「万能=スピニング」が定説だけど……

スピニングタックルとベイトタックル、どちらが万能だと思いますか?
ベイトはブラックバスやロックフィッシュといった特定のジャンルで使用頻度が高いものの、おそらく、魚種や釣り方を問わない領域では「スピニングの方が万能」というのが一般的な見解だと思います。
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では、「ベイトタックルで万能」は成立しないのでしょうか?
ファントム リベラリスト 803M+RSBの万能度を検証

近年、魚種や釣り方にボーダーを設けないオールジャンルロッドが増えてきており、ダイワが発売するファントム リベラリストもそのひとつ。
これまでにスピニングロッドを2機種インプレしましたが、シリーズには3本のベイトロッドが展開されています。
そこで今回は、ベイトでは最長となる803M+RSBをピックアップし、「ベイトで万能」は成立するのかを徹底検証していきます!
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万能度において、スピニングに並べるのでしょうか?
ファントムリベラリストとは

そもそもファントム リベラリストとは、ハートランド リベラリストに続く、リベラリストシリーズの第二弾として登場した魚種不問系ルアーロッド。
幅広い釣り方と魚種に対応できるよう、バスロッドをベースに、全機種がRS(レギュラースロー)テーパーに設計されています。
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テクノロジーや細かな仕様については、過去記事をご覧くださいませ。
実釣期間は約4ヶ月、しっかり使い込んだ!

実釣のタイミングは夏から初冬にかけて。
淡水から海水、ショアからオフショアまで、みっちり使い込んできました!
803M+RSBのスペック
- 全長(m):2.44
- 継数(本):3
- 仕舞寸法(cm):103
- 標準自重(g):135
- 先径/元径(mm):1.7/13.4
- 適合ルアー重量(g):7~50
- 適合ジグ重量(g):10~60
- 適合PEライン (号):MAX2.5
- 適合ナイロンライン (lb.):12~30
ブラックバス

バス釣りに関しては、持った瞬間に「これはいろいろできそうだな」と確信。
その中でも、パワーと調子の具合から、少し重めの巻き物とは相性抜群。

5inのシャッドテールワームのスイミングなんかは最高ですね。
表記はM+ですが、ロングレングスなこともあってか“バスロッドのM+”よりも強く感じます。
アワセのストロークも大きく取れるので、遠距離×オフセットフックでも不安はありません。

また、スピナーベイトやチャター、スイムジグといったシングルフックの巻き物とも相性◎。
ティップが硬くてベリーから曲がるので、抵抗の大きなルアーを巻いて乗せることに長けています。
普段6〜7ft程度のロッドを使っている方は「操作性が……」と思うかもしれませんが、長いがゆえにラインメンディングをしやすく、障害物際をタイトに引けることも。
竿の長い短いはまさに一長一短ですが、“長い=操作性が悪い”というわけではありませんよ。
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あと、8ftもあると、根がかりの回収率がすごく良いんですよね!
ブラックバスの参考タックル
リール:IM Z LIMITBREAKER TW HD-C XHL
ライン:PE2号+リーダー4号
※想定ルアーウエイト15〜30g
シーバス

10〜20gのミノーをメインに使い、川の水門周りを攻めてみると、良型のシーバスがヒット。
小場所なのでミスキャストは許されませんが、キャストが一発で決まるとあっさり答えが返ってきました。
川特有の流れも相まり、思った以上によく引きましたが、バットまで曲がりつつ粘ってくれるので安心感があります。
硬さで強引に止める竿ではないので、魚が暴れにくく、身切れしにくいこともシーバスを釣る上で利点です。

そして、キャストアキュラシーはやはりベイトタックルに軍配が上がりますね。
スピニングでも頑張れば同じぐらいの精度は出せますが、ベイトの方が10倍くらいラクです。
さらに手返しも速かったり、着水音を消しやすかったりと、やはりピンスポットの釣りはベイトを使いたくなります。

また、とても投げやすく、オープンから小場所まで使え、おかっぱりもボートも楽しめるので、ベイトシーバスをはじめたい方にはかなりフィットするはず。
遠投に特化したり、ボートの穴撃ちに特化したりするなら別の竿をおすすめしますが、「1本でいろんなシチュエーションを」となると、これぐらいの仕様が“最大公約数”だと筆者は思います。
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正直、シーバスとはめちゃくちゃ相性が良い竿ですよ!
シーバスの参考タックル
リール:ZILLION SV TW 1016SV-SHL
ライン:PE1.5号+リーダー3号
※想定ルアーウエイト10〜20g
ボートロックフィッシュ

ロックフィッシュ&ボートロックフィッシュは、ブラックバスと並び、元来ベイトタックルの使用比率が高い釣り。
ということで、30g前後のシンカーを使い、水深10〜20mを狙うボートロックフィッシュに持ち出してみました。

この釣りで気づいた803M+の良さが、長めにとられたグリップです。
グリップがやや長いことで、重めのルアーでも振り抜きやすく、リトリーブ中に竿尻を脇に当てられるので巻きが安定します。
とくにオオモンハタを狙うと巻き上げ距離が長くなるため、その恩恵を感じました。
もちろん、大型魚とのやり取りがしやすいのもメリット。これなら、青物がヒットしても安心です。

また、リグを選ばないことも美点です。アカハタ狙いのボトム系リグから、オオモンハタ狙いのスイミング系ルアーもOK。
オフセットフックを貫通させられるパワー、巻き物で乗せられるしなやかさを備えているので、掛け損ないも少ないと感じました。
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ボートロッドに比べると長いですが、その分根掛かりを回避しやすいですよ!
ロックフィッシュの参考タックル
リール:TATULA HLC 7.3L-TW
ライン:PE1.5号+リーダー4号
※想定ルアーウエイト20〜40g
フラットフィッシュ

遠浅のサーフでマゴチを狙ってみました。
12gの鉄板バイブレーションを、底を擦らないようにスローリトリーブさせるとヒット。
守備範囲の中では軽めのルアーですが、明確な操作感があるので“ボトムのちょい上”を舐めるような繊細なアプローチも可能です。

マゴチは激しく頭を振って竿を叩きますが、ファイト中の安心感も抜群。
ロッド全体がショックアブソーバーとして機能するため、ゴンッゴンッという衝撃が和らいで手元まで伝わります。
ベイトは太糸を巻くのでドラグを締め込んで使うことが多く、そもそもドラグの動作がスピニングには及ばないため、竿が果たす“ドラグの役割”というのはかなり重要です。
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50cmぐらいのマゴチはグリグリ寄せられましたよ!
マゴチの参考タックル
リール:ZILLION SV TW 1016SV-SHL
ライン:PE1.5号+リーダー3号
※想定ルアーウエイト10〜20g
チニング

近場でチヌの釣れるポイントがかなり浅いため、ラインをPE0.8号まで落として5gのジグヘッドを使ってみました。
正直、これぐらいのウエイトになると、投げるのも操作するのも快適ではありません。
しかし、1本でなんでも釣りたい派の釣り人にとって「できなくはない」というのは重要なこと。

ルアーからの負荷に対してティップが強すぎるため、底から浮かないよう、丁寧に丁寧に動かすと良型がヒット。
浅場なのでよく走りましたが、“竿ドラグ”が効くので0.8号でも不安なくやり取りができました。

現状、ベイトモデルのラインナップはM+とMH+なので、もう少しライトな釣りに軸足を置いたモデルが出てくると嬉しいですね。
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「できなくはない」は「できる」です(笑)
チヌの参考タックル
リール:ZILLION SV TW 1016SV-SHL
ライン:PE0.8号+リーダー2号
※想定ルアーウエイト5〜10g
803M+RSBの万能度を評価
キャストウェイトの広さについて

一般的に、ベイトタックルは下限や上限付近のウェイトをキャストしようとすると、シビアなブレーキセッティングだったり、釣り人の腕が必要だったりしますよね。
ただ、ファントム リベラリストは、挙動が穏やかなRSテーパーゆえに、「ちょっと竿に対して軽いな〜・重いな〜」というルアーも難なく投げられることが特徴。
ピーキーさが本当にないので、キャスト時の緊張感がなく、「スピニングと遜色ない」と言ってもいいぐらいです。
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気持ちよく投げられるウエイトが広いです!
バックラッシュ回避力について

上記と同様の理由で、かなりバックラッシュしにくいロッドだと感じました。
キャスト時のスイートスポットが広いので、テイクバック〜リリースのタイミングも許容範囲が広いです。
これが極端に先調子だったり、反発力が強すぎたりすると、使い手や使うルアーにかなり制約がでてくるでしょう。
ソルトだと夜釣りも多くなるので、誰がどんなルアーを投げてもバックラッシュしにくいのは、万能ロッドとして大切だと思います。
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普段よりブレーキセッティングを「-2」しても、安心して投げられます。
飛距離について

結論から言いますと、ファントム リベラリスト803M+RSBは“むちゃくちゃ飛ぶロッド”ではありません。
絶対的な飛距離よりも、誰がどんなルアーを投げても“ある程度飛ぶこと”が重視されたロッドだと思います。
常に・ラクにコンスタントに飛ぶ。ステータスをコンフォートに振ったキャストフィールです。
ITONOKNOT
ロッドを曲げることを意識して、気持ちゆっくりめにキャストすると、スムーズに飛びますよ。
ちなみに、2024年に登場する933MH+RSBは飛距離にこだわったロッドになっているそうです!
適合するラインの広さについて

カタログスペックを見ると、適合ラインは“MAX2.5号”。
これだけでは幅が広すぎるので、実釣での使用感を元に“ルアーウエイトに対する適正ライン”をまとめてみました。
ルアーウエイトに対する適正ライン
- 〜10g:PE1号
- 10〜20g:PE1.5号
- 20〜30g:PE2号
- 30g〜:PE2.5号
もちろん、シチュエーションやルアーの種類、ターゲット次第ではその限りではありません。
「スピニングより太いラインを使える」というベイトタックルのメリットを活かして、セッティングを考えてみてくださいね。
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ちなみに、「ベイトより細いラインを使える」というのはスピニングのメリットですね。
物事は何事も表裏一体です。
スピニングよりも無理が効く

太いラインや長いリーダーを使いやすく、ベイトリールのトルクを活かせるなど、何かと無理が効くのがベイトタックル。
例えば、細糸のスピニングでは抜き上げを躊躇する魚でも、ベイトなら抜きやすいですよね。
タモがないときにうっかり大きな魚が掛かっても、ずり上げられたり、リーダーを持って上げられたりと、なんとか取り込めることもあるはず。
想定外の魚が釣れることも多いソルトでは、ひょっとしたら「ベイトでよかった〜」と思うこともあるかもしれませんね。
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とはいえ、準備は抜かりなく!
万能ロッドとしてのベイト、ファントム リベラリストなら全然アリです!

「ターゲットは問わない、真のルアーロッドの誕生」という謳い文句とともにリリースされた、ファントム リベラリスト。
今回使った803M+RSBも、紛れもなく万能ロッドでした。
ある程度使い込んだ今でも、「あの魚も釣れるのでは?」「あの釣り方で試したらどうなる?」と、まだまだ可能性を感じています。
ベイトタックル1本でいろんな釣りをしたい方は、ぜひ一度ファントム リベラリストを手に取ってみてはいかがでしょうか?
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撮影:ITONOKNOT
ダイワ ファントム リベラリスト 803M+RSB
全長(m) | 2.44 |
---|---|
継数(本) | 3 |
仕舞(cm) | 103 |
自重(g) | 135 |
先径/元径(mm) | 1.7/13.4 |
ルアー重量(g) | 7-50 |
ジグ重量(g) | 10-60 |
適合ナイロンライン(lb.) | 12-30 |
適合PEライン(号) | MAX2.5 |
カーボン含有率(%) | 100 |