アメリカナマズが食べたい。
今回の記事のテーマはアメリカナマズ釣り。
そして、そのアメリカナマズを使った「アメナマ丼」をいただくこと。
「アメナマ丼なんてヌルヌルしていて臭そう!」 なんて声が聞こえてきそうですね(笑)
アメリカナマズとは?
アメリカナマズの正式名称はチャネルキャットフィッシュ。アメリカやカナダ・メキシコに生息していますが、日本には食用目的で移入され、霞ヶ浦に放流され増えた外来種の魚です。
東京に住んでいた頃も、荒川や江戸川で釣りをしているとたまにかかることがありました。放流されてから生息域を広げていることが、今問題になっています。
雑食で動物性のものなら何でも食べ、繁殖力も強いこともあり、特定外来生物に指定されています。
北米の原産地では、アメリカナマズは食用としてポピュラー。僕自身、アメリカ留学時にナマズがスーパーに並んでいるのは何度も目にしています。
アメリカナマズを釣ってみる
北浦に到着
釣りをしたのはこんな場所。足場が良いので、特別な装備は必要なく釣りができます。霞ヶ浦を構成する湖のひとつ、北浦です。
ブッコミ釣りで狙う
ルアーでも狙うことのできるアメリカナマズですが、簡単でよく釣れるのはブッコミ釣り。針にエサをつけて投げておき、竿先につけた鈴が鳴るのを待つだけの簡単な釣りです。
タックル
大型の魚がかかるかもこともあるので、シーバスロッドなどの長めの竿があると釣れた時に取り込みが楽です。
今回は、シーバスロッドとライトショアジギング用のロッドを使っています。ラインはナイロンやフロロなら20ポンド、PEなら2号以上推奨。リールは竿に合わせて選びます。
エサと仕掛け
エサはスーパーで買っておいたイワシ。安くなっているものを冷凍しておくのと、コスパが良いのでおすすめです。
庭でとれたミミズもエサとして準備して持ってきてみました。他にもコイ用の練りエサやレバーなどでも釣ることができます。
仕掛けは10号前後のオモリに、丸セイゴ12号前後の針を合わせています。シンプルなもので良いですが、ハリスは太めの3号以上のものを選んだほうが安心です。
足場にもよりますが、大物がかかった時のためにタモ網を用意しておきましょう。また、竿立てを用意しておくと、竿を踏んでしまったりする心配が無くなるのでおすすめです。
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実釣開始
準備ができたら釣り開始です。エサをつけた仕掛けを投げ込みましょう。
ブッコミ釣りというと思いきり投げる姿をイメージしますが、オモリやエサの重みで飛距離が十分に出ます。力まなくてもOKです。
仕掛けを投げ入れたら、リールを巻いてラインをピンと張るようにして、竿先に鈴をつけて待つだけ。
ブッコミ釣りの魅力……それはのんびりと釣りができること。コーヒーを飲みながら、景色を眺めてまったり
ちょっとしたあるあるですが、油断した時に鈴が鳴ります。なので、あえて油断してその時を待ちましょう(笑)
椅子に座り、コーヒーを飲んでいると「ジリリン!」と鈴の音が! 反射的に立ち上がり、ドラグを締めてからあわせます。
アメリカナマズが釣れた!
出ました、アメリカナマズ! 大きな顔にヒレ。ポチャッとした腹のアメナマ様です。
正面から見てみるとヒゲが8本。細かい歯があって顎の力が強い。小さくても噛まれると痛いので気をつけましょう。
この日は、イワシでもミミズでも、投げ込めばすぐにアタリがありました。釣れるのはすべてアメリカナマズ。それだけ繁殖しているということですね。
その場で絞めて持ち帰りましょう
今回はこのアメリカナマズを食べるため持ち帰りますが、特定外来生物に指定されているため生きたままの運搬は法律上禁止。そのため、現地で絞めます。
魚をおいしく食べるためには、しっかりと血抜きするとこが大事。エラをカットして、持ってきた水に漬けて血を抜きます。
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最後に内臓を取り除いてからクーラーボックスへ。おいしく食べるためには前準備が肝心です。しっかり冷やしたアメナマを抱え、自宅に戻ります。
※内臓は陸地に放置せず、持ち帰るか適切に処分しましょう。
アメナマ丼をつくる
アメナマ丼=アメリカナマズの蒲焼き丼
作るのは「アメナマ丼」。アメリカナマズをウナギのように蒲焼きにし、白飯の上にドーンとのせて食べるのです。 ウナギを焼く時同様、炭火で焼いてみます。
食材はもちろんアメリカナマズ。捌く前の状態ではおいしいとは到底思えないルックスですね(笑)
蒲焼きのタレは市販のものでも良いですが、今回は作ってみます。必要な調味料は、タレ用に醤油・砂糖・みりん・酒。
アメリカナマズを捌いてみる
蒲焼きにするためにアメリカナマズを捌いていきます。骨が硬い魚なので出刃包丁が便利です。この時点では淡水の魚特有のコケっぽい臭いがあります。
捌くのに邪魔になるのがヌメリ。そのままでは滑って捌けないので、熱湯をかけてヌメリを固形化させ、包丁でこそげ取りましょう。
塩を振りかけて取り除いても良いのですが、相当な量が必要になるのでおすすめしません。ヌメリをしっかり取ることで臭みもだいぶ取れます。
ヌメリを取ったアメリカナマズを3枚おろしたところ。 3枚おろしの方法は他の通常の魚と同じです。
小型のものでも骨が硬いので注意しましょう。出刃包丁に加え、調理ばさみを使いながら骨を断つと捌きやすいと感じました。
アメナマのタレ作り
蒲焼きには必須のウナギのタレならぬ「アメナマのタレ」を作ります。 ここで試したいことがあったのでひとつ挑戦。
ウナギの場合は頭や骨で出汁をとってタレを作るので、同じ理論でアメリカナマズの頭と骨を炙った後に出汁をとってみます。
みりん・酒を混ぜ合わせて火にかけてアルコールを飛ばし、アメリカナマズの頭と骨を投入。
少し煮込んでから味見。おぉ、臭くないですね。出汁も少しですが感じられます。醤油と砂糖を加えて煮立てたらアメナマのタレが完成。
蒲焼きを作ってみる
3枚におろしたアメリカナマズの身を炭火で焼いていきます。
まずはタレをつけずに白焼きにします。 身から脂が炭火に垂れ落ちますが、これがウナギと同様に良い香り。表面に軽く焼き目が出たら次の工程へ移ります。
ここで一回身を蒸して、ウナギの蒲焼きの焼き方で言うところの関東風にします。
蒸すことで脂が落ち、柔らかい食感になり臭みも取れます。
身を蒸した後はタレをつけて焼きます。
ウナギの蒲焼きの時も同様ですが、タレが炭火に落ちて立ち昇る香りに食欲がそそられる一番楽しい工程。
蒲焼きが焼き上がったら、丼に白飯をよそい、アメナマのタレを適量かけます。
最後に白飯の上に蒲焼きをのせたら完成です!
アメナマ丼、その味は……?
『アメナマ丼』が完成しました!
ウナギの蒲焼きのフォルムとは異なりますが、このアメリカナマズの蒲焼きも美味しそう。ウナギ料理店の前を通った時のような香りが、強烈に食欲をそそります。くれぐれもこの魚、アメナマですが。
食べてみると、ふわっとした身から旨みのある脂がジュワッと口に広がり、甘辛いタレに誘われて白飯がどんどんと進みますね。
うな丼を食べているかのような感想が次々に頭に浮かんでくるおいしさです。皮がカリッとしていて香ばしいのも、ウナギの蒲焼きと同じ。
アメリカナマズの頭と骨で出汁をとり、皮をつけたままの身を食べているわけですが、驚くほど臭みがありません。
下処理や蒸した効果もあるとは思いますが、ウナギと比べるとあの独特な香りも無く、アメリカナマズのほうがむしろ淡白な気がするほどです。
妻に言われて気付きましたが、脂がのっていて旨味もあるのですが、ウナギよりも脂がさっぱりしていて食べやすい。あのルックスからは想像できない絶品料理です。
アメリカナマズが釣れたら、ぜひアメナマ丼に
あっという間に完食。ごちそうさまでした!
以前よりアメリカナマズの蒲焼きがどんな味か気になっていたのですが、これまで食べなかったことを後悔するくらいおいしい蒲焼きでした。
その味は“ほぼウナギ”と言って良いと思いますが、うな丼の代替ではなく、もはや独立した一品料理とも言っていいでしょう。
ライタープロフィール
イシカワ ヒデカズ
東京都出身茨城県在住のウェブエンジニア兼ブロガー。普段はウェブの世界にいますが隙さえあればアウトドア。釣りはゆったりまったり五目釣りが好み。釣った魚をおいしく食べるまでを楽しみに釣りをしています。