サーフトローリング(弓角)をご存知ですか?

サーフトローリングとは、『弓角(ゆみづの)』と呼ばれる軽くて小さな疑似餌をオモリの力で遠くへ飛ばし、海面付近の回遊魚を狙う釣り方です。
もともとひき縄釣りで使われていた弓角は、動物の角を弓のように削って作られた漁具でしたが、現在はプラスチック製が主流。
サーフ(砂浜)からの釣りでも広く使われています。

この弓角は、リールを巻くことでクルクルと高速回転し、独特な光や動きで魚を誘います。
青物との相性がよく、非常に高い反応が得られるのが特徴です。
弓角を遠くまで運ぶためのオモリとしては、ジェット天秤や遠投マウスなどの専用アイテムが一般的。
使い方はシンプルで、遠くに投げて巻くだけ。
山根
驚くほど簡単に青物が釣れてしまう、魔法のような釣法なんです。
ヤマリア サーフ弓角2
サイズ | 45mm |
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入数 | 2個 |
ミッション:新手のセット仕掛けで釣れ!

今回、サーフトローリング用のセット仕掛けとして届いた製品に、正直ちょっと驚きました。
なんと、中身には堤防釣りでおなじみの“立つ天秤スマッシュとそっくりの天秤”が入っていたんです。
このセットは、TSURI HACK TVの動画ネタとしてイシカワさんから送られてきたもの。
最初に見たときの正直な感想は、「これ、サーフトローリングで使うのはさすがに無理あるんじゃ……?」というものでした。
ハヤブサ 弓角ゲームセット
オモリ号数 | 10号、15号、20号 |
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カラー | 蛍光イエロー |
ハリス | 5号 |
立つ天秤とは

立つ天秤とは、その名のとおり、海底でアームを立てた姿勢を保つ独特な構造の投げ釣り用アイテムです。
エサを付けたハリスを海底付近でふわふわと漂わせることができるため、ちょい投げや堤防釣りで人気の高い仕掛けとして知られています。
ただ、これをサーフトローリングで使うという話は、これまで聞いたことがありませんでした。
正直、ちょっと心配もありました

ぶっちゃけ、立つ天秤ってジェット天秤に比べると飛距離が出ないんですよね……。
しかも、糸絡みが起きやすいサーフトローリングにおいて、アームの短い立つ天秤はトラブルの元になりそうだなとも感じていました。
実際、釣果が出なければロケとして成立しないわけで——。
山根
念のため、使い慣れたジェット天秤も持参することにしました。
弓角ゲームセットを試してきた

やってきたのは静岡県の沼津サーフ。言わずと知れた青物狙いの人気スポットです。
飛距離は、PE1号の磯ヒラタックルに立つ天秤15号という組み合わせで、おおむね70m前後をキープしています。
表層も引きやすい

海底での使用が前提と思われていた立つ天秤ですが、じつはただ巻きとの相性も良好。
その独特な形状のおかげで、表層を波立たせながらしっかりと引いてくることができました。
サーフトローリングでは、仕掛けがしっかり浮き上がることが大切ですが、立つ天秤はその点でも十分な性能を発揮。
そして心配していた糸絡みも、想像以上に少なかったです。
山根
※ちなみに「少ない」とは言っても、この釣りは“必ず絡む釣り”なので、あくまで許容範囲内という意味です。
ソーダガツオがヒット

「これはアリかも…?」と思い始めていた矢先、突然グンッ! と竿に重みが。
ブルブルッとした鋭い引きに手元が震えます。
上がってきたのは、良型のマルソウダ!
立つ天秤でもしっかり釣れることが実証できて、思わず「やった!」と声が出ました。
立つ天秤の“揺らぎ”が効いている?

2匹目のマルソウダを立て続けに釣り上げたあたりから、あることに気づきました。
ただ巻きしているだけなのに、立つ天秤が左右に揺らぐような動きを見せる瞬間があるんです。
つまり、立つ天秤自体に集魚効果があるだけでなく、弓角に不規則な動きを加えることで“食わせのトリガー”としても機能している可能性があると感じました。
ジャンルは違いますが、例えるなら、レイクトローリングで使われる「ドジャー」のような存在感に近い気がします。
ミノーでもヒット

立つ天秤と弓角の組み合わせで十分釣れることがわかったので、以前から気になっていた「弓角じゃなくても釣れるんじゃね?」という疑問を試してみることに。
結果はあっさり出ました。渓流で使っているミノーと立つ天秤の組み合わせでも、ソーダガツオを釣ることができました。
もちろん弓角には「安い」というメリットもありますが、針と角が一体になっているぶん、バレやすいのが難点。
山根
やっぱり、トレブルフックとスプリットリングって偉大ですね……。
ジェット天秤と立つ天秤の比較

立つ天秤の威力をサーフトローリングでも実感できたわけですが……やっぱり気になるのは飛距離。
なんとなく飛んでいるようで、じつはそこまで飛んでいないのでは? という疑念が拭えません。
そこで今回は、手持ちのジェット天秤を使って飛距離の比較検証をしてみました。
飛距離はジェット天秤に軍配!

条件は「同じタックル・無風・15号」で比較。
結果、立つ天秤が約70mに対し、ジェット天秤は約90mと、およそ15~20mの差が出ました。
この差は、ナブラが沖に出たときなど、魚が遠い位置にいる状況でこそジェット天秤の強みが光ります。
富士工業 ジェット天秤
号数 | 15号 |
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入数 | 2個 |
引き感はジェット天秤の方が軽い

サーフトローリングでは、リールを巻き続ける釣りの特性上、引き抵抗が軽いほど体への負担も少なく、快適に続けられます。
その点、ジェット天秤は立つ天秤に比べて引き感が軽く、よりスムーズに巻ける印象でした。
でも、“揺らぎ”が効いている気がする

いろいろ使い比べてみると、ジェット天秤の方が扱いやすくて、釣れそうな感触もあるんですが……。
それでもやっぱり、立つ天秤ならではの“揺らぎ”が効いてるんじゃないか、という気がしています。
山根
僕なら、サーフへ行くときは両方持って行って状況に応じて使い分ける、というスタイルがベストかなと感じました。
サーフトローリングで絡まない&ばらさないコツ

どちらの天秤を使うにしても、サーフトローリングはトラブルが多い釣りでもあります。
とくに、絡みやすさ・バラしやすさに悩まされる方も少なくありません。
ここでは、これからサーフトローリングに挑戦する方に向けて、釣果アップとトラブル回避のために押さえておきたいコツをまとめてみました!
ハリスの太さ

弓角とハリスの接続は、結びつけるのではなく、ハリスに八の字結びでコブを作って留めます。
そのため、弓角の穴に合った太さのハリス(一般的には5号前後)を選ぶ必要があります。
太すぎると穴に通らず、細すぎるとコブがすっぽ抜けるおそれがあるため、購入の際はパッケージに記載された適合ハリス号数を必ず確認しましょう。
ハリスは1.5m前後、必ずフェザーリングを

サーフトローリングは構造上、糸絡みが非常に発生しやすい釣法です。トラブルの多さから、挑戦を諦めてしまう方も少なくありません。
絡みを軽減するための基本は、ハリスを1.5m前後にすること。短すぎると天秤と弓角の距離が足りず、絡みの頻度が増してしまいます。
さらにもうひとつ重要なのが、着水直前にラインを指で軽く抑える「フェザーリング」。
これにより、天秤が手前に、弓角が沖側に落ちるようになり、仕掛けがきれいに展開します。
また、深場を狙う際のフォールでは、テンションをかけながら落とすことで糸絡みをさらに抑えることができます。
掛かったら巻き続ける

弓角はアタリは多いものの、非常にバレやすいという弱点があります。
とくに慣れるまでは、せっかく掛けた魚を逃してしまうことも少なくありません。
ヒット後は、魚の頭をこちらに向けたまま、一定の速度で巻き続けるのが鉄則。
主導権を与えなければ、バラシを大幅に防げます。
ドラグを出したり、ポンピングしたりすると、テンションが抜けて一瞬でバレることも。
ハリスの強度を信じて、力強く・素早く・リズムよく、ひたすらゴリ巻き。
この一連の動作が、釣果に直結します。
まさかの表層でも大活躍!

今回あらためて感じたのは、「立つ天秤=底用」という先入観が崩れたということ。
まさか海面でも、これほど優秀だとは思いませんでした。
おそらくカギになっているのは、“常に”ではなく“時々”揺らぐという、あの不規則な動き。
魚にとっても予測しづらい揺らぎが、思わず口を使わせるトリガーになっているのかもしれません。
この夏から秋にかけて、ぜひサーフトローリングで青物との出会いを楽しんでみてください。
山根
天秤ひとつで、釣りの景色が変わるかもしれません。
ハヤブサ 弓角ゲームセット
オモリ号数 | 10号、15号、20号 |
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カラー | 蛍光イエロー |
ハリス | 5号 |