スモールマウスバス=ライトリグオンリー?
TSURI HACKをご覧の皆さまはじめまして! 桧原湖ガイドの高梨です。
僕のガイドフィールドである桧原湖においてメインターゲットとされている魚。それはご存知、『スモールマウスバス』です。
もしかすると、スモールマウス=ライトリグ(フィネス)オンリーな釣りというイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
マイクロワームをよりナチュラルに操作するために、軽いシンカーを使い、総重量までもとにかく軽いリグをディープに送り込む。そして、繊細に操作する為に細いラインを使う……。
感覚器官が優れるスモールマウスを釣る際、それらは必須テクニックであり、それに合わせたタックルが必要です。
実際、スモールマウスの釣りにおいてライトリグなどのフィネスな釣りは欠かせません。
しかし、実際に桧原湖にある程度通っているアングラーや、僕のブログやSNSをよく見てくださっている方なら、「スモールマウス=ライトリグオンリー」というイメージは持っていないはずです笑
ベイトタックル活用法①:フットボールジグ
スモールマウスのベイトタックルの釣りといえばフットボールジグ。ベイトタックルの釣りとして昔から存在する“ド定番”です。
基本的にシーズン中はいつでも釣れるルアーではありますが、とくに効果的なのは6月中旬〜9月いっぱい。
アクションは跳ね上げ、ボトムバンプ、ズル引き、ステイと様々。フォールもフリーフォール、カーブフォールを使い分けます。
基本的に魚のポジションによってアクションを変え、中層に浮いていないようであれば、ボトムでズル引きやボトムバンプさせます(中層の魚をボトムに呼び込むという誘いもかねて)。
タックル
ロッドは総重量が重めの物(3/8ozに大きめのトレーラー等)には、6フィート後半でMHクラスのロッドを。
総重量が軽めの組み合わせ(1/4ozにグラブくらいのトレーラー)には、長さは同じで、少しマイルドなMクラスのロッドを使っています。
PE1.5号前後に12〜14ポンドフロロリーダーを組む、いわゆる『PEセッティング』も、軽い力でフッキングを決めることができたり、相応のメリットがあります。
リールはフットボールをはじめとした底物の釣りには、基本的にハイギヤを合わせるのがおすすめ。
僕が好きでよく使うフットボールはDEXフットボールジグ。トレーラーを起こす(ボトムで立たせる)アクションを出せて、フックも大きめ。それでいて安価で入手し易いのが良いですね。
ベイトタックル活用法②:フリーリグ
イメージはフットボールとヘビキャロの中間です。有効なタイミングはフットボールと似ています。
しかし、僅かにノーシンカー状態を作れるためか、例えば晩秋に「フットボールではあまり食って来ない or すぐ吐き出してしまう」といった状況下でも、魚を引き出せるのが強みです。
どんなに一生懸命大きくリフトしても、狙う水深が深くなればなるほどシンカーとワームが大きく離れることはほとんどありません(ディープのフリーリグにおいて、より長くノーシンカー状態を作り出せるのはファーストフォールのみです)。
それでも、ボトムのストラクチャーを乗り越えたときや、シンカーが石の下に転がったときにできる、“僅か数センチ程度のノーシンカー状態”が効いているのではないかなと思っています。
タックル
ロッドやラインはフットボールジグと同じものが流用できます。リグの総重量でM or MHを使い分けていきましょう。
レングスは好みで選んで良いと思いますが、僕の場合はフットボールとフリーリグは操作、フッキング共にストロークの距離がある程度欲しいので、6.10フィートを好んで使っています。
あらゆるワームと相性のいいリグですが、僕の中での2大定番は「シルエットで見せて食わせる」ブルフラット3。そして、「スピード技が得意」なドライブビーバー3.5。
ブルフラットはそのシルエットで魚を引き寄せるため、ズル引き&ステイでそのポテンシャルを発揮します。ワカサギ食い、エビ食い両方に良く効くので、マルチなワームと言えるでしょう。
ベイトタックル活用法③:高比重ノーシンカー
最近ではフィールドを問わず、使われている高比重ノーシンカー。
フリーリグより更に歴史が浅い……ようで、じつは1番大昔から存在するパターンかもしれません(笑)
言ってしまえば、スモールマウスが昔から大好きな「イモ」ですね。
しかし、ここ数年の高比重ノーシンカーブームで、より比重が高く、そしてより大きい物がこの2年くらいで一気に定番化したように思います。
そもそもスモールマウスはイモ系が大好きです。(「甲殻類やゴリに雰囲気が似ている物が好き」、そんなふうに遺伝子に刻まれている気がします)
どこで使っても良く釣れるので、使う場所も選びませんが、高比重ノーシンカーが最も“らしさ”を発揮してくれるのが、キツめのハードボトム。
オモリが付いたフットボールやフリーリグでは、すぐに根掛かりしてしまうような岩場でも、ストレスなく気持ち良く釣れるという点が他のルアーにはない長所でしょう。
どちらかと言うと、場所や物へ執着している魚がよく釣れるので、浮いて回遊している魚達を釣る場合は、フットボールやフリーリグという使い分けをします。
しかし、このリグを使うときに注意して欲しいのが、フッキングのタイミングです。
大きなオフセットフックを使うこの釣りは、飲み込まれた場合、魚のサイズによってはフックを外すのが非常に困難。
きちんと外せた場合でも、魚体へのダメージが大きくなってしまうので、なるべく即アワセを心がけましょう。
即アワセでもスッポ抜けにくく、しっかり掛けれるフックセッティングをそれぞれのワームで見つけいくことが大事です。
タックル
ロッドを下に向けての操作性とフッキングストローク、フッキングパワーのバランスが取れたMHクラスのロッドがベストマッチ。
ラインは使うワームによって12〜20ポンドまで使いますが、僕が桧原湖でよく使うクリーチャーホッグ、パルステールのイモ仕様の場合は14ポンドがメインです。
ラインがボトムと接触する釣りですので、硬くて強いフロロカーボン一択です。
クリーチャーホッグ、パルステールをよく使う理由は、数もサイズも狙えるちょうど良いサイズ感。フックサイズが大きくなりすぎないサイズであることがキモです。
ベイトタックル活用法④:巻き物
クランクベイト、スピナーベイト、チャターベイト、スイムジグ、バイブレーション、シャッドテール……
本来なら1つ1つ紹介したい所なのですが、長くなり過ぎてしまうので、今回は「巻き物」としてまとめてお話しします。
巻き物が効くシチュエーション、それは「濁り」が入ったときです。
桧原湖の場合、「水深2.5mのボトムが見えにくくなる程度の透明度」が通常。仮に雨などで濁り、「水深2.5mより浅い場所でボトムが視認できない」と判断できれば、巻いて釣るチャンスです。
ときとしてライトリグよりもバイトチャンスが多い釣り。濁りがある時は必ず用意したいところです。
真夏の高水温期以外なら、濁りがあればいつでもチャンスが有ります。水温が上昇に向かう春なら、5〜6℃くいらいから。下降に向かう晩秋は8℃くらいまでが、もっともアグレッシブにバスからの反応を得られます。
タックル
タックルは大まかに言うと2種類。多くの方が「巻き物用タックル」と一括りにしてしまいがちですが、「フッキングパワー重視」か「追従性重視」で使い分ける必要があります。
フッキングパワーが求められる巻き物とは、スピナーベイト、チャターベイト、スイムジグ、シャッドテール等の太軸シングルフック系。
追従性を求められる巻き物とは、クランクベイトやバイブレーション等、トリプルフックが付いた、いわゆるプラグ系です。
前者(フッキングパワー重視)はパワーとバイトの弾きにくさ(ある程度の追従性)が求められます。よって、弾性が高くないカーボンを使用した、M〜MHクラスで、素直なレギュラースローテーパーを備えたモデルがベストマッチ。
後者はバイトの弾きにくさ、バラしにくさが光る、グラスロッドがベスト。どう掛かかるか読めないトリプルフック釣りは、ロッドの追従性を重視することで、よりキャッチ率を向上させることができます。
ラインはどちらも伸び過ぎることを避け、フロロカーボンを選択しています。同じフロロラインの中でも、比較的しなやかな品種を組み合わせるのがいいでしょう。
ベイトタックル活用法⑤:トップウォーター
大型ペンシルベイト、ポッパー、羽根モノ、バド系など。前項の巻き物に続き、こちらも全て紹介しきれません。
それぞれの使い分けについては、またの機会にお話ししたいと思います。
一口にトップウォータープラグと言っても、得意な季節や状況は様々。
ハイスピード・アピール系のペンシルベイトは9〜10月、ナチュラル系ペンシルなら、5〜10月と幅広いタイミングで出番です。
ハネモノは6〜8月を中心にほぼオールシーズン使え、水面に強烈な波動を演出する「バド系」は、夏〜ターンオーバー期の7〜9月に真価を発揮します。
ペンシルベイトは小魚を積極的に捕食していて、横方向に素早く動くにルアーに反応する状況で使います。
バド系やハネモノに関しては「食わせ」というより、「威嚇的要素」(リアクション)によるバイトが大半を占める釣りです。
ルアーサイズによる存在感と、比較的ゆっくり巻けるということが、真夏の高水温期やターンオーバー期で水が悪い状況下でもバイトを生み出しす。
タックル
タックルはルアーによって変わります。ペンシルベイトは投げ易く、操作し易い6.6フィートのMLクラスのロッドがベスト。
MLパワー表記であり、ロッドに記された適合ルアーウェイトは14gまでですが、しなやかなブランクスのおかげで、それ以上のルアーウェイトも気持ち良く扱えます。
ラインは大遠投した先で、高速連続ドックウォークを繰り出して襲わせる事が多いのため、伸びがほとんどないPEライン(2号)を直結で使います。
遠投先でのアクションのし易さ、フッキングのし易さはPEラインならでは。しなやかなロッドと組み合わせるので、それでいてバイトを弾きにくく、非常に相性の良いセッティングです。
ハネモノは基本的にロッドを立て、ラインスラックを出した状態でゆっくり巻いて使います。
追従性が無いとファイト中にバラす事が増えるため、低弾性〜中弾性カーボンのロッドが高相性です。
しかし、ロッドが柔らかすぎてしまうと、ハネにかかった水の抵抗だけでロッドが曲がりきってしまうので、フッキングの為の余力が無くなってしまいます。
結果的にパワー不足になってしまうのを避け、しなやかでロッド全体が綺麗に曲がるけど、パワーがあるロッドが最適です。
最後にバド系。これはノリ重視のグラスロッドがおすすめです。ハネモノほどではないものの、ある程度ロッドパワーが欲しいところなので、Mクラスのグラスロッドが適しています。
ベイトタックル活用法⑥:ビッグベイト
ビッグベイトも、S字系やリップ付きの波動系、多連結系スイムベイトと……現在ではかなり細分化されていますね。
一括りにするのは難しいものの、大まかに、ビッグベイトが有効なシーズンは春と秋です。
水温が低い春と秋ほど、ビッグベイトが持つ「ボリューム感そのものへのリアクション」期待できますよ。
いわゆる「リアクション」と呼ばれる反射食いにも、いろんな種類があると思います。
スピード、色の明滅、動きのイレギュラーな緩急など……ことビッグベイトにおいては、“ボリューム”へのリアクションが期待できます。
例えば、コンビニのおにぎりの陳列棚に、“通常の5倍くらいの大きさのおにぎり”が並んでいたとしたら、どうでしょうか?「なにこれ!?」とつい手に取ってしまいませんか?笑
タックル
ビッグベイトのタックルはウェイト別に2種類を使い分けています。2ozに満たないウェイトならHクラスのロッド、2oz以上ならXHのビッグベイト専用モデルを使います。
単に固いロッドではなく、剛竿でありながら非常にしなやかで、バレ難いロッドを使うのがキモです。
ラインはフロロライン16〜20ポンド。ナイロンなら20〜30ポンドをセレクトしましょう。
まとめ
スモールマウスをベイトタックルで釣るイメージ、なんとなく湧いてきましたでしょうか? もちろん、今回は紹介しきれなかった実績がある強い釣りもまだまだ存在します。
最後に大事なことを一つ。スモールマウスをベイトタックルの強い釣りで釣る為に、味方に付けるべき要素。それは「濁り」「風」「ローライト」です。(これはラージも同じですけどね笑)