ビワマスをジギングで狙える!?
ビワマスはサケ科の淡水魚で、琵琶湖にのみ生息する固有種です。
琵琶湖にしか生息しないうえに漁で沢山獲れない魚なので、その市場価値は高く、「琵琶湖の宝石」とも呼ばれるほど。
漁業ではトローリングや刺し網などで漁獲されますが、近年はポイントやメソッドが少しずつ確立され、ジギングによる遊漁を楽しめるようになってきました。
本記事では、そんなビワマスジギングについて解説します。
▼ビワマスを詳しく知りたい方はコチラ
ビワマスジギングのシーズン
ビワマスジギングが楽しめるのは、12月頃から翌9月までです。
その中でも、比較的釣れやすいシーズンは水温が高くなる5〜9月頃。
1〜4月は水温が下がり過ぎてビワマスの活性が低くなり、釣るのが難しくなります。
また、産卵期を迎える10〜11月は禁漁期間になっているので釣りはできません。
ビワマスジギングのタックル
ビワマスジギングには、スーパーライトジギング用のタックルがばっちりハマります。
適したタックルを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ロッド
ダイワ ヴァデル SLJ エアポータブル 63MLB-S
全長 | 6ft3in |
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自重 | 89 |
継数 | 2本 |
仕舞寸法 | 100cm |
ルアー重量 | 20-60g |
適合PE | 0.4-0.8号 |
ロッドはスーパーライトジギング用のものがおすすめです。
長さは6f程度、60g前後のジグに対応できるものが適しています。
タイラバロッドなども代用でき、口切れが多い魚なので柔らかめのロッドを選びましょう。
スピニングでもベイトでもできますが、カウンターリールを使えるベイトタックルがイチオシです。
リール
ビワマスの回遊しているタナに合わせやすい、カウンター付きのベイトリールがベストです。
シマノ製のカウンターリールは150〜200番、ダイワ製は150番が最適。
スピニングリールであれば、2500〜4000番が適します。
ライン
0.6〜0.8号のPEラインを200m程度巻いておきましょう。
タナが重要な釣りなので、マーキングの入ったPEラインがおすすめです。
リーダーは、フロロカーボンの3〜4号を2〜3mほど接続します。
ビワマスを狙って琵琶湖に!
以前から「ジギングで釣れる」と噂を聞いていて、いつかチャレンジしたいと思い、今回ようやくその機会が訪れました。
ビワマスジギングはなかなか情報がないので、釣りの様子を詳しくお届けします。

今回お世話になったのは、長浜港から出船するdays丸。
成宮船長はビワマスジギングを熟知されており、“夢の1本”を釣らせてくれる船長です。
非常に気さくな方で、ビギナーでも安心して釣りが楽しめますよ。
船は3〜4名のチャーターのみで、お問い合わせは船長のInstagramアカウントのDMまで。
釣行は8月の末。天候は晴れ、朝は少し秋の気配を感じる涼しい日でした。
レイクジギングにおいて潮汐の影響はどの程度あるか未知数ですが、当日は中潮。
琵琶湖北部の長浜港を午前7時に出船し、釣行が始まります!
なお、「近況はかなり渋い」とのこと……。
港から40分ほど度走ったポイントで釣りスタート!
SLJタックルにスパイV60g(ディープライナー)を結びます。
滋賀県水産課の指示により、フックセッティングはフロントもしくはリアにシングルフック1本のみです。
数日前までは大雨の影響でかなり濁っていたみたいですが、今日は悪くないようです。
水深は70m前後、スタート直後から魚探にはちょくちょく反応が映っているようです。
底取りはせず、「反応が出ているタナをダイレクトに探ってみてください」とのこと。
するといきなり、スパイVのロングフォールを止めるアタリが!
しかし、予想よりも遥かに早くやってきた魚信に焦ったのか、フッキングせず……。
1時間半ほど経ったところで、ついに同行者がキャッチ!
ヒットジグは、ディープライナーのスロースキップOvo60g。
格好良いビワマスの魚体を見れて一安心。筆者も続きたいところです。
相変わらず筆者には反応がないので、少しフォールスピードを速めるためにスピンドルナロー60g(ディープライナー)にチェンジ。
ワンピッチジャーク主体で探っていくと、本日2回目のヒット!
20〜40mに反応が出ており、45mからワンピッチで誘い上げ、33mでいきなりゴンッ。
引きが強く、口が切れないか不安になりながら慎重にやりとりします。
浮いてきた魚体はやっぱりデカい! そしてランディング!
……できませんでした(笑)
強烈な首振りやローリング、シングルフックの影響もあってか、バラシはかなり多いみたいです。
流れを掴みきれないまま、あっという間に時間だけが過ぎ、船長から「ひとまずお土産確保のためにトローリングはどうか?」と提案が。
午前11時、まだ船中1本の状況で同行者の顔色を伺い、トローリングへの変更をお願いしました(笑)
なんと、このわずかなタイミングでビワマスを釣ってしまいました(笑)
念願の、人生初のビワマスは40cmほどの個体です。
ここで話を巻き戻してヒットパターンを解説。
少し風が吹いており、60gではちょっと流されすぎる感じだったので、フラッシュメタボTG100g(クレイジーオーシャン)に変更。
水深20m前後をワンピッチジャークで誘っていると、まとわりつくようなアタリからヒットしました。
ここで準備が終わったようなので、トローリングタイムに。
水深20m前後を船で走りながら、ひたすら横方向に引いてきます。
仕掛けを降ろして1分後、穂先にアタリが……。
ジギングでの苦労が嘘のように、あっけなく釣れてしまいました。
2本目までは少し時間を要しましたが、40分のトローリングで2キャッチ・1バラシ。
トローリングの威力に驚きです。
すぐに水深30m前後でヒットさせましたが、またしても水面バラシ……。
同じタイミングで同行者達はキャッチしていたので、時合いだったようです。
釣り上げたビワマスは、どの個体も針穴が広がっていたり、ランディング直後にフックが外れたりしていました。
口がかなり柔らかいので、身切れによる針外れが非常に多いみたいです。
頭側からのランディングを徹底し、フックの選択もよく考えないといけませんね。
最後の5分で、ジグ変更からのヒット! という神演出がきましたが、残念ながらウグイでした。
時期によってはよく釣れる外道だそうです。
結局筆者はキャッチ1本・バラシ2回で終了。
船全体では、ジギングで4名全員が各1本、トローリングで2本の計6本でした。
帰港後、船長の紹介で近くにあるビワマス料理屋さんへ。ビワマス丼をいただきました。
以前ビワマスを食べたことがあったので、美味しいのはわかっていましたが、やはり絶品!
味を言葉で表現すると、サーモンをもっと上品にしたようなイメージです。
濃厚ながら臭みやクセが無くて食べやすく、サーモン系が苦手な方でも食べられると思います。
船長曰く、「ビワマスは3日後の夜くらいが美味しいよ」とのこと。
早速エラと内蔵を出し、キッチンペーパーをお腹に詰めて、ペーパーとラップで包んで冷蔵庫へ。
キッチンペーパーは1日ごとに取り替えます。
ついに訪れた3日後の夜、3日悩み続け、最終的にたどり着いた解答が「刺身と炙り」。
今までいろんな魚を食べてきましたが、間違いなくトップクラス。
刺身は醤油、皮付きの炙りは塩で食べ……優勝!
生食は100%安全とは言えませんが、生涯を琵琶湖で過ごす淡水性のマスなので、アニサキスのリスクはありません。
ビワマスジギングの釣り方
基本的には、オーソドックスなワンピッチジャークでOKです。
上げている時に食ったり、フォール中に食ったり、タイミングによって有効なパターンは変わります。
ジギングのセオリー通り、ジャークの幅や強弱、フォールの幅やスピードなどを変えながら反応を見ましょう。
ビワマスの回遊しているタナが広い場合は、バーチカルにビワマスのタナをひたすら往復するのが有効です。
ただし、ドテラ流し(船を風に乗せて流す状態)なので、糸を流し過ぎるとタナを合わせにくくなったり、フォールの幅を取れなくなったりします。
ラインに角度がつき過ぎた時は、ジグを一旦回収して再投入するか、重いウエイトへ交換してみてください。
ビワマスが一定のレンジを泳いでいるようであれば、スピニングタックルで一定のレンジをキープしつつ、斜め方向に広く探る“トローリング風”な釣り方が良い時もあります。
実釣時に反応があったのはバーチカルな釣りですが、余裕があれば2タックル用意しておくとよいでしょう。
ビワマスにおすすめのメタルジグ
ジグは45〜65gをメインに、波風が強ければ80gほどまで必要です。
有効なカラーは状況によって異なるようで、実釣時はシルバー系にもゴールド系にも反応がありました。
フックはフロントもしくはリアのどちらかに、シングルフック1本のセッティングと決められています。
クレイジーオーシャン フラッシュメタボTG
筆者がビワマスをキャッチしたジグです。
高比重なタングステン素材なので、シルエットがコンパクト。
ジャークやフォールでのアクションは控えめですが、ヌルヌルと泳いでフラッシングでアピールしてくれます。
風が強い時にも使いやすいです。
ラインナップ | 30-100g |
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ディープライナー スピンドルナロー
船縁でバラしてしまいましたが、筆者が大型をヒットさせたジグです。
スピンドルのスパイラルアクションを継承しつつ、スピード感のあるフォールを演出します。
実釣時は、スローなフォールに反応がない時に試すとヒットしました。
スピンドルにもヒットがあったので、スピンドルシリーズのスパイラルアクションが有効なのかもしれません。
ラインナップ | 60-1500g |
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ディープライナー スロースキップOvo
こちらは同行者のヒットジグです。
ジャークするとショートダートし、そこからバイブレーションしながら速めにフォールします。
動き過ぎないアクションと、コンパクトなシルエットでアピールするジグです。
速いフォールでリアクションバイトを狙うのにも有効。
ラインナップ | 30-1500g |
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ウロコ チビウロコ ショート
こちらも同行者のヒットジグです。
クイックに横を向き、そこからキレのあるフォールに移行します。
コンパクトなシルエットで、フォールスピードも速めです。
上方向への移動距離が少ないため、狭いレンジを細かく刻めるのも特徴。
ラインナップ | 30-60g |
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ダイワ TGベイト SLJ
船長おすすめの実績ジグが、TGベイトです。
リトリーブするとスイミングし、フォールは水平姿勢で弱ったベイトを演出。
タングステン特有のコンパクトなシルエットは、喰いが渋い時にも有効です。
口コミ・レビュー
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ラインナップ | 30-80g |
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ビワマス釣りのルール
ビワマス釣りに関しては、滋賀県の漁業規則や水産資源保護法によってルールが決められています。
とくに注意すべきものを紹介すると、
・キープは30cm以上、一人5本まで。
・シングルフック1本のみ。
・採捕したビワマスを販売しない。
・自己で消費する目的以外で、水産加工業者や鮮魚店、飲食店、旅館、ホテルなどに持ち込まない。
このような取り決めがあります。
資源を維持しつつ、継続的にビワマスジギングを楽しむためにルールは必ず守りましょう。
たしかに“琵琶湖の宝石”でした!
ヒットに持ち込むのも、ランディングするのも一筋縄ではいかない難易度の高いターゲットではありますが、その分釣れた時の喜びは格別。
なにせこの広い地球の中でも、琵琶湖でしか釣ることのできない魚です。
食べても最高に美味しいので、ぜひ“琵琶湖の宝石”にチャレンジしてみてください!