エギングロッドとは?
エギングロッドとは、「エギ」と呼ばれる疑似餌を用いてイカ(おもにアオリイカ)を釣るためのルアーロッドです。
魚をルアーで釣る際にはミノーやメタルジグ、ワームなどを使いますが、イカの場合はエギだけ。
そのため、「どのロッドも同じでは?」と思ってしまうかもしれませんが、市場にはさまざまなエギングロッドが存在します。
そこで本記事では、エギングロッドの選び方を解説し、人気のエギングロッドを実際に使って使用感を検証してみました!
エギングロッドの特徴
エギングは、エギをキャストし、エギをシャクってイカを誘い、イカのアタリを見極めて掛け合わせる釣りです。
それゆえにエギングロッドには、遠投性能やエギのシャクリやすさ、アタリを判断するための感度など、多くの要素が求められます。
その基本性能の高さから、1本持っておけばエギング以外のルアー釣りやエサ釣りにも幅広く使えることも特徴です。
初めてのエギングロッド選び
まずはエギングロッドの選び方を紹介します。
一口にエギングロッドと言ってもさまざまなロッドがあるので、「初めての1本」として最適なオールラウンドなロッド選びを解説します!
長さ
遠投性能と操作性のバランスが良い、8ft6inが王道の長さです。
ロッドが長くなれば、遠投性能が向上したり、足場が高い場所で使いやすくなりますが、その反面重くなって操作性が低下します。
逆に短かくなると、遠投性能は下がるものの、操作性が良くなります。
極端に長くなると扱いにくく、短いと汎用性が低くなるため、初めの1本には8ft3in〜8ft6inがオススメです。
パワー
エギングロッドのパワー(硬さ)は、LやMHといったアルファベットで表されますが、オールラウンドなのはM(ミディアム)クラス。
Mクラスは、使用頻度の高い3.5号のエギをメインに、2.5号や3号も扱えるので、1年を通して場所を選ばずに幅広く使えます。
MLやLクラスの柔らかいロッドは、2.5号・3号の使用頻度が高い秋や、水深が浅いポイントに最適。
MHやHといった硬いロッドは、重たいエギや大きいエギを使ったり、深いポイントを狙うのに適します。
ティップ
エギングロッドでベーシックなのは、チューブラーティップです。
チューブラーティップは反響感度(手元に伝わる感度)が高く、軽い力でエギを鋭くダートさせられます。
しかし近年は、ソリッドティップを搭載したエギングロッドも増えてきました。
ソリッドティップはしなやかなカーボンソリッド(無垢素材)を先端に繋いだロッドで、穂先のテンション変化を感じやすいことがメリット。
その反面、ティップが細くて繊細なので、扱い方を誤るとキャスト時やジャーク時に破損しやすいことが難点です。
初めは扱いやすさと汎用性の観点から、チューブラーティップのロッドをオススメします。
外ガイドとインターライン
一般的な釣竿は、竿本体(ブランク)にガイドが並んでおり、そのガイドの中をラインが通ります。
エギングロッドも例に漏れず、大半のロッドがこのアウトガイド(外ガイド)と呼ばれる構造です。
しかしダイワだけが、糸が竿の中を通るインターラインロッド(中通し竿)と呼ばれるエギングロッドを発売しています。
インターラインはほとんど糸が絡まらず、エギングの大敵である「風」に強いことがメリット。
ポピュラーなのはアウトガイドですが、インターラインはトラブルが少ないのでビギナーの方にもオススメです。
▼インターラインの詳しい解説はこちら
エギングロッドを検証
今回は人気のエギングロッドを10本集め、実際に使ってその使用感を検証してみました!
番手は王道の86Mに統一し、実売価格3万円以内からチョイス。
エギングで大切な、キャスト性能・操作性・感度をメインにインプレションします。
今回検証するエギングロッド
- ・
- ・
- ・
- ・
- ・
- ・
- ・
- ・
- ・
- ・
ソルパラ SPX-862E(メジャークラフト)
1本目は、メジャークラフトのソルパラ 862E。
実売価格9,000円前後で、ソルトルアーフィッシングへの入門モデルとして位置付けられている大人気シリーズです!
アンダー1万円のロッドながら、外観やデザインは中堅機種と遜色なく、チープ感はありません。
旧モデルからはロッド自体の素材やグリップのデザインが見直されていて、性能も見栄えも良くなっているようです。
▼ 細部の仕様
グリップ周りはシンプルでスッキリした印象です。
握りやすく、低価格だからといって違和感はまったくありません。
リアグリップは後方に向かって徐々に太くなっており、キャスト時にしっかり引き込めます。また、両手でのジャークもしやすいので、力の弱い女性やお子様も使いやすいでしょう。
ブランクには派手な装飾やカラーリングは無く、シンプルなデザイン。
バットのロゴ周りだけ、イメージカラーであるネイビーにカラーリングされています。
ガイドのフレームはステンレス製、リングはFuji製のOリング。
上位機種のようなSiCリングやアルコナイトリングは用いられておらず、この辺りは「価格相応」といった印象ですね。
自重200gのリールをセットすると、重心位置はフロントグリップの切れ目くらいでした。
もっと先重りするのかと思いましたが、なかなか良いバランスですね!
ただし、ロッドの自重そのものが軽いわけではなく、上位機種との“わかりやすい差”ではあります。
▼ キャスティング性能
エギを結んでキャストしてみると、なんの問題もなく、しっかり飛びます!
振り抜き感もそこそこ良く、ブランクの反発感もまずまず。ライントラブルもゼロ。
ミドルグレードやハイエンドロッドのような気持ちよさはありませんが、価格を考慮すると十分すぎますね。
PE0.8号でダートマックス3.5号(19g)を投げてみたところ、飛距離は56.5mを記録!
▼ エギの操作性
ワンピッチジャークやスラックジャーク、跳ね上げ系ジャークなど、一通りのシャクリを試してみましたが、どれも無難にこなせます。
エギングで大切な、“エギを動かす”という点においてはまったく問題なし。
しかし、重さゆえに連続でジャークすると手首への負担を感じます。
また、アクション後の反動の収まりがやや遅く、少しグワングワンする感じがありますね。
▼ 感度
感度はあまり期待していませんでしたが、エギがボトムにタッチする瞬間や、リーダーが岩に擦れる様子は感じられましたよ。
ただし、「底は砂だ!」とか「岩だ!」とまで判別できるほどのレベルではありません。
高感度とは言えないものの、エギングをするにあたって必要な分は備えています。
▼ ソルパラ SPX-862Eの総評
ソルパラを使ってみたら、「十分エギングが成立する」ということがわかりました。
絶対的な性能では高級ロッドに及びませんが、価格に対してクオリティは非常に高く、エギングに求められる要素がバランスよくまとめられています。
これならビギナーの方でもトラブルなく、エギングを始められるはずです!
女性やお子様ならSPX-832Eもおすすめですね!
メジャークラフト ソルパラ エギング SPX-862E
全長 | 8ft6in |
---|---|
自重 | - |
継数 | 2本 |
仕舞寸法 | - |
エギ重量 | 2.5-3.5号 |
PEライン適合 | 0.4-1.2号 |
エギングX 86M(ダイワ)
2本目は、ダイワのエギングX 86M。
実売価格は9,300円前後で、ダイワ製エギング専用ロッドの中ではもっともリーズナブルなシリーズです。
ソルパラと同じく、見た目からチープな印象は受けません。というより、かなりカッコですね。
ロゴ周りはアオリイカの目をイメージしたようなグリーンのグラデーションで、高級感もありますね!
▼ 細部の仕様
リールシートはFuji製のVSSです。
VSSは操作性が良く、エギングやライトゲームの世界では“ど定番”として知られます。
ブランクのバット部分にはブレーディングXと呼ばれる補強が入っており、ネジレやツブレを抑制します。
バットからティップまで細身で、いかにも操作性が良さそうです!
糸絡みを抑えるために、ステンレスフレームのKガイドを採用。
Kガイドの効果は絶大なので、ライントラブルが起こりやすいエギングには最高ですね!
リールを着けた際の重心位置は、フロントグリップの少し前くらい。
先重り感もなく、なかなか良さそうです!
▼ キャスティング性能
キャストフィールは、実売1万円以下のロッドとしては「かなりシャープだな!」と感じました。
バットがそこそこ強くて反発もあるので、垂らしを長くしてバットまで曲げ込むとしっかり遠投ができますね。
参考飛距離は54.1m!
記録ではソルパラに及びませんでしたが、外的要因もあるので遠投性能は同等ぐらいだと思います。
▼ エギの操作性
この価格帯のエギングロッドはジャーク時に少し重さを感じるのですが、エギングXはなかなか軽いのが良いですね!
8ft6inのMクラスながら自重は113gなので、リストの弱い方でも軽快にアクションできそうですよ。
▼ 感度
感度は「値段相応だな」という印象です。
着底や障害物へのコンタクトはしっかり感じられたので、合格ライン。
アオリイカがエギを抱くアタリは余裕で捉えられるはずです。
▼ エギングX 86Mの総評
エギングXは“軽くて安いエギングロッド”を求めている方にイチオシです!
なんと言っても釣行の大半を占めるシャクリを楽に行えるので、初心者の方でも疲労が少なく、エギを操作する楽しみを存分に味わえるはず。
ブランクの補強やKガイドも採用されており、大手のダイワだから実現できたコスパですね。
ダイワ エギングX 86M
全長 | 8ft6in |
---|---|
自重 | 113g |
継数 | 2本 |
仕舞寸法 | 134cm |
エギ重量 | 2.5ー4号 |
PEライン適合 | 0.4-1.0号 |
セフィアBB S86M(シマノ)
3本目は、シマノのセフィアBB S86Mです。
セフィアシリーズのエントリーモデルに当たり、実売価格は15,000円前後。
ソルパラやエギングXよりもひとつ上の価格帯ですね。
セフィアシリーズのイメージカラーである赤が随所にあしらわれていて、見た目はGOOD。
黒×赤のリールを合わせるとさらにカッコよくなりそうです!
▼ 細部の仕様
リールシートはFuji製ではなく、シマノオリジナルの仕様。
ロックナットの造形とカラーリングも凝っていて、かなり高級感がありますね!
フロントグリップは長めなので、3フィンガーや4フィンガージャークも可能です。
バットからティップまでハイパワーXによる補強が入っており、ブランクのネジレやツブレを抑制しています。
持って振ってみただけで、シャープで張りが強いことがわかりました!
ガイドはKガイド仕様で、糸絡みへの対策もバッチリ。
トップガイドにはSiCリング、1番ガイドから元ガイドまではアルコナイトリングを採用しています。
SiCには及びませんが、アルコナイトは高い強度と硬度、放熱性を備えています。
ティップまで補強されているので、重心はもっと先寄りかと思いましたが、フロントグリップの切れ目ほどです。
自重も110gに収まっているので、かなりレベルが高いですね!
▼ キャスティング性能
軽さとブランクの復元力のおかげか、振り抜きが良く、反発力で弾き飛ばせるイメージです!
また、キャスト後のブレの収束も早く、ラインの放出が凄くスムーズです。
参考飛距離は58.0m。60mに差し迫る記録をマーク!
ロッドの反発が強いので、6〜7割の力でもフルキャスト並みの飛距離を稼げます。
アングラーの入力が少なくてもロッドが仕事をしてくれるので、楽に遠投できますね。
▼ エギの操作性
軽さと反発力の恩恵か、シャクリも非常に軽快で、とくに連続ダートや大きな跳ね上げを楽に行えます。
エギを激しく大きく動かす秋のエギングや、少し深いポイントでのエギングにはベストマッチですね。
また、軽い力でジャークをしてもエギがノロノロ動かず、「ピュンッピュンッ!」とワープするようにダートすることも好印象です!
▼ 感度
他のロッドと同じく、障害物への接触や着底はしっかりと把握できます。
アンダー1万円のロッドより軽いためか、それらがよりクリアに伝わっていると感じました。
▼ セフィアBB S86Mの総評
「ちょっと性能には拘りたい!」という方にイチオシのロッドです。
トータルバランスの良さと圧倒的なコスパに、シマノの本気を感じました!
守備範囲も広く、湾内から外洋まで使えるので買って損はない1本ですね。
シマノ セフィア BB S86M
全長 | 8ft6in |
---|---|
自重 | 110g |
継数 | 2本 |
仕舞寸法 | 133cm |
エギ重量 | 2-4号 |
PEライン適合 | 0.5-1号 |
カラマレッティーUX 21GCALUS-862M(オリムピック)
4本目は、オリムピックのカラマレッティーUX 862Mです。
これまでのカラマレッティーシリーズで培ってきた軽さや感度、操作感を継承しつつも、実売価格は15,000円前後に抑えられています。
市場では既に「コスパ高い!」との評判が立っている1本。
歴代カラマレッティーシリーズと同じ書体のロゴがナイスです!
エギング創成期からロッドを作っているオリムピックなだけあり、“継承している感”をロゴにも感じます。
▼ 細部の仕様
グリップには、定番のVSSリールシートを採用されています。
エギングXも同じVSSでしたが、カラマレッティーUXはダウンロック式のセッティング。
好みは分かれますが、ダウンロックは手のひらにナットなどが当たらないので、「ホールド感が良い」という人も多いですね。
ブランクは見るからに細身でシャープな作りです。
バット部に用いたグラファイトクロスLVにより、ネジレやツブレに対する剛性を上げ、パワーを強化しています。
ガイドにはステンレスフレームのKガイドを採用。
そしてなんと、この価格帯では異例のオールSiC-Sリング仕様!
SiC-Sは従来のSiCを薄型化(軽量化)したもので、ハイエンド機種に搭載されるものと同等のリングです。
重心位置は、セフィアBBよりもややリール寄りになりました。
自重は114gと、なかなか軽量な部類です。
▼ キャスティング性能
キャストして驚いたのですが、Mクラスのロッドにしてはかなり柔らく、ムチのようにしなります。
早い段階でバットまでウエイトが乗り、そこからグインッとバットでエギを押し出すようなキャストフィール。
参考飛距離は50.6m。
やはり全体的に柔らかい分、3.5号の遠投性能は高くないのかもしれません。
数値は少し落ちる結果になりましたが、ロッドが曲がる分だけエギのウエイトを乗せやすく、ビギナーの方でも投げやすいと思います!
▼ エギの操作性
おそらく誰もが「ムチみたい!」と言いたくなるシャクリ感です!
ロッドがしなりながらエギを動かすので、張りの強いロッドに比べて手首への負担が少なく感じました。
潮が速いポイントや深場でバシバシとジャークするのは不得意ですが、流れの弱い湾内や浅場と相性が良いですね!
▼ 感度
他のロッドと比べ、エギを水平引きした時のティップへの抵抗の伝わり方が抜群でした!
ティップからベリーがしなやかなので、テンションが抜けるアタリや、居食いをしてモゾッとなるアタリがとても分かりやすそうです。
▼ カラマレッティー UX 21GCALUS-862Mの総評
カラマレッティーUX 862Mは、テクニカルなエギングを楽しみたい方にオススメの1本!
遠投性能よりも、操作性や感度を重視したロッドですね。
初めはアタリを取るのに苦労すると思うので、そんな時にロッドが助けてくれますよ。
オリムピック カラマレッティー UX 21GCALUS-862M
全長 | 8ft6in |
---|---|
自重 | 114g |
継数 | 2本 |
仕舞寸法 | 132.5cm |
エギ重量 | 2.5-4号 |
PEライン適合 | 0.4-1.0号 |
エギストSSD 86M(テイルウォーク)
5本目は、テイルウォークから発売されているエギストSSD 86Mです。
テイルウォークのエギストシリーズの中ではエントリーモデルの位置付けで、実売価格は20,000円前後。
86Mのコンセプトは、「大型イカをハードジャークで仕留める」とのこと。
カタログスペックを見ても4.5号のエギに対応しており、ヘビーな使用感が予想されます。
▼ 細部の仕様
グリップ周りに装飾はほとんどなく、シンプルな印象。
リアグリップが凄く小さく、セパレート部分が長く見えますね。
旧モデルのSSD-L EGING に比べ、ブランクの強度が少しアップしているようです。
ブランクを肉厚にすることで、強度やパワーを向上させています。
ガイドは糸絡みの少ないKガイド仕様。
重心位置はやや先端寄りなので、少し重めのリールとの相性が良さそうですね。
これは強度や剛性を求めた結果かと思われます。
とはいえ、自重は115gなので重たいわけではありませんよ。
▼ キャスティング性能
キャストしてみると、今回用意したロッドの中ではもっとも硬く、芯があるような強さを感じます。
硬いものの投げにくさはなく、意外とウエイトを乗せやすい印象。少し驚きです。
3.5号ではまだまだ余裕があり、3.5号のディープタイプや4.5号も楽勝で飛ばせそうです。
参考飛距離は60.2mと、初の60m超え!
エギのウエイトに負けず、弾き飛ばすように飛ばせるので、向かい風や飛距離が欲しいサーフなどで重宝しそうですね。
▼ エギの操作性
硬い分だけ「やや手首への負担があるかな」という感覚ですが、その分だけエギに入力できているということでしょう。
軽くシャクるだけでもエギが動いているので、省エネシャクリでもOKというわけです。
また、深場や潮の速い場所、遠投した先などでしっかりエギを動かせるのは、このロッドのメリットですよ!
▼ 感度
リーダーの根ズレや、シンカーと岩の接触は把握できたので、感度も問題なさそうです!
ただし、どちらかと言えばパワフル系のロッドなので、繊細さは薄いと思いました。
▼ エギストSSD 86Mの総評
コンセプト通り、バシバシジャークしてエギを大きく動かすのに適したロッドでした!
太平洋側や九州などのアベレージサイズが大きい場所や、流れの強いポイント、大型エギの使用が想定されるシーン等にはもってこい。
オーソドックスなロッドではありませんが、使い所が明確な1本ですね。
テイルウォーク エギストSSD 86M
全長 | 8ft6in |
---|---|
自重 | 115g |
継数 | 2本 |
仕舞寸法 | 134cm |
エギ重量 | MAX4.5号 |
PEライン適合 | MAX1号 |
エギゾースト5G EZ5-862M(メジャークラフト)
6本目は、メジャークラフトのエギゾースト5G 862Mです。
実売価格は19,000円前後ですが、リーズナブルな価格のロッドが多い同社の中ではハイエンドに位置します。
コストパフォーマンスを追求しているのか、コスメは非常にシンプル。
「コスパ最強!」と話題になっており、市場からの注目度がとても高いシリーズです。
▼ 細部の仕様
グリップ周りはオーソドックスな仕様です。
ソルパラもしかり、メジャークラフトのエギングロッドはリアグリップが大きく作られていますね。
重量面では不利なはずですが、ホールド感を重視しているのでしょう。
最大の特徴はブランクにあります。
この価格帯では異例となる、東レの超高性能カーボン「トレカ®T1100G」が採用されています!
普通は4万円・5万円クラスのロッドに使われるカーボンなので、ただただ驚きです。
また、縦・横・右斜め・左斜めの4方向にカーボンを配置するR360構造によって、ロッドに生じるブレを最小限に抑えています。
バットからベリーにかけては、糸絡みの少ないKガイド仕様です。
珍しいことに、ティップ部分にはカーボンフレームのSiCガイドを採用しています。
ガイドを直接ブランクに接着しているので、スレッドやコーティングがなく、軽量化にも繋がっていそうです。
重心位置はフロントグリップの先端あたり。
それよりも気になったのが、指に乗せた時に感じた異常な軽さ。
公式情報に自重の記載が無いので後ほど計測してみると、なんと……91gでした!
▼ キャスティング性能
キャストフィールはとにかく爽快で軽快! もう驚愕です(笑)
振り抜きが良いのはもちろんのこと、何よりキャスト後のブレの収束が早く、穂先がビタッと止まります。
また、軽いにも関わらずブランクの復元力がとても強く、キャスト後半(リリース直前)にロッドがエギを強く押し出してくれます。
参考飛距離は56.4m。
7割くらいの力でフルキャストくらいのスイングスピードを稼げるので、ものすごく燃費が良いですね(笑)
▼ エギの操作性
もちろんシャクリ心地も良く、反発が強くてパリッとしています。
軽いので手首だけでジャークし続けられ、秋に多用するハイピッチのショートジャークがとてもやりやすい。
一気に表層まで浮かせたり、逆にボトム付近をネチネチ誘ったりと、思い通りにエギを操るフィーリングはピカイチですね。
▼ 感度
軽さの恩恵もあるのか、反響感度が良く、障害物とのコンタクトがとてもクリアに伝わってきました。
軽くてバランスが良いので、人間側の感度も高まるような印象です。
▼ エギゾースト5G EZ5-862Mの総評
1日中シャクり倒せる、操作性抜群のエギングロッドでした!
とくに、しっかり飛ばすこと、アングラーの思うままにエギを操ること、この2点が秀でていますね。
イカを釣るのはもちろん、エギを操作する楽しみを存分に味わえる、ゲーム性の高いロッドです。
メジャークラフト エギゾースト 5G EZ5-862M
全長 | 8ft6in |
---|---|
自重 | - |
継数 | 2本 |
仕舞寸法 | - |
エギ重量 | 2-4号 |
PEライン適合 | 0.4-1.2号 |
エメラルダスMX IL 86M(ダイワ)
7本目は、ダイワのエメラルダスMX IL 86Mです。
ILは「インターライン(中通し)」の略で、ラインがブランクの中を通るロッドです。
実売価格は22,000円前後で、エメラルダスシリーズの中ではミドルクラスに当たります。
記事前半でも紹介した通り、インターラインのエギングロッドを作っているのはダイワだけ。
一昔前はネガティブなイメージも多かったですが、近年のインターラインは非常に高性能です。
▼ 細部の仕様
リールシートには、軽量かつ高感度なダイワオリジナルのエアーセンサーシートを採用。
所々にエメラルダスカラーがあしらわれています。
ブランクには、粘りや強度、軽さに定評のあるHVFナノプラスカーボンを用いています。
さらにX45によって補強することで、ネジレやパワーロスへの対策もバッチリ。
インターラインのため、ガイドはトップガイドとエントランスガイド(バットガイド)の2箇所のみ。
抵抗物となるガイドがほとんどないため、見るからに振り抜きが良さそうですね。
重心位置はフロントグリップの少し前ぐらい。
自重は98gと、かなり軽量ですね!
▼ キャスティング性能
独特の振り抜き感はインターラインならでは。明らかにガイドが空気とぶつかる抵抗感がありません!
動画ではわかりにくいと思いますが、キャスト時の風切り音もまったく違います。
また、曲がりがスムーズでウエイトを乗せやすいのも印象的です。
参考飛距離は55.5m。アウトガイドと遜色ない飛距離を叩き出しました!
というのもエメラルダスMX ILは、独自の撥水処理やリニアインターライン構造により、ブランク内で生じるラインとの干渉や摩擦を限りなく減らしています。
キャストフィールもよく、ラインの放出性能はアウトガイドと同等に感じました。
▼ エギの操作性
インターライン最大のメリットとも言えるのが、糸絡みのなさ!
ガイドがほとんど付いていないので“絡む物”な無く、糸フケをたくさん出すジャークをしても、穂先絡みが一切起こりません。
さらに、向かい風や追い風の状況でも、空気抵抗が少ないのでシャープにシャクれるのもインターラインならでは。
自重も軽いので、手首を使ってのジャークや大きな跳ね上げ系ジャークなんかも快適です。
▼ 感度
インターラインは感度が非常に良いことも特徴です。
ロッド全体がガイドとも言えるので、ラインからの情報が手元に伝わりやすいんですよね!
また、アウトガイドのようにガイド間に糸フケができないため、風が吹いても感度が低下しにくいのもメリットです。
▼ エメラルダスMX IL 86Mの総評
やはりインターライン特有のトラブルレス性や操作性、感度が光る1本ですね。
とくにエギングで大切なライン操作がしやすく、それでいて飛距離が劣らないことも好印象!
アウトガイドに慣れている方には少し抵抗があるかもしれませんが、ぜひ使ってみてほしいですね。
ダイワ エメラルダス MX IL 86M
全長 | 8ft6in |
---|---|
自重 | 98g |
継数 | 2本 |
仕舞寸法 | 134cm |
エギ重量 | 2.5-4号 |
PEライン適合 | 0.5-1号 |
メビウス 86M(ヤマガブランクス)
8本目は、純国産ブランクにこだわるヤマガブランクスのメビウス86Mです。
ヤマガブランクスの製造技術の粋を詰め込んだ純国産ながら、実売価格は29,000円前後。
ブランクスの性能にはとことん拘りながらも、装飾をシンプルにすることでコストパフォーマンスを高めているようです。
飾り気のない性能重視のスタンスも、ヤマガブランクスが支持されている理由ですね。
▼ 細部の仕様
リールシートは、Fuji製のVSSをダウンロック式で搭載しています。
ダウンロックは手とナットが干渉しないため、ジャークを繰り返してもナットが緩まないのもメリット。
シンプルな黒基調のデザインなので、どんなリールにも合いそうですね。
ブランクは細くてシャープな印象。
持った時の印象はシャープでも、しっかり曲がって粘るのがヤマガブランクスの特徴です。
ガイドはステンレスフレームのKガイド(SiC-Sリング)。
バット側2箇所は強度に優れるダブルフット仕様です。
ガイド数が多く、ベリー部分からは非常に小口径なガイドになります。
トップガイドを含めて合計10個(一般的なロッドは9個)のガイドが搭載されおり、いわゆる小口径多点配置と呼ばれるセッティングですね。
これには、ガイド間の糸フケを抑えたり、軽量ルアーのキャスト時にもロッドが曲がりやすかったりするメリットがあります。
重心位置は平均的なポジションです。
普通のロッドよりもガイドが1個多いにも関わらず、自重は98gです!
▼ キャスティング性能
キャストフィールは最高レベルです!
エギのウエイトを乗せて大きく曲がり込み、そこから全身の復元力でズバッと加速させながら打ち出す感覚です。
キャスト後のダルさも全然無く、かと言って反発が強すぎてキシキシする感じも無く、とにかく気持ち良い(笑)
参考飛距離は57.1m。
特段優れた記録ではありませんが、誰が投げてもこれぐらい飛ばせると思います。これがメビウスの良さですね!
反発が強すぎるロッドは、まず曲げ込む力が必要なうえに、ブランクの返るスピードが速いのでリリースポイントが狭くなりがち。
しかしメビウスは、しなやかで返るスピードがちょうど良く、リリースポイントもかなり広く感じましたよ。
▼ エギの操作性
シャクリをとても軽快に行え、何より手首への負担が少ないのは嬉しいですね。
力一杯シャクらなくても、曲がり込んだブランクが復元することでエギを動かしてくれるので、思ったよりもエギがしっかり動いていることに驚きました!
いわゆる“ロッドが仕事をする”といったシャクリ感です。
▼ 感度
他のロッドと同様に、着底感や接触感をチェックしてみましたが、感度も良いですね。
エギが着底した際にテンションが抜ける感じや、流れの下に入った際のエギへの水圧変化などもバッチリ分かります。
▼ メビウス 86Mの総評
とにかくバランスが良く、すべてがちょうど良く、個人的に超高評価のロッドでした!
「ちょうど良い」というと曖昧な表現ですが、意外とこういうロッドって少ないんですよね。
最新の素材やテクノロジー云々ではなく、「人間が人間のために作ったエギングロッド」って感じの1本です(笑)
ヤマガブランクス メビウス 86M
全長 | 8ft6in |
---|---|
自重 | 98g |
継数 | 2本 |
仕舞寸法 | 132.5cm |
エギ重量 | 2.5-4号(~30g) |
PEライン適合 | 0.5-1号 |
カラマレッティー 20GCALS-852M(オリムピック)
9本目は、オリムピックが発売するカラマレッティー 852M。
カラマレッティーには86Mの展開がなく、今回の検証では唯一の8ft5inのMクラスです。
先ほど紹介したカラマレッティーUXのワンランク上に当たり、実売価格は29,000円前後。
“高いコストパフォーマンスとメイドインジャパンに拘った”というコンセプトの通り、Made in Japanです。(UXは中国工場かベトナム工場での製造)
マッドブラックがバックの白ロゴが渋いですね!
▼ 細部の仕様
UXはダウンロックのVSSでしたが、こちらはアップロックのVSS。
シンプルなものの、どこか高級感のあるデザインはカラマレッティらしいですね。
ブランク全体は高弾性化されており、バット部にはスーパークワトログラファイトクロスXXとG-MAPS製法を導入。
ブレの少ない軽量かつ高強度なブランクに仕上げられています。
ガイドには軽量なチタンフレームのKガイドを採用しています。
また、ティップ部分には、SiCよりも薄くて軽量なトルザイトリングを使う徹底ぶり。
重心位置は、今回検証したロッドの中ではもっともリール寄りでした。
他に比べて1in短いことと、トルザイトリングを用いたことにより、ティップ側が軽量化されているからでしょうか。
自重は91gと非常に軽量なのですが、リールを付けて持つとそれ以上に軽く感じられました!
▼ キャスティング性能
キャスト時のシャープさも圧倒的で、軽い力で速いスイングスピードを稼げます。
バットの力で飛ばすと言うよりも、ブランクに乗ったエギのウエイトをバット→ベリー→ティップと、段階的にブランク全体で加速させて飛ばす感覚です。
参考飛距離は57.5m。平均して良く飛んでいたのが印象的でしたね!
3.5号をフルキャストしてもまだバットに余裕があり、4号もしっかり飛ばせそうです。
▼ エギの操作性
シャクりやすさは最高クラス!
手の延長のような感覚で、意図した通りにエギを動かす能力はピカイチですね。
とくにバットセクションのパワーや剛性は軽さから想像できないもので、3.5号のエギもバシバシシャクって飛ばせますよ。
▼ 感度
想像通りに感度も良く、とくに反響感度は抜群でした!
エギが岩に触れた感触が、手元までコンッと金属的なニュアンスで響いてきます。
根掛かりも回避しやすくて良いですね。
▼ カラマレッティー 20GCALS-852Mの総評
とにかく軽くて、軽さからは想像できないパワーを備えているのがカラマレッティーの魅力です!
とくに尖っている印象もなく、“超軽量級の優等生ロッド”という表現がぴったり。
たぶん、合わない人はほとんどいないんじゃないでしょうか。
オリムピック カラマレッティー 20GCALS-852M
全長 | 8ft5in |
---|---|
自重 | 91g |
継数 | 2本 |
仕舞寸法 | 131.3cm |
エギ重量 | 2.5-4号 |
PEライン適合 | 0.4-0.8号 |
▼カラマレッティーの詳しいインプレはコチラ
セフィアXR S86M(シマノ)
最後となる10本目は、シマノのセフィアXR S86Mです。
セフィアシリーズの中核を担う大人気シリーズで、実売価格は30,000円前後。
セフィアのイメージカラーである赤黒基調ですが、セフィアBBよりも赤を引き算している印象。
より落ち着いたデザインに感じます。
▼ 細部の仕様
セフィアXRの大きな特徴が、カーボンモノコックグリップ。
リアグリップをカーボンモノコックにすることで、反響感度を高めています。
リールシートもシマノオリジナルの仕様です。
強度と剛性を高め、軽量化を行うために、スパイラルXコアで作ったブランクをさらにハイパワーXで補強。
ブランクはロゴ部分以外塗装されておらず、最外層のハイパワーXによる補強が見て取れます。
ガイドセッティングも非常に複雑で、シマノオリジナルのXガイドとチタンフレームSiCガイドをハイブリッドさせています。
トップガイドから中間まではXガイドを配置し、中間セクションにはSiCガイド、さらにバットにはXガイドを搭載。
とんでもなく複雑なセッティングですね(笑)
重心位置は、フロントグリップとブランクの継ぎ目くらい。
自重は100gで、「ガチガチに補強されたブランクの割には軽いな」と感じました!
▼ キャスティング性能
1投しただけでわかったのが、圧倒的な反発力。
「バットが強い」とか「ベリーが強い」のではなく、ロッド全体がシャキッとパリッとしていて、バシっとエギを弾き飛ばすようにキャストが決まります。
ブレもなくて振り抜きは抜群によく、いかにもシマノらしいキャストフィールです。
参考飛距離は60.4m。エギストSSDを抜き、今回の検証では1番の記録に!
何度キャストしても安定して飛ばせるので、遠投能力に疑いの余地はないですね。
▼ エギの操作性
シャクリに関してもロッドの反発が活き、キレのある鋭いダートを演出できます。
エギに速い初速を与えられるので、軽い力でもしっかりとエギを左右に飛ばしたり、大きく跳ね上げたりするのが楽ですね。
また、近年流行している抵抗系のエギ(ダートするのではなく、泳いで水を掻くエギ)とも相性が◯。
▼ 感度
モノコックグリップの恩恵かはわかりませんが、感度は上々です!
浮いているウィードにPEラインが乗ったザラザラ感や、エギが岩に当たった際のコツンッという感覚もグリップまで伝わってきました。
▼ セフィア XR S86Mの総評
「とにかくシャープで飛ぶロッドがほしい!」って方にはイチオシですね。
遠投性能と遠距離での操作性は、群を抜いていると感じました。
「あと5m飛ばしたい」というポイントや、ゴロタ浜&サーフなんかにはもってこいのロッドです!
シマノ セフィア XR S86M
全長 | 8ft6in |
---|---|
自重 | 100g |
継数 | 2本 |
仕舞寸法 | 133.0cm |
エギ重量 | 2-4号 |
PEライン適合 | 0.5-1号 |
自分に合ったエギングロッドを!
同じ規格のエギングロッドを集めて検証したところ、「どのロッドも違う」ということがよくわかりました!
使われる素材や製法、さらには設計者の意図によって、同じ価格帯でも特性が異なるのが面白いですね。
どのロッドも非常に良くできているので、予算と相談しながら“自分に合った1本”を探してみてくださいね。