水中を丸裸にするライブスコープ
ライブスコープといえば「バスを見ながらルアーを目の前に落として魚を釣るための魚探」と言ったイメージの方も多いのではないでしょうか?
実際にそういった使い方もできますが、あくまでそれはライブスコープの一つの使い方にしか過ぎません。
ライブスコープの最大の魅力は、今までイメージでしかなかったバスの動きや習性を映像として確認できること。
「私は陸っぱりだからライブスコープなんて関係ないよ!」という方も、ライブスコープが教えてくれる”バスの本当の動き”を知識として持っておくだけで、他のアングラーと差をつけるチャンスになり得ます。
ライブスコープの見方
足元から前方にかけて見ることができる
ライブスコープはリアルタイムな映像を映し出します。前方約30mくらいまで。ボートの少し後ろも映し出す事もできますが、基本は前方。
水深と距離がわかるので、慣れればストラクチャーを映し出しながらどこに魚がいるのかを確認することができます。
ただ全ての魚が映るというわけではなく、魚がストラクチャーにピッタリ寄り添っているときは映らないことも多いです。
またルアーを入れて、はじめて魚が動き出して気がつくということも多々あります。
横幅は30°となっており動かすことが必要
ライブスコープは前方全ての範囲が見られるわけではなく振動子の方向に30°の角度を映し出します。
そのためエレキ本体やローテーターという機材を動かして見たい方向に振動子向ける必要があります。
パースペクティブ(横方向)モードだと広範囲に見える
振動子を横に倒すと広範囲に映像を見ることができます。魚がどの方向から回遊してくるのか……ということを映し出すことができるのです。
その反面、縦方向が見えないので泳いでいる深さなどは確認することができません。
ライブスコープで見えたバス釣りの誤解
バスとストラクチャー(カバー)
バスフィッシングといえばストラクチャー。陸っぱりでもボートでもストラクチャーを狙う釣りは基本中の基本です。
釣れ方のイメージとしては、ストラクチャーに隠れていたバスの目の前にルアーが落ちてきてパクッ!といったところでしょうか。
もちろん、そういった状況も多々あるのですが、ストラクチャーとバスの関係はそれだけでないことをライブスコープは教えてくれます。
フィーディング時。やる気のある魚はストラクチャーにピッタリとついておらず、ストラクチャーの周りを泳ぎ回って餌をとっています。
ストラクチャーのキワだけなく、少し離れた場所にもチャンスがあることを覚えておきましょう。
またストラクチャーで釣れたバスは、必ずしもストラクチャーの中に隠れているわけではありません。
じつはストラクチャーの外にバスがいて、ストラクチャーに落ちてきたルアーを見つけて食べに来たということもあるのです。
流れがある場所では、ストラクチャーに際ではなく、その障害物が作り出す流れのヨレにバスがいることが多いです。
またストラクチャーがつくる影が落ちる場所に陣取っていることもあり、ストラクチャーの中やキワだけがバスの居場所ではありません。
“居付き”のバスと”回遊”のバス
ストラクチャー際で釣れるような魚を居付き。オープンエリアで投げ続けて釣れる魚を回遊。
日本のバスフィッシングではそのように認識されていることが多いのですが、ライブスコープを見ていると2種類に分けられるほど単純な話ではないことがわかります。
居付きというとストラクチャーにジッとしていてそこで餌を待ち伏せしているというイメージが強いですよね。
実際バスはストラクチャー際に沢山いますし、数匹数十匹で溜まっていることが多いです。
ところが、そんなバスたちも捕食の際はストラクチャーから出て別の場所で狩りをして、満足したらまたストラクチャーに戻ってくるということが多々あります。
釣り人からすれば待機場所で口を使わせたら。そのバスは居付きと感じますし、捕食場所で釣れると回遊バスと思うでしょう。
バスは一日中常に同じ場所で同じ動きをしているわけではありません。こういった事例があることを知っておくと時間帯やタイミングでどこを狙うべきかのヒントになるはずです。
ほぼ一日中泳ぎ回っている回遊の魚もいます。ただ回遊するバスは単調に泳ぎ回っているだけではなく、要所要所でストップすることがあります。
例えば岬まわりの立木、張り出したウィードなどがその一例。ライブスコープを見ていると魚が突然写りだして釣れるということが多々起こります。
ストラクチャーで釣れる魚も、もしかすると回遊していて、そこに居着いているバスではないのかもしれません。
回遊しているのはベイトのほうかもしれない
ずっと同じところに投げていて、しばらくするとルアーを食ってきた。そんな時、多くの人はバスが回遊してきたと思うでしょう。
ところがライブスコープを見ていると、バスではなくベイトが回遊してきた事で元々そこにいたバスの活性が上がってバイトに繋がった。ということも珍しくありません。
魚がいない
ライブスコープをはじめて見る人が驚くことの一つが、水中には思ったよりバスが居るということです。
バスは沢山いるのに、その殆どがルアーに反応しない。今までルアーに反応するバスは全体のほんの一部……なんてことが言われてきましたが、それはあながち間違いではないかもしれません。
意外とバスはルアーに気がついていない
バスは自分より遠くを通ったり、自分の視覚の外を泳ぐルアーに気がついていないということも多々あります。
アピールという言葉がありますが、バスにルアーを見つけてもらうというのはとても重要な要素。
一投していなければ、バスがいないのではなく、ルアーに気づいていないケースも考慮してみましょう。
釣れたレンジにバスがいる訳ではない
ボトムで釣れた場合、多くの釣り人はバスがボトムにポジショニングしていると思いがちですが、ボトムで釣れる全てのバスがボトムに張り付いているとは限りません。
それは、中層にいる魚がボトムのルアーを見つけて、ボトムまで泳いできて食ってくることもあるからです。その場合、中層を狙ったほうがより釣れるということも珍しくありません。
中層で食ってきた魚が、ボトムにいることだってあるのです。釣れたという事は正解ではあるのですが、バスがどこにポジショニングしているかを考えることで、ショートバイトを防いだり、より簡単に釣る手段を見つけることが可能になるかもしれません。
ベイトが水面に見えるからトップで釣れる?
水面にベイトが沢山いて、追われているような様子がある場合、多くのバサーはトップウォーターやサブサーフェイス系のルアーをチョイスするでしょう。
ところがベイトの群れが縦に分厚い場合、バスは水面のベイトを食っておらずボトム付近でその群れを襲っているということが多々あります。
水面で追われているように見えて、じつは下で逃げ惑う同じベイトの群れに驚いているだけということも。
目に見えるものの信用度は高いですが、場合によってそれがバサーを迷わせる可能性があるということをライブスコープは教えてくれます。
沖の中層でもバスは泳いで、群れで狩りをしている。
バスフィッシングで狙い目になるブレイク。多くのバサーはこのブレイクを狙いますし、筆者もよく狙います。
ところがライブスコープは、ときにブレイクの外でバスが捕食行動を起こしていることを教えてくれます。
バサーからすればなんの変哲もない沖。ここでバスが集団で狩りをするということが実際に起っているのです。
想像を映像にするライブスコープは新しい知識を教えてくれる
今まで不可能だった、水中の様子をリアルタイムで観察する。ということを可能にしてくれたライブスコープはいろいろなことを教えてくれました。
とはいえ、今回ご紹介したことはライブスコープで見えたことのほんの一部。
バスフィッシングには謎がつきもので、たとえライブスコープを使ったとて分からないことは沢山あります。