イワガニについて
イワガニは、イワガニ科に分類される小さなカニ。日本では北海道以南から九州にかけて分布しており、世界では朝鮮半島、ハワイ諸島、北アメリカ大陸太平洋側にも広く分布しています。小魚や海藻など食べる雑食性を持っており、沿岸の岩礁などに良くいるため、磯などで見かけたことがある方もいらっしゃるのではないかと思います。
風味豊かなカニの出汁がとれる食材として知られてはいますが、可食部も少なく利用されることは多くはありません。釣りにおいては一部のターゲットの定番エサとして有名です。以下では、釣りのエサとしてのイワガニについてご紹介いたします。
イワガニの特徴
イワガニは成長すると、甲羅の幅が3~4センチになるカニで、体色は個体差があるものの、黒みかかった濃い緑色をし、所々に薄緑色の模様があります。ハサミは紫かかった色をしており、器用にエサをついばむことができます。
大きさ姿の似ているカニに、イソガニがいますが、甲羅にある細かい横縞模様などで区別をすることができます。
イワガニはチヌ・イシダイの良エサ!
小さなカニであるイワガニは、沿岸部の食物連鎖おいては、中型の肉食魚のエサとなる生き物です。特に黒鯛(チヌ)やイシダイなどをターゲットにした釣りでは非常に有効なエサの一つでもあり、チヌやイシダイ以外の魚でも、磯やテトラポッド近くに住む多くの肉食の魚にとっても、イワガニはご馳走とも言えるエサです。
釣具店によってはイワガニをエサとしておいてあることもあり、購入することもできます。
イワガニの付け方
イワガニを釣りのエサとして使う場合、カニ大きさにもよりますが、針への掛け方はいくつかのパターンがあります。針への掛け方には地域色もあるようですが、ただ掛ければ良いというものではなありません。
掛け方によってフッキングの良さや、仕掛けのコントロールのしやすさなどが変わってくるため、潮流の速さやエサ取りの多さなど、フィールドの状況によって使い分けられるようにしておくのが理想的です。以下では、イワガニの針掛けの代表的なものと、その特徴についてご紹介いたします。
尻掛け
「尻掛け」とは、カニの腹側にある「ふんどし」と呼ばれる部分に針を掛ける方法です。カニが歩ける状態に置いた際にチモトが背中に来るように角度を調整しておきます。これによりカニが海底に着いた際に、底にしっかりと足を付けるため仕掛けの安定性が非常に高くなります。ただし仕掛の沈下が遅く、潮流が速い場合は、狙った場所へのコントロールは難しくなります。
横掛け
「横掛け」とは、カニの左右どちらかの足の付け根から針を寝かせるように刺し、針先もカニの横側に出すようにする掛け方です。尻掛けに比べ仕掛けが素早く沈むため、波や潮流の影響を大きく受ける前にピンスポットで狙った場所へ着底させることができます。その反面、カニの動きが悪くなりがちですので、アピール性は低くなります。
イワガニを採取するには?
イワガニは、釣り具店で購入することができますが、置いてある店は多いとは言えません。ただ、釣りの現場近くなどにはイワガニが生息している場所があることが多く、捕獲で調達することができます。
イワガニをエサとして使用する場合は、大きいもの、小さいもののどちらが良いとは一概には言えません。その日の魚の活性などにもよるためです。釣りの現場でイワガニを調達することができれば鮮度も良く、また大きさについても釣り具店で購入するよりも幅広く集めることができる場合があります。
イワガニの採取に適した場所
イワガニは磯やテトラポッドなど、身を隠す凹凸の多い場所に多くいます。手でどけることができるゴロタ石などがたくさんある平坦な場所では捕獲がしやすくおすすめです。干潮時を狙うと良いでしょう。
捕獲に際しては、磯やテトラポッドでなどは足場の悪いところも多いため、足元に十分注意してください。また、牡蛎殻などで手を切りやすいため軍手を用意するようにしましょう。
万能エサのイワガニで大物を狙ってみよう!
沿岸部において、非常に多くの魚たちを、食料となって支えているイワガニは、針掛けもしやすく、エサ持ちも良いため初心者の方にも扱いやすいエサとも言えます。
いつも使っているエサをイワガニに変えてみることで思いもよらない魚が掛かるかもしれません。容易に捕獲できるような場合は、是非一度試してみてはいかがでしょうか?