身近になったリールカスタムの世界

一昔前までは、限られた釣具屋さんにしか置かれていなかったリールのカスタムパーツ。
時代は流れ、現在はネット通販などでも様々なメーカーのカスタムパーツを購入できるようになりました。
しかし、多様性の中に存在するのは「いいこと」ばかりではありません。今回は、そんなリールカスタムの世界をリールマニアが斬っていきます。
リールカスタムのメリット
自分だけの1台が作られる

カスタムパーツを投入すれば外観のドレスアップにも繋がり、自分だけの1台を作ることができるのも魅力です。
ドレスアップを目的とした、カラフルなアルマイトパーツやデザイン性の高いパーツも数多く販売されています。
性能がアップすることも

元の状態よりも自重が軽くなったり、回転性能が上がったりすることは実釣における大きなメリットです。
飛距離や巻き心地の向上は、釣り物によっては釣果に直結してきます。
リールカスタムのデメリット
デチューンの恐れがある

パーツによっては、純正のものより性能が低下することも。リールは機械なので、パーツのクオリティが性能に直結します。
純正品の品質が上がった昨今、社外パーツに変えるということは、それなりにリスクがあることなのです。
保証が効かない

大半のリールメーカーは、社外パーツの付いたリールの修理やオーバーホールを受け付けていません。
そのため、そういった場合には純正に戻す手間などが生じます。
デチューンの具体例
ケース1. ハンドル

ハンドルの性能は素材や加工精度に大きく依存します。シャフトの精度が低い場合、回転軸がブレてリーリングが不安定に。
純正ハンドルのクオリティが格段に向上した現在、純正に勝る社外ハンドルはそう多くはありません。
近年の純正ハンドルはリールごとに設計されているものも多いので、とくに高級機種のハンドル交換は慎重に検討しましょう。
ケース2. ベアリング

数が多ければ多いほどいいと思われがちな、ベアリング。しかし、問題はその精度です。
樹脂カラーをベアリングに換装したからといっても、精度の低いベアリングでは異音の元になったり、動作不良の原因になったりするだけです。
また、回転性能を優先させて耐久性を犠牲にしたようなベアリングもあるので、むやみにベアリングを追加・交換するのはおすすめできません。
ケース3. スプール

とくにベイトリールで人気なのが、スプールの交換です。たしかに、ひと昔前は純正では使い物にならないほど重いスプールも存在しました。
しかし現在は、低価格帯の機種でも純正スプールはかなり軽く作られています。
ベイトフィネスなどに特化した尖ったスプールも多く見受けられますが、総合点で純正を超えるものはそう多くないと言えるでしょう。
メリットとデメリットを

リールカスタムのデメリットについても触れてきましたが、カスタムは「よくないこと」ではありません。
筆者自身、カスタムしたリールを使っていますし、信頼できるパーツメーカーを選べば見違えるほど性能が向上することもあります。
しかし、そのためには「どんなリールにカスタムしたいのか、どんなパーツを選ぶのか」を、じっくりと検討することが大切です。
高額な出費をして“改悪”にならないように、カスタムは慎重に進めるのがおすすめですよ。
筆者について

某リールチューンメーカー在籍時、Facebook・Instagram運営を手がけながら全国のイベントで年間100台以上のリールをメンテナンスしていた経験を持つ。
中学生の頃からカタログのスペックを暗記するほどのリール好き。関東のフィールドでのエリアトラウト・シーバスフィッシングをメインにしている。