釣った魚を“より美味しく”。魚を締めてみよう

『自分で釣った魚は美味しい!』と、釣り人なら無条件に感じることはしばしばあると思いますが、魚を釣れば釣るほど『より美味しく食べてみたい!』と考えるのも、釣り人の性ではないでしょうか?
今回は釣った魚をより美味しくいただくための、魚の締め方をご紹介してみましょう。
魚を“締める”ことの効果は?

魚を締めることで期待できる効果は、旨味をキープし、鮮度を保ち、臭みを抑えること。
締めずにクーラーの中で生きたまま持ち帰ろうとすると、ストレスが溜まり、やがてうまみ成分が分解されてしまいます。せっかくの美味しい魚料理が台無し……なんてことにもなり兼ねません。
魚を締めるのに必要な道具

魚を締めるために主に必要となる道具たち。これらのアイテムを持っていれば、間違いなく良い締め方ができるでしょう。
フィッシュピック

こちらはフィッシュピックと言われる、脳締め用のアイテムです。
魚の脳を締めて脳死状態にすることで、魚の持っている旨味成分が分泌してくると言われています。
釣りたての魚が「コリコリしていて新鮮なのは分かるけど、魚の味がしない」なんて時は、もしかしたら脳締めが理由なのかもしれません。
ベルモント フィッシュピック 一撃
神経締めワイヤー

次に必要なのが神経締め用のワイヤー。
脳締めしてできた穴からこのワイヤーを入れ、背骨の上に通っている神経束(脊髄)を壊すための道具です。神経締めは、死後硬直を遅らせることで、より鮮度を保てるようになると言われています。
ベルモント 形状記憶合金 神経締め
フィッシングナイフ

あとはご存知フィッシングナイフ。こちらは血抜き用ですね。
血抜きに関しては大半の釣り人が一番気を使っている部分だと思います。多くの説明は要らないと思いますが、魚に限らず生き物の臭みの原因となる理由のひとつは血です。
その血を綺麗に取り除いてやることで、臭みの少ない身に仕上がるのです。
ベルモント フォールディングナイフ
折り畳みバケツ

血を綺麗に流し出すためにも、折りたたみバケツは忘れずに携帯しておきましょう。
血は空気に触れるとすぐに固まってしまうため、バケツに水と魚を入れておき、血を流し出してやるのが最も効率的です。
TICT ホルダー付きバケツII
魚を締める手順
1.フィッシュピックで脳天締めをおこなう

先ずはフィッシュピックで脳締めします。魚によって脳のある場所が微妙に異なるため、一概に「ここを狙うと良い」とは言いきれませんが、おおよそ眉間の上あたりに脳があることをイメージして刺すようにしてみましょう。
脳締めができた時の合図は、目が動いたり、グルンと上を向いたりします。刺した後には上下左右グリグリと回して、確実に脳を締めるようにします。

僕もどこに脳があるのかハッキリと分かっていなかったので、先日釣れたカンパチの子供(シオの)頭を割って確認してみました。
想像通りの目のやや斜め上にありましたが、思ったよりも小さく、キチンと狙いを定めなければいけませんね。
2.ワイヤーで神経締めをおこなう

脳締めをした穴から背骨の上に向って神経締めワイヤーを入れます。
この時に力任せに無理矢理入れようとすると、神経にうまく入らず、間違って身に入ってしまいます。
力を抜いて自然にワイヤーが入っていく場所を探すようにするのがコツです(←ここ重要!)。滞りなく入ったら、それが神経のある場所です。

こちらは間違って身に入ってしまったケース。神経を直撃すると魚はビクビクと動きます。逆に動かなければできていないと思ったほうが良いでしょう。
3.ナイフで動脈を切り、血抜きをおこなう

最後に、エラの裏にある動脈を狙ってナイフで切ります。このとき、きちんと切れていれば大量に血が流れてきます。それを目印とすると良いですね。
ここで注意したいのは魚の心臓の位置。動脈近くに心臓がありますので、動脈と一緒に心臓を切ってしまうと魚が死んでしまいます。

腹を割って確認してみると……このようにエラ付近に心臓があるのです。これを刺すと魚は死んでしまうため、動脈のみを刺して血を抜くように気をつけましょう。
クーラーボックスもお忘れなく

ここまでできていれば、締める作業は完璧と言ってもいいでしょう。ここで忘れちゃいけないのがクーラーボックスの存在。
せっかくキレイに締めた魚なので、鮮度氷や保冷剤を入れたクーラーボックスで鮮度を保って持ち帰りましょう。
今回ご紹介した締め方は、慣れるまでは多少回数を重ね、ある程度失敗をすることで正解が見えてくる気がしています。かくいう僕もじつは何度も失敗をしています。
ライタープロフィール
小林大介
愛知県出身徳島県在住。映像クリエイター、フォトグラファーとして地方の限界集落で活動中。山の猟師でもあり、デジタルとアナログの両極端な生活を楽しんでいます。
海に川、ルアー、エサ釣りと限らず、楽しく美味しい釣りはなんでもトライするのが信条です。