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22イグジストの開発者に19の質問。カタログに載っていない進化とこだわりとは(2ページ目)

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とくに開発する中で一番大変だった点は?

22イグジストのローター

1点挙げるとするなら、エアドライブデザインの中核をなすローターです。ローターの低慣性化ですね。

低慣性なローターにするには、ローターの軽量化が必要。軽量化するだけなら簡単で、強度を犠牲にすればいくらでも軽くなります。でも、そんなことは許されないですよね(笑)

今回のローターは低慣性化のために軽くなっているのですが、18モデルと同等の強度を維持しています。「強度を維持したまま軽量化」というのは、どこか当たり前に感じてしまう響きなのですが、作り手としては非常に難しいんです。

カタログ等には載っていませんが、じつは、ローターの付け根部分は肉を盛っています。要するに、ピンポイントで見ると旧モデルより重たくなっている部分もあるのです。なぜかというと、強度が必要な部分だから。

強度を維持したまま軽量化するには、負荷が掛かる部分を強化し、掛からない部分の肉抜きを徹底しなければなりません。

そのために、実釣時の負荷の掛かり方、負荷に対する変位量、破断に至る過程などをコンピューターで徹底的に解析しています。

それに加えて、ローターが回転体であることがさらに難しい理由です。ローターは回転体なので、左右の重量バランスが取れていないと回転がブレてしまいます。

こういった要素を考えながら、気の遠くなるようなトライ&エラーを繰り返し、辿り着いたのが今作のローターです。

ローターの低慣性化にこだわる理由は?

22イグジストのローター

ローターの低慣性化にこだわる理由は、操作性と感度です。

慣性モーメントが働きにくいローターは、いわゆる“巻きたい時に巻けて、止めたい時に止められる”という、アングラーの意思に対してリニアな操作感を得られます。つまり、意のままにルアーを操れるということですね。

それに加えて、ローターが軽量化されることで重心位置が下がり、持ち重り感が少なくなることも操作性に繋がります。

また、「タダ巻きには重いローターが良い」というイメージがあるかもしれませんが、私たちは「タダ巻きにも低慣性ローターが良い」と考えています。なぜなら、巻き感度を重視しているからです。

海中の潮目やアンダー1gのスプーンのウォブリングなど、小さな変化を察知するには圧倒的に低慣性ローターが有利です。巻くだけなら重いローターでも可能ですが、“情報量の多さ”にこだわると低慣性ローターになります。

ただし、低慣性ローターは良いことばかりではなく、その性質ゆえに回転ノイズすらも情報として伝えてしまう難点があるのです。

もちろんイグジストに回転ノイズは許容できないため、ローター以外の部分で解消しているのですが、これが難しくて低慣性ローターには“開発者泣かせ”な一面もあります。

旧モデルと比べて「巻きの質感が高まった」という声も多いですが、どのような点を改良しましたか?

22イグジストのギア

まず挙げられるのが、ギアです。ドライブギアに特殊表面処理を行い、従来よりもギアの硬度を上げています。これは18モデルには導入されていなかったので、わかりやすい進化のひとつですね。

しかし、巻き感・巻き心地への影響力という点では、組み付け精度を高めたことの方が大きいと思います。

とくに徹底して詰めたのが、ハンドル軸方向のクリアランスです。お手持ちのリールで試してもらうとわかると思いますが、ハンドルの付け根を持って上下させると、カタカタする“遊び”がどのリールにもあるはずです。

このクリアランスを今作では徹底的に詰めています。22イグジストと他のリールを見比べてもらえれば、カタカタする幅が非常に少ないことがわかると思います。

これも言葉にするとすごく簡単そうに聞こえるのですが、じつはとても難しいんです。クリアランスを完全になくすと回転が重くなってしまうので、そのわずか手前の状態にする必要があります。そのため、1台ずつすべて個別に調整しています。

当然他のリールに比べて圧倒的に組み付けが難しいので、作業が許されるのは認定された一部の職人だけ。これから数万台と生産されるわけですから、量産品としての限界に挑んだと思っています。

ベールの形状を見直した理由は?

22イグジストのベール

まず1点目は軽量化です。ベールはローターユニットの一部なので、軽くすることで回転性能も良くなります。

これまでのダイワのスピニングリールは、極太のベールが印象的だったと思います。たしかにそれゆえに非常に強かったわけです。

なので22イグジストでは、実釣において十分な強度を維持した上で、軽量化を優先しました。

正直にお伝えすると、ベールの強度自体は18モデルからやや下がっています。「強度を犠牲にした」と聞くと不安になる方もいるかもしれませんが、踏まない限りは曲がりません。それぐらい十分過ぎる強度は残しています。

軽さと強さを両立できる背景には、ダイワがこだわっている“中空ベール構造”があります。中空と聞くとソリッドよりも弱そうに感じるかもしれませんが、じつは中空にすることで軽量性と剛性を両立したベールに仕上げられるのです。

22イグジストのローター

2点目は糸滑りです。ベールに傾斜をつけることで糸がベールの上を滑り、ラインローラーに導きやすく改善しました。

ベール部分をよく見てもらうと、ラインローラーに対してベールホルダーが下側に位置していて、ベールホルダーからラインローラーに向かって上がっていく形状になっていることがわかると思います。

これによって滑りにくいPEラインでも、ラインローラーへと導けるというわけです。ベールの途中で糸が止まって、そのままスプールへと巻かれることが少なくなり、ライントラブルがさらに軽減されます。

また、今作ではベール本体に加えてアームレバー部分にも改良を加えました。これによってアームレバーの耐久性が飛躍的に向上したので、ハードユースが前提のお客様にも安心してお使いいただけると思います。

ツイストバスター3は2と比べてどこが進化しましたか?どのような恩恵がありますか?

ツイストバスター3

ツイストバスター3というのは、ツイストバスター2に細い溝を設けたものです。なので、糸ヨレの取り方などはまったく変わりません。

機能的な違いをお話しすると、ツイストバスター2は糸がラインローラーの中で動く幅が広かったのに対し、ツイストバスター3はこの幅が狭くなっています。

そんなツイストバスター3の実釣におけるメリットですが、正直、体感されるのはごく一部の方だと思います。

ツイストバスター2には“糸がバタつく”ことがあって3に進化させたのですが、そのバタつきは常時あるものではなく、特定のタックルバランスに限って発生するものでした。

そのタックルというのが、胴から大き曲がる軟調竿です。弊社だと、タイラバロッドのスリルゲームなどですね。

このような竿を思いっきり曲げると、元ガイドの位置がリールよりもかなり下になり、この時に糸を巻き取るとパチパチと弦を弾くような音が鳴ることがありました。

パチパチ音は実釣に支障もなく、リールの不具合というわけでもないのですが、フィールドから声が上がっているのは事実なので対策を施しました。

対糸ヨレへの性能は2と同じなので、進化を実感することは少ないと思いますが、「それほど細かなところまで考えて作っているんだ」と思っていただけると作り手としてはありがたいですね。

ATDをタイプLにした理由とは?どのような時にその特性が活きますか?

ATDタイプLの特性

本題に入る前に、ドラグの基礎知識についてお話しさせてください。

例えば……ドラグを1kgに設定したとすると、ラインに1kgの負荷がかかった時点でドラグが滑り、ラインには1kg以上の負荷が掛からない。

このように思われがちなのですが、実際にはそうじゃないんですね。

瞬発的に大きな力で引っ張られた際は設定値から跳ね上がり、ラインに1kg以上の負荷が掛かります。要するに、引っ張られる量に対して、ドラグで糸を送る量が足りないという状態で、粘る特性のドラグほどこの傾向が強くなります。

そして、粘りを残してATDの基本特性を残しながら、設定値からの“跳ね上げ”を抑えて作動レスポンスを向上させたのがATDタイプLです。

同じ設定値であっても瞬発的な負荷で糸が切れることが少なくなり、その一方で、負荷が落ち着いた状態では糸が出にくいのでファイト時間が短くなります。

つまり、「より細い糸を使えるようになった」とも言えますし、「より強いドラグ設定ができるようになった」とも言えるんですね。

当初はアジングや管釣り、野尻湖・桧原湖のスモールマウスバスなどで恩恵が大きいと読んでいましたが、テストしてみるとSLJやライトショアジギングで大型青物を獲りやすいという声も多かったです。

ATDタイプLの開発に当たっては数えきれない魚を掛け、ラインの強度を限界近くまで引き出せるドラグに仕上げたので、いろんなターゲットや釣り方でその恩恵を感じていただけると思います。

スプールは薄肉ブランキングなし。ブランキングした方が軽そうに思えますが……?

22イグジストのスプール

正直にお話しすると、重量だけにこだわるとブランキングをした方が極僅かに軽くはなります。

ただ、薄肉スプールにブランキングを施すと、どうしてもチープな質感になってしまうのです。スプールはスピニングリールの“顔”ですから、当然外観にもこだわらなければいけません。

22イグジストでは“最高の質感”を表現するために、クリーンなブランキングレスのスプールに鏡面加工を施す手法をとりました。

この鏡面加工は技術的に非常に難しくてコストも掛かるため、22イグジストと20ソルティガのカスタムスプール(SLPより発売)にしか採用されていません。

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