ギギという名前のナマズをご存知ですか?
マナマズやビワコオオナマズだけじゃない!
皆さん、日本にナマズの仲間って何種類いるかご存知ですか?! 答えはゴンズイの仲間2種を含めて11種。外来種も含めると、なんと20種もいるんです。
じつはルアーで釣れるナマズ(通称:マナマズ)や1mを超えるビワコオオナマズだけじゃないんですね。
今回は、存在すらあまり知られていない『ギギ』というナマズの仲間をご紹介いたします!
ギギってどんなナマズ?
個体差こそありますが、夜に釣れるギギはレモンイエローな体色でとっても綺麗なんです!
かしこまった説明をすると、ギギはナマズ目ギギ科ギバチ属に分類され、日本にはギバチ属のナマズが4種類生息しています。
おもに河川の中流域や湖沼に生息し、ウナギ釣りの外道としてしばしば釣りあげられます。
ギギの由来は特徴的な鳴き声
ギギは、驚くと胸ビレの基部を擦って「ギィギィッ!」と独特な音を発することから『ギギ』と呼ばれます。
ちなみに、胸ビレと背ビレは先端が非常に鋭く尖っているため、刺されると痛いので注意しましょう。
ギギの毒性について、詳しいことは明らかとなっていません。ゴンズイのように激しく痛むことはありませんが、カエシがあるため深く刺さると抜くのが大変です。
ギギとマナマズの形・大きさ・生態の違い
ギギの尾びれは魚っぽい
ギギはナマズの仲間でありながら、よく観察するとマナマズとの違いがいっぱいです。
一番の違いは尾ビレの形でしょう。マナマズはスラっと小さな尾ビレに対し、ギギの尾ビレは一般的な魚のように発達しています。
他にも、ギギにはサケやマスの仲間に見られる脂ビレがあります。
ギギはマナマズより全長が小さくヒゲが多い
マナマズは70cm前後まで成長するのに対して、ギギの最大全長は30cm前後と小型です。
ナマズの代名詞でもあるヒゲの本数もギギとマナマズに差があり、ギギが8本に対し、マナマズは4本(仔魚期は6本)です。
ギギの面白い生態
ギギは岩場を好む習性があり、強い夜行性を示します。
日中は岩陰から出てくることはほとんどなく。餌を捕るのはもっぱら夜間に行われ、底生の水棲昆虫や甲殻類・小魚などを食べています。
また、ギギは雄親が岩の間に産卵床を構え、卵から仔魚期にかけて保護するという特徴的な繁殖生態を持っています。
日本に生息するギギの仲間は4種類
ギギ
日本には4種類のギギが生息しており、それぞれ生息域が異なります。
4種類のギギの中でもっとも大きくなる『ギギ』は、滋賀県から九州北東部および四国の一部の河川に在来分布。
ギギはアユに混ざって放流されることが原因で日本各地へ拡散され、国内外来種として以下、3種のギギの仲間に対して大きな被害を与えていると考えられています。
ギバチ
ギバチは、神奈川県および富山県以北に分布し、数こそ激減してしまっていますが未だに東京都にもひっそり生息しています。
ギギとギバチは尾ビレの形が異なります。ギギの方がギバチより尾びれが湾曲しているので比べると比較的簡単に見分けることができます。
アリアケギバチ
ギバチとそっくりさんなのが、アリアケギバチというギギの仲間で、その名の通り九州西部に分布しています。
近年までギバチと同種とされていたほどよく似ていて、外見で区別するのは難しい魚です。
僕の個人的な主観では、アリアケギバチの方がギバチより体高が低いように感じます。
ネコギギ
ネコギギは、ギギの仲間では極端に小さく最大でも13cm程度です。
東海地方にのみ分布し、国の指定する天然記念物とされています。
ギギの仲間の生息域は本来重なっていなかった
九州から東北にかけて、4種のギギの在来分布域は重なることなく綺麗に分かれています。
恐らく独自の進化を遂げながら、生息域の境目では熾烈な種間競争があり、同水系に2種が重なることが無かったのだろうなと僕は感じています。
それが現代になりおもに琵琶湖産アユの放流により、日本各地に最大種であるギギが運ばれてしまっていることを見過ごしてはいけません。
川のブッコミ釣りの好ターゲット“ギギの釣り方”
ギギの釣り方とポイントの見つけ方
河川の中流域で流れが反転し、すこし淀んでいるような場所が狙い目です。
岩が多い川の中でも、局所的にある砂地がとくにオススメ! はじめてギギを狙う場合は、まずは明るい内に川を下見しましょう。
釣り方はウナギ釣りと同じように中通しオモリを使ったブッコミ釣りでOK。オモリの重さは川の流れに合わせ、10~25号を使用しましょう。
釣り針はウナギ狙いより少し小さめが良く、丸せいごの12号程度が適しています。
ギギを釣るための餌
ギギは嗅覚が発達しており、動物性の餌を好む性質があるのでサンマやサバなどの匂いの強い魚を餌にすると良いでしょう。
もちろん、ドバミミズやテナガエビなど河原で捕れる餌でも大丈夫ですよ!
ギギは夜釣りで狙おう
ギギは極端な夜行性なため、狙って釣る場合は夜釣りがメインです。
夜の中流域は大変危険ですので、ヘッドライトを付けるなど、安全面に気を付けて釣行しましょう。
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ギギの食べ方と飼育方法について
ギギは美味しい魚
ギギは一部の地域では美味しい魚として認知されており、食用として漁獲されています。
淡白な白身魚で、アメリカナマズに似て美味しい魚です。
とくに清流で釣れたギギは、匂いもなく美味ですよ!
ギギの一般的な食べ方はかば焼きや煮つけですが、僕はフライにして食べています。
ギギを飼育する際の注意点
ナマズらしい可愛いヒゲがチャーミングなギギは、ペットとしても人気のある生き物です。
ナマズにしては小型なので、60cm規格水槽で終生飼育(寿命10~15年)できるのも嬉しいですね。
日本の川魚であるため、冬場にヒーターは要りません。かえって、近年の真夏の暑さが心配で、室温が30℃を超えるようなご家庭では水槽冷却用のファンを取り付けると安心です。
ギギを飼育する際の餌
ギギは、比較的なんでもよく食べてくれるため飼育しやすい魚です。
まずは冷凍赤虫を与え、水槽の環境に慣れてきたら沈下性の人工飼料(キョーリン・キャットなど)をギギの目の前に落とすようにして餌付けしてみましょう。
土管や流木などギギが隠れやすい場所を用意することで、安心し餌付きが早くなります。
釣り餌として使ったサバやサンマもよく食べてくれますが、飼育水を極端に汚すため避けた方が良いでしょう。
ギギは単独飼育が基本です
ギギは縄張り意識が強く、他の魚との混泳が難しい魚ですので、単独で飼育するようにしましょう。
最後に、ギギは国内外来種として大きな問題になっている魚です。飼育することは問題ありませんが、必ず死ぬまで飼いきる覚悟を持って飼育を始めましょう。
どんな理由があっても、一度飼育した生き物を野外へ放流しないでくださいね。
筆者紹介
山根央之(やまねひろゆき)
初めての1匹との出会いに最も価値を置き、世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズの兄。餌・ルアー問わず、もはや釣りに限らず。ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。
テレビ東京・緊急SOS池の水全部抜くやNHK・ダーウィンが来た、TBS・VSリアルガチ危険生物などに出演したり、魚類生態調査に参加したりと幅広く活動中。
どえらい魚を獲った!もはや釣りを越えて!色んな人と繋がって!特大天然メコンオオナマズ! 240 cm175 kg 捕獲です!!ホント色んな人に助けられてこの魚と出会うことができました!メコンオオナマズに関わる全ての人に感謝でいっぱいです!! pic.twitter.com/JHWpNdLAvX
— 山根ブラザーズ(兄)@kimi (@chillkimi) September 16, 2017