赤いダイヤモンド
アカムツは「ノドグロ」という呼び名でも知られる超高級魚です。
その食味は絶品で、kg単価は5,000円、時には10,000円以上の値がつくことも。
そんな超高級魚のアカムツですが、じつは狙って釣ることができます。
本記事では、元釣具屋の筆者がアカムツの釣り方やタックルを紹介し、アカムツを狙って釣行(エサ釣り)した際の模様をお届けします。
アカムツを釣ってみたい方は、ぜひ参考にしてみてください!
アカムツ釣りの時期
アカムツがよく釣れるのは、7〜9月頃の夏期です。
夏になるとアカムツは産卵期を迎え、浅場に多く回遊してくるので釣りやすくなります。
ハイシーズンは夏とされる一方で、アカムツは年中狙える魚でもあります。
アカムツ釣りが盛んな富山沖を例に挙げると、1〜3月頃にホタルイカが大発生してエサへの反応が悪くなり、かなり釣りにくくなることもあるようです。
アカムツ釣りのタックル&仕掛け
ここからはアカムツ釣りに必要なタックルと仕掛けを紹介します。
ロッド
アルファタックル 海人 アカムツ 190
自重:205g
継数:2本
仕舞寸法:98.5cm
オモリ負荷:120-250号
アカムツは口周辺が柔らかくて身切れが多いため、7:3調子もしくは6:4調子がおすすめです。
長さは、手持ちでの操作がしやすい2m前後が適しています。
地域や海域によってオモリの重さは異なるため、遊漁船で使用するオモリに対応した硬さの竿を選びましょう。
水深が浅くてオモリが軽い場合は、専用竿でなく、操作性に優れ、汎用性も高いライトゲーム系の船竿もおすすめです。
リール
ダイワ シーボーグ 300J
ギア比:5.1
最大ドラグ力:16kg
巻取り長さ:70cm
PE糸巻き量:3号-400m
最大巻上力:59kg
常用巻上速度 1kg負荷時:150m/分
ベアリング数:12/1
水深100〜300m程度の深場で釣りをするため、電動リールが必須です。
オモリが重たいので、予算が許すのならパワーの強いものを選びましょう。
シマノは1000〜3000番程度、ダイワは300〜500番程度のサイズを目安に選んでください。
ライン
PEラインの3〜5号を、少なくとも300m以上巻いておきましょう。
万一真ん中付近で高切れすると釣り続行が不可能になるので、狙う水深の2倍を目安に巻いてください。
仕掛け
市販されている専用の胴付き仕掛けがおすすめです。
2〜3本針が標準で、中には5本針などもありますが、遊漁船によっては針数に制限があるので事前に確認しておきましょう。
地域によっては、天秤仕掛けで狙う場合もあります。
アカムツ釣りのエサ
エサはホタルイカやサバの切身、イカタンなどが定番です。
ホタルイカは丸ごと1匹を縫い刺しにします。
喰いが渋い場合は、胴体から引き抜いてゲソと内臓だけにするツボ抜きを行って、目玉の間からチョン掛けします。
アカムツを釣りに行ってみた!
筆者もアカムツが食べたくて、実釣に行ってきました。
初めてのアカムツを釣るまでの様子をレポートするので、ぜひ釣行にお役立てください。
釣行の舞台は、アカムツの好漁場として全国的に有名な富山湾。
岸近くから急深になっている特殊な地形が特徴で、最大水深は1,200m以上だそうです。
朝4時半に集合し、5時頃に出船します。
当日の天候は曇り後晴れ、潮周りは中潮でした。
近況は少し渋めで、ツ抜けできれば好釣果とのこと。
一体どんなところで釣りをするのか、ワクワクしながら準備をしつつ、ポイントまで移動します。
すると、10分ほど走ったところで船が止まり、いきなり釣り開始の合図。
「え?こんなところでするの?」というくらい岸から近いポイントでしたが、水深は既に100mオーバーとのこと。
最初のポイントは130mライン。PEラインは3号でオモリは100号、胴付き仕掛けは2本針です。
中型電動リールと100号以上が背負える船竿をセッティングしました。
エサは船で用意してもらったホタルイカを、「渋い」と読んでツボ抜きして付けます。
着底後にゆっくり誘い上げて、ゆっくり誘い下げるのが基本動作です。
アカムツは警戒心が強いので、速い誘いや激しい誘いなどはNGとのこと。
とにかくスローに丁寧にを誘うことを心掛けました。
誘い下げて着底させ、そのまま仕掛けを少し弛ませると穂先にアタリが!
船中のファーストヒットで、小型ですが本命をゲット!
幸先良いスタートでとりあえず一安心です。
釣れたアカムツを少し観察。
「喉が黒いからノドグロなんだよねー」なんて言っていると。
口の中の主人は、寄生虫のウオノエです。
人体に直接害はありませんが、アカムツの栄養を奪うので、寄生されている個体は若干味が落ちるとのこと。
その後も連続ヒットで良い感じ!
しかし、そう上手くはいかず、案の定沈黙の時間が始まります。
朝7時の時点では、船中全員キャッチの良いペースでしたが、いきなりアタリが止まりました。
ポイント移動を繰り返して、アカムツの居場所を探ります。
イルカも一緒に移動。
外道にはカレイやマフグ、サバ、タチウオ、シログチなどなど。
イルカのおかげ(?)なのか、外道はそんなにうるさくなかったですね。
厄介なのがこの方達。
エサを付けた仕掛けを船縁からぶら下げていると、遠慮なしにエサをひったくっていきます。
仕掛けが絡んでも怖いので、船内に入れておきましょう。
反応は少ないものの、釣れない時こそ丁寧に。
ゆっくり丁寧に誘い続けて、さらに2匹追加。
ある程度の群れでいるのか、周りでヒットすれば同じタイミングでアタることが多かったですね。
結局終わりの時間まで、コツコツやり続けて筆者の最終釣果は6匹。(同行者は3匹)
ちょっと渋い釣果でしたが、この日の竿頭だったようです。
丁寧に誘い続けるのと、バラさないように巻き速度に気をつけてやりとりしたのが良かったみたいですね。
釣りが終わってさらにテンションが上がります(笑)
アカムツは刺身よりも炙りが絶品でした!
美味しそうな脂が溶け出し、香ばしい香りとともに食欲をそそります。
味付けはシンプルに塩だけで十分。美味し過ぎます!
そんなものを超越する美味しさです(笑)
塩焼きとも相性が良い魚です。
ほどよい食感と強い旨味で箸が止まりません……。
アラはもちろんアラ汁に。
これまた最高の出汁が出ます。
アカムツの旨味を楽しむには、少し薄めの味付けが良いでしょう。
アカムツの釣り方
繰り返しになりますが、着底後、ゆっくり誘い上げてゆっくり誘い下げるのが基本です。
アカムツは底から1m程度のタナを泳いでいることが多いので、丁寧に底付近を探りましょう。
ゆっくり誘い下げて着底させたら、仕掛けを弛ませるようにしてアピールし、その後の張らず緩めずのゼロテンションで喰わせの間を与えます。
このゼロテンション時にアタリが出ることがほとんどです。
アカムツの口は柔らかく、身切れやハリ外れも多い魚なので強いアワセは厳禁。
軽く竿を上げて、巻きアワセするくらいで十分掛かります。
掛かったら中間くらいの速度で巻き続けて、最後は必ず玉網で掬います。
置き竿でやりとりするとバレやすいので、手持ちで魚の動きに応じたやりとりをしましょう。
絶品高級魚を狙ってみよう!
アカムツ釣りはバラシが多く、その分慎重なやりとりが求められ、深場から巻き上げてくる時のドキドキ感がたまりません。
個人的に、魚が玉網に入った時の喜びは比肩する釣りがないほど(笑)
驚くほど美味しくて意外と手軽に始められるので、興味がある方はぜひチャレンジしてみてくださいね!