22イグジストをもっと知りたい。
前作の登場から4年の時を経て登場した、22イグジスト。
エアドライブデザインやアフターサービスプログラム、10万円を超えた定価が話題となっていますが、きっとカタログには載っていない進化やこだわりも多いはず。
22イグジストをもっと詳しく知りたい。そんな思いで、22イグジストの開発者に質問を投げかけてみました。
開発者の紹介
戸出玄樹
大学卒業後、ダイワ精工(株)(現:グローブライド(株))へ入社。営業・ルアーを経て、現職のリール企画に。
21ルビアス エアリティ、21カルディア、20ルビアスなどの小型スピニングリール全般を手掛ける。
リールの企画を行う一方で、釣り番組等のメディア出演も多い“釣って作れるグローブライド社員”。京都府出身。
戸出さんに19の質問
戸出さんとイグジストの出会いは?
はじめて買った&使ったイグジストは初代の05モデルですね。でも正直な話をすると、イグジストがデビューした時は全然関心がなかったんですよね(笑)
当時大学生だった自分が使っていたのは、イグジストの前作に当たる02トーナメント エアリティ。
エアリティは当時のどのリールよりも圧倒的に軽量で、回転も軽く、“一世を風靡する”と言って過言はないほどの人気がありました。
そんなエアリティを私自身も非常に気に入っていて、愛着もあったせいか、「イグジストなんていらないでしょ」って。
ちなみに、21ルビアス エアリティとして、エアリティの名前を復活させたのは私です。それぐらい思い入れのある名前なんですね。
そんな私がイグジストを使うきっかけになったのが、ダイワ精工(株)への入社。初めて使った時のことは今でも覚えています。
エアリティよりも軽くなったうえに、スカスカだった巻き心地にカッチリ感も加わっていて、「なんで今まで使っていなかったんだ」って後悔しました。
軽量コンセプトのスピニングリールが好きなので、そこから歴代イグジストはすべて使っています。
イグジストの名前の由来は?
まず「EXIST」には言葉通り、“存在する”という意味があり、それに加えて「EX」と「IST」にそれぞれ意味を持たせています。
「EX」には“極めた”という意味が、「IST」には“人”という意味が込められています。
つまり、その時点で『ダイワが持つ究極を注ぎ込んだ』のがEXISTであり、釣りを『極めし人』のために存在しているのがEXIST。そういったリールでありたいと、我々の思いが込められています。
存在の意味についてはカタログでも語られていた一方で、これらはほとんど発信されておらず、ダイワの“作り手のマインド”としての側面が強かったかもしれませんね。
また、初のフルメタルスピニングリール「トーナメントEX」の系譜を汲んでいるという意味も含まれています。
22イグジストの開発はいつ頃からスタートしましたか?
すみません。これに関しては社外秘の部分が多いのであまり詳しく答えられませんが……
開発は常に継続して行われていて、とくにテクノロジー開発などはかなり長期的なスパンで行います。
18モデルの開発プロジェクトが終了して、22モデルのプロジェクトが立ち上がって……みたいなイメージがあるかもしれませんが、それは少し違うかもしれませんね。
もう既に次の次のイグジストに採用予定のテクノロジーを開発している……かもしれませんよ(笑)
今作でもっともこだわった点はどこですか?
どの釣種・どの地域においても、釣り場のハイプレッシャー化などの影響から、近年は魚を釣り難くなっている傾向があります。
その中で「どうやって釣果を伸ばすか」という話をフィールドテスター等とすると、“意のままにルアーを操れること”という結論に至ります。
つまりは、リールにも意のままにルアーを操ることが求められるわけです。端的に表現すると、操作性ですね。
その操作性をいかに良くするかを多角的に検証し、その答えの集合体を「エアドライブデザイン」という新しい設計思想として落とし込みました。
少し小難しく聞こえたかもしれませんが、シンプルに“釣り人の釣るための動作”にこだわり、追求したのが22イグジストです。
デザインにモチーフやテーマはあるのですか?
「洗練」や「風格」というキーワードを大切にし、あえて大きな加飾(装飾を加えること)は抑えました。
飾って目立たせて存在感を主張するのは簡単です。例えば、強い色味を使ったり、カーボン柄を入れたり、装飾パーツを付けたり。
しかし、それがイグジストらしいのか? イグジストの本質を表したデザインなのか? と考えたら、違うなと。
先ほどもお話しした通り、イグジストは実釣性能にこだわったリールです。それゆえに、“意味のある形”にしたかった。
例えば、ビスの露出等を極力減らして表面の凹凸を抑えたデザインは、「糸が引っ掛かってトラブるのを防ぐ」という意味のある形なんですね。
あとはイグジストらしさについても考えました。“らしさ”を考えて行き着いたのが、初代モデルの洗練された姿です。イグジストと聞いて、初代モデルを想像する人も未だに多いのではないでしょうか。
デザインそのものを参考にしたわけではありませんが、車に例えると、フェラーリのローマのようなイメージです。
スーパーカーながら派手に飾っているわけではなく、街中や自然にもすんなりと溶け込むデザイン。その一方で、目にした人には「すごいエンジンを積んでいるんだろうな」とか「めちゃくちゃ速いんだろうな」と、その本質を伝える凄みがある。
22イグジストはそんなイメージのデザインに仕上げました。