田舎暮らし歴6年のリアル
徳島県の限界集落にて田舎暮らしを始めて、かれこれ6年の月日が経ちました。TSURI HACKライターの小林です。
ここ数ヶ月で働き方や生活がガラリと変わってしまった方も多いと思います。そうした状況の変化で、都心に住んでいることのリスクの高さをまじまじと感じたり、田舎に移住してみたいなどと考えている方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、田舎へと6年前に移住をした自身の「リアルな事情」を書いてみたいと思います。僕のように釣りやアウトドアが好きすぎて、田舎暮らしを検討している皆様の参考になれば嬉しいです。
田舎に移住するまでの話

☝︎愛知県一宮市上空を空撮。久しぶりに実家に帰るとドローンを飛ばすのが恒例です。
僕はもともと愛知県一宮市出身。30歳までは愛知県に住んでいました。東京都のど真ん中ほどではありませんが、今の拠点に比べるとかなり都会です。
愛知県一宮市は割と内陸。海までは距離が多少あったため、海釣りよりもライトに楽しめるバス釣りをしていることが多かったです。
海釣りとなるとわざわざ福井県まで足を運んでいたため、釣りの日の前日は楽しみすぎて寝られない。まるで遠足に行く子供のような気分でした。

☝︎バス釣りも好きでしたが、こうして猫と遊ぶのも日課。癒されます。
岐阜県の大江川や五三川をメインフィールドに、週末は一日12時間ぐらいバス釣りをしていました(笑)
今では考えられないほどの長い釣行時間ですが、当時はこれだけやっても短く感じているほど熱中していたんです。
愛知から海外へ。その後、徳島県に移住。

そんな「バス釣りざんまい生活」を愛知県で送っていましたが、海外での生活を経験してから、海釣りにどっぷりとハマります。
オーストラリアのバイロンベイという街では、毎日のように磯に行って釣りをしまくっていました。

日本では多分釣ることのできない『テイラー』という魚。和名ではアミキリという名前がついており、アメリカではブルーフィッシュと言われています。
このテイラー、日本だとサゴシっぽいような身をしているため、刺身は微妙でしたが、火を通せばなかなかの美味。
この頃から、「釣って食べるまでが釣りの楽しみ方」という、今の自分のスタイルが強くなっていった気がします。

☝︎現在住んでいる家(徳島県)の上空から撮影。『ポツンと一軒家』に出てもおかしくないような山の谷間に住んでいます。お隣さんまでの距離は1キロ以上。
そんな海外での釣り生活が楽しすぎたので、日本でも「海の近い町に住みたい」と感じるようになり、移住先を探して旅をしていたところ、徳島県に行き着いたのです。
移住先はじっくりと。人との出会いを大切に。

移住先を決めるまでにかけた期間は約1ヶ月。それでも人によっては半年、それ以上も当たり前のようにかかるので、かなり早い方だと思います。
因みに移住者向けに短期滞在施設が設けられている地域があったので、宿泊はそのような施設も合わせて利用しました。

ステーションワゴンに必要な荷物(寝袋や釣り竿)だけを載せて、ただただ旅をする毎日。様々な人と出会い、そしてその出会いを大切にしてきました。
これは移住に限った話ではなく、お仕事をする際も同じ。人との出会いやご縁を大事にしています。人生においてこれほど大切なことはないでしょう。

自分の欲求が強ければ強いほど、移住先でトラブルを起こして失敗しているケースを見かけます。
「殺気が出ていると魚が釣れない」と良く言われますが、もしかしたら移住することも似ているのかもしれません。
海まで近いから釣り三昧

僕が住んでいる町はいわゆる漁師町。なので目の前は海。しかし、家は山奥のため車で10分ほど走ります。

仕事前も終わったあとも、「ちょっと釣りしてこようかな」と思い立ったら釣りに行く日々。
最近は仕事前のライトショアジギングか、夕マズメのメッキ釣りにハマっています。あぁ素晴らしきかな、田舎暮らし。
田舎でのお仕事

田舎に移住するにあたっての、大きな悩み事のひとつは『仕事』だと思います。都心と比べ田舎には企業も少なければ、当然仕事も少ない。
農業や漁業などの一次産業がメインであり、そうした職業に就きたいと考えているのであれば、見つけやすいかもしれませんね。
とはいえ、現在リモートワークへの理解や、そもそもリモートワークでも成り立つ仕事も多くなってきているので、その限りではないでしょう。
いずれにしても、“田舎でできる仕事”を移住前にしっかりと見つけておくことは、田舎暮らしを実現するための大きなポイントのように感じます。
どんな場所でも、仕事ができるスタイルならベスト

じゃあ、僕自身はというと個人事業主のクリエイターです。ときたま、副業としてライターや猟師をしています。
映像制作や写真撮影、ウェブページなどのデジタルコンテンツ制作がメインのため、カメラやPCがあれば一応どんな場所でも仕事ができるスタイルです。
もちろん撮影現場に依存してしまうため、都心に住んでいる方が仕事と出会うチャンスが増えたりと、不利な点も多々あります。その数には圧倒的な違いを感じているので、一長一短かもしれませんね。
ですが、仕事と遊びのバランスの取れた豊かな人生を送りたいと考えていたため、ITテクノロジーの恩恵を存分に受けながら、できる限りのんびりと暮らすことができています。
田舎の良い所
海や山、自然が近いところに溢れている

田舎の最大の良い点。とにかくアウトドアや自然と触れ合うことが好きな人にとってはたまりません。
先程も書きましたが、海が近いため釣り三昧の日々を送ることもできますし、僕の住んでいる環境であれば山も近く猟師としての活動も可能です。
▼田舎でのもう一つの仕事、猟師について語った記事です。

☝︎今年の夏は秘境のような近くの渓流に何度も足を運び、多くのアマゴたちに出会いました。
山の近くには必ず川があります。なので海も山も川も楽しめる環境なのです。都心に住んでいたらこの経験はなかなかできませんよね?
人混みからの開放

そもそも人が少ないので、田舎なら人混みがほとんどありませんし、渋滞もありません。満員電車とも無縁。とにかくそういったことが苦手で、ストレスに感じてしまう人にとっては天国です。
自分自身もそうした環境に身を置いてきた結果、ストレスを感じてしまったため、田舎に移住を決めたという背景があったりします。
釣りをしていても、都心付近の釣り場と比べ、人の少なさは一目瞭然。一人でひっそりと釣りをしていたい人にとっては最高の環境なんじゃないでしょうか。
その一方で、家族や友達で賑わって楽しそうに釣りをしている光景をみると、羨ましいような、懐かしいような感情がこみ上げてきたりもします(笑)
新鮮な食べ物が豊富

食べ物が驚くほど新鮮です。産直に行けば採れたての野菜が手に入りますし、近所の方に釣った魚をあげれば、倍返しで野菜が返ってきます(笑)
魚に関して新鮮なのはあたり前。魚がこれほど美味しいのかと知ったのは、じつはここ数年のこと。何を食べても本当に美味しいんですよ……。
田舎で困る所
仕事が少ない

はい、ここからはちょっぴりシビアな田舎暮らし事情です。
先にも書きましたが、田舎は都心のように仕事がありません。自分が望むような企業はごく僅かどころか、ほぼ皆無だとおもって覚悟した方がいいでしょう。
仕事がしたいのであれば、自分で仕事を作る必要もあったりします。それなりに強い心やガッツが必要ですし、大変な時は本当に大変です。
買い物までが遠い

とにかく買い物ができる場所までが、非常に遠いことも問題です。思いつきで軽く買い物に行こうと思っても、そこまでに車で一時間とかザラにあります。
例えば、釣具を見に行こうと思ったら車で片道一時間。「吉野家の牛丼食べたい!」と思ったら、なんと片道一時間半です(笑)
最近ではオンラインショップで購入できるものが増え、困ることはかなり減ったとは思います。ただ、「不意に必要なものを近所のコンビニまで」ということですらも、気軽にできないのが現状です。
草刈りなど、肉体労働もときに求められる

都心だとインフラ等が完全に整備されているため、日々地域を管理するようなことは少ないかもしれませんね。田舎では、住んでいる人たちで管理していくというスタイルが当たり前。
地域によっては、草が生えれば自分で刈らなければいけませんし、水が止まってしまえばそれを管理する必要も。昨日も一時間かけて草刈りをしていましたので、絶賛筋肉痛の状態でこの記事を書いています(笑)
こうした、「日々の過ごしやすく生活していくための管理」を、自分で行うことが億劫に感じる人は向いていないでしょう。
逆にちょっと面倒なことを率先してできるような人こそ、田舎暮らしに最適な人かもしれません。不便を楽しむというか、なんというか。
終わりに。

というわけで、田舎に移住歴6年のリアルな事情をつらつらと語ってみました。
今、実際にどれぐらいの方が田舎暮らしに興味を持たれているのか、この生活が当たり前になってしまった自分には全く想像がつきませんが、そうした方々の参考になれば幸いに思います。
特に釣りを趣味にしていると、「いっそ海に近い町に住みたい」と思ってくるのも自然なことです。いきなり移住となると難しいかもしれませんが、まずは都心と田舎の二拠点生活。そんなライフスタイルもありかもしれませんね。
ライタープロフィール
小林大介
愛知県出身徳島県在住。映像クリエイター、フォトグラファーとして地方の限界集落で活動中。山の猟師でもあり、デジタルとアナログの両極端な生活を楽しんでいます。
海、川、ルアー、エサ釣りと限らず、楽しく美味しい釣りはなんでもトライするのが信条です。