ソルティガ15がモデルチェンジ
2020年のソルティガ(スピニング)、2021年のソルティガICに続き、ソルティガ15が2022年にモデルチェンジ。
シルバー基調だった旧モデルとは趣を変え、ネイビー×ゴールドの新しいブランドカラーをまとって登場しました。
そんな新生ソルティガ15を、編集部しみけんが詳しくインプレッションします。
ラインナップ
品番(番手) | 自重(g) | ギア比 | 最大巻上長(cm) | 最大ドラグ力(kg) | 糸巻量 PE(号-m) | スプール径(mm) | ベアリング(ボール/ローラー) | ハンドル長(mm) | 本体価格(円) |
15S | 485 | 6.3 | 103 | 10 | 1.5-400/2-300/3-200 | Φ52 | 8/1 | 75-85 | 65,000 |
15SL | 485 | 6.3 | 103 | 10 | 1.5-400/2-300/3-200 | Φ52 | 8/1 | 75-85 | 65,000 |
15H | 485 | 7.1 | 115 | 8 | 2-600/3-400/4-300 | Φ52 | 8/1 | 75-85 | 65,000 |
15HL | 485 | 7.1 | 115 | 8 | 2-600/3-400/4-300 | Φ52 | 8/1 | 75-85 | 65,000 |
15-SJ | 480 | 6.3 | 103 | 10 | 2-600/3-400/4-300 | Φ52 | 8/1 | 85-95 | 80,000 |
15L-SJ | 480 | 6.3 | 103 | 10 | 2-600/3-400/4-300 | Φ52 | 8/1 | 85-95 | 80,000 |
15H-SJ | 480 | 7.1 | 115 | 8 | 2-600/3-400/4-300 | Φ52 | 8/1 | 85-95 | 80,000 |
15HL-SJ | 480 | 7.1 | 115 | 8 | 2-600/3-400/4-300 | Φ52 | 8/1 | 85-95 | 80,000 |
旧モデルは10番・15番・35番のラインナップでしたが、22モデルは全機種が15番に統一され、旧15番と35番の中間的なサイズになっています。
また、旧モデルはギアレシオ5.1(ノーマルギア)と6.4(ハイギア)の展開でしたが、22モデルは6.3(ノーマルギア)と7.1(ハイギア)と、ギアレシオとその定義が変わっていることにも注目。
15番の巻上長に注目すると、旧ハイギアがハンドル1回転最大100cmなのに対し、新ノーマルギアは最大103cm、新ハイギアは最大115cmになりました。
なお、SJはスロージギング専用モデルです。
22ソルティガ15のスペック
まずはソルティガ15のスペック的特徴を、旧モデルと比較しながら紹介します。
ボディ
今作はハイパーアームドハウジングと呼ばれる、新しい思想でボディデザインが行われています。
アルミ合金をマシンカットで成形しているのは旧モデルと同じですが、ピラーの構造等を改良したことで旧モデル以上の剛性を実現。
旧15番と比較すると、「若干大きくなったかな」という印象です。
また、サムホールディングフレームと名付けられた、スプール側へ傾斜したフレームも特徴。
パーミングした際に親指がスプール側へオフセットされることで、リールをコンパクトにホールドできます。
さらにSJモデルに限り、肘当てスタイルでパーミングした時によりコンパクトに感じるよう、リールフットに対してボディをティップ側へ1mmスライドさせていることも特筆すべき点です。
ギア
22モデルはハイパードライブデジギアという、新しいギアシステムを採用しました。
旧モデルのドライブギアはC6191製ハイパーデジギアでしたが、22モデルは高強度真鍮製ギアを搭載。
ドライブギアのサイズを5.2%拡大したうえに、ピニオンとの噛み合い率を上げたことで、巻き上げパワー・回転フィール・ギアの耐久性が向上しています。
スプール
旧モデルよりも2mm大口径化したΦ52mmスプールを採用しており、シリーズ全機種に互換性があります。
さらに、全機種に糸止ピンがついていることも特徴。これによってPEラインを直巻きしても、高負荷ファイト時・スプールロック時に糸が滑りません。
また、15S・15SLは浅溝のナロースプールを搭載し、あえてスプールの目減りを起こしやすくしていることが特徴。6.3のギアレシオと合わさり、深場(ラインがたくさん放出された状態)ではさらに巻き上げトルクが強くなります。
クラッチ
ソルティガICに引き続き、耐久性を飛躍的に向上させたハイパータフクラッチを導入しています。
これによって固着等のトラブルが大幅に軽減するうえ、ON/OFF時の抵抗が少なくなるのでスムーズな動作が可能に。
また、レバーの形状と作動域を見直し、度重なるクラッチ操作によるアングラーへの負担を減らしています。
ハンドル
通常モデルがアルミ製75-85mmハンドルなのに対し、SJモデルはカーボン製85-95mmハンドルを採用しています。
純正でカーボンハンドルを搭載するのは、ジギングリールとしてはかなり異例。
カーボンハンドルの開発にはロッド設計のノウハウが活かされており、アルミハンドルより20%も軽量です。
また、ハンドル側(ギアボックス側)が軽くなるため、重心位置の最適化にも貢献します。
防水・耐腐食機構
旧モデルから引き続き、ピニオン部分(ハンドル側)にはマグシールドボールベアリングが導入されています。
そして、今作の目玉のひとつが、新たに導入されたアノードプロテクション。
これはボートや船外機に用いられる「防食アノード」をリールに転用したテクノロジーです。
腐食しやすいアノードプロテクションシート(亜鉛製プレート)をあえてリール内に設置することで、これが“スケープゴート”の役割を果たし、リール本体の腐食を抑える効果があります。
アノードプロテクションシートは腐食し続けるので定期的に交換する必要があり、購入時には交換用が1枚付属しています。※
22ソルティガ15をインプレッション
いろんなところが進化したのはわかりましたが、リールは使ってみないとわからない……
ってことで、早速できたてのソルティガ15を持って、5月に京都の丹後へジギングに行ってきました。
今回使ったのは、ソルティガ15L-SJ(ギアレシオ6.3のSJモデル)です。
新しいギアレシオ7.1を使いたい気持ちもあったのですが、比較しやすいように慣れ親しんだ“巻上長100cm前後”を選びました。
これにPE2号を巻き、4番パワーのジギングロッド(フルソリッド)に組み合わせます。
比較対象として旧モデルの15Hを用意し、使い比べながら実釣を行いました。
当日は80〜110mのポイントをメインに攻め、船はドテラ流し。
魚探には底から中層まで感度があり、30m付近でのバイトも多かったので、全層をシャクリ倒すフィジカル的にタフな釣りでした。
ジグは水深と船の流れるスピードに合わせ、150〜250gを中心に使用。大小のベイトが混在していたので、ショートからロングまで幅広いジグをローテーションしました。
釣果は7〜8kgクラスのブリが中心で、アタリはショート系のジグに集中。
底(100〜80m前後)周辺でアタることもあれば、30m付近でアタることもありましたが、いずれの場合もハイピッチジャークか高速巻きにアタリが偏りました。
ディープのドテラ×全層×ハイピッチ主体だったのでなかなか過酷なジギングでしたが、ソルティガのポテンシャルを知るには良い釣行だったと思います。
それでは、ここから実釣での使用感をベースにソルティガ15をインプレションします。
パーミングすると小さく感じる
新旧15番を比較すると、じつは旧モデルよりも自重が75〜80g重くなっているのですが、ロッドに付けて持つと操作性の良さに驚かされました。
これにはいくつか理由があり、まず新形状のサムホールディングフレームが効いています。
スプール側にフレームが傾斜していることで、親指がやや内側にオフセットされ、一回り小さなリールを持っているような状態になります。
さらに、親指の外側(人差し指側)が傾斜したフレームに押し当てられ、引っかかるような形になるので、親指で押し込むようにホールドしなくてもロッドとリールが安定するわけです。
旧モデルは握り込むようにパーミングするのに対し、22モデルは掌に乗せて親指を引っ掛けて脱力した状態でパーミングできます。
また、ピラー等の手と干渉する部分は面取りされていて手に角が立たないので、ロッドでジグを持ち上げるような強いジャークをしても手が痛くなりません。
この辺りは実際に使わないと伝わりにくい部分だと思いますが、新モデルから旧モデルに持ち替えると一番よくわかり、「これは戻れないな」となるはずです。
巻き上げ力はクラス随一
一番わかりやすい進化が巻き上げ力です。旧モデルと使い比べると、明らかに巻き上げが強くて軽いことがわかります。
旧15Hと比べ、ドライブギアを大径化したうえに、ギアレシオを6.4→6.3に落としたことが効いているのでしょう。
そのうえで最大巻上長は+3cmされているわけですから、“ギアレシオ6.3の最大巻上長103cm”は絶妙なセッティングだと思わされました。
巻き上げの強さは“釣りの楽さ”に直結する要素なので、体への負担が軽くなったのは最大のメリットだと感じました。
ジギングは、誘う時も回収する時もファイトする時も、絶えずリールを巻き続ける“巻き上げの釣り”なので、リールの巻き上げ力向上によってすべての動作が楽になるわけです。
とくに今回の丹後でのジギングはハードな環境だったため、巻き上げの強さを身をもって感じさせられました。
回転レスポンス&フィーリングが抜群に良い
純正としては異例のカーボンハンドルも操作性に寄与しています。
リール自体の巻き始めの軽さとカーボンハンドルの相乗効果で、リーリングのレスポンスが抜群。
巻きが軽くてピタッと止められるので、1/4や1/8といった細かいピッチでのジャークがとてもしやすく、“スロージギング専用”に相応しい操作感です。
また、旧モデルにはハイパーデジギア特有のノイズがありましたが、22モデルは回転が非常に滑らかになっています。
ドラグ性能&操作性も良好
ドラグにはクリック音が与えられ、大径スタードラグを採用したことで、実用性が向上。
ファイト中にもクリック音を聴きながら、ハンドルを持つ手でスタードラグを操作できます。
実釣時には根魚狙いの超細軸フックに青物がヒットしましたが、そこそこドラグを締めた状態でもハリが曲がることもなく、身切れすることもなく、取り込めました。
汎用性が高い
巻き上げ力やスプールの互換性、糸巻き量を考慮すると、1台でカバーできる範囲が非常に広いリールです。
関西在住の筆者の場合だと、明石・鳴門・紀北・丹後の青物ジギング、和歌山・浦島の中深海、三重のトンジギ、パッと思い浮かんだだけでこれほどの釣りをカバーできます。
複数台揃えた場合には、スプールを使い回せ、持ち替えた時の違和感もないので、同じ感覚で幅広い釣りをこなせるはずです。
進化は想像以上
正直、カタログを見たときは「そんなに変わっていないんじゃ……」と思っていましたが、使ってみてビックリ。
丸一日使い込めば、“まったく別”のリールだとわかります。
おそらく、22モデルを1台導入したら、残りの旧モデルをすべて買い換えたくなるはずです。
釣具店の店頭だけではなかなかその進化が伝わらないと思いますが、一度釣りで使えば想像以上の進化に驚くと思いますよ。
ダイワ ソルティガ 15S
ダイワ ソルティガ 15SL
ダイワ ソルティガ 15H
ダイワ ソルティガ 15HL
ダイワ ソルティガ 15-SJ
ダイワ ソルティガ 15L-SJ
ダイワ ソルティガ 15H-SJ
ダイワ ソルティガ 15HL-SJ