魚の骨格標本

【簡単&手軽】魚の骨格標本の作り方をおしえます。家にあるものでできちゃいます!

カッコいい魚の標本を作りたい!そんなあなた、今回は自宅で簡単にできる“魚の頭骨標本の作り方”をご紹介します。自宅に道具や薬剤で作れるので簡単にできるので、自由研究にもオススメですよ!

目次

※グロテスクな表現や残酷表現が苦手な方はご遠慮ください。

骨格の魅力って?これまで色んな魚を骨にしてきました

骨の魅力とは?

恐竜 化石

今回はある種、“死の象徴”である生き物の骨をアート的に楽しんでみようという記事です!

とはいえ、骨って魚を食べる方には身近な存在かと思いますが、食べれないですしどっちかっていうと邪魔な存在ですよね……。

では、恐竜の骨はいかがでしょう? 男心をくすぐるのはもちろんのこと、最近では「恐竜女子」という言葉もあるくらい老若男女問わず人気があるんです!

魚の骨もカッコいいぞ!

魚の頭骨標本

鋭い牙、大きな口、眼球の位置。どれをとっても恐竜に似てませんか?

実は魚の頭って、骨にしてみるとさまざまな特徴があってこんなにカッコいいんです!

ちなみに、この写真はタチウオの頭骨標本です。他にも僕のコレクションをちょっとだけご紹介させてください!

大きな顎と鋭い牙がカッコいい!ウツボの頭骨標本

ウツボ 頭骨標本

比較的簡単に釣獲でき、製作も容易なウツボが一番オススメです。

骨の数が少なく、それぞれが比較的強いので初心者の方でも簡単に作れますよ。

カッコよさもトップクラスだと思っています!

鼻曲がりは骨にしても健在!カラフトマスの頭骨標本

カラフトマス 頭骨標本

北海道で釣ったカラフトマスがあまりにカッコ良かったので、身は現地でおいしくいただき、頭を持ち帰りました。

軟骨が多いので製作難易度は中級レベルですが、完成品のカッコよさは最高です!

マス類って実は牙が多い魚なんですね。管理釣り場の大型ニジマスやブラウンもきっとカッコいいと思いますよ。

スケルトン感半端ない!ミズウオの頭骨標本

ミズウオ 頭骨標本

場所が限られるため、入手難易度は高いですが、このカッコ良さのためなら海岸に打ちあがるミズウオを拾いに行く価値ありです!

製作難易度は、骨がとても脆いので中・上級者向けです。

▼ミズウオの拾い方の記事はこちら

製作難易度は魚種によって異なります

魚 頭骨標本

骨は魚種によって強さや数が違い、それによって難易度も変わってきます。

カッコ良さは牙が大きいものや、口が大きく開くものが万人ウケするかと思いますが、あくまで自分のために作るので自分自身がカッコいいって思う魚を骨にしてみましょう!

僕が作ってきた頭骨標本を難易度別にあげると以下の通りです。

■頭骨標本の難易度

  1. 【簡単】
  2. ウツボ、ウナギ、オオウナギ、スッポン、カミツキガメ
  3. 【普通】
  4. 太刀魚、カラフトマス、ビワマス、ハス、雷魚、アユカケ、ナマズ、トビエイ、ウケクチウグイ、ヒラメ
  5. 【難しい】
  6. ブラックバス、ミズウオ、メバル、シーバス

魚の頭骨標本がオススメな理由

魚頭骨標本

ちょっとグロテスクな動物の解体と違い、魚の骨格標本作りは、いつものように台所で魚をさばき、机の上で製作できます。

全身骨格標本となると作成難易度が一気に上がり、飾る場所にも困るので僕は手軽な頭骨だけの標本作りを楽しんでいます。

今回は、誰でも簡単に魚の頭骨標本を作製できる「軟骨を残した方法」をご紹介します!

骨格標本よりも簡単な“頭骨標本”を作るために必要な道具

頭骨標本の製作工程と時間について

頭骨標本 作り方

■頭骨標本の制作工程と目安時間

  1. ① サンプル採取(釣り or 鮮魚売場)
  2. ② 除肉:15分〜30分程度
  3. ③ 茹でながら除肉(骨が弱い場合省略):30分程度
  4. ④ 薬品除肉:1時間〜一晩程度
  5. ⑤ 除光液で脱脂(省略可能な場合あり):1時間〜一晩程度
  6. ⑥ 漂白剤で最終的な除肉・脱臭:30分〜3時間程度
  7. ⑦ 乾燥:1日程度

製作時間は2日から4日程度

魚種によって製作にかかる時間はそれぞれですが、ウツボなど簡単なものなら2日もあれば完成します。

薬品処理は濃度によってスピードが変わります。濃くすれば製作時間は早く済みますが、骨が溶けてしまうリスクがあり、薄くすれば骨へのダメージは軽減しますが、脂や筋肉が残って黄ばんだり、時間がかかります。

薬品は家庭用薬剤3点のみ!

頭骨標本 使う道具

一般家庭にある薬品で骨格標本は作れちゃいます! 全部揃えても1,000円以下とお手頃です。

■用意するもの

  1. ・排水口クリーナー(パイプユニッシュなど、水酸化ナトリウムが含まれるもの)
  2. ・マニュキア除光液(アセトンが含まれるもの)
  3. ・塩素系漂白剤(キッチンハイターなど、次亜塩素酸ナトリウムが含まれるもの)
  4. ・ピンセット
  5. ・瞬間接着剤(ゼリー状)
  6. ・カッター

ジョンソン パイプユニッシュ PRO(400g)

内容量:400g
液性:塩素系

カネボウ KATE ネイルカラーリムーバーN (除光液)

成分:アセトン、水、酢酸ブチル、PG
内容量:230mL

花王 キッチンハイター 液体

内容量:600ml

工具はカッターとピンセットと瞬間接着剤のみ!

頭骨標本 用意する 道具

デザイン用カッターがない場合は、家庭用のカッターでもOKです。

ピンセットは精密ピンセットがあると良いでしょう。ホームセンターで1本数百円で購入できますよ。

瞬間接着剤はゼリータイプがオススメです。軟骨まで溶かし本格的に組み上げる場合はホットグルーを使用します。

ツイーザー ステンレス製 精密ピンセット

サイズ:全長約12cm
ステンレス製

夏休みの自由研究にも“魚の頭骨標本”オススメです

頭骨標本 作り方

薬品を使用するため大人のお手伝いが必要ですが、工程的には難しくありませんので、小学生中高学年の方の夏休みの自由研究にも良いかもしれませんね。

それでは、さっそく魚の頭骨標本を作りましょう!

簡単な頭骨標本の作り方①【除肉】

まずは材料を確保!釣りでもスーパーでもOK

頭骨標本 作り方

肝心な魚を確保するのが難しいんですよね(笑)

あまりに小さすぎると作業が細かくなってしまうので、30cm以上の魚がオススメです。

釣れなかったら帰りに鮮魚店に寄っちゃうってのもアリですよ! 今回はタチウオを買ってみました。

スーパーで売ってるものでは、ヒラメやカマスがカッコ良くてオススメです!アジやイワシは難しいです……。

カマ上を使用します

タチウオ 頭

必要なのはカマより上の部分ですので、それ以外は食べれる魚は食べちゃいましょう。

包丁やキッチンバサミで頭と胴体を切り分けたら、軽く血を洗い流します。

エラや血合いなどを取り除きましょう

魚 標本 作り方

この段階で、エラや血合いなど取れるものは取り去りましょう。

タチウオなど肉食魚の鰓耙(さいは)は鋭いので注意です。

カッターとピンセットを使って除肉

除肉 頭骨標本

頭が用意できたら、カッターとピンセットを使って筋肉や皮を削いでいきましょう。

いかに丁寧に除肉するかで、後の工程にかかる時間が変わってきます。

目玉も上手にくり抜いちゃいましょう。

標本 除肉骨と骨の間にある軟骨はとても重要なので、必ず残しましょう!

筋肉と違いコリコリとした感触です。

誤って軟骨を取ってしまったり薬品で溶かしてしまうと、骨格がバラバラとなり最後に難儀して組み上げることになりますので注意です。

※本来の標本は軟骨まで溶かします。今回はお手軽標本作りの紹介です。

お湯を使って除肉(骨や軟骨が弱い魚種は省略)

標本 茹でる

80℃前後で身がほぐれる程度まで茹でましょう。茹ですぎると軟骨が取れて骨がバラバラになるので注意です。

ここで意識して欲しいのは、完璧には除肉できない。ということです。

軟骨が溶ける前に除肉はやめましょう。軟骨めちゃ重要です!

軟骨の強さが分からない場合は、茹でずに生の状態でしっかり除肉した方が時間はかかりますが失敗しませんよ!

簡単な頭骨標本の作り方②【薬品処理】

パイプユニッシュで除肉

魚 標本 作り方

ここから薬品を使った処理に移ります。

薬品によっては混ぜると有毒ガスが発生しますので、必ず1種類ずつ使用するようにしてください。換気もお忘れなく!

頭がちょうど入る大きさのタッパーを用意し、排水口クリーナーを水で希釈します。

濃度は魚種や除肉の進行度によりけりですので、一概に言えませんが……。

時間が掛かっても失敗したくない方は10~20倍希釈、早く作りたいという方は原液から5倍希釈を目安にしてみましょう。

頭骨標本 作る 工程

つまようじなどを使って口を開いておくと完成形がカッコよくなりますよ!

今回紹介しているお手軽頭骨標本では軟骨を残して作成するため、この段階の形が完成形となります。

排水溝クリーナー10倍希釈でタチウオを約3時間漬け込んでみるとこんな感じです。

些か肉が残っていますが、まぁ良いでしょう!

ちなみに、横着して2倍希釈という高濃度でやってみたところ……見事に軟骨を溶かしてしまいました。

頭骨標本 失敗

こうなると、お手軽頭骨標本作りとしては、ほぼ失敗です。

本来の標本は、このように軟骨まで取り去りバラバラにしてから最終的に組み上げるのですが、素人には厳しいですよね。

もう一匹太刀魚を買いに行ったことは内緒です。(笑)

除光液で脱脂

頭骨標本 脱脂

魚の種類によっては骨にも脂が多いものがいます。

脱脂という作業をしないと、こちらのアユカケの写真のように完成後、どうしても黄ばんできてしまいます。

僕みたいに色は気にしないという方は、省略しても良い工程ですが、完成後に匂いが出る場合もあるため脱脂作業もしっかりやっておくことをオススメします。

頭骨標本 工程

パイプユニッシュをそっと流し捨て、少量の水道水を10分程かけ流すことで骨から薬品を洗い流します。

この時、軟骨が弱っているため極力水流を立てないようにすることがコツです。バラバラにならないように気を付けましょう。

脱脂 除光液

除光液(アセトン)の濃度もパイプユニッシュと同様に慎重派の方は5倍希釈で数時間、急ぐ方は原液で様子を見ながら行いましょう。

この段階では脱脂の効果ははっきりと分かりませんが気にせず次の工程へ進みましょう。若干、筋肉が残っていても大丈夫です。ハイターがきれいにしてくれますよ。

※除光液に含まれる「アセトン」は排水口に流すと樹脂製の配管を溶かす恐れがあります。ティッシュや新聞紙に染み込ませてゴミ箱に処分しましょう。

漂白剤で最終的な除肉&脱臭

除肉仕上げ 漂白剤

次に、漂白剤を使って仕上げを行っていきます。

ほとんど筋肉や皮が無いくらい除肉が進んでいれば、漂白剤の濃度は10倍希釈程度まで薄くしましょう。

まだ筋肉が残っているような状態でしたら、原液から5倍希釈で行ってみましょう。

標本 魚 漂白剤

漂白剤が3つの薬品の中で、最も強力に肉や骨を溶かします。

漬けすぎると軟骨はおろか、骨まで崩れてしまうので、はじめは10分程度の間隔で定期的に様子を確認しましょう。

完全に筋肉が無くなったらOK。

漂白剤を慎重に流し捨て、弱量の水道水をかけ流して薬品を洗い流しましょう。

万が一、顎(あご)や牙などの軟骨が溶けて外れてしまっても、最後に瞬間接着剤でなおりますのでご安心を!

原型に戻せる程度のバラバラ具合なら大丈夫です。

簡単な頭骨標本の作り方③【乾燥・接着】

乾燥

簡単 魚 頭骨標本 作り方

軟骨が残っていればこのように自立してくれます。後は日陰でしっかり乾くまで乾燥させれば完成です!

万が一、軟骨が溶けてしまい、骨が取れそうな場合はどこにどの骨がついているか写真に残しておきましょう。

頭骨標本 仕上げ

外れてしまったパーツがあれば、乾いた後に瞬間接着剤でピタっと貼り付けちゃいましょう。

頭骨標本 完成

今回は一度失敗してしまったので、薬品の濃度を薄めにしてかなり慎重に作ってみました。

完全に除肉しきれていないとこもありますが、まぁ趣味で作ってみる分には上出来です!

それにしても太刀魚の牙は鋭くてカッコいい!

よく観察すると前歯はカエシのような形状になってます。骨にしたからこそ気づけた形態ですね!

皆さんもお手軽頭骨標本作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

撮影・文:山根 央之

筆者紹介

山根 kimi ヒロユキ
“初めての1匹”を求めて、世界中どこへでも行く怪魚ハンター「山根ブラザーズ」の兄。釣りに留まらず、ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。

怪魚ハンター山根ブラザーズ(兄)の記事一覧

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