ハゼ釣りのシーズンについて
最盛期は夏から秋

ハゼ釣りの最盛期と言えば、水温が高くなってハゼが岸辺に寄ってくる7月から9月とされています。
つまり、この記事のお題である“冬のハゼ釣り”は、夏や秋のようにどこでも沢山釣れる……とはいきません。
ですが、冬にハゼが集まる場所を知っている人は、寒い時期でもコンスタントに良型のハゼを釣り上げるんです。
冬のハゼは産卵を意識している

ハゼの繁殖期は地域や個体によって数か月もの差があり、概ね1月から6月ごろにかけて行われます。
繁殖期になると成熟したオスが砂泥地に穴を掘り、メスは気に入ったオスの巣穴で産卵して一生を終えます。
オスは卵が孵化するまで2週間ほど何も食べずに卵を守り、稚魚の孵化を見届けて息絶えるのです。
このようなハゼはお歯黒と呼ばれます。
真冬でもハゼ釣りは楽しめる

ハゼは産卵すると死んでしまいますが、繁殖期が長いので概ね12月から翌4月ごろまで釣りを楽しめます。
また、ハゼは1年で一生を終える年魚と言われますが、夏から秋にかけて成長率の悪かった個体は1度目の冬には繁殖行動に参加せず、死ぬこともありません。
落ちハゼとヒネハゼについて
落ちハゼ

ハゼは秋から冬にかけての水温低下に合わせ、浅瀬から水温変化が生じにくい水深3~10m程度の深みへと移動します。
深みに落ちていくハゼの行動から、冬に釣れるハゼを“落ちハゼ”とか“ケタハゼ”と呼びます。
釣果情報を調べる時は、“落ちハゼ”という単語を上手く使いましょう。
ヒネハゼ

ハゼについて調べていると、“ヒネハゼ”というワードを目にするかもしれません。
ヒネハゼとは、初夏に生まれたばかりの小さなハゼに混じって釣れる20~25cmほどの巨大ハゼを指します。
このヒネハゼの正体は、先ほど紹介した1度目の冬に性成熟せずに春を迎えた1歳のハゼです。0歳のハゼと比べて大きな体長差が生じるという訳ですね。
ウロハゼ

ハゼ釣りをしていると、20cmを超える太いハゼが釣れることがあります。これはウロハゼといって別種です。
ウロハゼは受け口で舌の先が割れていることから、マハゼと見分けられます。
ウロハゼの食味はマハゼと同様に美味であり、ハゼ通でなければ同サイズのハゼとウロハゼの違いにはなかなか気付かないかもしれません。
▼ウロハゼを特集した記事です
冬にハゼを釣る醍醐味
冬でも釣果が出やすい

冬になると身近なフィールドでは釣り物が減ってしまいますが、ハゼはそんな真冬でも釣果の出やすい魚です。
冬でも安近短で釣って楽しく、食べて美味しい対象魚をお探しの方にはイチオシ。
通い慣れてくると、潮位による時合が読めてくるので良い時間帯だけを狙った釣行ができるようになりますよ。
冬のハゼは大きい

冬のハゼは平均でも15cm程度と大きく、地域によっては20cmクラスが揃うこともあります。
夏のように50匹・100匹と釣れることは殆どありませんが、大ぶりなハゼを1匹1匹大事に釣るのが冬の醍醐味。
このサイズになってくると、1人10尾も釣れば晩御飯の主菜になってくれますよ。
盛期と比べて釣り人が少ない

ハイシーズンの休日にはズラリと釣り人が並ぶハゼ釣りですが、真冬ともなれば貸し切り状態なんてことも。
好きな釣り座でのびのびとハゼ釣りを楽しめるのも冬ならではかもしれません。
冬のハゼ釣りの注意点
寒さが天敵

冬のハゼ釣り最大のデメリットは、やはり寒さです。
とくに釣り初心者の方やお子さんと一緒に出掛ける場合は、防寒対策を的確に行うように心掛けましょう。
真冬の釣りは、どんなに釣れても身体が冷えてしまっては楽しさ激減です。
釣り場を間違うと釣れません

真冬のハゼ釣りは、釣り場選びに失敗するとまったく釣れない……。なんてことがよく起こります。
夏から秋にかけて良かった場所が引き続き釣れることもある一方、もぬけの殻になることも。
夏から秋は“散見的”、冬は“局所的”というイメージを持ち、ハゼが集まるポイントを見つけることがとても重要です。
立ち入り禁止や投げ釣り禁止区域が多いので、必ずルールを確認してから実釣するようにしましょう。
冬にハゼを釣るコツ
水温変化が少ない砂泥底を探す

真冬のハゼは繁殖行動を意識しているため、巣穴を作れる砂泥底を狙うのが重要です。
多くの河口域や港湾部は砂泥底が広がっていますので、その中でも水温変化の生じにくい環境を探しみましょう。
例えば、周囲より少し深く掘れている場所、冷たい川の流れが直に当たらない場所、敷石などの隙間、運河や漁港内などが挙げられます。
リール竿を使って深みを狙う

道具は盛期のハゼ釣りとあまり変わりませんが、ウキ釣りの出番は殆どなく、オモリを使ったちょい投げ釣りが主流となります。
ハゼが集まる深みは岸から離れている場合が多いため、リール竿を用意するようにしましょう。
道具立ての例
竿:3m前後のちょい投げ竿、バスロッド、エギングロッドなど
リール:2500番前後のスピニングリール
仕掛け:5~10号程度のオモリを使った天秤ハゼ仕掛けや中通し仕掛けなど
ささめ針 ビビッとハゼ
全長 | 0.5m |
---|---|
入数 | 1セット+替え針2本 |
ハゼのアタリがダイレクトに伝わる、中通しタイプのちょい投げ仕掛けです。
置き竿スタイルで穂先の動きを見てアタリを取る場合に重宝します。
ポイント探しを疎かにしない

ハゼは真冬であっても、釣り場選びが正しければしっかり餌を食ってくる魚です。
潮位によって食いが落ちていることも考えられますが、1~2時間やってまったくアタリが出ない場合は、同じ場所で粘らずに場所を変えながらアタリが出るところを探してみましょう。
実釣前に釣果情報サイトやブログを上手く活用し、実釣月の過去数年分の情報を集めておくと効率良く釣り場を巡れます。
実釣候補地は最低でも3ヶ所は用意しておきたいですね。
冬のハゼの釣り方
ちょい投げの置き竿が主流

先ほど紹介した通り、周囲より深い場所を狙い撃つため、ちょい投げが主流となります。
また、夏場のよう動く仕掛けを素早く追いかけてくることはあまりありません。
そのため、はじめはハゼが溜まっている場所を探す目的で仕掛けを時々サビキながら釣りますが、ハゼ集まっている場所が分かれば2~3本並べた置き竿スタイルでじっくりアタリを待つ方が良いでしょう。
河口部の敷石や運河は足元で釣れることも

“砂泥底”と“水温が安定している”という2つの要素が当てはまれば、真冬でも岸辺でハゼが釣れることがあります。
例えば、足元から水深が深い都市部の運河は壁際が狙い目になることも。
また、河口部に多く設置されている敷石の隙間もハゼにとっては良い環境のようで、真冬でも穴釣りでテンポよく釣れることがあります。
餌は石ゴカイがオススメ

真冬に置き竿スタイルでハゼを狙う場合は、活きの良い石ゴカイ(ジャリメ)がオススメです。
アオイソメは1匹だと長すぎるため、カットして使うと良いでしょう。
敷石の穴をテンポよく探るならボイルホタテも効果的です。
冬こそハゼ釣り

冬のハゼは夏に比べて1日の行動範囲が狭いため、どうしても場所による釣果差が生まれやすくなります。
最初の1匹が釣れるまでは、釣り場探しの要素が大きくなりますが、ハゼが集まるポイントさえ見つけられれば毎年楽しめますよ。
冬の釣り物をお探しの方は、この機会にハゼ釣りに出掛けてみてはいかがでしょうか。
撮影:山根央之