真冬〜春チニング「ボトムゲーム」のススメ
「冬の間はオフシーズン」という声も多く聞かれますが、個人的には、冬はチニングのハイシーズン。
数こそ釣れないものの、釣れればでかい、魅力のある釣り。50cmを超える年無しも夢ではありません。ちょっとしたコツとともに、オススメのジグヘッドたちを紹介します。
狙うは、甲殻類を捕食するコンディションの良い魚
水温が下がると、チヌも深場へと移動すると言われています。ただ、そんな状況下でも浅場に残っているチヌはコンディションの良い個体が多い印象。
また、晩冬から初春にかけては、ノッコミと呼ばれる産卵を意識した魚も浅場に戻ってきます。
バイブレーションを使ったボトムゲームもありますが、ここで紹介するのは、ジグヘッドを使った「ズル引き」の釣り。
この釣りの良いところは、テクニックがまったく要らないこと。ただただ無心で、ルアーをズルズルするだけです。
ポイントの選び方とタイミング
ポイントは、満潮時でも水深3mまでの、甲殻類が潜みそうな水流のゆるい場所。
砂や泥底に、岩が点在しているような場所がベスト。私の通っている場所は太平洋側ですので、干潮時には水深が1mぐらいにもなる場所です。
……とは言え、水深うんぬん言われてもピンと来ないと思いますので、手っ取り早いポイントの探し方をお伝えします。
もちろん、磯場は例外ですし、フカセやダンゴ釣りも深場を狙うことが多いです。
チニングだけでなく、前打ち(餌釣り)で釣果が上がっている場所がやりやすいと思います。
餌釣り師の知見は歴史と情報量が半端じゃないので、尊敬の念を抱きつつ、あくまで謙虚に活用させてもらいましょう。
ちなみに、狙う時間は夜。オススメは、日没後で潮が上がるタイミング。個人的には、上げ2分ぐらいの釣果が良いです。
「暗くなって警戒心の下がったチヌが、岸際の甲殻類を意識しているため釣りやすい」というのが持論です。
ボトムゲーム、いわゆる「ズル引き」の釣りのコツ
ズル引きで大事なことは、必ず底を取ること、そしてゆっくり巻くこと。
底から離れるとなかなか口を使ってくれません。また、現地でカニやエビを見てみるとわかるのですが、動きは極めてスローです。
ここで具体的なコツをひとつ。ハンドル1回転につき、「4秒」かけてください。
私から伝えられるコツは、これだけです。オススメのジグヘッドを後述しますが、ルアーは正直好みですし、エビかカニっぽければ大丈夫。そんなことより、「4秒」です。
お手元のリールを握って、実際に回してみてください。「おそっ」っと思われると思います。
ですが、そのぐらいが、ズル引きです。スムーズに巻いてもOKですし、ぎこちなく回しても大丈夫。それはそれで、生命感のあるアクションになります。
イメージは、タイラバのおかっぱりバージョン
ルアーが着底したら、低速でズルズルしてください。岩や障害物にスタックするまで、永遠にズル引きです。軽くスタックしたら、ロッドを上にあおって外しましょう。
ゆっくりと巻いているので、スタックにもすぐ気づくことができるはず。「砂や泥の底質を感じつつ巻いていると、時折スタックする」ぐらいの場所が釣りやすいです。
スタック以外のイメージは、ほぼタイラバの釣り。ロッドアクションは不要で、リールのハンドルを巻き続けるだけです。
合わせ方も、タイラバと似た感じでOK。ガツガツガツっと来ても、慌てずゆっくり巻き続けましょう。
即合わせはNG。魚の重みがロッドのベリーに乗ってから、巻き合わせをしてください。
ズル引きの釣りで気をつけたい、2つのこと
1つ目は、気をつけなくても気をつけていてもする、スタックからの根がかり。
やっかいなことに、根がかりしやすいところが釣れるポイントでもあります。
この釣りは、致命的な根がかりをどう避けるかが重要。底質を感じつつ、根がかりのしづらいルアーを選択することが必要です。
そして、針先を尖らせておくこと。これが2つ目です。
この時期のバイトは、母数が少ない上に、小突くようにアタックすることが多いです。
また、チヌの歯はとびきり硬く、岩のようなので、針が刺さりません。
歯の内側はもちろん、唇でも、触れれば刺さるぐらいにしておきたいところ。
そのため私は、針先がむき出しで、転がったり倒れたりしない、針先が常に上を向くタイプのジグヘッドを使用します。
テキサスリグやフリーリグの使用頻度が低いのはこういった理由があります。
実績と信頼のオススメジグヘッドたち
さて、前置きが長くなりましたが、オススメのジグヘッドを紹介します。
どれも実績のあるルアーたち。それぞれ、良し悪しがありますので、その点も踏まえて参考にしてみてください。
名前負けしない「ネガカリノタテ」
シマノのネガカリノタテは、その名の通り、根がかりの回避力が抜群です。どんな岩も牡蠣殻も乗り越えてくれるのでは、と思わせてくれるほどの回避力。しかも、釣れます。
船底のような形状の大きなヘッド(ボディ?)が特徴的で、底質は感じにくいですが、障害物をするりと避けてくれます。「まずはこれから使ってみてほしい」と思える、ズル引き専用ジグヘッドです。
シマノ ネガカリノタテ 5g
2個入りが魅力の「ちびチヌヘッド」
ジャッカルのソルトブランドから販売されている、ちびチヌヘッド。最大の魅力は、「2個入り」でコスパが高いところ。1個ロストしても、もう1個あるぞ、という安心感。
針がしっかりと上を向くので、針先を守りたい気持ちにも応えてくれます。底質の感知能力も十分。ズル引きに必要十分な機能を備えています。
惜しい点は、針がヘッドに直接付いているので、交換がしづらいところ。そのため私は、針先が鈍ったら針を折って外し、スプリットリングを追加して装着しています。
ジャッカル ちびチヌヘッド 5g
スタック感がちょうどいい「根魚玉」
岩礁帯に潜む根魚をターゲットにして開発された、isseiの根魚玉。根がかりの多発する場所での使用を想定してあり、転がりすぎずにしっかりと止まるヘッド形状です。
底質把握には、これが最適。スタックはしやすいですが、アイが上を向いているので深くは食い込まず、ラインをあおればポンッと外れてくれます。
カルティバのマルチオフセットフックが付いているので、場所や時期によってはそのまま使ってもOK。
ヘッドが銀色と黒色(バス用)とありますが、私は黒色を多用し、フックをチヌ針に交換しています。
これは、黒色だと1/0のオフセットフック付きが選べるため。1/0のフックは、交換して余っても使用する機会が多いのです。
イッセイ 根魚玉 ブラック 5g
オーナー リグフックチヌ
グッと底を掴む、「スライディンヘッド」
デコイのスライディンヘッドは、尖ったヘッド形状が特徴的。
紹介するものの中では、最もスタック感が強いです。そのため、泥底や砂地などでも、ノー感じになりづらくなっています。
もちろん、長所と短所は表裏一体なので、岩にめり込んだりもします。
ただ、ヘッドのみで販売されていて、コスパも高く、重さのバリエーションも豊富。
ちなみにスライディンヘッドは、ソルトだけでなく、ブラックバス相手でも活躍する1品です。
横アイのフックの装着を前提につくられていますので、縦アイのシングルフックをつかう場合、スプリットリングを噛ます必要があります。
カツイチ スライディンヘッド 5g
あとはもう、ルアーをズルズルするだけです
真冬から春のチニングは、アタリの数も釣れる数も少ない釣り。ただ、釣れればでかい、です。
皆さんもこれを機に、ひたすらゆっくりルアーをズルズルしてみてはいかがでしょうか。
なお、この釣りに慣れると、ほかのルアーのスローリトリーブが得意になるという副産物もあります。
5g程度のジグヘッドを引くだけですが、5インチのシャッドテールワームを巻くのが上手くなりますよ。
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