怪魚釣りは“物語”
――怪魚釣りの魅力とは何でしょうか?
もちろん、怪魚釣り以外の釣りにも、感動する部分はたくさんあります。怪魚釣りは、釣りの魅力にプラスして「壮大な物語」が付いてくるといったイメージですかね。
例えば、初遠征(マレーシアのトーマン)の時。釣りに関して素人だった私は、トーマンという魚を調べる事からはじめました。
インスタグラムのハッシュタグで“トーマン”で検索。現地のフィッシングガイド“らしき方”を何人か見つけて、「Please teach me!(教えてー)」って、DMを送りました(笑)
英語が得意ではないので、やりとりするのも一苦労。その後、一人のガイドの方と電話が繋がり“なんとなく感覚”でアポが取れて、現地へ飛びました。
――なんとなく感覚でアポが取れて?(笑)
なんとなくです(笑)確かに、何も知らない異国での旅。言葉の問題など、いろいろ不安はありましたが「トーマンを釣りたい!」の一心で体が動いていましたね(笑)
現地ガイドの方は、とても熱心に接してくださいました。釣りの前日も、夜遅くまで準備に付き合ってくれたり、いろいろなポイントに連れて行ってくれたり、釣れるまでスパルタで釣りを教えてくれたり。
言葉は通じていないんですが、私の釣りたいという気持ちが伝わっている。釣り人として心が通じ合っている。そんな不思議な感覚を覚えました。
そして、トーマンを釣り上げたあの瞬間……
今まで経てきた事が、まるで走馬灯でも見るかのように、頭の中を駆け巡って行ったんです。
トーマンの事を知ったあの日から、旅立ちまでの準備期間、クラファンで支援して頂いた皆さん、現地で支えてくれたガイドさん。
私の怪魚釣りは、旅に出る前からはじまっていて、みんなと一緒に作った物語だったんだなって。
怪魚釣りには、ただ魚を釣る事だけじゃない何か……“言葉では表せれない感動や達成感”が詰まっているんです。
釣りの旅を終えた帰りの飛行機では、必ずその時々の物語が脳裏に蘇ってきて、毎度ながらに感動して、泣いてしまいます(笑)
釣りで磨かれた生き抜く力
――釣りを通して変わった事はありますか?
“生き抜く力”が磨かれたと言うと、少し大袈裟かもしれませんが、釣りを通してすごく逞しくなったなと、自分でも思います。
自分ひとりの力で魚を釣り上げる。それ自体も大変なんですが、海外遠征をして、さらに怪魚を釣り上げる…….となると、越えなくてはいけないハードルはさらに多く、高くなります。
ですが、釣るためには、未経験の事も、自分ではできないような事も、せざるを得ない。
怪魚を釣っていく中で「私ってもしかして、なんでもできるのかも?」と自信がつきましたね(笑)
――逆に弱くなった部分は?
女子力は低下しましたかね(笑)じつは私、虫も嫌いだったし、泳げないし、水も怖い〜って感じだったんです。
でも、一度釣りの旅に一度出てしまうと、夏場でもお風呂に5〜6日入らない事もあります。今はハエが寄ってきてもなんとも思わなくなっちゃいました(笑)