【強電魚】シビレエイの生態や発電量について解説します
シビレエイの分類について
シビレエイの分類は、エイ目として扱う文献やシビレエイの仲間だけでシビレエイ目を構成するといった文章など、研究者によって見解に大きな差があります。
現状では、エイ目シビレエイ亜目と表記するのが多数派のようです。つまり、シビレエイはエイの仲間と考えて良さそうです。
ちなみにシビレエイの仲間は、世界に約37種類が知られています。1種類だけじゃないんですね。
シビレエイの発電量
強い電力を発する生き物は「デンキウナギ」や「デンキナマズ」が有名ですが、シビレエイを含めこれらの魚を『強電魚』と呼びます。
それぞれの最大発電量は、デンキウナギ-800V、デンキナマズ-300V、シビレエイ-60Vと非常に強力でいわずもがな獲物を気絶させたり、外敵を追い払うための武器として使っています。
ちなみに、『弱電魚』としてはブラックゴーストやエレファントノーズなどの魚があげられ、彼らは微弱な電気を使って仲間同士のコミュニケーションを取ったり、レーダーのように利用することで餌や障害物の位置を把握しています。
シビレエイを使った発電装置?!
理化学研究所では、シビレエイの発電器官を使った発電装置を開発しています。
シビレエイをはじめとする強電魚たちの変換効率はなんと100%とのこと!
一般的な火力発電の変換効率は35~43%、原子力発電は約33%、クリーンエネルギーの代表である風力発電でさえも約60%と言われれば、強電魚の発電効率が驚異的であることが分かります。
シビレエイの発電メカニズムや発電機としての利用方法について、詳しく知りたい方はイギリスの科学雑誌“Scientific Reports”に掲載されています。
“An electric generator using living Torpedo electric organs controlled by fluid pressure-based alternative nervous systems”
Scientific Reports, doi: 10.1038/srep25899
発電するレア外道“シビレエイ”が釣れた
シビレエイは僕にとって思い出深い魚
実は、以前に伊豆半島でシビレエイを狙った釣行を重ねたのですがカスリもせず。
挙句の果てに、ダイビングという課金スタイルを幾度か発動させて出会った思い出の魚です。
ブサカワ好きにはたまらないこの形と顔。僕はこの手の魚達に最高に癒される人間なんですね。
ダイナンウミヘビをルアーで狙う怪魚ハンター山根
皆からの嫌われ者“ダイナンウミヘビ”もまたブサカワで僕好みの魚です。
ウミヘビはルアーでもよく掛かる。という話を聞いて試してみたくなっちゃったんですね!
砂底の漁港で海底をメタルバイブレーションで丹念に狙っていたら……
▼ダイナンウミヘビの意外と知られていない面白い生態はコチラで紹介!
こっ、この特徴的な形は……間違いないッ!
海底から誘いあげようとした瞬間「グンッ」と重みが伝わります!
何の疑いもなく「ウミヘビ確定ッ!」と思って上げてきたら……
ブリブリと尻尾を振りながら海面に姿を現したのは、かつて憧れた『シビレエイ』ではありませんか!
超絶ハイパーめちゃくちゃ釣ってみたかった魚です! 嬉しすぎて発狂しちゃいました!!
シビレエイを触って感電してみた……。
感電してみたかったんです。
以前、最大800Vを誇るデンキウナギを鷲づかみにしてどえらい目にあったものの死にはしなかったので、60V程度なら電気風呂に入るくらいだろと思って触ってみたのですが……。
デンキウナギのズドンと体の芯を突かれるような重厚な衝撃ではないにしろ、「ビリッーーーっ」と左の掌から肩までまぁまぁ強烈に痺れました。(汗
何とも例えにくい苦痛なんですが、強いていうならば水槽を掃除中に濡れた手でコンセントを触ってしまった時にくる「バリッ!」って感覚をより強くした感じかな……。
控えめにいって『痛い』ので絶対に真似しないでくださいね。
何回か放電すると弱くなります
連続攻撃はできないようで、何度か放電させることでようやく落ち着いて写真を撮ることができました。
一般的なエイよりも体盤が分厚く、はんぺんでも持っているかのような感触です。
いわゆるエイヒレの部分(体盤)は発電器官に特化しているようで、遊泳には使ってなさそうだなと感じました。
ちなみにアカエイのような毒針はありません。
シビレエイの発電器官を刺身で食べてみた
食べるか飼育するか悩んだが……
どんな動きで捕食行動をするのか凄く興味があり、飼育することを真剣に考えましたが、どうにもシビレエイの状態が悪かったので今回は実食することにしてみました。
まな板の上のシビレエイ。僕にとって最高に幸せな瞬間です。
ちなみに、後から調べると、どうやらネムリシビレエイという種類のシビレエイのようです。
尻ビレの形からシビレエイと区別されるということを学びました。
皮を剥ぐことで分かるシビレエイの特徴
シビレエイの皮を剥いですぐに「ウォー!すげー!」と声を上げてしまいました。
見たことも無い綺麗な六角形の組織が並んでいます。
これこそ、変換効率100%を誇るシビレエイの発電所です!
筋肉は背中から尾にかけて集中していて、やはり体盤は発電に特化させているようです。
シビレエイの発電器官を刺身にしてみた
発電器官を切り分けてみると、水分量が尋常ではないことに気づきます。
少々硬めに仕上がったスライムのような……今までに経験のない感触に好奇心が掻き立てられます。
幸いも軟骨魚類特有のアンモニア臭はゼロ! 皆無と言って良いくらい無臭です。これなら生で食えるなと直感します。
生のシビレエイのお味はいかに
水分が多かったのでトロリと溶けるかと思いきや……噛んでも噛んでもひたすら「グニュグニュ」するだけで一向に無くなりません。
触感を存分に味わったところで飲み込みますが、喉越しは悪くなくトゥルンといった感じ。ちなみに電気で痺れることはありません。
味はというと、無味に近く、試しに醤油を付けずに全味覚と嗅覚を集中させると、どこか遠くで甘えびに似た香りを感じます。
不味くはないし、不快でもないのですが……何というか。お金払ってまで食べたいとは思いませんね(笑)
ちなみに筋肉部分は普通に美味しかったです。サカタザメやウチワザメが美味しいのと同じですね!
▼サカタザメの食レポはコチラの記事です!
僕の好奇心を満たしてくれたネムリシビレエイに感謝
今回は、不意に起きたネムリシビレエイとの出会いでした。
自然の中にはさまざまな感動や謎が溢れています。これからも色んな生き物たちが僕の興味を駆り立ててくれることでしょう!
最後に……エイの仲間には毒針を持つ種類も多く、すぐにエイの種類が分からない場合は、ハリスやリーダーを切ってリリースするようにしましょう。
筆者紹介
山根央之(やまねひろゆき)
初めての1匹との出会いに最も価値を置き、世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズの兄。
餌・ルアー問わず、もはや釣りに限らず。ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。
テレビ東京・緊急SOS池の水全部抜くやNHK・ダーウィンが来た、TBS・VSリアルガチ危険生物などに出演したり、魚類生態調査に参加したりと幅広く活躍する。
どえらい魚を獲った!もはや釣りを越えて!色んな人と繋がって!特大天然メコンオオナマズ! 240 cm175 kg 捕獲です!!ホント色んな人に助けられてこの魚と出会うことができました!メコンオオナマズに関わる全ての人に感謝でいっぱいです!! pic.twitter.com/JHWpNdLAvX
— 山根ブラザーズ(兄)@kimi (@chillkimi) September 16, 2017