タチパターンとは?
タチパターンとは、その名の通り、タチウオを捕食している青物を狙うジギングです。
歴史を辿ると愛媛県クダコ水道が発祥の地とされており、そこから明石や紀北、鳴門に拡がりました。
本記事では、元釣具屋の筆者がタチパターンジギングについて解説します。
タチパターンのシーズン
大阪湾近郊のタチパターンは秋から冬にかけて、10月〜翌1月あたりがシーズンです。
それまでイワシなどを捕食していた青物が、タチウオを積極的に捕食するようになり、この時期に魚を捌くと胃にタチウオが入っていることが多くなります。
とくに11月〜12月はタチウオの新仔が多く、ベストシーズンです。
近年はタチパターンのシーズンが伸びていると言われており、2月になってもタチパターンが成立することも珍しくなくなってきています。
タチパターンのメタルジグ
タチパターンの大きな特徴がメタルジグです。
タチウオのシルエットに似せた、シルバー系カラーのロングジグを用います。
急潮流エリアで釣りをするため、水深が70mほどであっても200〜300g、時には400gオーバーのウエイトがないと底取りがままなりません。
タチパターン用ジグは全長30cmを超えるものも多々ありますが、ご覧の通り、中型サイズの青物でも巨大なジグをガンガン食ってきます。
ちなみに、一番よく食われるのは指2本程度のタチウオですが、稀に指4本クラスが胃から出てくることも。
フックセッティング
基本的にはフロントのみにフックを付け、ジグの1/3程度の位置にフックがくるようにセッティングします。
ジグが長いので長いアシストラインが必要で、25cm前後のジグなら4〜5cm、30cm前後のジグなら5〜6cmが目安です。
大型の確率も高いため、フックは4/0〜6/0程度の大きいサイズを選びましょう。
根掛かりが少ないポイントに限り、サワラが多い状況や、フォールにバイトが集まる時はリアフックを付けるのも有効です。
タチパターンのタックル
ここからは人気エリアの明石や紀北に適したタックルを紹介します。
ロッド
150〜200gのジグに対応する、2〜3ozのベイトロッドがおすすめです。
タチウオがゆっくり立ち泳ぎするようにアクションさせるため、ジグを飛ばし過ぎないよう、ジグのウエイトに対して柔らかいロッドを選ぶのがセオリー。
魚の活性によってはジグを飛ばす方がよく釣れることもあるため、4oz以上の硬いロッドが有利になる場面もあります。
初めの1本には、オールラウンドな3ozのロッドを選ぶとよいでしょう。
リール
シマノ オシアコンクエストCT 300HG
ギア比:6.2
最大ドラグ力:7kg
最大巻上長:84cm
糸巻量:PE2号-380m
ベアリング数:10/1
タチパターンジギングは、巻き上げ力が強くて底取りがしやすいベイトリールが適しています。
ハイギアでもパワーギアでもどちらでも問題ありませんが、根掛かりが多い起伏の激しいポイントでは、素早く底を切れるハイギアがおすすめ。
また、底取りがしやすくてヒットレンジもわかりやすいカウンターリールも便利です。
ライン
PEラインは1.5〜2号を200m以上巻いておきましょう。
かなり細く感じるかもしれませんが、太いラインは潮が速いエリアでは底取りが難しく、根掛かりが多発します。
リーダーは8号を基準に4ヒロほど結束してください。底が荒いエリアはリーダーに傷が入りやすいため、1ヒロや2ヒロだと再結束の手間が生じます。
また、PEよりもリーダーを強くする場合(PE1.5+8号のようなバランス)、東田結び等であえてジグとの結束部を弱くしておき、根掛かりした時にPEが高切れするのを防ぎましょう。
タチパターンのアクション
タチパターンに特別なテクニックは必要なく、基本的にはこのようなワンピッチジャークだけで釣りが成立します。
ただし、潮が速い時と緩い時で有効なアクションが少し違うので詳しく解説します。
潮が速い時
潮流が速い場合は底取りが困難になるため、重たいジグやリアバランスのジグを用いるのが大前提です。
ベイトがボトム付近に固まるため、スローなワンピッチでボトムから5〜10m程度シャクリ上げ、反応が無ければまたボトムから探り直します。
潮が速い時は青物の活性が高いため、派手にジグを動かす必要がなく、潮流が3kt(ノット)を超えればシャクらずに竿を持っているだけで釣れることも珍しくありません。
ただし、明石海峡の小磯(通称、ジグの墓場)のような急なカケ上がりのポイントでは、ゆっくりシャクりすぎると根掛かりするので注意してください。
潮が緩い時
潮が緩いと魚が広範囲に散って活性も下がるため、ジグを大きく動かしてリアクションバイトを誘うことが大切。
スライドしやすいジグを選び、大きなジャークでジグを飛ばし、その後のフォールも長めにとってください。
このような場合は、ジグをスライドさせやすく、フォール幅も大きくなる硬めのロッドが適します。
根掛かりのリスクが少ないポイントでは、スピニングタックルを使ってジグをスライドさせながら斜め引きするのも有効です。
タチパターンにおすすめのジグ10選
タチパターンで人気のジグを集めました。ぜひ参考にしてください。
左右対称のセンターバランスに設計されており、フォールスピードが速いジグです。
横へのスライドを抑えた、縦のスライドアクションによってタチウオの立ち泳ぎを演出。
リーズナブルな価格かつ底取りがしやすいため、根掛かりの多いポイントに適します。
左右非対称の扁平ボディを採用した、センターバランスのロングジグです。
移動距離の長いスライドアクションによって、激流に流されるタチウオの動きを再現。
縦のアクションに反応がない時、潮が緩くて底活性な時によく釣れます。
ルンゴ2(縦スライド)とルンゴスライダー(横スライド)の中間的なアクションを発生するジグです。
フォールが速く、アクションの立ち上がりも早いため、幅広い状況に対応できます。
左右非対称、極薄ボディが特徴的なセンターバランスのロングジグです。
ワンピッチジャークで左右に頭を回頭し、スライドアクションで青物の捕食スイッチを入れます。
大阪湾近辺では品切れが続出するほど人気です。
フロント寄りのセンターバランスのロングジグです。
ワンピッチジャークで大きなダートアクションを発生することが特徴。
潮が速い時にボトムに張り付いたタチウオが逃げるようなアクションを再現できます。
チョロコージグ クチノセバージョン(シーファルコン×魚英)
左右非対称ボディに設計されたセンターバランスのロングジグです。
激流下でも素早く沈下し、引き抵抗も少なく、ワンピッチジャークで素早いスライドアクションを演出します。
明石の人気ジギング船「魚英」が監修しており、明石付近ではとくに人気です。
元祖タチパターンジグとも言える、センターバランスの名作ジグです。
ボディに設けられたエッジによって水を切りながらダートし、ラインテンションを抜くと水平方向にロングスライドします。
水切れがよく、引き重りも少ないです。
タチウオそっくりなリアルな見た目が特徴の、センターバランスのジグです。
軽いジャークで大きくスライドし、そこから安定感のある水平フォールに移行します。
価格がリーズナブルなのも嬉しいポイントです。
横方向へのスライドを抑え、縦への直進性を高めたジグです。
ジャーク時は縦方向に真っ直ぐ突き進み、失速後はバックスライドしながら水平姿勢に入り、喰わせる間を演出します。
スローピッチでもハイピッチでも使えるオールマイティなジグです。
ステンレスフレームと鉛ウエイトを組み合わせたリアバランスのロングジグです。
後方重心によって素早いフォールを実現し、強めの入力を入れると横を向いてタチウオが逃げるようなアクションを発生。
シルエットがかなり大きいのでアピール力は抜群です。
タチパターンにおすすめのフック5選
タチパターンに適したアシストラインが長いフックを集めました。
タチパターンのロングジグにマッチするように作られたツインアシストフックです。
フックは軽量で吸い込み抜群のジガーライト早掛を採用。
アシストラインにはフロロ芯が内蔵されており、長くても絡みにくいです。
太軸仕様のシングルアシストフックです。
フックを太軸のシングルとすることで、吸い込みの良さとファイト時の安定感を両立。
同社のゴクウスシリーズにベストマッチします。
ロングジグでサワラを狙うために設計されたアシストフックです。
アシストラインには強力で柔軟なハイブリッドワイヤーを用い、歯によるアシストライン切れを軽減します。
フックは超細軸で貫通力抜群のジゲンハイパーを採用。
サワラにも対応するロングジグ用アシストフックです。
ナイロンコートワイヤー入りのアシストPEは、歯によるアシストライン切れを防止。
フッ素コート加工が施されたスパークフックは高い貫通力を備えます。
筋鋼 タチパターン GA035(がまかつ)
ステンレスワイヤー内蔵のアシストラインが採用されたアシストフックです。
マイクロバーブとフッ素コートを組み合わせたフックは、掛かりの速さに優れます。
アシストラインの強度が高く、ハリも強いので絡みが少ないです。
タチパターン楽しすぎ!
栄養価の高いタチウオを捕食している青物はコンディションが良く、急流に乗るのでハマチサイズでも引きの強さは強烈の一言。
高活性時はジグが着底しないほど喰いが立つ反面、潮が緩くなるとテクニカルになるため、ビギナーから玄人の方まで楽しめます。
ジギングの基本動作ができれば手堅く釣れるパターンですので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。