アングラー永遠の課題“根掛かり”

水中の障害物にルアーや仕掛けが引っかかる現象を「根掛かり」と呼ぶのは、釣り人にはおなじみの事実です。
楽しみにしていた釣りが根掛かり続きでは、気分も財布も痛むもの。しかし、「根掛かりが多い場所=釣れない場所」ではないんです。

引っかかるということは、そこに障害物があり、それを住処とする魚がいる可能性が高い証拠です。
根掛かりを上手に回避しつつ、その周辺で釣りをすれば良い釣果が期待できます。
また、根掛かりは釣り人の操作や仕掛け、ルアー選びによって減らすことができると僕は思っています。
山根
適切な準備と工夫で、根掛かりを減らし、釣りの楽しさを存分に味わいましょう。
着底の瞬間に全集中
着底を正しく把握しよう

根掛かりは海底や川底で起こりやすいため、仕掛けやルアーが着底する際の糸がふわっと緩む感覚を正確に捉えることが重要です。
着底を把握できれば水深のイメージが掴みやすく、底質の確認にも役立ちます。
着底が分かりにくい場合は、リールのスプールを軽く押さえながらテンションをかけて仕掛けを落とす方法を試してください。
それでも難しい場合は、ルアーやオモリの重さを増やしてみましょう。
着底を予測しながら釣りをしよう

何度かキャストを繰り返せば、そのエリアのおおよその水深が把握できます。
例えば、「1、2…おっ、5秒で着底!」とカウントする方法も有効です。
着底を予測できれば、素早く糸のたるみを取ったり、着底直前で仕掛けを止める操作が可能になります。
ゴツッゴツッという感覚はアタリではない

初心者が堤防際の穴釣りや船釣りで陥りやすいのが、オモリが障害物の間に落ちる感覚を魚のアタリと勘違いすることです。
ゴツゴツッという感触がそれっぽく感じられるため、穂先を送り込んでアワセてしまうと、根掛かりしてしまいます。
釣り場の環境を正しく把握する
底質を感じられるようになろう

ちょい投げ釣りやルアー釣りなど広範囲に探る釣法の場合、周囲の底質が柔らかいのか、硬いのか、ゴツゴツしているのか、把握しながら釣りをしてみましょう。
感度の良いPEラインを使うことで、底質の変化が分かりやすくなりますよ。
根掛かりする場所としない場所を区別する

底質を正確に把握できるようになると、根掛かりを防ぐだけでなく、狙うべきポイントが明確になり釣果向上につながります。
魚種によりますが、基本的に水深や底質の変化がある場所は好ポイントとなりやすいです。
透明度の高い釣り場では、偏光グラスを用い海底の様子を目視で確認します。
しっかりと見えない場合でも、海の色が濃い場所は障害物があると考え、積極的に狙ってみましょう。
把握した後は正確に攻めよう

また、魚が釣れそうなポイントを狙うには、正確なキャスト技術が不可欠。
狙ったポイントに正確に打ち込めるようになると、自ずと根掛かりも減っていきます。
根掛かりしても焦らない
引っ張る前に竿先を5cmほど下げる

根掛かりした際は、引っ張る前に竿先を5cmほど下げてみましょう。オモリの重さを利用して針を下方向に引き外すイメージです。
針先がコンクリートや石に軽く掛かっている場合、この動作を数回繰り返せば外れることがあります。
オモリの重さや形状に気を遣おう
オモリは軽い方が根掛かりにくい

先ほど、着底が感じられない場合はオモリは重くしましょうとお伝えしましたが、じつはオモリは軽い方が根掛かりが減ります。
つまり、自分にとって『着底が感じられるギリギリの軽さ』のオモリを使うことが根掛かりを減らすという観点では重要です。
重たいオモリが必要な状況

一方で、流れが強い釣り場では、仕掛けが流されることで根掛かりが増えることがあります。
その場合、オモリを重くして流されにくい状態に調整しましょう。
オモリの形状にも注目

右から六角(小田原)オモリ、スパイク付き、お多福型
流されにくくするには、オモリの重さだけでなく形状を変えることも有効です
投げ釣り用には、小判型やお多福型、スパイク付きなど、流れに強い形状のオモリが販売されています。これらを活用して仕掛けの安定性を高めましょう。
タングステンシンカーを使ってみる

ロックフィッシュやバスフィッシングでワームを使用する際、高価ですがタングステンシンカーを試してみるのもおすすめです。
タングステンは鉛より比重が高く、体積が小さいため水の抵抗が少なくなります。その結果、小型で軽量なシンカーでもボトムを把握しやすくなり、根掛かりのリスクを軽減できます。
仕掛けの特性を知ろう
ちょい投げ仕掛けは根掛かりやすい

海底が岩場や障害物の多い釣り場では、キスやカレイ用のちょい投げ仕掛けを使用すると根掛かりが頻発することがあります。
ジェット天秤を使用した投げ釣り仕掛けは、堤防の基礎付近ではなく、遠く離れた砂地に投げ込むことでその効果を発揮する仕掛けであることを覚えておきましょう。
このように、釣り場の状況に合わせて仕掛けを選ぶことで、根掛かりを減らすことが可能です。
胴突き仕掛けとブラクリ仕掛けの差

堤防際や基礎付近の魚を狙うなら、オモリが仕掛けの最下部にある胴突き仕掛けが適しています。
一方、テトラの穴釣りでは、オモリと針が近いブラクリ仕掛けが障害物の奥まで送り込むのに適しています。
胴突き仕掛けは対象魚の幅が広く、ブラクリ仕掛けは根掛かりを避けやすい点が特徴です。
捨てオモリ式仕掛けについて

根掛かりが多い場所で仕掛けを置いて待つ釣りでは、捨てオモリ式の仕掛けを活用すると良いでしょう。
オモリを結ぶ糸を道糸やハリスより細くすることで、魚が掛かった際にオモリだけを切り離せる仕組みです。

捨てオモリ式の仕掛けは根掛かり対策に優れていますが、近年、鉛の環境負荷が議論される機会が増えています。
気になる場合は、鉄製のオモリも販売されているため、それを活用するのも良いでしょう。
Cpost エコオモリ
材質 | 鉄 |
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着底と底質を正確に把握しよう

最も重要なのは、着底と底質を正確に把握することです。
「そろそろ海底に着く頃かな」と予測しながら釣りを楽しんでみてください。
山根
着底や根掛かりの兆候が分かるようになると、根掛かりが減るだけでなく、自然と釣果も向上します。
撮影:山根央之