-50℃冷凍の真価(食味)はいかに?
−50℃の低温冷凍が、鮮度落ちの原因となる“メト化”を防ぐことは頭では理解できますが、では、実際に食味にどれほどの違いを感じられるものなのでしょうか?
シイラやカツオは切り身にして−50℃の冷凍保存と、−18℃の家庭用冷凍庫でそれぞれ14日間保存してみました。
シイラの刺身を実食
約二週間冷凍したのち、素早く流水解凍したシイラの身。まずはこちらをいただきましょう。
写真左が−50℃、右が−18℃で冷凍していた身。誰の目で見ても、明らかに色が違うのがわかりますね。左は血合も鮮やかなのに対し、右は退色してしまっています。
では、味にはどれぐらい影響があるものなのでしょうか。それを確かめるには刺身が一番!
シイラは皮に毒があると言われているため、捌く時には注意が必要ですが、“モチモチ”とした食感はシイラならでは。一度食べたら病みつきになる美味しさなのです。
−50℃の方は、釣りたてのようなモチモチとした食感をキープしており、味も食感も非常に優れています。一方−18℃の方はというと、モチモチした食感が失われ、おまけに水っぽい。
カツオを刺身で実食
続いてカツオも流水解凍。こちらは色の変化がシイラよりも顕著に表れる結果となりました。
左の−50℃の方が色が鮮やかなのに対し、右の−18℃の方はくすんでいますね。これはまさに前半で触れた、メト化が起こっているためでしょう。
刺身にしてみると、−50℃の刺身はきちんと角が立ち、身が締まっています。−18℃の方は褐色している上に、身もダラ~とだらしなくなってしまい、非常に捌きにくかったです。
言うまでもありませんが、−50℃冷凍の刺身は歯ごたえがよく非常に美味しかったです。一方−18℃の方はというと、歯ごたえが劣り、水っぽい。
冷凍保存2週間ほどでは、直接的に味に変化があるというよりも、メト化が進むことによって見た目や食感が悪くなり、不味く感じるといった印象を受けました。
ツバスやカマスは内臓ごと冷凍
ツバスやカマスは、試しに内臓ごと冷凍してみました。というのも魚を釣ったは良いけど、下処理する時間がないってことも、しばしばあったりするからです。
そんな時はダメとわかっていながら、内臓ごと冷凍していました。

流水で解凍した後にチェック。内臓部分は多少の褐色があるものの、写真で確認できるほどの大きな色の変化は見られませんでした。
しかし、エラ部分にわかりやすい違いが見られました。左の−50℃の方は“新鮮な赤”をキープしていますが、−18℃の方は鮮やかさが低下しています。

そしてこちらは、先日釣ったカマス。ヘトヘトになって夜に家に戻り、下処理する時間がなかったため、そのまま−50℃で冷凍しました。
流石に水っぽいだろうと、恐る恐る解凍してみると……なんと驚くほどフレッシュ!
カマスも鮮度落ちが早い部類の魚ですが、まるで釣ったばかりのようにハリがあり、新鮮な状態をキープして保存されていたのかが見てとれます。
解凍したカマスは塩焼きにて。時間が経てば経つほど身がだらしなくなる傾向があるカマスですが、まるでさっき水揚げしたかのような鮮度。
肉のストックもお任せ。猟師の方にもおすすめ
釣りキチな僕ですが、普段は山の猟師としても活動をしています。鹿や猪を捕り解体をおこない、食材として調達することもあります。
というのも、一頭から捕れる肉の量は、猪であれば何十キロにも及びます。これを長期的に美味しく保存しようと思うと、一般的な冷蔵庫の冷凍室では、やはりスペースと性能的にも難しいもの。
かといって急速冷凍対応の大型冷凍庫を持ったとしても、乾燥も焼けも避けられない。
もちろん無駄にはしないため、ご近所さんにおすそ分けをするのですが、新鮮な状態で配っていく必要があります。
150Lも入る超低温冷凍庫であれば、肉の長期保存も可能です。何十キロと肉が捕れる猟師にとっては、これほど助かるアイテムはありません。
また猟師によっては、ジビエ肉を加工場施設で解体して、お店に卸す人もいるでしょう。
魚を釣って食べることを最大限に楽しむために
魚を美味しくいただくための性能は申し分ないのですが、一台のコストを考えると、流石に釣りをしない方にまで「一家に一台!」とは言えません。
ですが、「魚を釣って食べること」を楽しみとしている釣り人には、自信を持っておすすめできるアイテムです。
また、魚に限らずお肉の大量保存にも向いているなど、冷凍庫としてのスペックは最高峰と言ってよいでしょう。