ギルロイドシリーズの末っ子
☝︎ギルロイドジュニア(上)ギルロイドベビー(下)。ギルロイドシリーズは現在、オリジナル・ジュニア・ベビーと3サイズを展開。
ギル型ビッグベイトというカテゴリを一気にメジャーへと押し上げた、2.6ozクラスの初代「ギルロイド」。
そして、そのダウンサイジング版として発売されたのが、次男坊の「ギルロイド・ジュニア」でした。ジュニアと言いながらも、それでも1.8ozクラス。
☝︎こちらは次男のギルロイドジュニア。ギル型ビッグベイトを用いたフィネス的アプローチを完成させ、世に広めた功労者とさえ言えます。
ビッグな風体からは想像もつかないほど繊細なアプローチが可能で、置いてよし、巻いてよし、柔よく剛を制す“フィネス・ビッグベイティング”の本家本元といった印象を受けました。
ギルロイドベビーは兄貴たちを超える釣力?
☝︎こちらが本記事の主役。2020年、シリーズの末っ子としてリリースされたギルロイドベビー。
なかなかエポックメイキングなルアーが登場しにくくなったと感じる、令和の釣具業界。一度人気を博したルアーは必ずと言っていいほど、「アップサイジング」、または「ダウンサイジング」される宿命にあります。
でも正直なところ、ただサイズを大きくしたり小さくしたりというだけでは、得てして本来あったはずの魅力を失い、新たに得るものは何もない……なんてことに陥るのが関の山。
そんな悲しいルアーたちをたくさん見てきたなかでも、ギルロイドのダウンサイジング版であるギルロイドジュニアは例外的存在でした。
ところがその予想はいい意味で裏切られることに。202X年、ギルロイドベビーによって世界はバスの悲鳴に包まれたのでした。
釣力こそすべて。う~ん、いい時代になったものだ!
ギルロイドベビーのスペック
☝︎ギルロイドシリーズの特徴的なブーツテール、そして形状の異なるスペアテールが完備。
全長120mm、自重1.2oz。
ギルロイドシリーズではおなじみのブーツテールが初期装備されていることに加え、スペアテールが2つ付属しています。
ギルロイドベビーの特徴
小さな巨人、釣れるギルベイト
ここで結論を言っておきましょう。このギルロイドベビー、小型化されたからといって、弱くなったと考えるのは間違いです。
使い方によっては、ギルロイドジュニアよりもアタックを引き出すパワーがありつつ、さらにフィネスな展開にも持ち込める剛柔一体っぷり。まさに小さな巨人。
ジュニアを遥かに超える直進性能
☝︎信じられない泳ぎを見せるスピードベイト。図体のわりに高速域の適性が高くて、”巻けるギルベイト”というカテゴリーの立役者。
ギルロイドシリーズの中で、もっとも小さいギルロイドベビー。ボリュームから生まれるアピール力は、当然両兄貴には敵いません。
だから魚を惹きつけてやるには、ただそこに浮かべるだけではなく、何かしらのアクションをつけてあげる必要があります。
クランクベイトのようなアピール力
☝︎超スピード耐性の秘密はこのリップ。ジュニアを超えるグリップ力と、小さなボディとは不釣り合いに思えるほど大きい「ブーツテール」がスイム姿勢の安定に貢献。
ギルロイド兄弟のなかで、唯一生まれ持ったリップにより、ブッチギリの高速巻きにまで対応しています。
食べごろサイズのギルベイトが、クランクベイトのようにバスの目の前に突然カッ飛んでくるわけですから、そのインパクトたるや強烈なのでしょう。
スピード=パワーであるならば、ギルロイドベビーはギルロイドジュニアにも引けを取らないパワフルベイトと言えます。
“ゴリ巻きからの止め”ができる。そんなインテリな側面も。
☝︎ギルロイドベビーは止めたら浮かぶ、インテリルアー。
シンプルにクランキングで誘えるギルベイトってだけでも十分魅力的なんですが、もちろんそれだけじゃありません。「巻けば沈む、止めれば浮く」という特性を生かした、フィネスを織り交ぜた誘いも得意です。
「ギルロイドジュニアもフローティングなんだから同じでは?」と言いたい気持ちはわかります。でもジュニアの場合は、高速巻きを安定させるため、スローシンキング仕様へのチューニングがマスト。
☝︎ギルロイドジュニアを高速で巻くにはウェイトチューンが必須。つまり止めると沈んでしまうのです。
しかもリップベイト特有の強力な制動性で、ビタっと止まってフワ~っと浮き上がる。その際、ブーツテールが水を受けて、自発的にアクションするのも見逃せないポイント。
今江プロ曰く、「これぞグリフワ釣法」。パッケージから出した瞬間から、生まれながらのインテリルアーとして使えるのがいいですよね。
置く釣りは他のギルベイトで
面倒だけど、ボトムに置くならウェイトチューンは必須です。
ギルロイドジュニアをスーパールアーに押し上げたメソッド、「置く釣り」はどうなの? と気になる人も多いと思いますが、ズバリ、可能です。
リップは着脱式になっていて、はずしてしまえばいかにもギルロイドジュニアの縮小版といった具合。あとは板オモリなどでウェイトチューンを施せば、文句なしの置きベイトが完成します。
リップを外せばこの通り。でも正直に言います。この釣りを、わざわざギルロイドベビーでやる必要はありません。
深堀したい人には、スペアリップセットも
2枚のうち1枚は「ワインドリップ」で、首振りアクションを可能にする代物。ぜひこちらもお試しください。
実釣レビュー
☝︎名前はベビーでも、ごっついのが釣れます。
ゴタクはもう十分だと思うので、実際に使用する状況や使い方について、実釣での経験をベースにお話しましょう。
厳寒期・バンク撃ちのスーパーエース
☝︎2020年末、風ビュウビュウのリザーバーではギルロイドベビーが活躍。
そもそもボートからハードルアーでバンクを撃つ釣りで魚を拾うには、手返しよくキャストを繰り返せることが大事です。
岸に寄っている魚・シャローの魚は、フィーディングをはじめとした何かしらの理由があってそこにいるわけですが、基本的には、自分(魚)がいる地点を基準として、沖側よりも岸側に注意が向いています。
エサを追い詰めやすいというのが理由で、とくに自身の運動能力が低下している時期にはこの傾向が顕著だと感じます。
手返しで食わせた真冬の一本。
そこでよく使われるのが、インパクトと手返しを両立できるクランクベイトやスピナーベイトなんですが、ここに割り込んだのがギルロイドベビー。
グリフワメソッドはストラクチャー撃ちに
リップレスタイプのギルベイトではこれまで攻めあぐねていた、立ち木などのストラクチャー。
それもそのはずで、無防備にツッコめばロスト必至。なんならもっともギルをイミテートしやすいポイントなのに、何度悔しい思いをしたことか。
ギルロイドべビーのタックル
ライターのタックル(ボート)
ロッド:ファクトHFAC-65M
リール:21スティーズ LTD SV TW 1000HL
ライン:フロロ14lb
以前はギルロイドジュニアのためだけにビッグベイトタックルを持ち込んでいましたが、2段ほどライトなタックルで扱えてしまう(ジョイントゾーイに加えて)ギルロイドべビーが登場したことで状況は一変。
ライターのタックル(おかっぱり)
☝︎おかっぱりならヘビーバーサタイル系が便利です。
ロッド:スーパースタリオンGT IGTC-71MH
リール:21スティーズ LTD SV TW 1000HL
ライン:フロロ16lb
まとめ
これだけ書いて、最後に言うのも変な話ですが、ギルロイドベビー最大の魅力はズバリ「パッケージから出してすぐにベストな状態で使える」ということ。
いまやギルベイトやビッグベイトはチューニングして当たり前って感じになっていますが、本来はこうあるべきなんですよね。
ともかく、扱い方も単純明快で、イカツい専用タックルも不要。つまりはギルベイト初心者にも使いやすくて、しかも釣れる!
2020年には魅力的なルアーがたくさん登場しましたが、ギルロイドベビーは間違いなく僕のベストバイ。自信をもっておすすめできるルアーです。
イマカツ ギルロイドベビー
ライタープロフィール
MONSTER
大阪府大阪市在住。インテリバサーを志す、グランダー武蔵世代。関西を舞台に、「考えるバス釣り」を楽しむ理論派ブログ戦士。勢いあまって、机の上で釣りを終えることがほとんど。ボート、おかっぱり、どっちも好きです。バス釣りブログ「BassGo!」の管理者。