完全フカセ釣りとは?

完全フカセ釣りとは、フロロカーボンラインの重さだけを利用し、仕掛けを自然に沈めながら潮に流していく釣り方です。
一般的に船釣りは、どんな釣り方もPEラインとオモリを使うため、他とは一線を画す釣り方と言えるでしょう。
本記事では、完全フカセの釣り方やタックルを解説します。
完全フカセのターゲット

完全フカセのターゲットは、ヒラマサやブリなどの青物、マダイであることが多いです。
その他にもイサキやグレ、アジ、カツオ、マグロなどさまざまな魚を狙えます。
「撒き餌に反応する魚であればほぼすべてがターゲット」と言えるでしょう。
完全フカセのシーズン

狙う魚種にもよりますが、完全フカセ自体は年中楽しめます。
とくに春頃は比較的水温が低く、まだエサ取りが少なくて本命を釣りやすい時期と言えるでしょう。
また、春はノッコミマダイや旬を迎えるイサキを釣りやすいのも春の良さです。
ただし、ポイントによっては禁漁期間が設定されていることもあります。
完全フカセのタックル

ここからは完全フカセ釣りに適したタックルを解説します。
ここでは船釣りを前提に紹介していきますが、筏やカセからもほぼ同様のタックルで完全フカセが可能です。
ロッド
大阪漁具 パワーウルフ 220H
全長 | 2.2m |
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自重 | 395g |
継数 | 2本 |
仕舞寸法 | 157cm |
オモリ負荷 | 80-150号 |
長さ2〜3.5m程度の船竿が適しています。
7:3もしくは6:4調子など、ある程度魚の引きに追従する調子のものを選びましょう。
軽さと感度はあまり必要ないので、それよりも粘りがあることの方が大切です。
リール
ダイワ レオブリッツ S500JP
自重 | 800g |
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ギア比 | 3.6 |
最大ドラグ力 | 16kg |
巻取り長さ | 55cm |
PE糸巻量(号-m) | 4-500 |
ナイロン糸巻量(号-m) | 6-350 |
船釣りの場合は電動リールがおすすめです。
太いフロロカーボンラインを巻くので、シマノなら2000〜3000番、ダイワなら500番が基準。
長い距離を流さない場合は、手巻きのカウンター付きリールでも問題ありません。
ただし、電動リールの中にはPEライン専用の機種があり、そういったリールはフロロを巻くと故障するので注意してください。
ライン
クレハ シーガー 完全フカセ 6号 300m
冒頭でも触れた通り、完全フカセはフロロカーボンラインが必須です。
ターゲットや潮流の強弱によって適した太さは異なるので、乗船する遊漁船に確認しておきましょう。
一般的マダイ狙いは4〜6号、青物狙いは6〜8号になることが多いですが、マグロやカツオを狙う時は10号以上になることとも。
仕掛けを流す釣りなので、少なくとも200m、できれば300m巻いておきましょう。
仕掛
ハリミツ 真鯛フカセ3本 C-71
2〜3本針のフカセ仕掛けが市販されているので、対象魚に応じた太さを選んでください。
ハリスの号数や長さによって潮馴染みが変わるので、何パターンかの仕掛けを用意しておくと状況の変化に対応できます。
浮力調整のためにガン玉やフロートを用意しておくのも良いでしょう。
完全フカセの餌

完全フカセの撒き餌&刺し餌は、オキアミが一般的です。
撒くペースは状況や人によって差はありますが、丸一日の釣行では3kg板を4〜5枚程度使います。
オキアミを用意してくれる船もありますが、各自で用意する場合、撒き餌が無くなると釣りが終わってしまうので多めに用意しておきましょう。
地域やターゲットによってはオキアミではなく、イワシミンチを用いることもあります。
完全フカセ釣りの釣り方
撒き餌を撒いて仕掛けを投入し、リールのクラッチを切ってそのまま潮に任せながら流します。
船長の指示する距離まで流してアタリが無ければ回収し、刺し餌をチェックして再度投入してください。
投入時は仕掛けがスムーズに潮に馴染むよう5〜20mほど糸を出しておき、ラインが出にくい場合は、その都度少しずつ手で引き出しながら仕掛けを送り込みましょう。
アタリがあればラインが勢い良く出ていくので、竿を起こして大きくアワセをいれ、やりとりに移行してください。

完全フカセには、“カカリ釣り”と“流し釣り”の2パターンがあります。
カカリ釣りは、クラッチをフリーにして船長が指示する距離を流してください。
流し釣りは、指示した距離を流した後にクラッチを繋いでラインの放出を止め、そのまま船で流していきます。
どちらの釣り方も、大切なのは撒き餌と刺し餌を同調させることです。
完全フカセのコツ

ここからは釣果を伸ばすための要点を紹介します。
撒き餌は少量を撒き続ける

撒き餌は少量ずつで良いので、常に撒き続けることを意識しましょう。
撒き続けることで海中に撒き餌の帯ができ、仕掛けを同調させやすくなります。
投入前はもちろん、刺し餌を付けている時や投入後も合間を見て常に撒き続けてください。
バックラッシュに注意!

アタリがあると勢い良くラインが出ていくので、そのまま置き竿にしているとバックラッシュする可能性が高いです。
ラインが勢いよく出たらすぐにクラッチを繋ぎ、アワセに移りましょう。
アタリがあれば自動的にクラッチが入る電動リールも便利です。
仕掛けを送り込んでいる際にもバックラッシュすることがあるので、常に糸の出方は確認し、メカニカルブレーキも調整してください。
刺し餌の有無で判断

指示棚まで流し、仕掛けを回収した後は刺し餌を確認しましょう。
刺し餌が付いている場合は、魚の棚に届いていないと判断し、魚がいる層まで仕掛けを送るようにします。
もう少し流す距離を伸ばすか、ハリスの号数を上げたり、ガン玉を付けたりして仕掛けを重くするのが効果的です。

餌が残っていない場合は、ターゲットに届く前に仕掛けが沈み過ぎて、小魚に餌を盗られていることが多いです。
こんな時は、フロートを付けたり、サルカンのサイズを小さくしたりして、仕掛けの沈みを抑えましょう。
仕掛けを送る際も少しブレーキをかけると仕掛けが浮きやすく、それで餌取りをかわすこともできます。
実釣してみた

ここからは筆者が釣行した時の様子をお届けします。
実釣は4月後半の丹後エリア(日本海)で、当日の天候は雨、潮回りは中潮でした。
舞鶴港出船の「大海丸」にお世話になり、青物やイサキ、タイを狙います。

荒れる予報ですが、遊魚できる時間に制限があるポイントなので、出船は9時半頃とゆっくり。
ポイントまで1時間半ほど走るので、ゆっくり準備を始めます。
当日のタックルは、バンディットアオモノMH235にビーストマスター2000、フロロカーボン6号を300m巻いたセッティングです。

オキアミを撒き、仕掛けを投入!
船長より「50m程度まで流してください」との指示。
撒き餌が効くまでしばらく様子を見ます。
まだ撒き餌効いていないはずでは?笑

上がってきたのは良型イサキ!
いきなり美味しそうな魚が釣れてテンションが上がります。

またヒットしましたが、今度はウマヅラハギ。
定番のエサ取りですが、驚くほど上手にフッキングできました(笑)
美味しい魚なのでもちろん持ち帰ります。

撒き餌が効いてきたのか流す度にヒットします。
しかも釣れる魚は全部デカい!
メジロやブリが続々と上がり、同行者は95cmのヒラマサをキャッチ。

すると、筆者にもラインが突っ走るアタリ!
強烈なダッシュなのでもしかすると……慎重にやりとりをします。
6号ハリスでもドラグ設定をきっちりしていれば、案外切れませんね。

なんと上がってきたのは、イサキ・ブリ・イサキのトリプル(笑)
まさか3本針すべてに掛かるとは……この釣り凄いですね。

魚のサイズが大きいので、72Lクーラーがすぐ満タンに。
メジロサイズはどんどんリリースしていきます。

この日は終始イサキに好かれており、ヒラマサはゲットできず。
そういえば、近況では釣れていたマダイの姿もまったくなかったですね。
とはいえ、既に72Lと65Lクーラーが満タンで大満足、予報通り雨風も強くなってきたので早上がりとなりました!
この釣りヤバいっす(笑)

最終釣果は、同行者含む3人でブリ9本、ヒラマサ2本、イサキ9匹、ウマヅラハギ1匹、メジロのリリース多数でした。
今回釣れなかったヒラマサも釣りたいので、また挑戦してみます。
シンプルながら奥深い、ダイナミックな釣り!

糸が吹き飛ぶ爽快なアタリから、スリリングなやりとりが楽しめる、とても魅力的な釣りです。
その一方で、海中の流れをイメージしながら仕掛けを調整していく、繊細で奥深い要素もあります。
爆発した時の釣れっぷりも凄いので、ぜひ挑戦して見てくださいね!
撮影:tsuki