LINE公式アカウント 最新の釣り情報をチェック! 友だち追加はこちら
釣り人ゴミ拾い袋

でも、やれる事がある「#釣り人が居れば水辺は綺麗になる」ゴミ拾い袋ができたワケ。

「釣り人が居れば水辺は綺麗になる」。京都山科の釣具店、バスフィールドの店長である川村さんが発起人となって誕生した『ゴミ拾い袋』に印字された言葉です。本記事では、いち釣り人であるライターTAKEBUCHIが感じる【釣り人とゴミ問題】についてや、川村さんから伺った携帯灰皿の配布活動・ゴミ拾い袋誕生の経緯などをお届けします。

目次

アイキャッチ・記事内画像撮影:TAKEBUCHI

「釣り」という最高の趣味!……しかし。

釣り。大自然の中で竿をふり、自然との一体感や、魚との駆け引きを楽しむ最高のアクティビティ。

個人的には、至高の趣味と言っても過言ではないこの釣りに、セットでついてきてしまう悲しい問題があります。

釣り人がゴミを捨てていく現実

人が集まる浜や堤防、水辺では、一部の心無い人によってゴミが放置されてしまうという現実があります。

釣り人も例外ではなく、なかには、釣り糸やウキなどの仕掛け類、缶・ペットボトルやタバコなどを持ち帰らずに捨てていく人も……。

水辺は、生物の住処でもあります。

それを人間の立場に置き換えると、自分の家に誰かが次々とゴミを投げ込んでくるようなもの。

さらに釣りで出るゴミは、生き物が誤飲しても消化されないワーム、その自由を奪う恐れのあるライン、外傷に繋がる釣り針など、生き物の命を脅かす物が多いのです。

ゴミは自然には無くならない

筆者は、仲間が釣り場で釣りゴミを拾う姿を見て、水辺のゴミを拾い始めるようになりました。

その中でよく目にするのが、ライントラブルでカットしたであろう長い釣り糸・ワーム・ワームのパッケージの3つ。

ゴミは拾っても拾っても、また別の日には別のゴミが捨てられる状態で、キリがありません。

SNSを見ていると、ゴミの放置などマナーのない釣り人の行動が原因で、釣り禁止となってしまった場所も増えている様子。

ゴミのポイ捨てに限った話ではありませんが、悲しいことに釣り人自ら、釣り場を減らしているのが現実なのです。

バスフィールド(BASS FIELD)川村さんの活動に目が留まった

ある日、SNS上で携帯灰皿とゴミ袋を配布する車の画像に目が留まりました。

携帯灰皿を入れたカゴに、「携帯灰皿を差し上げますので、どうぞ、これをキッカケにポイ捨てはやめてください。」と書かれています。

その隣には、「釣り人が居れば水辺は綺麗になる」とプリントされたポリ袋の束も見受けられます。

提供:川村さん

この活動は、京都山科でバスフィールド(BASS FIELD)という釣具店を構える川村さんによるもの。

川村さんは、どのような思いで携帯灰皿の配布を行っているのでしょうか。

釣り人のポイ捨てを減らすことに対して積極的な川村さんに、お話を伺いました。

携帯灰皿とゴミ拾い袋誕生の理由

意外な素顔!?「楽観的に釣りを楽しむ」

たけぶち
川村さん、今回は何卒、お付き合いのほど宜しくお願い申し上げます!

川村さん
いつもどうもありがとうございます!どうぞうどうぞ、何でも聞いてください。NGはありません(笑)よろしくお願いいたします!

たけぶち
読者の方に向けて、簡単な自己紹介をお願いできますでしょうか!

川村さんと釣具店

提供:川村さん
川村さん
バス釣りにハマって、釣り歴1年で右も左も分からないまま釣具屋「バスフィールド」を開き、ナンヤカンヤとやって来て、良く生き残ったもんだと22年目になります。

バス釣りが好きだから、バス釣りの置かれている状況、環境、状態を常に気にしながら、改善の道を模索し続け、動き、積み重ね続けながら、ただただ楽観的に釣りを楽しむ男です。

たけぶち
素敵なお写真ありがとうございます(笑)川村さんは、バス釣り始められて割とすぐに釣具店を開いたんですね。行動力がすごい。

私が川村さんの活動を知ったキッカケは、「無料配布の携帯灰皿」でした。車の後ろに携帯灰皿を入れたカゴがあって、自由に持っていけるという……。

たけぶち
SNSでその画像を拝見して、携帯灰皿もタダではないはずなのに、凄いなと。現在も携帯灰皿を配布しているのですか?

川村さん
はい、行く場所にもよりますが、この時期(1月)の浜大津では、ほぼやっています。今日みたいな風の強い日は無理ですが(笑)

たけぶち
無料で配布されていますが、これらを用意するには費用が必要ですよね!?

川村さん
そうですね、基本的には100均で購入しております。

店頭で販売している自分で作っているステッカーなどの売り上げ、皆さんの善意から頂いている「釣り人の為に使う募金」のお金を使わせてもらってます。

あと、ゴミ拾いされてるヒーロー団体「※クリーンバード」さんから、時々少し提供貰えてました。※ゴミ拾いボランティアのNPO

たけぶち
なるほど……!お店を訪れるお客さんや、ゴミ拾いヒーローの皆さんからのサポートがあるわけですね。

「釣り人が居れば水辺は綺麗になる」ゴミ拾い袋が誕生

たけぶち
携帯灰皿と一緒に設置されているゴミ袋も目を引きます。

「釣り人が居れば水辺は綺麗になる。」って素敵な言葉ですね!

このゴミ袋は、バスフィールドさんオリジナルのものですか?

川村さん
15年位前に、考えた言葉です。

釣り人が水辺に居る事は、釣りしない人にとって無意味で邪魔でしかない現状から、釣り人がそこにいる事は邪魔ではなく得であるという事を言葉にし、意義、意味、イメージを与え、印象を変えたいと思ったのです。

「ゴミ拾い袋」のデザインは僕がしたのでオリジナルになります。


たけぶち
川村さんは、絵もお上手ですよね!

川村さん
ありがとうございます。昔から落書きが好きで、SNSのアイコンとかも僕が描いてます。絵の事まで弄って貰えるとか、有り難い話です。

川村さんのイラスト

提供:川村さん ☝川村さんの描いたイラスト

たけぶち
バスに手を噛まれているゾンビモンキー!何とも言えない表情が好きです(笑)

ゴミ袋に話を戻しまして……、袋にメーカーなどのロゴが印刷されているのも気になりました。

バレーヒル、リューギ、DRTなど、なじみ深いメーカーさんのロゴも見受けられましたが、どういった経緯でこのゴミ袋が誕生したのか、お伺いしても宜しいですか?


川村さん
2016年春頃だったかな、ふと、もっとゴミ拾いに意味と効果を持たせられないか、そうすれば拾う事にやる気ややり甲斐が出て、更にアピールもできていいのではないかと思いました。

袋にプリントができる業者さんにメールをして費用を聞いたところ「30万くらいする」と言われまして。


たけぶち
へぇ~!?決してお安くはないですね。

川村さん
環境保護にはお金がかかる。

でも、DRTの白川さんに助言を頂きまして、SNSで「ゴミ拾い袋というモノを作りたいんですが、ご協力いただけるメーカー様おられますでしょうか?」とつぶやいてみたら、15社ものメーカーや個人事業者様から自主的に返信やダイレクトメールを頂けました。

ゴミ拾い袋 協賛ロゴ

出典:バスフィールド公式通販ショップ ☝ゴミ拾い袋には協賛ロゴなどがプリントされている

たけぶち
そして誕生したのが「ゴミ拾い袋」なんですね!確かこれは、お店や通販で購入できるんでしたよね。

川村さん
ゴミ拾い袋は販売する方法を取りました。

メーカーや業界に全てを押し付けるのではなく、意思ある釣り人が購入・負担する事で、その袋自体をポイ捨てされてしまう可能性を減らせるのではないかと。

環境保護にはお金がかかるという事を知ってもらいたかったので。

ゴミ拾い袋の反響は?

ゴミ拾い

たけぶち
環境保護にはお金がかかる。今まで考えてみたこともなかったですが、言われてみれば確かに、その通りかも……。

ゴミ拾い袋に対する反響を、川村さんご自身で、どのように感じられましたか?


川村さん
SNS上で「#釣り人が居れば水辺は綺麗なる。」というモノが出て来て、僕を知らない人、僕をフォローしてない人達が使い始め、広がりを感じました。

たけぶち
何故、そんなに広がったんでしょうか?

川村さん
それは、ゴミ拾い袋を宣伝してくださったユーチューバーの皆さんのチカラであったり、ゴミ拾い袋を使う人の行動を見て、使い始めてくださった人などの繋がりや広がりのチカラ。

僕の働きかけた成果ではなく、自然と広がる釣り人達個々の力の成果です。


たけぶち
ゴミ袋の誕生や広がりにSNSがとても活躍していますね……。

川村さん
SNSという力は現代において、とても、素晴らしいツールだなと思っています。まあ、問題も多いですが(笑)

いち個人が、いち個人以上の何かを発揮できる。力を増幅することができる。

「釣り人が居れば水辺は綺麗なる」という文言が、意義と意味を生み出せたことが僕としては本当に嬉しいし、心から喜んでいます。自画自賛とか恥ずかしい事ですが(笑)

釣り人にゴミ拾い袋を売って得た売り上げなどで、去年末は、NPO法人 水辺基盤協会様に10万円も寄付できました!


たけぶち
おお~!

先は長いし終わりはない「でも、やれることはある。」

川村さんがゴミ拾いを始めたワケ

ゴミを拾う川村さん

出典:bassfiTV 自身のYouTubeチャンネルのライブ配信で水辺のゴミを拾う川村さん

たけぶち
ここで始まりに立ち返って、川村さんがゴミを拾い始めたきっかけというのは、どんなことだったのでしょうか?

川村さん
ゴミ拾いを始めたのは、ブラックバスリリース禁止の約20年ほど前からです。

奥村哲史(ぶちょう)さんが、ロドリでの釣行記事の中で拾っておられるのを見て、「ああ、拾ってもいいんだな」と。

当たり前の事なんですが、ゴミを拾うと言うのが何故かできない、ナニかわからない壁があったのですが、それを壊してもらえたことが拾えるようになったきっかけです。

たけぶち
プロの方が拾っていると尚更ですが……やっぱり、誰かが拾っている姿というものは、影響力が大きいですよね。でも、そもそも、何故ゴミを拾おうと思ったんですか?

川村さん
(ブラックバスの)リリ禁になるとかならないとかかの議論がアチコチで生まれていて、その話の中で、いつも出るのが釣り人のマナーの悪さ。

それを誰も律さない業界の姿勢、「釣り人が要ていい事なんてない」と。そこで釣り人は負ける。まあ、そのほかの議論でも大概、最終的に釣り人は負けるんですが(笑)


たけぶち
釣り人って、どうしても悪いイメージが先行してしまう感じ、わかる気がします。

川村さん
人に知られない行動は、していないのと同じだと言う事を、その時思い知らされました……。

釣り業界でも、昔からそれなりにゴミ拾いはなされてきてましたが、同じでした。

たまに見るのではなく頻繁に見られる個人の行動、いつでもどこでも一人でもできる行動が必要だと思い、それを人にやらせるのではなく、まずは自分から動き、見せよう。

正解ならば人は続くし、きっと広がる。間違っていれば広がらないという想いをもって、ゴミ拾いを始めました。

個々の釣り人がゴミを拾う意味とは

ゴミ拾い
☝水辺でゴミを拾う筆者の釣り仲間

たけぶち
一人一人がゴミを拾うことが、釣り人の良い印象付けには不可欠だということですね。

川村さん
意味や効果がデカくて、行政に効果があるのは、圧倒的に大きなゴミ拾いなんですが、何かを決める時に世の感情や認識が邪魔になることがある気がしてて。

それを邪魔しない、引っ掛からずそのまま決定してもらえるように、個々人のゴミ拾いがあるのではないかなと思っています。

交渉にあたる人、その場に立つ人の足元がしっかりしていると、きっと有利になるのではないか?個々人のゴミ拾いには、そういう意味もあると思っています。


たけぶち
釣り人を代表する人や、積極的に声をあげる人だけでなく、釣り人の多くが環境への意識を持つことが、釣り場を守っていくことに繋がると。

川村さん
そうですね。物事を動かすための表面的な動きと、それを下支えするための内面的な行動・活動が必要だと考えています。

個々の動きだけでは、社会的・政治的・政策的な事は動かせない。ソコは代表となるものの働きかけが必要です。それが水辺基盤協会や淡海を守る釣り人の会、日釣振、日釣工。

それらの団体が交渉する時に、世間からの評価やイメージを築き上げておかないと、説得力がない。多くの一般の釣り人が環境への意識を持たないといけない。それを教え、示していくのは業界やプロだけではなく、意識ある釣り人がやらないといけない。皆、自らの為に


たけぶち
私個人としては、ゴミ拾いをアピールすることに関してはそれほど重要視していないのですが……、やはり、ゴミを拾うことをアピールしていくべきでしょうか。

川村さん
ゴミ拾いをアピールすることに、マイナス要素は ほぼ無いと思っています。

ゴミを拾える人を増やしているのは現実ですし、釣りをしない人へのアピール、ゴミ捨ててる人への教育とけん制、啓蒙。そして、事実、その時ソコのゴミが消える。


たけぶち
ゴミ拾いをアピールすることは、釣り人のイメージ向上のために、とてもプラスなことなんですね。

これからの目標や意気込み

  • 川村さん
提供:シマさん

たけぶち
どうしても悪いイメージが先行してしまう私達釣り人が今後どうしていくべきかなどを踏まえて、TSURI HACK読者の方々に伝えたいメッセージはありますでしょうか?

川村さん
多くの志ある人が、釣りのゴミ問題を1人で一気にすべて解決できるような答えを探してしまっている気がする。安心してください無理です、無いです(笑)

一気に解決できるような解決策ではない、でも、やれることはある。1人でもできる事があり、やってる人がいて、1人だからいつでも自由にできる事があります。現代では、その行動をアピールでき、仲間を増やせる場所もある。現実的にその時、そこからゴミは消える。

1人1人の力がとても意味のある必要な行動であり、重要な活動です。ゴミを拾うようになった人がいたという実績も多々ある。

人を動かすこと、変える事は難しい。でも、自分を動かすこと、変える事はそれよりも簡単。『釣行時にゴミを拾ってSNSアップする』という、とても簡単な事ですが、やるかやらないか、自分を動かすのは自分です。

自分の守りたいモノを、誰かに押し付けて守ってもらうのではなく、自ら守りに動かないとね。本当に守りたいなら。本当に好きなら。


たけぶち
ゴミ拾いをアピールすることって、釣り場を守りたいという、その想いの延長線上にあるんですね。川村さんご自身では、今後の目標や意気込などはありますか?

川村さん
目標は、「現状維持しつつ、運が良ければ多少なり改善へ」ですかね。

僕は、僕が釣りをできればいいと思っていて、「未来の子供に釣りできる自然を」なんて思っていないんです。そんなすごいことはできないし、僕は僕自身が釣りできるように環境を守れればいいと思って動いています。

そうしていれば、その後の事を担う人も、きっと、その中で育って行くんじゃないかと。とりあえず、聞こえがいいようなことを言い放つのではなく、自分の器以上の目標は持たない様にしています。

たけぶち
今できることを続けていれば、それが必然と未来にも繋がっていくと。
川村さん
気負うといずれ疲れるし続かない、なので聞こえの良い答えではないかもしれませんが、テキトーに、気楽に、楽しみながら、手を抜きながらやっていきます。

先は長いし終わりはない。やめたら、折れたら終わり。やめなければ、折れなければ、ひたすら先はある。

だから、ただ淡々と、自分が釣りできる環境・状況を現状よりも酷くならないようにと思いながら、テキトーに気楽に、手を抜きながら、サボりながら、楽しみながら、続けていきます。

たけぶち
ひたむきに、楽しみながら続けて行かれる姿勢、素敵だと思います。私もコツコツやりつつ、川村さんの活動を応援しております!

今日は、ありがとうございました!

好きな釣りを、いつまでも。

ゴミを拾う筆者

今回は、水辺のゴミについて考え、釣具店バスフィールドの川村さんの活動についてお話を伺いました。

好きな釣りをいつまでも続けていけるよう、筆者も今できることをコツコツと続けていこうと思います。

本記事で紹介した「ゴミ拾い袋」は、バスフィールドオンラインショップで購入することができますので、是非チェックしてみてください!

バスフィールド公式|ゴミ拾い袋製品ページ

〒607-8122 京都府京都市山科区大塚高岩 BASSFIELD
営業時間:火曜~日曜 12時頃~20:30 月曜日定休日

関連記事