スティーズCT SV TWのレビュー
コンパクトでタフな“だけ”のスティーズ?
いきなりこう書いてしまうと、ものすごくネガティブな捉え方をされてしまいそうですが、「スティーズSV TWをただコンパクトにしただけ」というのが率直な印象。
スティーズSV TW(現在はスティーズリミテッドSV TW)を愛用している筆者に言わせてもらえば、スイートなウェイトレンジに限り、CTのほうがやや軽量方向に適性が高いといった程度。
基本的にはスティーズSV TWとほぼ同じ用途で、しかもより快適に使用できます。
そのうえで特筆すべき点は、小型化することで犠牲となる部分を最小限に抑えつつ、得られるメリットを最大限に生かしたリールであるということです。本当にこれに尽きる!
小径スプールで得られる十分なキャスタビリティ
筆者自身もこれまで散々伝えてきたことですが、一般的に、ベイトリールで気持ちよく扱えるウェイトレンジは、そのリールのスプールの径に依存しています。
ベイトリールを検討するうえで重要な項目となる“飛距離”についてはもっともわかりやすく、想定されるルアーウェイトに対してピッタリの径を基準として、それより大きくなっても小さくなってもパフォーマンスが落ちてしまいます。
ただし、過去にアルデバランMGLの記事でも書いた通り、近年のベイトリールはスプール径以外の要件……たとえば回転性能の向上やブレーキの制動性能の向上などによって、小は大を兼ねるということになりつつあります。
スティーズCT SV TWも、おそらくそこに自信があったのでしょう。「あ~やっぱり小径スプールじゃ飛ばねーわ」とは言わせません。
大きく重いスプールを軽量リグの推進力だけで回しきることは、じつはとても難儀なこと。小さく軽いスプールであれば、重いリグであっても快適に扱えるということです。
従来であれば、小さく軽いスプールは立ち上がりが良すぎるため、重いリグの初期速度を十分に制動しきれず、扱いやすいとは言えませんでした。
3/8 oz.前後でバツグンの使い心地
ボートからのバンク撃ちにはまったく不足を感じない、十分な飛距離を確保
少し具体的に言うと、普段スティーズLTD SV TWで扱うのは3/8 oz.~1/2 oz.を中心としたその前後のルアーウェイトです。
これはCTでなんら問題ないどころか、3/8 oz.前後はむしろど真ん中。いちばん得意と言っていいウェイトレンジです。
むしろデフォルトの状態では快適に扱える下限は思った以上に高く、総重量1/4 oz.〜がんばって3/16 oz.程度までを扱うことができます。
頼りなさを感じさせないボディ。フィネスリールとは一線を画す剛性感
軽量かつ高い剛性を発揮する、高精度マシンカット エアメタルハウジングボディ(撮影:TSURI HACK編集部)
通常、フィネスの領域にまで足を踏み入れたベイトリールには、極限の軽さが求められます。
そもそもベイトリールで扱うには軽すぎると言ってもいい次元のリグをキャストし、操作し、そしてリグの挙動や存在感をより確かに感じるため、タックルの総合的な軽さが何よりも重要だからです。
ところが、小型ベイトリール=フィネスという風潮が広まることで、「小さいのにカッチリしている」といういぶし銀なリールがまったくないのも困りもの。はっきり言って、オモチャのような質感のリールでは集中できない釣りも中にはあるでしょう。
軽量化を進めるということは、剛性感や重厚感、それによってもたらされる安定感を犠牲にするとも言えます。
バス釣りに最も必要なのはテクニックではなく、切れない集中力
スティーズCT SV TWは、メインフレームにマグネシウム、そしてセットプレートにはアルミニウムを採用した剛性の高いカッチリボディ。
コンパクトなだけあって、パーミングしただけで“ギュッと圧縮されたような”剛性を感じとることができます。
しかも上述のとおり、決してフィネス向けのベイトリールではなく、3/8 oz.前後のウェイトレンジを広くカバーする新基準のバーサタイルリール。
ならば当然スピナーベイトやクランクベイト、果てはテキサスやパンチショットのヘビーカバー撃ちにもOK。ミドルクラスの釣りに、全集中の呼吸で真っ向勝負できるスーパーベイトリールと言っていいでしょう。