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ヌルヌルの嫌われ魚、ヌルをとらずにそのまま煮てみたら……衝撃の美味だった!

ヌルヌルの粘液と鋭い棘によって嫌われる、ヒイラギという魚。

でもじつは、美味しい魚なんだそうです!

そんな噂を検証するために、ヒイラギを釣って料理してみました。

目次

ヌルヌル界のエース

みなさんはヒイラギという魚をご存知でしょうか?

外道としてはそこそこ有名で、とくに投げ釣りをする方はよくお目にかかるかもしれません。

体表をヌルヌルの粘液が覆っており、気持ち悪がられることも多いのですが、じつは好んで食べる地域もあったりします。

今回は、そんなヒイラギを深掘りしていきましょう!

ヒイラギとは

ヒイラギは最大15cm程に成長する魚です。

内湾や河口などの穏やかな砂地を好み、砂の中に隠れるゴカイや小型の甲殻類を食べています。

学名はNuchequula nuchalis。種小名のnuchalisは“頂部”という意味で、背中の黒い点が由来と考えられます。

特徴

ヒイラギは鱗を持たず、体表を保護するために粘液を出します

粘液はかなりヌルヌルで、手に付くと水で洗ってもなかなか落ちません。

口が下方向に大きく飛び出ることもヒイラギの特徴。これは、海底の餌を吸い込むことに特化しているからです。

また、食道からお腹にかけて発光バクテリアを持っており、ぼんやりと光ります。これは下から見上げた時のシルエットを光によって相殺し、捕食者から見えにくくすることが目的のようです。

また、外敵に襲われた時にギーギーと音を出すことも特徴。これには咽頭歯を擦り合わせて音を出す説と浮袋を振動させて出す説があるようですが、どちらと断定できる文献は見つかりませんでした。

生息地

ヒイラギは本州から沖縄にかけて広く分布します。

珍重される地域とそうではない地域があり、大阪・高知・島根・福岡などでは高値で取引されることもあるようです。

地方名

ヒイラギは日本各地に広く分布することからか、地方名がとても多いです。

一部を紹介すると、愛知県でゼンメ、高知県でニロギやウチニロギなどと呼ばれています。

中にはかわいそうな呼び方もあり、和歌山県ではネコクワズ、東京都ではゲドウ(ゲドオ)と呼ばれるようです。

ヒイラギを釣ってみた

河口にやってきた

今回は実績がある河口にやってきました。

経験上、海底が砂地の穏やかな内湾ならどこにでもいるはずです。

シーバスやアカメを狙っている方を横目に、僕はヒイラギを狙います(笑)

アオイソメのちょい投げ

底の餌を食べる魚なので、ちょい投げで狙っていきます。

ヒイラギの口は小さいので、針は小さめ(キス針6号)のものを用意しました。

餌はアオイソメにしましたが、小さなキス針にはやや付けにくいため、ヒイラギ釣りに限らず小針にはジャリメ(石ゴカイ)をおすすめします。

引き釣りで狙っていく

ヒイラギは群れる魚なので、群れの場所を見つけることが大切です。

そのため、置き竿にして待つのではなく、竿をサビいて仕掛けをズルズル引っ張りながら群れを探します。

すると、竿先をクイックイッと引っ張られるようなアタリがあり、回収してみると……

本命の外道

なんと一投目でヒイラギが釣れました!

もちろん、持った手はすでにヌルヌルです(笑)

30分で大漁!

群れが見つかると入れ食いになるので、30分程度で十分な釣果を得られました。

ちなみに、一緒に釣りをしていた友人はボウズだったのですが、「全然悔しさが湧いてこない」とのこと。

釣れなかった時の残念感が少ないのも、外道釣りの良さかもしれません(笑)

ヒイラギを食べてみる

ニロギ汁

じつは、僕が住んでいる高知では、ニロギ汁というヒイラギのすまし汁がポピュラーなんです。

しかし、驚くのはここからです!

なんとこのニロギ汁、ヌルヌルや内臓を一切取らず、そのまま鍋に入れて春菊などと一緒に煮るというのです……。

というわけで、釣ってきたヒイラギをそのまま鍋に投入!

出汁がよく出るとのことなので、水から煮ていきます。

「ヌルヌルから出汁が出る」とみなさん口を揃えて話すのですが、正直、信じ難いです(汗)

コトコトと煮ていくと、なかなか濃厚そうな少し黄色みがかった出汁が出てきました。

少し塩を振って味を整え、春菊が手に入らなかったのでネギを入れてみます。

そして完成!

恐る恐る飲んでみると……マジで美味しい

舌にまとわりつくような濃い出汁が出ていて、ヌメリや臭みなどの不快な要素は一切ありません。

僕もこの食べ方をイチオシせざるを得ないほどの美味しさです!

唐揚げ

釣り場にいた地元の方に、汁物以外のおすすめを聞いたら、「唐揚げが美味しいよ」と教えていただきました。

唐揚げはヌルヌルを取るそうなので、たくさんの塩を入れて揉み揉み。

この時、ヒレの棘が刺さらないように注意しましょう。(ヒイラギの棘はかなり鋭く、これも嫌われる理由の一つだそうです)

塩揉みが終わるとヌルヌルが完全に取れたように見えますが、数分のうちにまたヌルヌルが出てきます

2回ほど追加で塩揉みしましたが、それでも取りきれなかったので完全に取り除くのは難しいようです。ある程度で見切りをつけましょう。

キッチンバサミで腹鰭と背鰭を取り除きます。

そして頭を切り落とし、内臓を抜きましょう。

キッチンペーパーなどで水気をとった後に小麦粉をまぶし、油で揚げます。

ヒイラギの背骨はなかなか硬いので二度揚げしました。

完成です!

ヒイラギの身は淡白なので揚げ物がとても合います。魚らしい風味はちょっと少ないですが、十分美味しいですね。

二度揚げしてもやや骨が気になる部分があったので、南蛮漬けやマリネなどのお酢を使った料理にすると食べやすいかもしれません。

食文化っておもしろい。

ヌルヌルが不快なヒイラギですが、そのヌルヌルが美味しさの秘訣だとは思いもしませんでした。

一般的に嫌われる魚の中にも、地域の食文化に組み込まれている魚も意外と多いのかもしれませんね。

ヒイラギの美味しさを知ってしまった僕としては、おすすめせざるを得ないので皆さんもぜひヒイラギを釣って食べてみてくださいね!

撮影:あらた

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