パックロッドが欲しい

旅先や山道、ちょっとした遠征釣行のとき、「もっとコンパクトにロッドを持ち運べたらな」と感じたことがある人も多いのではないでしょうか。
とはいえ、市販のパックロッドは高価だったり、「これだ!」という一本になかなか出会えなかったりします。
それなら、手元にある2ピースロッドを自分でパックロッド化してみよう――そんな発想から始まった今回のDIYです。
KOBAYASHI
そしてやってみたら意外と簡単でした。
ベースにしたロッド

今回パックロッド化のベースに選んだのは、10年以上前に購入したグローブライドの「スポーツライン」というシリーズのロッドです。
ご存じの方もいるかもしれませんが、現ダイワは2009年頃に「ダイワ精工」から「グローブライド」へと社名を変更しており、このロッドはまさにその当時に手に入れたもの(懐かしい!)。
7ftクラスのMLロッド(2ピース)で、当時はカサゴやチヌを山ほど釣ってきた相棒でしたが、今ではすっかり出番がなくなっていました。
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そこで今回のテスト用としてちょうどいいんじゃないかと思い、引っ張り出してみた次第です。

本当は鱒レンジャーをパックロッド化してみたかったのですが、このロッドはグラス素材のため、ブランクスが中空ではありません。
そのため継ぎ目の加工が難しそうだったので、今回はひとまず中空ブランクスのロッドを選ぶことにしました。
設計構想、何分割にするか?

とにかく初めての作業なので、正直まだ勝手がよくわかっていません(汗)。
というわけで今回は、作業しながら正解を探っていく“試行錯誤スタイル”で進めてみることにしました。失敗も含めて、何かしら参考になれば嬉しいです。
目指すのは4ピース化。
バックパックに収まるようにするには、1本当たり50cm前後が理想ですが、元が7フィート超えのロッドということもあり、少しオーバーして60cm程度にはなりそうです。
分割位置はガイドの位置なども考慮しながら、慎重に決めていきます。
用意した道具

- 細かい歯のクラフト用ノコギリ
- ノギス
- ペン
- メジャー
- 養生テープ
- エポキシ接着剤
- サンドペーパー
- カーボンロービング
ブランクスをカットしていく

先ずはロッドをカットする際、ささくれなどが出ないように養生テープで保護します。

ノコギリで慎重にカット。
ドキドキの瞬間でしたが、新品の歯だったためか? 意外とあっさり切れました。

切り口もキレイにカットできており、想像以上にいい感じです。
ロッドを切る場合は通常のノコギリではなく、クラフト用ノコギリをチョイスするのが間違いなさそうですね。
オルファ クラフトのこ 125B

先端側も同じようにカットし、無事に4ピース化に成功。
あとはこれを繋げられるようにするだけです。
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あれ?パックロッド化って思ってたよりも簡単かも……
逆並継ぎの準備

次に小型ノギスでロッドの内経を測ります。バット側はおおよそ7mm。
ですのでこの太さの継ぎ用カーボンを用意すれば良いということになります。
プラスチックノギス ポッケ 70mm シンワ測定
ちなみにこのロッドは「逆並(ぎゃくなみ)継ぎ」なので、継ぎ足しはバット側に向かって行う形式になります。

トップ側は約3mm。ということで、7mm以上と3mm以上の継ぎ用カーボンをそれぞれ用意する必要があります。
アマゾンで探していると良さそうなカーボンがあったのでそれを購入。
太さや長さなどがかなり豊富に揃っているので、吟味して選びます。
uxcell カーボン 7mm

結果、購入したものはこんな感じのカーボンたちでした。
1mm〜3.5mmまで数本パックされた細いカーボンと、7mmのカーボン。
長さはともに10cmです。

……しかし、バット側に使用する7mmのカーボンは、10cmではやや短いことが判明しました。
そこで今回は、中央に穴を開けて細めのカーボン芯を差し込み、全長を約20cmに延長する加工を行いました。
この接着作業は少し特殊な工程になるため詳細は割愛しますが、皆さんが実施される際は、ロッドの太さに応じてあらかじめ20cm程度の長さのカーボンパイプを用意しておくことをおすすめします。
逆並継ぎでカーボンを接着

ロッドとカーボンを接着するためのエポキシも必要になってきます。
こちらはダイソーで購入しました。

エポキシをカーボンに塗ります。

エポキシを塗ったカーボンをロッドに差し込んでいきます。

余分なエポキシはティッシュ等で拭き取っておき、硬化するまで待ちます。数時間もすればある程度固くなり、一日もすればほぼ固まります。

完全に固まったらロッドがスムーズに差し込めるようヤスリがけをして微調整をします。

これでほぼ完成!
数日間にわたって完成させましたが、作業時間はほんの一時間ぐらい。
思っていたよりも、ずっと手軽にできました。
この状態で既に使える状態なのですが、完成度を高めるためにもう少しだけ加工を施していきます。
カーボンロービングを巻いて仕上げ

切断した部分のロッドが割れないようにカーボンロービングを巻いてエポキシで固めていきます。

カーボンロービングとはこんなもの。カーボン繊維を束ねた太い糸状の素材です。

こんな感じにぐるりと数周巻いてから、養生テープで固定します。

そこにエポキシで塗っていきますが、なんだか毛羽立ってしまいます……

成形しつつ、2回重ね塗りしてみるとキレイに固まりました。これを割けそうな部分すべてに補強したらパックロッド完成です。
実釣テストでの使用感

さて、あとはこのロッドが折れずにきちんとどれだけ使えるか?
またパックロッド化したのは良いが実際に使えるのか?実釣テストです。

軽くロッドを曲げてみた感じはまったく問題なし。むしろ思っていたよりもいい感じに曲がっています。

と、テストがてらフリーリグでボトムをズリズリとしていると数投でオオモンハタをゲット。
うん、自作パックロッドでも全然問題ないですね。
むしろ自作した分、釣りがいつもより楽しい!

その後は20cm程度のカサゴが釣れまくり、最大25cmアップのカサゴも。
ボトムに潜られるポイントなのでドラグガチガチでボトムから引き離す釣りをしていましたが、良い感じに曲がってくれ、パックロッド化したことでの弊害を感じることは全然ありませんでした。
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思っていた以上に良い感じに仕上がりちょっと驚きです。
自作パックロッド化はアリ!

正直失敗するかも……ぐらいの感覚で挑んでみた自作パックロッド化でしたが、やってみたら意外なほど簡単で、驚くほどシンプルなDIYでした。
パーツなどは合計1,500円もあれば十分ですので、興味のある方は道具やパーツを買い揃え、自作パックロッドに挑戦してみてはいかがでしょうか?
KOBAYASHI
僕は調子にのって、ヒラスズキロッドとアジングロッドをパックロッド化してみようと思います!
編集部コメント
※本記事でご紹介したパックロッド化は、あくまで筆者個人によるDIYの一例です。
ロッドを分割することで、強度やしなやかさが多少なりとも損なわれる可能性があり、使用状況によっては破損のリスクもあります。実施の際は、自己責任のうえで慎重に行ってくださいね。
編集部
とはいえ、使わなくなったロッドが新たな相棒として蘇るチャンスでもあります。気になる方は、無理のない範囲でぜひ挑戦してみてください。