運んでみてください。


Twitterやインスタグラムのハッシュタグで「霞水系」と調べれば最新の釣果からヒントが得られると思います。

あとは、結局は楽しんだもん勝ちなのがバス釣り! 純粋に黙々と釣果を求めるのもヨシ! 仲間と楽しみながら周るのもヨシ!

人それぞれ自分に合ったスタイルで霞水系を楽しみましょう!

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