色鮮やかな“タカベ”の生態や特徴
堤防で釣れる青と黄色の魚の正体はタカベ
堤防でコマセを使ったサビキ釣りなどをしていると、青い魚体に黄色のラインが入った綺麗な魚の群れが回ってくることがありますよね。
コマセはバクバク食べている割に、全然サビキに掛かってこない……。
その魚の正体は、脂がのって美味しいタカベという魚かもしれませんよ!
タカベの特徴や大きさについて
タカベは広い意味ではスズキの仲間で、全長20~25cm程度まで成長する魚。
丸みを帯びた紡錘形の形と、背中の濃い青色と黄色いラインがタカベ最大の特徴です。
タカベの産卵期は8~10月と考えられており、夏に旬を迎えます。
タカベとウメイロモドキ・ウメイロ・グルクンとの違いや見分け方
タカベと似た魚として、ウメイロやウメイロモドキ、タカサゴ(グルクン)などが挙げられますね。
いずれも体形は似ていますが、グルクンとの呼び名で有名なタカサゴとタカベは、尾にある黒い模様の有無で容易に見分けられます。
色合いと模様が似ている、ウメイロやウメイロモドキとタカベの決定的な違いは背ビレの形状です。背ビレにくびれがあればタカベです。
余談になりますが、ウメイロとウメイロモドキの違いは胸鰭の黒斑の有無で見分けられます。黒斑が無ければウメイロです。
タカベは脂が乗って美味しい魚
磯や堤防でのフカセ釣りでは「エサ取り」として厄介者扱いされることもあるタカベですが、じつは食べて美味しいという特徴もあるんです。
伊豆諸島で漁獲されることもあって、関東地方にお住まいの方は召し上がったこともあるかもしれませんね。
今回の記事では、タカベの群れが回って来た時に備えて、釣りにくいタカベの釣り方や美味しい食べ方をご紹介いたします。
タカベの釣れる地域や時期について
タカベの生息域|太平洋側に多く、日本海側では少ない
タカベの生息域は、茨城県から九州南部の太平洋沿岸、若狭湾から九州北部の日本海沿岸のいずれも岩礁帯に生息しています。
派手な色合いの魚体からいかにも南国の魚といった印象を受けますが、タカベは熱帯性の魚ではなく温帯性の魚です。
そのため、沖縄などのサンゴ礁には生息していません。また、太平洋側に多く、日本海側では少ないのも特徴です。
タカベが良く釣れるのは初夏から秋
タカベは水温が高い時期によく釣れる魚で、一般的には4月から10月にかけてが良く釣れるシーズンと言われます。
特に脂が乗るのは繁殖期控えた夏で、食材としての旬は7~8月になります。
タカベは口が小さいから釣るのは難しい?
コマセを使った釣りでは厄介者として扱われるタカベですが、近年では食味の良さから狙って釣る人も増えてきているようです。
このあと、群れてるのになかなか釣れないタカベの釣り方をご紹介いたしますね。
エサ取り名人と呼ばれるタカベの釣り方やコツ
警戒心の高いタカベは細い糸・小さな針を使おう
タカベの視力はとても良いと言われており、太い糸についた餌はいとも簡単に見破られてしまいます。
タカベを狙う場合は、0.6~0.8号のハリスを使用しましょう。1号以上ではよほど活性が高くない限り高確率で見切られます。
また、0.4号以下にハリスの太さを落としてみると、ハリス切れを起こすので注意が必要です。
針も同様に小さく細い物が良く、群れているタカベの大きさに合わせて袖針の4~6号を選ぶと良いでしょう。
がまかつ 糸付 赤袖 針
ウキ釣りで狙うのが一般的です
表層を群れで泳ぐタカベは、ウキ釣りで狙うのが一般的です。玉ウキでも良いですが、感度の高いシモリウキの方がより釣りやすいかと思います。
ウキ下は1m程度、ハリスは30cm前後とし、必要に応じてガン玉を打つと良いでしょう。
波風無く水面が静かな時はアタリをウキで捉えず、付け餌が消えたらアワセを入れる“見釣り(サイトフィッシング)”が効果的!
とにかく表層ばかりを狙う釣りになりがちなので、手返しの良い5m前後の延べ竿がオススメですよ。
針の大きさに注意すればサビキでもOK
ウキ釣りってシンプルに見えて意外と難しかったりします。
仕掛けの種類に注意すれば、サビキ釣りでタカベを釣ることができます。
キーワードはウキ釣りと同じ!
“細ハリス(0.6~0.8号)”と“小針(小アジ胴打0.5~1号など)”のサビキ仕掛けを選ぶと良いでしょう。
タカベを狙うオススメの仕掛け
僕は、ハヤブサの小アジ専科の針サイズ0.5号を好んで使ってます。
また、実際に針に餌を付けることができるトリックサビキも効果的!
様々な状況に対応できるように、数種類の仕掛けを用意しておくと良いですね。
▼トリックサビキはコチラの記事でご紹介
タカベ釣りのコツは、コマセをしっかり撒くこと
タカベは群れで泳ぐ回遊魚でありますので、撒き餌なしではタカベの群れを足元に留めることはできません。
少量ずつでも良いので、絶えず撒き餌を撒くことで時合を長くすることができます。
撒き餌は、サビキ釣りで使用するアミコマセで大丈夫です。グレ用の配合飼料とアミエビを混ぜたコマセでも良いでしょう。
付け餌を見切られる時は、撒いているコマセを付けよう
タカベはオキアミでも釣れる魚ではありますが、群れているサイズが小さかったり、警戒心が強くオキアミでは食いつかない場合があります。
そんな時は、実際に撒いているアミエビを針に付けてみましょう。
形のしっかりとしたアミエビを数匹選び、袖針に房掛けにすると良いですよ!
コマセ用のアミエビは針に刺しにくいので、タカベ狙いの釣行に出かける場合は予め付け餌用のアミエビを用意しておくと良いでしょう。
タカベは泳がせ釣りの餌としも使えます
タカベは、アジやイワシと同様に泳がせ釣りに使う良い餌としても知られています。
タカベの群れが堤防に回っている時は、ブリやカンパチといった魚食性の回遊魚も来遊しているかもしれません。
タカベは食べて美味しい魚でありますが、思い切って餌として泳がせてみると予想外の大物に変わることもあるので、ぜひ試してみてくださいね!
▼泳がせ釣りのコツを元釣具屋が伝授!
脂が乗って美味しいタカベの食べ方について
タカベと言えば焼き魚
タカベを食べ慣れている地域では、塩焼きがもっとも美味と言われます。
脂がしっかり乗っていながらも、サッパリとしていて万人受けする食味を持つ魚です。
塩を振って30分程おいてから、焦げないように焼き上げましょう。
タカベは干物にしてもGOOD!
開いたタカベを綺麗に洗い、10%程度の塩水に30~1時間程付けおきます。
干物用ネットに入れて一晩干せば、タカベの一夜干しの完成です。釣行翌日の朝食が楽しみになりますよ!
小型のタカベの干物は、しっかり焼き上げることで頭も背骨も余すところなく食べられます。
小型のタカベは開いて唐揚げがオススメ
大型のタカベに比べ脂の量で劣る型の小さなタカベは、開いて丸揚げにするのがオススメです。
子アジよりも若干頭の骨が太いタカベですが、開いて揚げれば骨までサクッと仕上がります。もちろん、骨せんべいも美味!
食感・味ともに良く、あっという間に食べきってしまいますよ!
タカベは煮つけても良し
あまりにも塩焼きが人気なため、“タカベ=塩焼き”という方程式ができあがっていますが、タカベは煮つけにしても美味な魚です。
煮汁がしみ込むと、塩焼きと違った脂の味わいを感じられますよ!
刺身は一般的ではありませんが、炙りは最高です
タカベの刺身は色が悪いと評判がよくなく、店頭に並ぶことが少ないようですが、釣りたてで鮮度抜群なタカベは、お刺身でも美味しくいただけます。
とくに皮を軽く炙ったものは、絶品! 鮮度の良さは釣り人の特権ですので、タカベが釣れた際は炙りも試してみてくださいね!
一度はタカベを釣って味わってみてください
口が小さく目の良いタカベは、細いハリスやアミエビといった準備が無いとなかなか釣ることが難しい魚です。
しかし一度群れに遭遇し、必要な餌や釣り具があれば数釣り状態になる美味しい魚なんです!
タカベが来遊するような堤防に釣りに行く場合は、細ハリス・小針を釣り具ボックスに準備しておいてはいかがでしょうか。
筆者紹介
山根央之(やまねひろゆき)
初めての1匹との出会いに最も価値を置き、世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズの兄。餌・ルアー問わず、もはや釣りに限らず。ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。
テレビ東京・緊急SOS池の水全部抜くやNHK・ダーウィンが来た、TBS・VSリアルガチ危険生物などに出演したり、魚類生態調査に参加したりと幅広く活動中。
どえらい魚を獲った!もはや釣りを越えて!色んな人と繋がって!特大天然メコンオオナマズ! 240 cm175 kg 捕獲です!!ホント色んな人に助けられてこの魚と出会うことができました!メコンオオナマズに関わる全ての人に感謝でいっぱいです!! pic.twitter.com/JHWpNdLAvX
— 山根ブラザーズ(兄)@kimi (@chillkimi) September 16, 2017
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