オニカサゴを釣ってみよう!
オニカサゴはカサゴの一種で、食味が良くて高級魚とされています。
深い場所に生息しているため、陸から釣れることはほとんどありませんが、船釣りでは人気のターゲットです。
本記事では、元釣具屋の筆者がオニカサゴの釣り方、毒針の処理、食べ方などを解説します。
オニカサゴとは?
釣り人が「オニカサゴ」と呼ぶ魚の正式名称は、イズカサゴです。
釣りや食の対象として通称オニカサゴと呼ばれますが、標準和名がオニカサゴの別種が存在しています。
また、関西ではオコゼやオキオコゼとも呼ばれるものの、標準和名がオコゼやオニオコゼの別種が存在するため、混同されがちです。
釣りの対象魚としてのオニカサゴ(イズカサゴ)は、鮮やかな赤やオレンジの体色が特徴。
関東以南に分布し、水深80〜200m程度の深場に生息しています。
毒のある棘に注意!
オニカサゴのヒレには毒針がたくさんあります。
そのため、釣り上げた場合は刺さらないように注意し、切っておくのが好ましいでしょう。
魚が死んでも毒は残るため、切ったヒレを船上などに残さないように注意が必要です。
毒針の部位や処理方法は記事後半で解説します。
オニカサゴ釣りの時期
オニカサゴは通年で釣れる魚です。
その中でも、秋から春にかけての寒い時期に出船する釣り船が多く、一般的にはこの時期がハイシーズンとされます。
地域によっては夏場に出船するところもありますが、低水温期と同等の釣果が期待できます。
オニカサゴ釣りのタックルと仕掛け
ここではオニカサゴを釣るのに必要なタックルと仕掛けを紹介します。
地域によって多少の差はあるものの、天秤仕掛けを用いたエサ釣りで狙うのが基本です。
竿
ダイワ ディープゾーンX 120−180
自重:220g
継数:2本
仕舞寸法:95cm
オモリ負荷:80-250号
竿は2m前後、200号程度までのオモリ負荷に対応するものを選びましょう。調子は、8:2調子か7:3調子が扱いやすいです。
水深が浅くてオモリが軽い場合は、タチウオテンヤの竿なども代用できます。
筆者は水深90m前後、オモリ80号を使用する環境でタチウオテンヤタックルを流用してみましたが、問題なく釣りができました。
リール
ダイワ レオブリッツ 300J
ギア比:4.4
最大ドラグ力:10kg
巻取り長さ:84cm
PE糸巻量:3号-400m
ベアリング数:13/1
深場で重たいオモリを使用するため、電動リールが必須です。
2〜4号のPEラインが300m巻けるサイズを選びましょう。
シマノでは600〜2000番、ダイワでは200〜300番がおすすめです。
ライン
PEラインは2〜4号を300m以上巻きましょう。
遊漁船によってはラインの号数を指定していることも多いため、釣行する前に船宿によく確認してください。
仕掛け
市販のオニカサゴ用天秤仕掛けを用意しましょう。
2本針と3本針の仕掛けがありますが、慣れていない方はトラブルが少なく、手返しに優れる2本針がおすすめです。
親子サルカンとスナップサルカン、ムツ針、ハリスがあれば簡単に自作もできます。
エサ
もっともスタンダードなエサはサバの切り身です。
他にはサンマの切り身、イカの短冊、ホタルイカなども使います。
状況によってアタリエサが異なるため、何種類か用意しておきましょう。
釣具店で販売されているサバの切り身でも釣れますが、サイズが小さいのでスーパーでサバを買って好みの大きさにカットするのもおすすめです。
オニカサゴの釣り方
ここからはオニカサゴの基本的な釣り方を紹介します。
エサ付け
サバの切り身を使う場合、10〜15cm程度の大きさにカットしましょう。
ハリは皮側から刺して、チョン掛けにします。
エサが小さ過ぎるとカサゴなどの餌食になってしまうので注意してください。
誘い
着底後は50cm〜1mほど底を切り、その状態から仕掛けを上げ下げして誘います。
しばらくしてアタリが無ければ再度着底させて底を切り、誘いを繰り返しましょう。
底ベタ過ぎるとカサゴなどの外道が釣れやすく、少し底から浮かせることがオニカサゴを釣るコツです。
アタリ・アワセ
オニカサゴの前アタリは意外と繊細です。
前アタリを感じたら少しずつ竿で聞いて、オニカサゴが反転して竿に重みが乗る本アタリが出てから、大きくアワセるようにしてください。
前アタリの段階で速アワセをするとすっぽ抜けます。
やりとり
電動リールで一定の速度で巻き上げつつ、オニカサゴが暴れたら速度を緩めるようにしましょう。
水面付近でも暴れる魚なので、素早く取り込めるように準備しておいてください。
大型の場合は玉網ですくい、抜き上げる場合は毒針が刺さらないように周りに十分注意しましょう。
毒針の処理
オニカサゴを捌く場合は、毒のあるトゲに注意しましょう。
黄色で囲ったのが毒針の位置です。
トゲがある部分はほぼ毒針で、個体差もあるようなので、疑わしい部分はすべてカットしましょう。
安全のため、ゴム手袋や軍手などを付けて作業するのをおすすめします。
背ビレにはたくさんのトゲがあるため、まずは背ビレをカット。
尻ビレの前方にも毒針があります。
腹ビレもカット。
エラ蓋や頭周りもたくさんトゲがあります。
怪しい部分はすべてカットしましょう。
顔の周りは細かいトゲが多いため、ニッパーがあると作業しやすいです。
カットした毒針はキッチンに飛び散らないように集めて捨てましょう。
飛び散った毒針が誤って刺さると大変です。
オニカサゴの食べ方
オニカサゴは食味が抜群な魚です。
美味しい食べ方を紹介しますので、こちらも参考にしてください。
刺身・炙り
刺身の食感は柔らかく、強い甘みと旨味が特徴です。その濃厚な旨味は、イセエビに例えられるほど。
炙りは、皮付きのまま炙ってポン酢で食べるのがおすすめです。刺身とは異なる味わいが楽しめます。
酒蒸し
上品な白身魚なので、酒蒸しとの相性が○。
日本酒、塩、ゴマ油、長ネギでしばらく蒸します。
シンプルな味付けで、素材の良さが引き立つ一品です。
鍋
オニカサゴの定番料理です。
柔らかい身は火を通すとプリプリの食感に変化するため、刺身との食感の違いを楽しめます。
皮にも旨味があるため、皮付きのまま火にかけてポン酢で頂きましょう。
あら汁
オニカサゴの余った部分はすべてあら汁に。
根魚はだいたい良い出汁が出ますが、オニカサゴはその中でも最上級です。
捨てる部分はありません。
肝の甘辛煮
オニカサゴは肝も美味なので、新鮮なうちに頂きましょう。
旨味は十分あるものの、肝のわりにはくどくない味わい。
甘辛煮の他にも、肝あえや肝醤油にしても美味しいようです。
ヒレ酒
毒のない尾ビレと胸ビレは、ヒレ酒で味わえます。
ヒレは十分乾燥させてから軽く炙り、それに熱々に温めた日本酒や焼酎を注げば、寒い冬には最高な一杯の完成です。
香ばしさとヒレから出るコクが絶品ですが、飲み過ぎには注意しましょうね。
小型はリリース推奨です
オニカサゴ釣りでは、アマダイやカサゴ、沖メバル、アラなどの美味しい他魚もよく釣れます。深場から魚を上げてくる時のドキドキ感がたまりません!
そして、食べても美味しいオニカサゴですが、繁殖力の強い魚ではありません。
成長も遅いため、小型のオニカサゴが釣れた場合はなるべくリリースし、長く釣りを楽しめるように心掛けましょうね。