ファントム リベラリスト 863ML+RSSを使い込んだ!

2023年4月にダイワから発売された万能ロッド、ファントム リベラリスト。
前回は763MLRSSを紹介したので、今回は863ML+RSSをインプレします!
スペック的にはかなり近いロッドですが、1ft長くなってパワーが“+”されたことで、使用感や万能度はどう変わるのか?
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徹底検証してきました!
ファントムリベラリストとは(前回のおさらい)

ファントム リベラリストとは、ハートランド リベラリストに続く、リベラリストシリーズの第二弾。
バスロッドをベースに設計された、魚種不問系ルアーロッドです。
デザインやブランクの素材、ガイドセッティングなどは、下記記事を参照してみてください!
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シリーズに共通するテクノロジーなどは前回の記事で解説していますので、ぜひ下記のリンクからご覧ください。
スペックから読み解くMLとML+の違い

863ML+RSSと763MLRSSの2本は、基本的に同じテイストで味付けされたロッドです。
しかし、両者の仕様を見比べると興味深い発見もありましたよ!
RSテーパーはシリーズのアイデンティティー

リベラリストシリーズのアイデンティティーといえるのが、RS(レギュラースロー)テーパー。
ティップがしなやかでバットが硬いのではなく、ティップが硬くてバットが曲がりやすい調子です。
負荷に応じてベリーからバットまでシームレスに曲がってくれます。
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この懐の深いRSテーパーによって、幅広いルアー&ウエイトに対応してくれるわけですね。
じつはブランクの先径が同じ

ブランクの先径と元径を比較してみると、面白い発見が!
- 863ML+RSS:1.5mm/13.4mm
- 763MLRSS:1.5mm/11.7mm
元径は違うのですが、じつは先径が同じなんですね。
つまり、863ML+は763MLを全体的に強くしているのではなく、ティップ側のパワーはそのままに、バット側を伸ばして強くしているということ。
こうすることで、軽いルアーへの適性を損なわず、重いルアーへの適性を上げているのでしょう。
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実際にティップを触り比べてみても、硬さは同じでした。
これが「M」ではなく「ML+」たる所以かも。
ガイドセッティングは共通

763MLと同じく、863ML+も同カテゴリーのロッドと比べてややガイドは多い目のセッティングです。
これはラインをブランクから離れにくくし、ブランクの性能をロスなく使うことを狙いとしています。
863ML+のガイドの数は、763MLより1個多い10個で、これは単純に長くなった分だけガイドを増やしてバランスを取ったということでしょう。
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ガイド径が大きめなので、海で太いリーダーを使う際も安心です。
グリップが5cm長い

最後に、グリップを比較してみると面白い違いがありました。
- 863ML+RSS:55cm(全体)、38.5cm(リールフットまで)
- 763MLRSS:50cm(全体)、33.5cm(リールフットまで)
この通り、リールシートから後ろが5cm伸ばされていることがわかります。
グリップが体に干渉しにくい763MLに対し、863ML+はグリップを脇に挟んだり当てたりして安定させやすい仕様です。
取り回しの良さは763MLに分がありますが、863ML+は広範囲を巻いて探る際には優位性を感じます。
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グリップの長さは実釣で大きな差を感じるので、ロッドを選ぶ際の重要なポイントだと思います!
3ヶ月間みっちり使ってきました!

約3ヶ月にわたって863ML+RSSをみっちり使ったので、その使用感をジャンル毎に紹介します!
シーバス

まずスペック的にドンピシャだと思ったのは、シーバス!
というわけで、河川をメインに実釣してきました。

メインに使ったルアーは、10〜20gのミノーやバイブレーション。
河口のオープンエリアから湾奥の水門まで攻めてみましたが、1本でいろいろやるとなると、まさにこれぐらいがベスト。
極端なルアー&シチュエーションでもない限り、だいたいの釣りはカバーしてくれるでしょう。
テクニカルな釣りもこなせますが、一番気持ちよいのはオーソドックスな“巻く釣り”です!

また、ファイト時はRSテーパーならではの懐の深さが、安心感をもたらしてくれます。
シーバスの引きに川の水圧が加わっても、ロッド全体でグッと耐えてくれるので不安は皆無。
その一方で、硬さで無理やり止めるロッドではないので、バラシも少ないですね。
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しなやかなレギュラースローテーパーなので、ドラグは締め気味に、ロッドを曲げてファイトするのがオススメです!
シーバスの参考タックル
リール:2500番
ライン:PE1号+リーダー3号
ブラックバス

シーバスの時と同じく、ミノーやシャッドテールワームなどの巻く釣りとは相性抜群。
ティップがやや硬いため、ある程度巻き抵抗の強いルアーでも入りすぎす、綺麗に泳いでくれます。
その反面、小技を使ったフィネスなアプローチをするにはやや大味。

しかし、長いがゆえにできてしまう釣りもあるわけで、それがフリッピングです。
8ft6inもあれば2m以上ラインを出しておけるので、一般的なフリッピングロッドと同等かそれ以上の範囲を探れます。
また、手前のアシ越しにルアーを落とすことも可能です。

30cmちょっとなら難なく抜けますが、アシ越しに釣りをするならタモは持っておきましょう。
さすがに、フリッピングロッドのように「50アップぶっこ抜きー!」とはいかないので。

ヘラブナを口掛かりさせられたので、乗せる能力も文句なしでしょう(笑)
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スピニングっぽい釣りよりも、普通はベイトタックルでするような釣りと相性が良いですね!
ブラックバスの参考タックル
リール:2500番
ライン:PE1号+リーダー3号
ボートロックフィッシュ

個人的にイチオシしたいのが、ボートロックフィッシュ。
「8ft6inは長すぎるのでは?」と思う方も多いでしょうが、騙されたと思って使ってみてほしいです。

というのも、長い分だけ上方向に大きくリフトできるので、根掛かり回避力がめちゃくちゃ高いのです!
ちなみに、実釣時は1日通して根掛かりゼロ。

水深10〜20mほどのエリアで、30g前後のルアーを使うにはちょうど良い塩梅でした。
ジグヘッドはもちろん、オフセットフックも貫通させられるパワーを備えているので、テキサスリグや直リグでもOK。

気持ちよいとは言えませんが、60gのジグも使えました。(バーチカル状態)
さすがにバーチカル状態でのジギングでは長すぎますが、“やれなくはない”ってのは案外重要です。
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船によっては長いロッドが禁止されていることもあるので、事前にルールを確認したり、同船者に配慮したりして使いましょう。
ボートロックフィッシュの参考タックル
リール:2500番
ライン:PE1号+リーダー4号
マゴチ

サーフでフラットフィッシュも狙ってみました。
遠浅のサーフだったので、10gほどのバイブレーションをメインに使用。

細軸フックだったものの、ヘッドシェイクにもロッドが追従してくれ、フックを伸ばすことなく50アップを取り込めました。
やはり、乗せていなして獲る能力は高いです。

良型のボラもヒットしましたが、難なくサーフにずり上げられました。
大きな魚がヒットした際、長いフォアグリップを掴んでファイトできるのも◯。

ジグも投げましたが、20〜30gが一番気持ちよく投げられます。
キレよく動かすなら30gまで、ヌメヌメ動かしたりリトリーブ主体で誘うなら40gまで。とイメージしてください。
ショアジギングロッドほどグリップは長くないので、脇挟みというよりかは、脇に当てる感じでシャクると操作しやすいです。
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軽いジグなら肘に当ててシャクればOKです!
フラットフィッシュの参考タックル
リール:2500番
ライン:PE1号+リーダー3号
エサ釣り

ルアーロッドとはいえ、もちろんエサ釣りも楽しめます。
10号(約35g)のちょい投げ仕掛けなら、60m以上は難なく飛ばせました。
シロギスの気持ちよいアタリもしっかり伝わります!

ぶっこみ釣りでウナギもゲットしました。
天然ウナギは超高級魚ですが、意外と手堅く釣れる魚なんですよ。

こんな高級食材と出会えるのもエサ釣りのいいところ。
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このロッドでどんな釣りができるだろう?
って考えるのも楽しいんですよね。
実釣における863ML+と763MLの違いとは?

863ML+RSSと763MLRSSを使い比べてわかった使用感の違いを、3つの視点から紹介します。
キャスティングについて

863ML+で気持ちよく投げられるのは、10〜30g(プラグ)でした。
これに対して、763MLのストライクゾーンは5〜25g。
「気持ちよい領域が+5gされている」と考えていただくと間違いないと思います。
また、863ML+は長くなった分だけロッドがゆっくり動くように感じるので、リリース時のスイートスポットがより広くなっている印象です。

40gのウェイトでも十分に背負える余裕がありますが、曲がりが大きくなるため、ロッドの戻りがワンテンポ遅れます。
バスロッド感覚で投げるとロッドの戻りとリズムが合わないため、ペンデュラムキャストを推奨。
ペンデュラムキャストをマスターすると、投げられるウエイトの上限が一段上がりますよ。
ちなみに、14gのミノーを投げて飛距離を実測したところ、863ML+が50m、763MLが46mという結果でした。
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体感でも、同じルアーなら863ML+の方が10%ほどよく飛んでいます。
ルアーの操作感について

キャストウェイトと同様に、10〜30gのルアーなら幅広く扱えます。
プラグに関していえば、20gのミノーのただ巻きはドンピシャでした。763MLならこれが15gぐらいになるイメージですね。
もちろんジャーキングもできるのですが、連続ですると長さと重さゆえにやや負荷が大きく、
「グリップが長いな〜」と感じます。

ワームに関しても操作ウエイトの幅は同じですが、動かし方で適性ウェイトがやや変わります。
巻きの釣りであれば30g超でも問題ありませんが、キビキビ動かして根掛かりをかわしたり、ダートさせたりする場合は20gほどがベスト。
下限は763MLも863ML+も5gあたりですが、下限付近の軽いウエイトは763MLの方が確実に使いやすいですね。
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どちらもティップの入り具合は同じですが、軽い仕掛けは短くて軽い竿の方が操作しやすいですね。
魚を掛けた時のパワー&トルク感について

よく曲がって魚の引きに追従するのはどちらも同しで、正直、獲れる魚のサイズもそう変わらないでしょう。
ただし、863ML+の方が後ろ側が長い分、魚を浮かせるのがちょっと早く感じました。
実釣時はエイを掛けたのですが、バットまで絞り込むような魚がヒットすると、“長さゆえの余力”を感じられるはず。
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同じ理由で863ML+RSSの方が抜き上げやずり上げも楽ですね。
863ML+と763MLで迷ったら……

ファントム リベラリストを検討している方の中には、「863ML+と763MLのどっちにしよう……」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
番手選びで迷っている方に向けて、筆者流の選ぶ基準をご紹介します。
863ML+RSS:ショアソルトメインの万能竿

8ft6inというレングスゆえに、ショアソルトシーンでの使い勝手は抜群です。
10ftクラスの専用ロッドには飛距離で及びませんが、河口やサーフからの遠投を主体とした釣りも十分楽しめます。
ショアソルトでの使用頻度が高い30gぐらいのルアーを気持ちよく飛ばせるので、「海をメインに1本でいろいろ楽しみたい」という方にはベストな選択だと思います。
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バスをメインに考えると、「ちょっと使い所を選ぶかな〜」というのが正直な感想です。
763MLRSS:バス・ボートをメインとした万能竿

基本的に“できる釣り”は863ML+と同じですが、遠投性能よりも取り回しの良さや小細工のしやすさに優れるのが763ML。
863ML+が軸足をショアソルトに置いたロッドだとすると、763MLはブラックバスとボートフィッシングに軸足を置いた万能ロッドです。
ショアソルトでは「パワーに対して短い」と感じるかもしれませんが、「釣り場・釣り方を選ばない」という観点では763MLが優っているように感じます。
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863ML+はショアソルト色が濃くなるので、“リベラリスト感”は763MLの方が強いと思いました!
すべては使い手次第。

いろんな魚と遊びすぎて、何用のロッドかわからなくなってきましたが、それがきっとリベラリストということ。
もちろん今回紹介した使い方も、“そのうちのいくつか”です。使い手や所が変われば、楽しめる釣りも違ってくるでしょう。
釣りを広く柔らかく楽しみたい方には、とても魅力的なロッドだと思いますよ。
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撮影:ITONOKNOT
ダイワ ファントム リベラリスト 863ML+RSS
全長(m) | 2.59 |
---|---|
継数(本) | 3 |
仕舞(cm) | 110 |
自重(g) | 130 |
先径/元径(mm) | 1.5/13.4 |
ルアー重量(g) | 5-40 |
ジグ重量(g) | 7-50 |
適合ナイロンライン(lb.) | 8-25 |
適合PEライン(号) | MAX2.0 |
カーボン含有率(%) | 100 |