アイキャッチ画像撮影:山下洋太
和竿とは

和竿とは、布袋竹や丸節竹、真竹、淡竹、寒竹などの竹を材料として使用して作られた竿のこと。
漆や絹糸などを組み合わせて仕上げられた和竿は、その美しさから日本の伝統工芸品として海外のアングラーにも注目されています。
職人が1本ずつ手作業で仕上げるため、制作期間は2ヶ月以上。
丁寧な工程の積み重ねが、趣ある風合いを生み出しているのです。
山下
筆者は中学生のころから和竿には憧れを抱き、今では7本を所有しております。
和竿の特徴

1本ごとに見た目や調子が異なる点が、量産竿とは大きく違う特徴です。
筆者はこの点に惹かれて和竿を集め始めました。
また、カーボンやグラス、チタンに加え、クジラのヒゲを使用した「クジラ穂先」と呼ばれる穂先があるのも、和竿ならではの特徴です。
クジラ穂先には、イワシクジラ、セミクジラなどの種類があります。

こちらが、イワシクジラのヒゲを用いた穂先の材料です。
板状の素材を貼り合わせて削り出すことで、穂先が作られます。
また、クジラ穂先の中でもセミクジラ穂先は最高級で、20万円を超える高価なものもあります。
どんな釣りができるか

和竿は海のエサ釣りから、淡水で疑似餌を使った釣りまで幅広いシーンで使用されています。
とくに人気が高いのが、ハゼ、シロギス、カワハギなどの海の小物釣り。
また、近年ではエリアトラウト、タイラバなどのルアー向けの和竿も目にするようになりました。
筆者はシロギスやカワハギ、ヘチ釣りを和竿で楽しんでいます。
和竿を使って実際に釣りをしてみよう

この日は和竿を使用し、乗合船でシロギス釣りを楽しむことにしました。
穂先にはカーボンを使用し、現代の竿に劣らず高感度で、シロギスのアタリをしっかりと捉えられます。
まずは準備から。

リールシートは、昔ながらのプレート式のもの。

使い方はロックを解除し、

リールフットが入ったらロックするだけ。
「最近のリールでも取り付けられるの?」と聞かれることがありますが、現代のリールでも問題なく固定できますのでご安心ください。
山下
ちなみにこの日は20ヴァンフォードを使用しました。

ラインを通す際に気になるのが、このガイドリングです。
当日持ち込んだ和竿についているのはホワイトリングのガイド。
PEラインを使用するとSiCリングよりも削れやすいとの声を聞きますが、今のところ、それが原因のトラブルは発生していません。
山下
ただし、使用頻度が高い人や気になる人は、硬度が高くて削れにくいSiCリングを搭載した和竿を選ぶのもいいでしょう。

仕掛けを準備し、釣りをスタートします。
山下
ちなみにこの仕掛け、横浜界隈のシロギスフリークに使われている振り分け仕掛けと呼ばれるものです。
いつかこの仕掛けについても詳しく紹介させてください!

釣りを開始して早々にヒット。

そして上がってきたのはシロギス。
魚が掛かると手元にグングンと魚の引きが伝わってきて、釣り味の良さは抜群ですね。

見てわかるのが、穂先が曲がっていても、手元はほとんど曲がっていないこと。
そのメリハリで、シロギスのわずかなアタリでも手元にしっかりと伝えます。

バシバシと釣り続け、終わってみたら半日船でこの釣果。
和竿を使用すると、趣を味わいつつシロギス釣りを楽しめますよ!
使えばわかる。和竿に惚れた3つのワケ
釣り味の良さは最大の魅力

最大の魅力は、やっぱり釣り味の良さですね。
ヒットした魚の動きに竿がしなやかに追従し、暴れを抑えてくれる感覚があります。

カワハギを例に挙げると、ヒットしたときの感覚を擬音にするとカーボンは「ゴンゴン」や「ゴツゴツ」、グラスは「グングン」。
一方、和竿は「グワングワン」といった感じで、竿が叩きすぎるのを防ぎ、すんなりと魚が上がってきます。
この感覚が和竿特有の気持ちよさにつながっていると感じています。

強度が低下しやすい脇芽部分には、ガイドの向きを90度変えて取り付けるなど、工夫も見られます。
魚の引きに対して上へ上へと復元するように縦に働くようになり、魚が弱るのを早めて、ファイト時間を短縮するのに貢献している印象です。
魚の取り込みがスムーズになり、シロギスやカワハギのような数を狙う釣りでは効率が上がります。
見た目の良さにも大満足

筆者が和竿を買おうと思ったきっかけは、その見た目の美しさ。
とくに筆者が気に入っているのが、朱赤に塗ってある和竿です。
職人によっては会津塗りや津軽塗りなど、塗り方にかなりこだわっている場合も少なくありません。
ちなみに今狙っているのは、青さ塗りと呼ばれる緑っぽく塗装された見た目が渋い和竿です。
竿としての性能も十分

「重い」「感度が悪い」といった声もありますが、和竿だからといって性能が劣ると感じたことはありません。
和竿の作りとして、穂先は柔らかくても手元が硬く、そのメリハリから手感度はしっかりとあります。
例えば、カワハギがエサを食ってきて「手元にカチカチ」と伝わってくる感覚も捉えられます。
とくにクジラ穂先になるとこのもたれたようなアタリがさらに鮮明になる印象です。
山下
筆者も正直感度には期待していなかったですが、使いこなせるようになると実釣に十分な感度があるという結論に至りました。
和竿の購入方法

釣具屋で販売している場合もありますが、選択肢が少ないことが多いため、竿師から直接購入するのが一般的です。
釣りの目的や長さ、硬さなどの希望を伝えれば、それに合った竿を提案してくれます。
一部の和竿はECサイトで購入できる場合も。ふるさと納税を利用してお得に入手できるものもあるので、ぜひチェックしてみてください。
ECサイトで購入できる和竿を2本ピックアップ
旭信 海竿オーダーメイド券(寄付額10万円コース)
埼玉県桶川市に拠点を置き、とくにヘチの和竿ではその名を馳せている人気メーカーの旭信。
その旭信のオーダーメイド券がふるさと納税で手に入ります。
タイラバ竿、キス竿、マゴチ竿、チヌイカダ竿、フグ竿、カワハギ竿、ハゼ竿、メバル竿などが選べるようなので、気になる人は要チェックです。
【ふるさと納税】228-E涸沼竿(ひぬまざお)
茨城県茨城町にある涸沼で使える竿を目指して作られた涸沼竿。
岸釣りから船釣りまで幅広い釣りに対応する竿がふるさと納税で手に入るとのこと。
全体的にしなやかに曲がる特徴があり、ワカサギのような小さな魚から5kgを超える大型魚まで1本で対応できるようです。
趣を楽しみたい人におすすめしたい、和竿という選択肢

伝統工芸品・和竿を使用すれば、1匹1匹とのやりとりをさらに楽しいものにしてくれること間違いなし。
和竿を使ったことがない人も、新しい素材の竿として取り入れてみるのもおすすめです。
耐久性が高く、長く使用できるところも和竿の魅力。長期間愛用できる相棒を探している人は、選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
関連記事
\昔ながらの趣を楽しむ「釣り」特集/