アイキャッチ画像撮影:山下洋太
昔欲しかったあの釣具も“中古”なら手に入るかも?

あのとき、雑誌や釣具屋のショーケースで見かけて心を奪われたロッドやリール。
「高くて手が出なかった」「親にねだっても買ってもらえなかった」、そんな憧れの釣具は誰しも一つはあったはずです。
今あらためて探してみると、10年以上前の名機でも、ネットオークションや中古釣具店を覗けば、意外と状態のいいものが見つかることもあります。
山下
年齢や経済状況が変わった今だからこそ、かつての憧れを“自分の手で掘り出す”という楽しみ方ができる。
それが、筆者が今ハマっている「ディグる」というスタイルです。
ディグるとは?

ディグるとは、掘る(dig)という英語に由来するスラングです。
古着や音楽の世界では「価値のあるものを探し出す」という意味で使われ、ビンテージアイテムを熱心に掘り出すことを指します。
学生のころから古着屋巡りをしていた筆者は、この「ディグる」という感覚が好きでした。
そして、最近ではそれを釣具に当てはめて楽しむようになっています。
山下
「昔の自分が欲しかった釣具を、今の自分が手に入れる」
そう考えると、ただの買い物じゃない。過去と今をつなぐ、ちょっとしたロマンなんです。
どこでディグる?

筆者がディグるときに使うのが、ネットと実店舗の2つです。
ネットは情報量が多く、探していたアイテムに高確率で出会えます。
「これはもう見つからないだろう」と思ったロッドやリールが、ネットだとあっさりと見つかったことがあります。
一方、実店舗では実際に手に取って細かな傷や状態を確認でき、まれに店舗限定のセール品に遭遇することも。
山下
釣りの帰りにたまたま立ち寄った中古釣具店で、状態が良い名機がセールになっていたことがあり、その場で即買いしてしまいました。
筆者がディグったアイテム
ダイワ ハートランドZ

筆者が「ディグる楽しさ」にハマったきっかけとなったのがダイワのハートランドZシリーズです。
当時は中学生。某釣り番組で村上晴彦氏が使っているのをただただ憧れの目で見ていた記憶があります。
その中でも、とくに欲しいと思っていたのがともに初代の冴掛と震斬。
しかし、記憶が正しければどちらも当時は5万円超で、中学生にはとてもじゃないけど手が出ませんでした。

そんな憧れの2本ですが、欲しいと思ってからディグること半年ほど。
ようやく状態が良い中古品に出会い、しかもどちらも1万円台。
あのとき買えなかった2本を手に入れた瞬間は、なんとも言えない満足感がありました。
フェンウィック テクナGP

大学生時代にバス釣りにハマり、欲しいと思っていたのがフェンウィックのテクナGPシリーズ。
当時はロッドの素材についてこだわり始めたころで、カーボンやグラス、ボロンといった素材はもちろん知っていましたが、「アラミドとは?」と気になって仕方ありませんでした。
当時釣具屋で触ったことはあったものの、少し触るだけでは違いがよくわからず……。
実際に使ってみたいと思って値札を見たら、6万円超と大学生のお財布事情にはかなり厳しい金額でした。

10年越しにディグったのは62SLJと611CMLP+Jの2本。
バスからチニングで使用し、アラミドがもたらす独特な粘りと芯の強さには驚かされ、「やっぱりいつか使いたかったロッドだったな」と素直に思えました。
ダイワ 07ルビアス

筆者が中学生のとき、釣り仲間が使っていていつかは欲しいと思っていたのがダイワの07ルビアスです。
トラウトやライトゲームなどで今までに愛用者が多く、今もなお名機として語り継がれています。
当時仲間から借りて使ったときのあの特有なスカスカとした激軽な巻き心地。
それをまた味わいたいなと思い、状態の良いものを探していました。

探しに探してようやく出会ったのが、2500番と2506番の2台。
ともに巻き心地が当時とは大きく劣化しておらず、スカスカとした特有の巻き心地は健在でした。
また、今のリールではなかなかない白を基調としたカラーリングも筆者的には気に入っています。
山下
手にした瞬間、毎日一緒に釣りをした仲間の顔や、当時の釣り場の風景が一気に蘇りました。
ディグるときのポイント
状態は細かく確認する

中古で釣具を探すうえで、もっとも大事なのが「状態のチェック」です。
せっかく購入しても使えない状態であっては意味がありません。

ロッドであれば、ブランクのスレやガイド周りのクラック、グリップのテカリ具合はしっかり見ておきたいポイント。
折れて修復された跡がないか、元々のガイドの数とあっているかどうかまでしっかりと確認しておくことが重要です。

また、リールであれば、ボディの傷よりも、巻き感や異音の有無のほうが重要だと思っています。
ハンドルを回したり、ベールやクラッチを操作してみたりして異常がないかしっかりと確認しましょう。
山下
通販サイトやフリマアプリで購入する場合には、しっかりと画像や説明文を確認し、わからない点があれば質問してみるのがいいでしょう。
相場は複数の通販サイトで確認する

釣具をディグるときに欠かせないのが相場のチェックです。
同じアイテムでも通販サイトや状態によって、価格が大きく変わることも少なくありません。
また、フリマアプリやオークションサイトでは、設定価格が高すぎることもあれば、逆に「これ本当にこの値段でいいの?」という掘り出し物があることも。
だからこそ、1つのサイトだけで即決せず、複数の通販サイトやフリマアプリを見比べるようにしています。
山下
過去の落札価格や、売れていない商品の価格帯も見ておくと「この価格なら買い」と判断しやすくなります。
メンテナンスは自分で行う

中古で手に入れた釣具には、多少なりとも使用感があるのが普通です。
なるべくメンテナンスなしでも使える状態のものを選ぶようにしていますが、ときには使い始める前に軽く手を入れることもあります。
リールであれば、外装の拭き取りや簡単な注油。
ロッドなら全体の汚れを落としたり、ガイドリングに傷がないかチェックする程度。
メンテナンスはやや面倒ではありますが、ひと手間かけるだけで安心感が増すし、道具に対する愛着も深まります。
山下
“いい状態を長く保つ”ことも、ディグる楽しさの一部なんじゃないかと感じています。
いざ、中古釣具の世界へ

昔の自分が欲しくてたまらなかった釣具を、今改めて手にする。
それは、ただの買い物ではなく、思い出と再会するような特別な体験だと思います。
ネットや店舗をじっくり探せば、意外と状態の良い名機と巡り会えることもあります。
欲しかったアイテムがある人は、まずは軽い気持ちで“ディグる”ことから始めてみてはいかがでしょうか。