スーパープレシードにチヌ号数が登場

2021年秋、がまかつから「がま磯スーパープレシード」がリリースされ、筆者も実際に使ってインプレ記事を書かせてもらいました。
2022年春、そんなスーパープレシードにチヌ用の0.2号と0.6号が新たに追加され、とくに0.2号は従来のがま磯シリーズにはなかった新規格とあって注目を集めています。
本記事では、そんなスーパープレシード0.2号の使用感をお届けします!
チヌ号数のラインナップ
号数 | 自重(g) | 仕舞寸法(cm) | モーメント | 先径(mm) | オモリ負荷(号) | 適正ハリス(号) | 定価(円) |
02-53 | 200 | 116 | 20.1 | 0.75 | 1-3 | 0.6-1.75 | 97,500 |
06-53 | 205 | 116 | 20.8 | 0.75 | 1-3 | 0.6-2 | 98,000 |
スーパープレシードの細部&スペックを紹介

基本的な仕様はグレ号数と同じですが、まずはスーパープレシードのスペックをおさらいしておきましょう。
調子

スーパープレシードの調子は、先調子でも胴調子でもない中間的な調子で、がまかつでは“本調子”と表現されています。
大きな曲がりと粘り強さを備えつつ、仕掛けの操作時にはある程度のシャープさが残る設計です。
ブランク

ブランクには、強度に優れる33tカーボン「トレカ®︎T1100G」を用いています。
トレカ®︎T1100Gはチヌ競技SP4やマスターモデル2にも採用されている、世界最高クラスの引張強度を誇る炭素素材です。
また、がま磯シリーズでは唯一の、衝撃吸収性の高い特殊素材を用いた「イナシステム」を導入していることも大きな特徴。
従来よりもさらに竿のタタキやバタつきを抑え、ハリスや針先に掛かる負荷を一定に保ってくれます。
穂先

しなやかさと繊細さ、感度を備えたスーパートップⅡが採用されています。
巻き込み強度も非常に強く、ウキの巻き込み等による破損リスクを軽減。
ガイド

ガイドはトップから元ガイドまで、すべてチタンフレームのIMガイドです。
グリップ周り

樹脂にカーボン繊維を混合したタフライト製のリールシートとラバーグリップを組み合わせた仕様です。

グリップエンドもラバーグリップなので、竿尻を体に当ててやりとりする際にホールド感が強くなります。
0.2号をインプレッション

ここからは新規格の0.2号をインプレッションします。
春ということで、ノッコミシーズンのチヌを狙いました。
操作性

特別に飛距離や精度が優れるわけではありませんが、軽いウキの投入は一般的な0.6号程度のチヌ竿と同じ感覚で行えます。
しかし、大型円錐ウキや自立式棒ウキなどの重いウキを使った場合、キャストフィールに違いが。
張りの強い竿に比べ、ウキの重みで大きく曲がるため、リリースポイントが変わります。
普段軟調竿を使っていない方は少し違和感があるかもしれませんが、筆者も使っているうちにコントロールできるようになったので、これは慣れの問題ですね。

柔らかい竿なので穂先絡みなどを懸念していましたが、ナイロンラインもPEラインも捌きやすく、糸絡みはほとんどありませんでした。
また、ラインメンディングもストレスなく行え、心配していた操作性は“一般的な0.6号と比べて遜色ない”というレベルです。
釣趣を重視した0号などにありがちなベナンベナン感はなく、「これが0.2号たる所以か」と、数字の意味を感じさせられます。
ただし、風に押された時には弱点が現れました。
8m/sの風をまともに喰らうと竿が大きく曲がってしまい、操作が難しかったです。この点は、0.6号や競技系モデルとの差だと感じました。
曲げて獲る醍醐味がある

魚を掛けてからは大きく曲がり込み、「どこまででも曲がり続けるんじゃないか」と感じるほどの懐の深さを感じます。
使い始めてすぐは、あまりにもよく曲がるので、普段先調子系の竿を使っている筆者は不安に感じてしまうほど。
竿を信頼せずに糸を出し過ぎた結果、潜られたり擦られたりして、バラしてしまうシーンもありました。

逆に、思い切って糸を限界まで出さずに、柔軟性を活かしながらグッと耐えると、ジワジワとチヌを浮かせられます。
普段なら糸を出すタイミングよりも、一段階・二段階深いところでもタメが効き、曲げて獲る楽しさを存分に味わえます。
実釣時は最大40cmまででしたが、竿に合ったやりとりさえすれば、年無しも楽しみながら獲れるでしょう。
こちらは40cmのチヌがヒットした時の竿の曲がりです。
じつはこの時、PEラインを使っているのですが、まるでナイロンラインの時と同じような挙動をしています。
イナシステムが採用されたおかげか、伸びが少ないPEラインを使っても、竿がほとんど叩かないのには驚きました。
明らかに手元へと伝わる振動が少なく、チヌがスーッと浮いてきます。
PEラインと好相性

魚からの入力(引き)というのは、おもに竿と糸(厳密に言えば針と人も)で受け止めます。
そのため、伸びが少ないPEラインを使用すると糸がクッションとしての役割を果たさないので、それだけ竿が叩きやすくなり、ハリス切れや針外れ、魚を無駄に暴れさせることにも繋がるのです。
しかし、スーパープレシード0.2号はしなやかで曲がりしろが大きく、糸が伸びない分のクッションを補填してくれるため、PEのネガティブ面を消してくれます。
ライントラブルもなかったので、PEラインとの相性が非常に良いと感じました。
細ハリスを使いやすい

曲がりしろが大きくて叩かないので、“細ハリスをいたわりながら”良型とやり取りすることに長けた竿なのは間違いないでしょう。
堤防や障害物の少ない磯なら、積極的に1号のハリスを使っていけそうです。
普段磯では2号以上しか使わない筆者も、ワンランク細い1.5号ハリスを安心して使えました。
竿がハリスの直線強度をフルに活かしてくれるので、まるでハリスがワンランク太くなったように感じます。
0.6号と比較

オールマイティな0.6号、玄人好みの0.2号。
両号数を実釣比較してみると、ありふれた表現ですが、このような印象を受けます。
「どんな場所でも状況でも1本で」という方には、王道の0.6号がフィットするでしょう。
そんな0.6号に対し、0.2号は“0号の楽しさをベースに、0号のネガティブ要素を極力排した”ような竿だといえます。
そのため、「0.6号よりも遊べる竿が欲しいけど、0号は使いにくそうだな……」という方には非常におすすめな1本。
使ってみると、0.2という数字に込められた意図がよくわかるはずですよ。
“曲がる竿”を使いこなすために

スーパープレシード0.2号はしなやかで大きく曲がる竿ゆえに、大型を取り込めるのか不安になる人も多いと思います。
現に筆者もその一人でした。
普段使っている竿と全然曲がり方が違うため、使い始めた時には違和感があり、何回か切られたのも事実。
使い込んでいくうちに、強い竿とはやり取りの仕方が違うことを実感しました。

そこで最後に、磯竿に造詣が深いTSURI HACK編集部しみけん氏を加え、「曲がる竿で大物を獲るには?」というテーマで議論をしてみました。
tsuki
僕としみけんさんは竿の好みが違いますよね。
僕は普段ハイパワーな先調子気味の竿を使うことが多いですが、しみけんさんは生粋の“低号数・胴調子好き”ですよね?
僕は普段ハイパワーな先調子気味の竿を使うことが多いですが、しみけんさんは生粋の“低号数・胴調子好き”ですよね?
しみけん
そうやね。
マスターモデル2とかアテンダー2、黒冴あたりが好き。
マスターモデル2とかアテンダー2、黒冴あたりが好き。
tsuki
正直、僕は今までよく曲がる竿って、大きな魚を獲りにくいって思っていました。
しみけん
釣具店にいた頃、それとまったく同じことを何回かお客さんに言われたことがある(笑)
だから、案外そう思ってる人は多いんだろうね。
だから、案外そう思ってる人は多いんだろうね。
tsuki
やりとりの仕方が違うんですかね?
しみけん
そうそう。上手とか下手とかではなく、“違う”ってことね。
竿の曲がり方が違うわけだから、やりとりの仕方も当然変わってくる。
竿の曲がり方が違うわけだから、やりとりの仕方も当然変わってくる。
tsuki
曲がる竿で大型を獲るために大切なことは?
しみけん
常に竿を曲げ切った状態を維持する。(大きな曲がりしろを残さない)
極限まで糸を出さない。
この2点じゃないかな。
極限まで糸を出さない。
この2点じゃないかな。
tsuki
両方とも思い当たる節が(笑)
しみけん
竿を立て過ぎて3番節ぐらいを曲げるやりとりをしたり、魚が止まった時にリールを巻かなかったりすると、大きな曲がりしろが残った状態になるよね?
その状態で魚が泳ぐと、曲がりしろの分だけ自由に泳げるわけだから、主導権を取られる形になる。
その状態で魚が泳ぐと、曲がりしろの分だけ自由に泳げるわけだから、主導権を取られる形になる。
tsuki
曲がり幅が少ない元竿まで常時曲げ込んでおくことで、魚を自由に泳がせないってことですね!
しみけん
魚が止まると、竿の復元力によって徐々に曲がりが浅くなるでしょ?
今まで元竿まで曲がっていたのが、魚からの入力が少なくなることによって竿が復元し、元竿→4番節→3番節という具合に荷重が移行するよね。
で、荷重が先側に移行した後に、ドンッと走られると危ないわけ。
今まで元竿まで曲がっていたのが、魚からの入力が少なくなることによって竿が復元し、元竿→4番節→3番節という具合に荷重が移行するよね。
で、荷重が先側に移行した後に、ドンッと走られると危ないわけ。
tsuki
ってことは、魚の引きが緩んだら積極的にリールを巻いて、元竿まで曲がった状態をキープすることが大切ってことですね。
しみけん
胴調子の竿は「元竿あたりでやりとりしましょう」ってよく言われるけど、噛み砕いて説明するとこんな感じかなと。

tsuki
「限界まで糸を出さない」ってことも同じ意味ですよね?
しみけん
その通り。胴調子の美味しい部分って、その名の通りに胴にあるんだよね。
美味しい部分というのは、魚に負荷を掛けられる部分。だから、曲げ込まないと魚は止まらないし、弱らないわけ。
美味しい部分というのは、魚に負荷を掛けられる部分。だから、曲げ込まないと魚は止まらないし、弱らないわけ。
tsuki
頭では理解してるんですけど、慣れるまでは「もう限界かな?」と思って糸出しちゃうんですよ(笑)
しみけん
元竿まで曲がりっぱなしになってると、“のされてる”って思っちゃうんでしょ?
けど、美味しいのは“そこから”なのよ(笑)
けど、美味しいのは“そこから”なのよ(笑)
tsuki
ほんとうにその通りだと思いました!
「竿が折れてもいいや」と思って耐えていると、不思議とスーッとチヌが浮いてくるんです不思議な感覚になりましたね(笑)
今まで使ってた竿と違うぞ。と。
「竿が折れてもいいや」と思って耐えていると、不思議とスーッとチヌが浮いてくるんです不思議な感覚になりましたね(笑)
今まで使ってた竿と違うぞ。と。
しみけん
その感覚がいいんだよね!
魚が引いても元竿でタメると、魚は必死に尻尾を振るけど前に進めないから、魚の位置を変えずに体力を一気に奪える。
魚が引いても元竿でタメると、魚は必死に尻尾を振るけど前に進めないから、魚の位置を変えずに体力を一気に奪える。
tsuki
それを細ハリスでできるってことが、曲がる竿の強みですね。
しみけん
よく“細ハリスをいたわる”って表現がされるんだけど、“細ハリスの強度を限界まで使える”って表現の方が個人的にしっくりくるかな(笑)
tsuki
たしかにすごく良い表現かもしれません(笑)
最初は不安に感じるかもしれませんが、「ハリスを引き千切る」ぐらいの気持ちで竿を曲げ込んで、チヌとのやりとりを楽しんでくださいね!
最初は不安に感じるかもしれませんが、「ハリスを引き千切る」ぐらいの気持ちで竿を曲げ込んで、チヌとのやりとりを楽しんでくださいね!
曲げて楽しい!

スーパープレシードの0.2号は、とにかく曲げて楽しめる竿でした。
曲げ込みながらもイナシステムと本調子の恩恵でチヌを浮かせられるので、チヌの引きをいなしながらやりとりを楽しみたい方にはすごくおすすめです。
実釣では新規格の0.2号をメインに使用しましたが、0.6号も非常に扱いやすい竿だったので、チヌ竿を探している方はぜひチェックしてみてくださいね!
がまかつ がま磯 スーパープレシード 0.2号-5.3m
全長:5.3m
自重:200g
仕舞寸法:116cm
継数:5本
オモリ負荷:1-3号
適正ハリス:0.6-1.75号
自重:200g
仕舞寸法:116cm
継数:5本
オモリ負荷:1-3号
適正ハリス:0.6-1.75号
がまかつ がま磯 スーパープレシード 0.6号 5.3m
全長:5.3m
自重:205g
仕舞寸法:116cm
継数:5本
錘負荷:1-3号
適正ハリス:0.6-2号
自重:205g
仕舞寸法:116cm
継数:5本
錘負荷:1-3号
適正ハリス:0.6-2号
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