バス釣りのルアー

という、釣り人あるあるな会話。新しいルアーが発売されたら買ってしまいがちですよね。
筆者も例に漏れず、新しいルアーはとりあえず買って試してみるのですが、1回投げただけでそのままボックスの奥へ……なんてことが多々あります。
決して安くはないルアー。釣れないままボックスの肥やしになってしまうのは悲しいですよね。
沢山あるルアー。釣れたルアーは何個だろう?

これは全部使っているやつですが、三軍以降のボックスに入ったルアーは何年も使っていないものが沢山あります……
よくよく考えてみると、釣れるルアーは1つで何十匹、中には何百匹と釣っているのに対し、1匹も釣ったこと無いルアーは出番がないまま奥の奥に仕舞われていくなんて事もあります(笑)
ボックスの控え組ルアー達を輝かせる術ってないんでしょうか?
なぜ肥やしになってしまうのか
メーカー動画とのギャップ

SNSや動画コンテンツ全盛の令和時代。メーカーのプロモーションを観ていると、さも自分も同じように釣れそうな気持ちになるのですが、そう上手くはいかないのが釣りの難しい所。
同じように使っているはずなのに結果がでなかったり、動画で観たような動きが出せなかったり、そもそも、そのルアーの出しどころがわからず挫折するパターンです。
自分のフィールドとのギャップ

ルアーは造り手が、自分の想定したフィールドで輝くように設計されています。
ともすればルアーが生まれた状況と、あなたが釣りをするフィールドの状況がまるっきり違うなんて事も。
例えばマッディレイクで生まれた波動の強いルアーがクリアレイクでは使いにくかったりするようなアンマッチが発生するのは珍しいことではありません。
釣りを変える勇気がない

シンプルですが、最も多い理由は実はこれなのではないでしょうか。
貴重な釣りの時間、ボウズだけは免れたいという想いから、ついつい釣果が堅い、いつもの釣りをしてしまう。それ故に新しく買ったルアーを使い切れないというケース。
どんなルアーでも投げなければ釣ることはできません。釣行時間に占める割合と確率の話で、いつものルアーを投げている時間が90%、新しいルアーを投げる時間が10%だったとすると、いつも投げているルアーの釣れる確率が高くなるのも当然と言えるでしょう。
ルアー選びの根本的な考え方

肥やしとなってしまったルアーを救うには、それらを実際に使うしかありません。
ですが、使いどころが分からない、信じられないルアーを“無理して使うのも違う気がします”よね。
「じゃあ、どうして買ったの?」となりますが(笑)、実際に買ってみないと、前述した“ギャップ”に気づけない事もあります。
では、改めて使うキッカケとして、そのルアーの必要性に着目してみましょう。
そもそも新しいルアーというのは、なぜ生まれてくるのか?
それは造り手が「今までのルアーではできない事をしたい」と思ったから、必要性があったからではないでしょうか。
ルアーを縛って、ルアーの必要性に気づいてみる
バスフィッシングは良くも悪くもルアーの選択肢が非常に多い釣りジャンル。初心者でなくても迷ってしまいますよね。
では、選択肢が少なければ、一体どんな事が起こるのでしょうか?
バス釣りの超定番ルアー“スピナーベイト”を例に、ひとつのルアーを使い続けることで起こる事を見てみましょう。
▼ そのルアーが効く状況がわかる

スピナーベイトを練習すると決めたら、スピナーベイトをひたすら使い続けることでスピナーベイトがいつ・どこで・どのような場面で効くのかを知ることできます。
スピナーベイトを実際に通せるか否かといった単純な事だけでなく、スピナーベイトが効く状況であるかは、スピナーベイト使い倒す事でしか知る事ができません。
動画などを見て擬似体験はできますが、実体験で得られる情報量や納得感には、大きな差があるでしょう。
例えば、スピナーベイトは濁り水でしか釣れないと思っている人が居たとします。でもクリアでも全然釣れますよね。それはクリアで、実際に投げ込んでみないと分からない事なんです。
▼ 一つのルアーで色々な使い方があると知る

どんなルアーにも使い方というものがあり、その使い方は1つとは限りません。
スピナーベイトなら表層で行うガーグリング、中層で使うただ巻き、カーブフォール、ボトムでスローロールなどなど、一つのルアーでも何十通りの使い方があるのです。
ひとつのルアーを使い続けることで、そのルアーが持っている引き出しに気づく事ができます。
▼ 同じジャンルのルアーの使い分けがわかる

スピナーベイトが効くシチュエーションや使い方を知った次の段階にくると、使いたいシチュエーションや使い方に最も適したスピナーベイトのタイプが、おのずと理解できてくると思います。
例えばブレード形状一つにしても、ゆっくり引きたいならコロラドブレード、速く引きたいならウィローリーフなど、形によっても得意な事が違います。
ルアーの性質をきちんと理解していれば、沢山の種類のスピナーベイトを持っていたとしても肥やしにならず出番がやってくるはずです。
シーズンごとに3個程度のルアーを決めて使い込む
スピナーベイトに絞って、いちジャンルに縛って釣りをするというのがなかなか勇気も忍耐も必要です。
以下では選択肢を数個に絞ったケースを見ていきましょう。
▼ ローテーション迷子にならない

夏のため池を想定して3つだけルアーを選ぶとします。
例えば羽根モノ、ラバージグ、スピナーベイトの3つのルアーをボックスに忍ばせたとしましょう。
攻め方は人それぞれですが、大まかな流れとして……
トップである羽モノでシェードや流れ込みなどを探る
ラバージグでカバーやボトムを釣っていく
最後にスピナーベイトで広範囲を探る
といったシンプルなローテーションになるはずです。
限られた選択肢の中でルアーの役割分担をきめることで、ルアーローテーションがより上手くなります。
これが、選択肢がいくつもあるとどうでしょうか。どれを投げて良いかわからなくなったり、一つ一つをやり通す時間が短いので、それが正解だったのか不正解だったのかも分からないまま。
結局、いつも投げているフィネスワームを毎度のポイントに投げる……という結末になりがちです。
▼ 足りないピースがわかる

ルアーには得意・不得意の他に、可能・不可能が必ず存在します。3つのルアーだけローテーションして釣りをしていくと、「3つのどれを使っても対応できない!」というシチュエーションに出くわすでしょう。
例えば夏のシャローにて。「小魚が岸に追い詰められているのに、小魚サイズのペンシルベイトを持っていない!」 といったように、自分で発見するケース。
例えばマッディーフィールドにて。「自分はスピナーベイトで全然釣れないのに、同行者はブリブリ系のクランクベイトで3本も釣っている!」といったように、同行者に気づかされるケース。
現場で体感する、今持っているルアーだけではカバーできないといった状況。それこそが新しいピース(ルアー)を投入する間違いないタイミングと言えるでしょう。
理解と積み重ねが大事
スポーツの世界には、名将と呼ばれるような監督がいますよね。
彼らは、各選手の個性や能力をしっかりと把握し作戦を立てるだけなく、時には驚くような采配でチームを勝利に導きます。
そんな監督もいきなり名将と呼ばれるようになった訳ではなく、きっと選手時代や下積み時代があった事でしょう。
バス釣りも、いきなり全てのルアーを理解し、使いこなせる人はいません。
まずは1つ、次に3つ。少しずつ少しずつ、ルアーに対しての理解度を高め、じわじわと範囲を広くしていく。
その積み重ねこそが、ボックスの“肥やし”を“切り札”へと進化させる唯一の方法のような気がします。
もちろん、理解が深まるにつれ、自分にとって、自分のフィールドとって必要性を感じない、戦力外のルアーが出てくる事もあるでしょう。
ただ、それも必要な経験の一つ。スポーツチームといった組織も、ルアーボックスも、新陳代謝を繰り返して成長していくものなのです。
ルアーの得意・不得意、可能・不可能を意識し、時に勇気を持って使ってみてください!