ビッグベイト戦国時代に……

2023年にがまかつ ラグゼから発売されたビッグベイト、「ラフィン」をご存じでしょうか?
聞くところによると、なかなか良くできたルアーだそうで。
とはいえ、ビッグベイト市場は昨今のブームによって“飽和”とも言える状態……。
数あるビッグベイトの中で、埋没せず、明確な個性を出せているのか?
なおと
ビッグベイトマニアの筆者が検証してきました!
ラインナップ
モデル名 | 全長(mm) | 自重(g) | フックサイズ |
---|---|---|---|
ラフィン 170 | 170 | 48 | #3 |
ラフィン 250 | 250 | 未定 | #2/0 |
ラフィン 300 | 300 | 250 | #2/0 |
なおと
現在は先行して170mmモデルが発売されています。
300mmが2025年発売予定、250mmはまだプロトで発売時期等は未定です。
3モデルの細部をチェック

みなさん、この写真を見て何か気づきましたか?
そうなんです。同じシリーズなのですが、単純なサイズ違いではなく、モデルごとによってかなり作りが違うんです。
なおと
というわけで、細部を詳しくチェックしましょう!
170

シルエット自体は、一般的なS字系ビッグベイトとそう変わらないですね。
テールがやや長く、ボディ自体は130mm程なので、それほど大きくは感じません。
フックも#3なので、スピニングタックルでもフッキングが決まりそうです。

シリーズに共通するのが、小さなリップが付いていること。
S字系ビッグベイトにリップが付いているのはかなり珍しいですね。
リップがあると水を掴みやすくなり、ロッドワークに対するアクションレスポンスが良くなるので、「小細工が効きます」ということでしょう。

また、シングルパーツでジョイントされており、稼働域が広いのもシリーズ共通の特徴。
点で繋がっているのでボディ後方を捻るように動き、金属同士が擦れる音も奏でます。

ラフィンシリーズはシリコンテールを採用しています。
エラストマーのように溶けることがなく、保管もしやすいですね。
250

250mmモデルは、170とかなり近い形です。
エラ周りのデザインが少し違いますが、この少しの差が動きにも現れるのでしょうか?
ちなみに、ボディ本体のサイズは190mmです。
2024年5月時点ではまだ開発段階のようなので、仕様変更等はありそうですね。
300

300mmになると一気にジャイアントベイト感が出てきました。
ボディサイズも260mmあるので、かなり大きいです。

一番気になったのは、300mmモデルはボディがやや扁平なことです。
面がフラットに立っているので、その大きさも相まって非常に存在感があります。

300mmモデルのみ、170mmと250mmと同素材のテール(クリア)に加え、少し長くて柔らかいテール(ピンク)が付属します。

こうやって見ると、スペアテールの柔らかさがよくわかりますね。
動きをチェック

ここからは水中や上からの映像を見ながら、動きの質をチェックしていきましょう。
なおと
それぞれの動画は、170→250→300(ノーマルテール)→300(スペアテール)の順番で撮影しています!
ただ巻き
ミディアムスピードのただ巻きでは、どのモデルもゆったりとしたS字を描きながら泳ぎます。
とくに250と300はボディサイズが大きいので、S字の軌道もかなり大きくてワイドです。
なおと
300はスペアテールにすると、ターンの切り返しが少し滑らかになりますね。
デジ巻き
デジ巻きでは、左右への短い首振りを演出。
ジョイント部の自由度が高いため、左右だけではなく斜め上や下にも動く時があり、とくに170はボディを翻すような強い捻りが加わります。
なおと
止めてやると、惰性でちょっと横っ飛びしていますね。
速巻き
170はS字の軌道が狭くなって直進性が高まり、その中にフラつくようなイレギュラーアクションが加わります。
それに対して250と300は、スピードを上げても綺麗なS字を維持してグングン泳ぎ続けます。
なおと
250&300も170のように泳がせようと挑戦しましたが、無理でした(笑)
ステイ
流れに乗せてラインテンションを掛けてみると、そこそこ緩い流れでもウネウネと表層で動いてくれます。
風や波を受けてもよく動きますし、アクションの惰性でもウネウネと漂ってくれるのは良いですね。
なおと
意図しない自発的なアクションを演出してくれます!
ラフィンをみっちり使い込んでみて

もちろん、しっかりと実釣も行ってきました!
冬から春に変わるシーズンだったので、食っているベイトはバチからボラまでと幅広く、おまけにアフタースポーンのタイミングと丸かぶり。
なおと
正直、ビッグベイトで釣るのはかなり難しい時だったのですが……

10cmほどのカタクチイワシがいる場所を発見し、まずは1本目をキャッチ!
じっくりスローに魅せてから、破綻しないギリギリのスピードに移行した瞬間にガツッときました。

2本目は大雨の河口エリアで。
暖かい日に雨が降ると河口に中型のボラが多く入り、そこにバチが絡むタイミングを狙いました!

そこから1ヶ月ほどラフィンを使い込み、難しいシーズンながらも、あの手この手でなんとか数本をキャッチ。
ハイシーズンではないので一筋縄ではいきませんでしたが、それゆえにラフィンの特性がよくわかりました。
なおと
ここからはラフィンの使用感をお届けします!
操作しやすくて汎用性が高い

今までいろいろなビッグベイトで釣ってきましたが、1個のルアーでカバーできる範囲がかなり広いと感じました。
第一に、ただ巻きでのS字からデジ巻きでのドッグウォーク、デッドスティッキングなど、ビッグベイトに求められるいろいろな動きを演出できます。
ただ動くだけならどんなルアーもできるわけですが、一つ一つの動きのクオリティが高く、なおかつ簡単にそれを演出できるのが素晴らしい!

また、潜行レンジも割と深く入れられるので、少し深いポイントや足場の高い場所、風波が強い時など、シチュエーションを選ばずに使いやすいこともGOOD。
なおと
ビッグベイトの中では、使い手を選ばないルアーです!
ピンポイントを攻めやすい

とくに気に入ったのが、ピンスポットの攻めやすさです。
小さなリップが左右や前方への動きをある程度抑えてくれ、ピンスポットでのテーブルターンが凄くしやすい!
しかもアクションミスが非常に少なく、思った通りに動かせます。
障害物ギリギリや少し深いポイント、ブレイクの上など、「ここ食ってきそう!」というところでしっかり誘えるのは大きな強みですね。
逆に言えば、左右へのスライド幅が少し物足りないわけですが、シーバスは飛ばし過ぎるとミスバイトが増えるのでメリットの方が多いと思います。
なおと
今の時代、投げて巻くだけで釣れる状況は限られるので、小技の精度はとても重要!
ギリギリの速巻きが一番釣れた
意外かもしれませんが、170mmモデルは速巻きが一番よく釣れました。
タイトなS字に、ロールを伴った直線軌道が不規則に混じるこの動き、パニックになっているベイトそっくりです。
恐らく、この不規則な動きはジョイントの自由度に由来すると考えられ、一般的な2箇所でジョイントされるS字系ビッグベイトには見られません。
動きが破綻するかしないかの絶妙な速度で巻くのがキモで、リアクション効果も非常に高いと思います。
なおと
とくにスローからの速巻きが超オススメです!
アップクロスでの動きがめっちゃ良い
驚いたのが、アップクロスでキャストし、後方から流れを受ける状態でもしっかり動くこと!
ジョイントの可動域が広く、折れたボディとテールが後方からの流れを受けるせいか、糸フケを取るぐらいのリトリーブでも艶かしく動いてくれます。
もちろんノーアクションが良いこともあるのですが、アップクロスでこれだけ動くビッグベイトは貴重ですよ!
なおと
アップクロスから流す落鮎パターンや、緩い流れでのデッドドリフトなんかには最高でしょう。
サスペンドカスタムも◎

板オモリを貼ってのサスペンドチューンも凄く良かったです!
表層より少し下のレンジをドリフトさせたり、ジワッと止めたりもできるので、違った展開で釣りを組み立てられます。
また潜行レンジも少し深くなるので、水深が1m以上あるポイントや足場の高いところでも使いやすいです。

ウエイトを貼る位置は、潜らせたい場合はフロントフックの前側、潜行レンジは深くしたくないけどサスペンドにしたい場合はフロントフックの後側が良いですね。
参考までに、水温14℃の淡水では170mmが1.75g前後、250mmが0.7g前後 300mmが6.1gの追加ウエイトでサスペンドになりました。※
※塩分濃度やラインの太さ等によっても変化します。250mmモデルはプロトタイプなので、市販品とは大きく異なる可能性があります。
なおと
フックを1番手大きくするだけでも浮き上がりを抑えられますよ。
いろいろ調整できるのもS字系ビッグベイトの楽しさですね!
シリコンテールが良いぞ

変形しづらいシリコンテールは凄く良いです!
他のルアーと一緒にガサッっと入れても問題ないので、筆者のようなズボラ系アングラーには超オススメ(笑)
なおと
万一曲がったとしても、手で曲げればすぐに直りますよ。
そして、300mmモデルの柔らかいスペアテールが最高なんです!
柔らかさゆえの、テールが遅れて動く“時間差感”がめちゃくちゃ艶かしい。
また、少し速くリトリーブすると、硬いテールはS字の切り返しがちょっと硬い動きになるのですが、柔らかいテールはヌルッとターンしているように見えますね。
なおと
ダウンクロスで不用意にバタつき過ぎないことも良いですね!
そこそこ飛ぶ

ぶっ飛ぶわけではありませんが、170は同クラスのビッグベイトの中ではそこそこ飛ぶ部類だと思います。
PE2号で軽くキャストしても40mは飛ぶので、十分でしょう。
なおと
もちろん、250と300に関しては「飛距離は二の次」って感じです。
とってもとっても安い!

お値段を聞いてビックリ! なんと、170mmモデルの希望本体価格は3,000円!
インフレによってあらゆるモノが値上がりし、2,000円越えのプラグもザラになってきた昨今。
ラフィン、お前はちょっと安すぎやしないか?
なおと
170のシースルーチャートは1ヶ月間投げまくりましたが、浸水や割れなども一切無し。
“実用性”でラフィンの右に出るビッグベイトはあるのか!?
タックルについて

なおと
最後に、モデルごとに適したタックルを紹介します。
170:M〜MHクラスのタックルでも扱える
ビッグベイト専用タックルではなくても、スピニング&ベイトのM or MHクラスのタックルで十分に扱えます。
ラインはPE1.5号、ちょっと太めにするなら2号がオススメです。
250:ビッグベイト専用タックルが必須
250mmになるとビッグベイト専用タックルが必須です。
ラインはPE2.5〜3号、マージンが欲しい人は4号を巻いておけば安心だと思います。
300:ジャイアントベイト専用タックルが必須
300mmサイズは、10oz相当のキャストを前提としたジャイアントベイト専用タックルが必須。
筆者は10ozクラスのロッドとPE4号で使いましたが、バックラッシュした時の高切れのリスクを考えるとPEは5号の方が安心かもしれません。
コスパ最強、万能系ビッグベイトだ!

ラフィンをみっちり使ってわかったのが、めちゃくちゃ作り込まれたルアーだということ。
リップやジョイント、テールなど随所にこだわりが感じられ、操作性・アクションという点でも他のビッグベイトとの差別化が明確でした。
なおかつ超良心的な価格で入手しやすいことを考えれば、「100点」と言っても過言はないと思います!
撮影:ちゃったTV なおと
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がまかつ ラフィン 170
全長(mm) | 170 |
---|---|
自重(g) | 48 |
フックサイズ | 3 |