ボディの仕様変更はありませんか?
じつは、22イグジストのボディは18モデルよりも重くなっています。
18イグジストのボディを見てもらうと、ボディの中心部に肉抜きした穴が設けられていますが、22モデルはこの肉抜きをやめました。
その結果、ボディ単体では重量増になりましたが、18モデルよりもボディ剛性(ねじれに対する変形量の小ささ)が向上しています。
また、ローターとスプールに対してボディが相対的に重くなったので、重心位置の後方化に繋がることもメリットです。
小型番手もフルマグシールドにした理由は?
18イグジストでは、マグシールドボールベアリングをあえて外し、軽さにこだわったフィネスカスタム(FC)をラインナップさせていました。
しかし、「フラッグシップモデルに求められるものは?」と考えた結果、防水性能も含めて“すべて”だと。
また、18モデルは小型番手がすべてFC仕様だったので、ユーザー様からも「ハイエンドなのになぜ防水が最高レベルじゃないのか?」といった声をいただいていたのも事実です。
その結果、汎用小型スピニングリールとしては唯一の完全防水ボディに仕上がっているので、どのリールよりも長く快適にお使いいただけると思います。
PC LT3000以上のXHモデルには高強度なピニオンを採用。その理由は?
前提として、ギアの耐久性というのはドライブギアとピニオンの相性が非常に大切です。つまり、ドライブギア相応のピニオンもセットで求められます。
ギア比に注目すると、ギア比6.2と5.2では掛かる負荷の大きさが異なります。どのスピニングリールも構造上、大型番手のハイギアモデルはギアへの負担が非常に大きくなるのです。
そのため、22イグジストのPC LT3000番以上のXHモデルには、耐久性を向上させるためにソルティガと同素材のピニオンを導入しています。
また、その結果として非常に硬いギア同士が噛み合うことで、少し音が響きやすく感じるかもしれませんが、耐久性のために強くて硬いギアの搭載を選びました。
19セルテートとどちらが強いですか?
強さと聞いて出てくるのが、「剛性」と「耐久性」というワードですよね。この二つの言葉は混同されることが多いのですが、じつは意味が違うんです。
それに耐久性に限っても、常用域での負荷を掛けた際の耐久性と、破断するほどの負荷が掛かる限界域での耐久性では異なります。
そのため明確な回答をしにくいのですが、前提条件を出しながらお話しいたします。
まず、実釣で想定される環境下での耐久性に勝るのは、22イグジストです。その理由は、防水耐久性の違い。
22イグジストのボディは完全防水ですが、19セルテートは完全防水ではありません。一般的な使用環境において、不具合の大きな要因となるのが浸水です。つまり、ボディ素材の違い等よりも、防水性能の方が耐久性への影響が大きいということですね。
次に、限界域での剛性や耐久性について。例えば、2500番でドラグを1kgに設定しているような状態です。これはリールが巻けるか巻けないかのギリギリライン(いわゆる三角巻き状態)で、実釣においてこのような設定はほぼないと思います。
こんな限界域で「どちらが巻けるのか?」と聞かれたら、アルミボディのセルテートです。また、このような環境下での耐久性もセルテートが勝るでしょう。
短い言葉にすると、「普通に使う分にはイグジストの方が耐久性は上」ということになります。
実釣テストでは4000番で20kgオーバーのオオニベ、3000番でブリを楽々キャッチしているので、SLJやライトショアジギング、フラットフィッシュなどにも使ってもらいたいですね。
高精度なリールゆえに、品質を保つのが難しいのでは?
とても難しいですね。そのため、22イグジストは過去に前例がない体制で徹底した品質管理を行っています。
まず、組み付け精度のところでもお話しした、イグジスト専任の熟練スタッフによる組み上げです。
専任スタッフは極少数なので、他のリールと比べると生産効率がとても悪いのですが、高級スポーツカーや機械式時計のように高精度に組み上げることを最優先しました。
また、専任スタッフが組み上げた上で、“イグジスト特別認定検査員”によるダブルチェック体制をとっています。
認定を受けた一部の検査員が、クリアランスや作動音から外観に至るまでを厳正に検査し、合格したものだけが出荷されます。同梱されている出荷検査合格証に押された検査員の判は、その証です。
どうしてもテクノロジーなどを中心とした情報発信になってしまうのですが……
テクノロジー研究をする人、それらを用いて企画・開発をする人、開発されたリールを最高の状態でユーザー様にお届けする人。そんな“人”によって過去最高のイグジストとなったのが、22イグジストです。
なぜアフターサービスを強化しようと思ったのですか?
イグジストを購入いただくお客様の中に、「ただ釣りができればいい」と考えている方は少ないと思っています。
「もっと釣りたい」「釣りをしている時間を上質にしたい」「イグジストが好き」そんな強い思いやこだわりのある方が多いはずです。
イグジストの作り手として、そんなお客様にはより長く、より良い状態で1台のリールを使い続けてほしいと考え、今回のアフターサービスプログラムをご提案しています。
アフターサービスプログラムに加入していただくと、専任の“マイスター”がカウンセリング・メンテナンスを行うので、今まで以上に安心してイグジストをお使いいただけるはずです。
歴代イグジストから名機を選ぶとしたら?
初代に当たる05モデルですね。イグジストというリールの誕生は、ダイワのスピニングリール史上の大きな1ページだと思います。
それまでのフラッグシップに当たるトーナメント エアリティは、とにかく軽さを追求したリールでした。
しかし、イグジストの登場によって、“軽さと強さの追求”がフラッグシップのあるべき姿だと定義されたわけです。
今日まで続き、これからも続くであろうイグジストのアイデンティティが、初代モデルにおいて既に明確に示されていました。
市場には、軽いけどちょっと弱いリール、強いけどちょっと重いリールはありますが、軽さと強さを極限まで追求しているのはイグジストだけだと自負しています。
ちなみに、対外的には一切発信していなかったと思いますが、歴代イグジストのボディのセンターには稜線が1本走っており、これがデザインアイコンです。イグジストをお持ちの方はぜひ見てみてくださいね。
編集後記
今回、戸出さんのお話の中で一貫していたのが、イグジストが魚を釣るためのリールであること。フィールドから逆算して作ったリールであること。
釣りの主役はリールではなく、魚とアングラー。あくまでリールはアングラーをサポートする存在であり、アングラーをより魚に近づけるリールを作りたい。
そんな作り手のマインドを強く感じる取材でした。
実釣ファーストで作られたリールがゆえに、釣具店の店頭だけでイグジストの“すべて”を体感するのは難しいかもしれませんが、釣りを極めたい方はぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
ダイワ 22 イグジスト LT2000S-P
ダイワ 22 イグジスト LT2000S-H
ダイワ 22 イグジスト LT2500S
ダイワ 22 イグジスト LT2500S-H
ダイワ 22 イグジスト LT2500S-XH
ダイワ 22 イグジスト LT2500S-DH
ダイワ 22 イグジスト PC LT2500
ダイワ 22 イグジスト LT3000S
ダイワ 22 イグジスト PC LT3000
ダイワ 22 イグジスト PC LT3000-XH
ダイワ 22 イグジスト LT4000
ダイワ 22 イグジスト LT4000-XH
ダイワ 22 イグジスト LT5000-C
ダイワ 22 イグジスト LT5000-CXH