パワーゲーム対応のエントリーリールがフルモデルチェンジ
ショアやオフショアのパワーゲーム対応のエントリー機「スフェロスSW」が、2021年秋にフルモデルチェンジ。
4000番までは19年にラインナップされていましたが、5000番以上の大型番手がモデルチェンジされるのは2014年以来で、実に7年ぶり。
エントリー機らしからぬ数々の機構を搭載した、話題のリールをガチでインプレしていきます!
ラインナップ
21モデルで登場するのは、5000番から8000番の大型番手。
ロックショアゲームや、近海ジギングにベストなサイズです。
全てのモデルの価格が1万円台。この手の釣りに使うリールとしては、にわかには信じがたい安さでしょう。
品番 | 自重(g) | ギア比 | 最大巻上長(cm/ハンドル1回転) | 実用ドラグ力/最大ドラグ力(kg) | PE糸巻量(号-m) | 本体価格(円) |
5000HG | 445 | 5.7 | 97 | 5.0/10.0 | 2-350、3-240、4-170 | 16,800 |
6000PG | 450 | 4.6 | 83 | 5.0/10.0 | 2-440、3-300、4-210 | 16,800 |
6000HG | 450 | 5.7 | 103 | 5.0/10.0 | 2-440、3-300、4-210 | 16,800 |
8000PG | 670 | 4.9 | 94 | 5.0/13.0 | 3-410、4-300、5-250 | 18,600 |
8000HG | 665 | 5.6 | 107 | 5.0/13.0 | 3-410、4-300、5-250 | 18,600 |
21スフェロスSW、スペックが凄い
7年の歳月を経て登場した21スフェロスSWは、ちょっとビックリするレベルでハイスペック。
搭載されている数々の機構を解説します。
冷間鍛造のHAGANEギア
注目したいのが、精密冷間鍛造ギアが採用されたこと。
14モデルが亜鉛ダイキャスト製のギアだった事を踏まえると、飛躍的な進化です。
ギアの精度が上がったことで高負荷時のロスを軽減し、軽量化にも貢献しています。
インフィニティドライブ
もう一つの注目ポイントがインフィニティドライブの採用でしょう。
ステラSWをはじめとした上位機種のテクノロジーが、最下位機種にまで搭載されたのはシマノが本気な証かもしれません。
ブッシュやシム、構成パーツや素材がステラSWなどとは異なるため、全く同等性能のものではないようですが、1万円台という値段を考えると十分すぎる機構です。
HAGANEボディ&Xシップ
ボディは軽量金属製のHAGANEボディ。フットを含む半分が金属製で、蓋となるもう半分は樹脂製です。
さらにメインギアの駆動部はXシップ。歪みづらいボディとの相乗効果で、高負荷時のリーリングをサポートしてくれます。
Xシールド&Xプロテクト
防水構造は、特殊撥水グリスやシーリングパーツによるXシールドと、摺動・回転分を撥水グリスやラビリンス構造で守るXプロテクトが採用されています。
低価格リールに起きがちだった塩ガミやパーツの劣化も、しっかり防いでくれます。
カーボンクロスワッシャ
14スフェロスSWではフェルト製だったドラグワッシャは、カーボンクロスワッシャへアップグレード。
ドラグの耐久性・耐熱性が高まり、大型魚のダッシュにも耐えてくれます。
ねじ込み式ハンドル
地味に嬉しいのが、ねじ込み式ハンドルになった事。
ガタつきにくく剛性に優れ、冷間鍛造ギアとの相乗効果で力強い巻き上げを可能にしてくれます。
21スフェロスSW 8000HGをVSヒラマサでガチインプレ!
1万円台で驚きのスペックを実現している21スフェロスSW。8000HGを使って、その実力をジギングで検証していきます。
対戦相手は玄界灘のヒラマサ。相手に不足はないでしょう!
PE3号+50lbリーダーを組み合わせ、ジギングで狙っていきます。
空巻きだと想像以上に軽くてスムーズ
負荷がほぼかかってない状態でハンドルを回してみると、思いのほか軽く滑らかにローターが回転します。
廉価大型リールにありがちな”どっこいしょ感”が少なく、この時点では1万円台とはとても思えません。
負荷が掛かるとどうか
一転して負荷が掛かかると、巻きがグッと重くなります。
21スフェロスSWを使う直前まで、21ツインパワーSWで同じ釣りをしていましたが、歴然とした差を感じます。
感覚的に言うと、ジャーク時の巻き上げに1.5倍くらいの力が必要で、さすがに価格なりの性能差が出てる印象。
1日しゃくり続けることを考えると、「楽させてくれるリール」ではなさそうです。
剛性はひとまず実用レベル
4kg前後のヒラマサとやり取りしてみましたが、魚を獲るために必要な巻き上げ剛性は確保されていると感じました。
とはいえ、上位機種のようにゴリ巻きできる強さはないので、アングラー側に魚との距離を詰めるテクニックが要求されます。
逆に言うと、ロッドポジションの使い分けやポンピングなど、やり取りの基礎を体に叩き込むにはちょうどいいかもしれません。
ドラグは素直で堅実な挙動
ドラグは必要な分が必要なだけ出る素直な挙動。
前述のヒラマサは船ぎわで強めの突っ込みをみせましたが、難なくいなすことができました。
カーボンワッシャーで耐久性や耐熱性も向上しているのもあるため、さらに大型の魚が相手でもいけそうな雰囲気です。
ライントラブルは特になし
今回の実釣ではトータルで4時間ほど使用していましたが、その間にライントラブルはなし。
ジギングという比較的糸ふけが出にくい釣りだったのもあるので、キャスティングを要する釣りならどうなのか、今後試してみたいところです。
21スフェロスSWの使用感をまとめます
21スフェロスSWを使った実釣でのフィーリングを踏まえ、インプレをまとめていきます!
思ってたより全然使える!
使う前まで抱いていた、「1万円台で買えるリールでほんとにヒラマサ釣れるの?」という疑念は、実釣で綺麗サッパリ払拭されました。(笑)
安いけど、実用レベルの巻き上げパワー・剛性・ドラグがちゃんと備わったSWリールです。
オフショアゲームで使えるリールが1万円から選べるって、一昔前までは考えられませんでした。
釣具の進化スピードにただただ驚くばかりです。
一方でお値段なりな部分も
「実用レベルの性能はある」と言いつつも、「実用」という言葉には”ギリギリ実用範囲”も”余裕で実用範囲”も含まれていて、性能を表す表現としては幅があります。
その中でより具体的に表現するとすれば、21スフェロスSWは青物相手のジギングにおいて「ギリ実用範囲」くらいの評価になります。
負荷が掛かった時の巻き上げの力強さ、ボディのサイズ・重量・構造などは、おおいに価格なりという感じ。
その中の一つとして、ベールがワンピース構造ではない事も挙げられます。
今回の実釣ではここが問題になることはありませんでしたが、ワンピースベールを知ってるとこの形状は不安を煽られます。(笑)
私のような小心者は、課金してもう少しいいリールを買うほうが幸せになれるのだと思いました。
完全に好みだけどグリップ形状はいまひとつ
個人的な好みの部分ですが、オーバル型のグリップは正直使いづらかったです。
握り方が限られるため、ラウンドノブのように疲れた時に握り変えができないのが苦痛でした。
安いリールにもアッセンブルできる、安い大型ラウンドノブ出して欲しいなぁ、シマノさん。(笑)
上位機種と比べてみて
同じ日に使っていた21ツインパワーSWと比較すると、その差は歴然。
シマノSWリールのナンバー2と最下位、4万円の価格差があるリールと比べるのも酷かもしれませんが、スフェロスは明らかに劣ります。
どう劣るかと言うと、パワーを要する釣りにおいて「釣り人が楽できない」リールが21スフェロスSW。
今回は検証できていませんが、設計や材質を鑑みれば耐久性にも明らかな差があることも想像できるでしょう。
こんな人にオススメなリール
こき下ろす勢いでここまで書いといてオススメするんかい!
と、ツッコミを入れたいところかもしれませんが、ちょっと待ってください。(笑)
そもそもこのリール、この手の釣りにチャレンジ出来るモノとしては超安いんです。そこそこの頑張りでヒラマサだって問題なく上げられるリールなんです。
とりあえずでいいからオフショアタックル揃えたい人とか、道具よりも釣行費用にお金を回したい学生アングラーとか、そんな人には全力でオススメできます。
既に上位機種を使ってる人にも、メインリールが破損した時に「痛くない値段で確保できる緊急手段」としてアリな選択肢でしょう。
パワーゲームの敷居を一気に下げてくれるリールです!
大型の魚を狙うオフショアゲームやロックショアの釣りで、まともに使えるリールとなると高くつくのが一般的なイメージでしょう。
しかし21スフェロスSWは、1万円台という低価格にも関わらずそういった釣りへの実用性をまざまざと見せつけてくれました。
「低価格な大型リールは全然使えない」なんて時代は、もうすぐ終わりを迎えるのかもしれません!
シマノ 21 スフェロス SW 5000HG
シマノ 21スフェロス SW 6000PG
シマノ 21 スフェロスSW 6000HG
シマノ 21 スフェロスSW 8000PG
シマノ 21 スフェロスSW 8000HG