管理釣り場で釣ったニジマスの味は“まずい派”と“美味い派”に分かれる
管理釣り場のアングラーは、“イート派”と“リリース派”に大きく分かれますよね。
僕にとって一昔前までは、いかにして他人より多くのトラウトを釣り上げるかという技術的な面白さを求める場所が管理釣り場でした。
しかしながら、近年では美味しいニジマスを釣りに行くというキャッチ&イートを目的に管理釣り場に出掛ける人も増えおり、僕もそのひとりです。
そんな釣り人のキャッチ&イートのニーズに答えるように、激旨ニジマスを放流する管理釣り場も続々と登場しています。
管理釣り場のニジマスにはさまざまな品種があるんです
数稼ぎ部隊|レギュラーサイズのニジマス達
管理釣り場で多数派を占めるのは、20~25cm前後のニジマスです。
管理釣り場ではお客さん(釣り人)にできるだけ沢山釣って楽しんでもらうために、コストの低いレギュラーサイズのニジマスが多く放流されています。
レギュラーサイズのニジマスは、良くも悪くも淡白な白身が特徴。
小型のニジマスは臭みが少なく、さまざまな料理に扱いやすく“食の目線”でも釣り人を楽しませてくれます。
鼻曲がりや色物|釣り堀用に大きてカッコ良く育てられたビッグトラウト
管理釣り場には、鼻が曲がって逞しい表情をした雄マスやタイガーやジャガーといった、模様がカッコいい特殊なトラウトが放流されています。
これらの魚達は魚体の大きさとカッコ良さやが売りですが、食用として養殖されていませんので、食味は臭みが強かったり、身が柔らかかったりと残念な場合が多いです。
刺身用に改良された高級ニジマス
本来はホテルや料亭に直行するような、お刺身専用に養殖されたニジマスを放流する管理釣り場が増えてきています。
1尾数千円もする超高級ニジマスが釣れるかも知れない……というワクワク感は、管理釣り場“イート派”のアングラーにとっては大きな楽しみです。
ニジマスの品種や状態を見極めれば美味しいマスに当たります
このように同じ管理釣り場の中でも、美味しいマスと美味しくないマスが一緒に泳いでいるんですね。
いくら刺身用の高級マスとはいえ、何ヶ月も釣られずに池に居ると身質は悪くなります。
つまり、管理釣り場のニジマスを持ち帰る際は、品種と魚の状態の見極めが大事になってきます。
小型のニジマスは水っぽさを攻略すると旨くなる
小さなニジマスは脂や香りが無い
レギュラーサイズのニジマスは、脂が乗っていないため魚臭さが少なく非常に淡白な味わいです。
そのため魚を食べ慣れた方にとっては、何か物足りない感じがしてしまうこともあるでしょう。
逆に魚特有の香りが苦手な方でも、レギュラーサイズのニジマスなら食べられる! そんな方もいらっしゃいます。
ニジマスは“水っぽい”そう感じる人は干してみて欲しい
「ニジマスは水っぽい魚だ」という声をよく耳にしますが、僕もそう感じています。
焼いた時の水っぽさが気になる方は、一夜干しがオススメ! 旨味が凝縮し身質がプリッっとします。
作り方は簡単! 開いたニジマスを10%の食塩水に30分漬け込み、水気をふき取って冷蔵庫で一晩乾燥させれば完成です。
しょっぱい干物が苦手な方は、さっと水洗いしてから干すとマイルドに仕上がります。
冷蔵庫で干す場合は、バットに並べてラップを掛けないことが重要です。もちろん、干物ネットで干すのも良いでしょう。
尾上製作所 干しかご
干物はちょっと面倒くさい。と感じる場合は?
塩焼き、ムニエル、フライ、どんな料理にでも対応してくれるレギュラーサイズのニジマスをもっと美味しくするために、調理前の一塩をオススメします。
ニジマスの身に均等に塩をふって30分程置くだけで、余分な水分や臭みを抜くことができます。
30分経ったらキッチンペーパーでしっかり水分をふき取り調理しましょう。
手っ取り早く、ニジマスを美味しく食べるには素揚げがオススメ
「それすらも面倒!」って方には、水分も臭みも油で焼き飛ばす“素揚げ”がオススメです。衣は付けなくてOK!
開いてから揚げれば、骨まで食べることができますよ! アジやサバの唐揚げがお好きな方にはオススメな食べ方です。
ニジマスのウロコは取るべきなのか?
少し余談になりますが、ニジマスのウロコって取り辛くないですか?
むしろ、ウロコを取れない個体もいます。僕は、トラウトの場合はウロコは取らずに調理しています。意外と気にならないものですよ。
刺身用ニジマスは迷わず生食!もちろん加熱調理でも美味!
ニジマスの刺身は甘みがあって美味
ニジマスの刺身と聞くと「本当に美味しいの?」って感じるかと思います。
では、スーパーや回転ずしで見慣れたワード『トラウトサーモンの刺身』ではいかがでしょうか。
オレンジ色の身質で、脂がたっぷり乗って美味しいイメージがありますよね! じつは、トラウトサーモンとは刺身用に品種改良されたニジマスなんです。
最近の特大ニジマスは、本当に美味しい
刺身用に養殖生産されたニジマスは、ご覧の通り身の色が釣り堀用に養殖されたものと全然違います。
こんなハイレベルな食材が放流されているのですから、近年、管理釣り場に“食べる楽しみ”を求めるアングラーが増えていることも頷けますよね!
寄生虫の心配なし!管理釣り場のニジマスは安心して刺身で食べられます
日本のニジマスは、淡水で養殖されているため「アニサキス」や「サナダムシ」といったサケマス類に寄生する寄生虫のリスクはありません。
全国養鱒振興協会の公式ホームページにも「冷凍不要で安心して生食できる」と紹介されています。
もちろん生ものですので、寄生虫以外に鮮度劣化などによるリスクは他のお刺身と同様にあります。ただ淡水魚だからといって、マグロやブリといった魚より危険ということはありません。
捌いて残念……真っ白な身の中型ニジマスは、下味をつけてムニエルやフライが無難
刺身用ニジマスを期待して持ち帰ったら……身が白かった
30cmでもオレンジ色の身を持つ刺身用ニジマスが放流される一方で、50cm近くても真っ白な身のマスも管理釣り場には泳いでいます。
家に帰って包丁を入れたら身が真っ白! そんな経験を繰り返してしまうと“リリース派”になってしまうことも無理がありません。
食用に養殖されていない中型以上のマスは美味しくないことが。
そもそも、食用に養殖されていないトラウトに食味を求めることに無理があるんです。
また管理釣り場の中で長い期間を過ごすと、徹底した飼育管理の養殖場でいた時よりもどうしても味が劣ってきます。
大事なのは、美味しいトラウトの見極めです。色物と呼ばれる変わった種類のトラウトは避け、体つきの良い40cm以上のニジマスを選ぶと良いでしょう。
受付の際に、スタッフの方に放流されているトラウトの種類と見分け方を尋ねてみるのが確実ですね!
もっとも味が劣るのは“ホッチャレ状態”のマスです
「ホッチャレ」とは、繁殖行動を終えて死を待っている状態のサケやマスのことで、身はパサパサ、魚臭さも相まって美味しくない状態といわれます。
じつは、管理釣り場の中でも産卵行動をするトラウトがいます。姿はカッコ良くても味は劣るので、覚えておきましょう。
わからずに白身のトラウトを持ち帰ってしまったら
40cmを超えてくると白身のトラウトといえども、脂が乗ってきます。ですが食用に養殖されていないため、この脂が魚臭さの原因となります。
そんな魚を持ち帰った場合は、下味をしっかり付けてから加熱調理が良いでしょう。また、ウロコの取りにくい分厚い皮は、臭みの原因になりますので取ってしまうと良いでしょう。
僕は、3枚におろしたフィレにうま味調味料を振って30分置いてからフライにしています。これにソースをかけちゃえば臭みなんて分かりません(笑)
ご飯がすすむ美味しいおかずになりますよ!
管理釣り場のニジマスの締め方と持ち帰り方
スカリ(フラシ)で活かしておくのがベター
せっかく美味しいニジマスが釣れたのなら、鮮度と状態よく持ち帰りたいものですよね。
とくに、刺身で食べる場合は鮮度に気を使いたいものです。
釣りをしている間は、スカリ(フラシ)と呼ばれるネットに入れて活かしておくのがベターです。
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可能であれば血抜きをしよう
ニジマスといえども、血抜きをした方が美味しくいただけます。
美味しいニジマスを売りにしている管理釣り場の多くは、捌き場を設置していますので、クーラーに入れる前に血抜きやエラ・内臓の処理を行いましょう。
さばき場はあっても、包丁が無かったり良く切れなかったりするのでナイフを持参すると良いですよ!
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塩を振るとヌメリが抑えられますよ
レギュラーサイズのニジマスは、塩を振ってから持ち帰るとヌメリや余計な水分を抜くことができます。
下処理を行った魚をビニール袋などに入れて、直接氷や保冷剤に触れないようにクーラーボックスにしまいましょう。
管理釣り場に“食べる楽しみ”も追加してみてはいかがでしょうか
近年のニジマスの品質向上は凄まじいものがあります。昔、美味しくないニジマスに当たって以来食べていない!
そんな方も、刺身用ニジマスが釣れた際には、是非食べてみてはいかがでしょうか。