サンバソウを船から狙う

サンバソウは、“磯の王者”とも称されるイシダイの幼魚です。
磯釣りのイメージが強い魚ですが、冬の淡路島沼島沖では、深場に集まるサンバソウを船から狙って釣ることができます。
幼魚とはいえイシダイなので食味も抜群に良く、近年人気が非常に高まっているターゲットです。
本記事では、そんな沼島沖でのサンバソウ釣りを詳しく解説します。
サンバソウ釣りのシーズン

サンバソウ釣りのシーズンは、11〜2月頃です。
水温が低くなってくると、瀬戸内海や大阪湾に生息していた個体が南下し、沼島沖の魚礁や磯場に集まって越冬します。
つまり、越冬するために集まったサンバソウを狙って釣るわけです。
ちなみに、越冬後のサンバソウ達は外海である太平洋へと出ていきます。
サンバソウ釣りのタックル

サンバソウ釣りに必要なタックルに関して解説します。
地域性の強いマニアックな釣りのため、現状は専用竿や専用仕掛けはありません。
竿
アルファタックル ライトゲームFT 82-180H
全長(m) | 1.8 |
---|---|
自重(g) | 110 |
継数(本) | 2 |
仕舞寸法(cm) | 110 |
オモリ負荷(号) | 30-120 |
磯場や魚礁を攻めるため、底取りしやすい8:2もしくは7:3調子の竿がおすすめです。
サンバソウは小さくても引きが強いため、根から引き剥がせるバットパワーを備えたものが適しています。
船タコロッドやタチウオテンヤロッドが、調子やオモリ負荷的に◯。
80号以上の重たいオモリを使うこともあるため、7:3調子の汎用船竿の場合は少し硬め(号数が大きめ)のものを選びましょう。
リール
ダイワ レオブリッツ 200J
自重(g) | 480 |
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ギア比 | 5.1 |
最大ドラグ力(kg) | 8.5 |
巻取り長さ(cm) | 55 |
PE糸巻量(号-m) | 2-300 |
手返しに優れる小型の電動リールがおすすめです。
ダイワなら200番、シマノなら400〜600番が最適。
電動リールがなければ、中型サイズの手巻きリールでも問題ありません。
底付近だけを狙うのでカウンターの必要性は少なく、ジギング用ベイトリールも代用できます。
ライン
サンライン シグロン PEx4 2号 200m
PEラインは2〜3号を200m程度巻いておきましょう。
PEラインの先には、フロロカーボンの8〜10号をリーダーとして接続します。
魚礁などによって根ズレも多いため、2ヒロ(約3m)以上の長さはとってください。
仕掛け
オーナー ストロング船五目 胴突30cm F-6249
全長2m前後の船用胴付き仕掛けを用います。ハリスの太さは5号を基準に考えてください。
根掛かりが多いため、最低でも3セットは用意しておきましょう。
オモリ
関門工業 ホゴオモリ 80号
根掛かりを回避しやすいホゴオモリがおすすめです。
40〜80号を使用しますが、船によっても重さが異なるので船長に確認しておきましょう。
仕掛けと同じく、多めに用意しておくことをおすすめします。
サンバソウ釣りに行ってみた

筆者も大阪湾をホームグラウンドとする関西圏の釣り人として、以前からサンバソウ釣りには興味がありました。
ようやく釣行する機会ができたので、実釣の様子をお届けします!

今回お世話になったのは、淡路島由良港の廣田丸さん。
釣行は12月下旬、小潮周り。水温は15.5℃前後です。
寒波が襲来しており、出船時の気温は3℃ほど。爆風と初雪がチラつくような天気でした。
風速は9m/sの予報で、前日は中止かなと思っていましたが、どうやら出船する模様です(^^;;

午前6時半に出船し、20分弱でポイントの沼島沖に到着。
冬の北西風に対しては淡路島が壁となるため、完全に風裏です。
それゆえに出船率が高く、多少の荒天でも快適に釣りができるのはGOOD!

ポイントには既に何船か集まっており、ピンポイントを釣るので船同士の間隔が狭いのもこの釣りの特徴です。
今回筆者は、船タコロッドに小型電動リール、PE2号+リーダー8号のセッティングで挑みました。
船タコやタチウオテンヤのタックルをそのまま流用でき、初期投資が少なく済むのも魅力ですね。

基本的には、活き海エビを船で用意してもらえます。
活き海エビが用意できない場合は、冷凍エビになる場合も。
また、エビ以外にマムシが有効な時もあるそうです。

エビの付け方は、尻尾を落として丸く付けるかストレートに付けるか。
針の形や状況に合わせる感じで、どちらが良いというものではないみたいです。

針先は少しだけ出す感じで、出し過ぎると喰いが悪くなるそう。(難しい……)
ちなみに、海水は暖かいのですが次第に手が冷たくなるので、乾いたタオルは必須です!
エビを掬う網やビニール手袋などを用意し、エサ付けの際に濡れないようにするのも良いかもしれません。

ポイントの水深は30〜40m前後。
サンバソウが集まっていそうな磯場や魚礁をピンポイントで狙って流していきます。
この日の廣田丸さんでは、80号のオモリを使いました。
水深に対して重めのオモリですが、しっかりと仕掛けを立てて、根掛かりを回避しつつピンポイントを狙う意図があります。

根掛かりには気をつけなければなりませんが、釣り自体は非常にシンプル♪
底取り後、ゆっくり誘い上げ、マメに底取りを繰り返すだけです^_^
釣り方をあーだこーだと工夫する間も無く、いきなりサンバソウが釣れました!(カワハギのオマケ付き)

活性はかなり良い感じだったらしく、船中でもバタバタとサンバソウが上がっていきます!
良いポイントに入れば、ダブルで釣れることも(°▽°)
カワハギも良く釣れるので、カワハギ仕掛けを持っていけばお土産の確保がしやすそうですね。

イシダイといえば縞模様がトレードマーク。
ちなみに、雄は成長すると縞模様が消えて口が黒くなり、クチグロと呼ばれます。
メスは成長しても縞模様は残りますが、幼魚と比べると不鮮明です。

釣れたサンバソウは船内のイケスへ。
イケスは共有ですので、マーカーを付けるかヒレをカットすると良いでしょう。

前半はオスかメスか確認してもいられないくらいのハイペースでしたが、日が出てくると失速(笑)
確実に10枚は釣れるペースだと思っていましたが、そんなに甘くはなかったですね……。
とはいえ、丁寧にやればポツポツと釣れてくれます!

底から少し上げて、また底取りをひたすら繰り返し。
これを愚直に行うことで、周りが釣れていない中でもコツコツと数を伸ばせましたよ。
後半戦では、この日船中最大サイズと良型のダブルもありました!
40cmを超えていたのでイシダイと呼んでも良いのでは!?

けっきょく12枚釣ったところでタイムアップ。
船中でもかなりのサンバソウが釣れていて、ここ最近では一番の釣果だったそうです。
根掛かりも多少あれど、オモリと仕掛けを1つずつ無くした程度で済みました(^^;;
極寒の中、どんなハードな釣りが待っているのかと前日まで不安でしたが、寒さを忘れるくらい熱中してしまいました!

帰港後は、1匹ずつ丁寧に締めてもらえます。
昼頃には港に帰って来られるので楽チンですね♪

持ち帰ったサンバソウを早速捌いてみると、内臓脂肪たっぷり!
これ絶対うまいやつ〜♪
船長曰く、「新鮮なうちは身が硬いから、3日ほど寝かせると良いですよ」とのこと。

というわけで、4日間寝かせた身を堪能してみます。
刺身は文句ナシに美味。磯臭さなどは皆無です!
クセが無いのに旨みは強く、4日間寝かせた状態でも歯ごたえがしっかり残っています。

皮目に脂と旨みがありそうだったので、皮付きで炙ってみました。
香ばしさがプラスされ、より深みのある味わいに。

それぞれを握りにしても絶品。
どんな魚も寿司なら大体美味しいのですが、サンバソウはとくにシャリとの相性が良いですね。

皮付きでそのまま鍋に入れても最高。
弾力・旨みとも強いので、鍋との相性も◎です。

頭の部分は塩焼きにすると美味しかったです。
そのまま出汁をとって、あら汁やラーメンにしても良いと思います!

皮は細かく刻んで湯引きにすると、むっちりプリっとしたコラーゲン質な食感を楽しめてGOOD。
「喰われるために神様が創り出したのか!?」と思うほど、とにかく何にしても美味しい魚でしたね。
サンバソウの釣り方
着底したら底を切り、そのまま止めて待つかゆっくり誘い上げます。
激しいアクションはいらず、むしろあまり動かさない方が良いです。
船が流れていて底の地形が変化していくため、マメに底取りをし直すのが重要。
底から離し過ぎるとアタリが減り、仕掛けをいかに底 or 障害物際に留めて置けるかが釣果を左右します。
根掛かりのリスクも高まりますが、恐れず、できるだけ底付近を狙ってください。

根掛かりは、可能な限り仕掛けを立てることによってある程度回避できます。
例えば、船が動いて糸が斜めになった場合は、一旦水深の半分ぐらいまで巻き上げてから再度落とし直しましょう。
オモリが穴(魚礁の隙間など)に入る感覚があれば大チャンスなので、根掛かりを恐れずにどんどん突っ込んでみてください。
サンバソウをたくさん釣るコツ

最後に、実釣を通してわかったサンバソウを釣るうえで重要なポイントをいくつか紹介します。
アワセはしっかり!

サンバソウの口は小さく、オマケに硬いのでかなり掛かりにくいです。
即アワセはではなく、しっかり喰い込ませてからシャープにフッキングすることを心掛けましょう。
アタリがあれば竿で聞いてみて、大きく引き込まれた瞬間に針を叩き込んでください!
エサの確認はマメに!

カワハギやフグといったエサ取り系の魚も豊富です。
アタリもなく、エサがすべて無くなっていることも多々あります。
一定時間アタリがない場合、エサが取られているケースがほとんどですので、億劫がらずマメにエサをチェックしましょう。
ラインは出さず、底から引き剥がす!
サンバソウは掛かると根に潜ろうとするため、根から全力で引き剥がしてください。
ドラグはフルロックでも良いくらいです。幼魚だと思って舐めてかかると痛い目をみます。
10mほど浮かせたら、あとは落ち着いてやりとりしても問題ありません。
楽しい&美味しいサンバソウ釣り!

サンバソウ釣りは、シンプルさの中にテクニカルな部分もあり、さまざまな船釣りをしてきた筆者もかなり楽しめました。
サンバソウは小柄ながらも引きが強く、食味も非常に美味であり、ハマる要素だらけの魅力的な釣りです。
地域性の強い釣りではありますが、チャレンジしてみる価値は十分にあると思いますよ。
画像提供:tsuki