ベイトタックルが主流だけど……
マダイはもちろん、根魚など美味しいお魚を手軽に狙えるタイラバ。
その手軽さゆえに「オフショアをする方はほぼ全員がタイラバタックルを持っている」と言っても過言ではないほど人気ですが、一般的にタイラバはベイトタックルが主流となっています。
しかし、当然のことながらスピニングタックルでもタイラバゲームを楽しむことができ、スピニングタックルだからこそのメリットもあるのです。
スピニングタックルのメリット&デメリット
それではスピニングタックルのメリットとデメリットを解説していきます。
スピニングタックルのメリット
▼ フォールが速い
ベイトリールはスプール回転の摩擦抵抗だったり、バックラッシュ予防でブレーキを掛けたりするので、フォール中はタイラバにある程度抵抗が掛かった状態となります。
しかし、スピニングリールの場合はそういった抵抗を掛けずにフォールさせることができます。
それゆえに、同じルアーを使用した場合でもベイトリールよりも早くルアーを沈められ、潮が速い状況やテンポ良く探りたいときなどに活躍してくれます。
▼ キャストしやすい
スピニングタックルはキャストがしやすいことも大きなメリットです。
ベイトタックルでキャストすることもできますが、慣れていないとバックラッシュなどのトラブルも起きやすいので、キャスティングで攻略したいときはスピニングタックルがおすすめです。
▼ 細いラインを使える
ベイトタックルよりも細いラインを使いやすくなるというのもスピニングタックルのメリットです。
「大物が掛かったときに心配」と思われるかもしれませんが、スピニングリールはベイトリールと比べてドラグを細かく調整できます。
しっかりと調整していれば80cmオーバーの大鯛でも問題なく取り込むことができますし、ラインを細くすると魚の喰いは確実に良くなります。
しかし、不意な青物がヒットした場合は、さすがに苦労します(笑)
スピニングタックルのデメリット
▼ 巻き上げ力が弱い
ベイトリールと比べると巻き上げパワーが劣るので、1日巻き続けた時に掛かるアングラーへの身体的負担は大きくなります。
特に、パラシュートアンカーやスパンカーを使用して、ラインが払い出されずにルアーが真下に沈んでいく状況では、それが顕著に現れます。
この場合常にロッドが曲がった状態で巻き続けることになるので、タイラバの重さや水深等にもよりますが、少し体力的にきつく感じるかもしれません。
リールの番手を大きくしたり、ハンドルを長くするとある程度はパワー面でのデメリットは解消できますよ。
▼ ベールの開閉作業が面倒
ベイトリールだとクラッチのON・OFFが楽にできてラインの出し巻きがスムーズに行えますが、スピニングリールだとベールの開閉作業を行わなければなりません。
慣れればなんてことはありませんが、普段ベイトタックルでタイラバを楽しんでいる方は、少し煩わしく感じるかもしれません。
こんなときはスピニングタックルの出番
では、どんなシチュエーションにおいてスピニングタックルが有効となるのかを解説していきましょう。
潮止まり
風や潮の影響を受けている状態であれば船は流されるので、ルアーを真下に沈めるだけでも自然と広範囲を探ることができます。
しかし、無風時や潮が流れない状況下でルアーを真下に落としていると、ただ同じところでルアーを上げ下げしているだけになってしまうのです。
このような状況下では、ルアーをキャストして広範囲に探ることが有効で、ベイトタックルよりスピニングタックルの方が飛距離を稼ぎやすくなり、厳しい状況の中の貴重な1匹を手にする確率がグンと高くなりますよ!
ドテラ流し
ドテラ流しでの釣りにもスピニングタックルはおすすめです。
ドテラ流しは広範囲を探るときに有効となる流し方ですが、タイラバを速く沈めることができるスピニングの方が誘いの回数も増え、広範囲を探るドテラ流しのスタイルに合っています。
また、ラインが払い出されて斜めになり、ロッドとラインを一直線にして巻きやすくもなるので、パラシュートアンカー・スパンカー使用時よりも楽に巻くことができます。
マイタックルの紹介
筆者が普段スピニングタイラバで使用しているタックルを紹介しますので、参考にしてみてください。
ロッド:キャタリナBJエアポータブル610MS-METAL(ダイワ)
スーパーライトジギング用として発売されているロッドですが、スピニングタイラバでも愛用しています。
ロッドを選ぶ基準は使用環境やタイラバの重さ、個人の好みで変わってくるので一概には言えませんが……
深場・速潮などで重めのタイラバがメインとなるならパワーに余裕があるタイプ、アンダーハンドが苦手なら取り回しが効きやすい6フィート前半の短めのロッドを選ぶと良いですよ。
ダイワ キャタリナBJ エアポータブル 610MS-METAL
ルアー重量:20-80g
適合ライン:PE0.4-1.0
リール:19セルテートLT4000-C(ダイワ)
スピニングリールはベイトリールと比べて巻き取りの力は劣るデメリットがありますが、19セルテートはモノコックボディによりドライブギアが大型化されているので、そのデメリットを補ってくれます。
リールを選ぶ際は、番手は3000~4000番、ギア比はハイギアのものを使用するとルアーの回収は早くなりますが、その分巻き上げがしんどくなるのでノーマルギアがおすすめです。
PE:アバニ ジギング10×10マックスパワーPE X8(バリバス)
ジギング用で発売されているラインですが、ジャンル問わずに愛用しており、質感は滑らかでトラブルも皆無と言って良いほどありません。キャスティングしやすいところも高評価。
筆者は0.8号を使用していますが、青物や大型魚とのやり取りに不安がある方は1号を巻くと良いと思います。
リーダー:シーガー グランドマックス(シーガー)
今さら説明する必要がないほどの名リーダーです。その強度は数あるリーダーの中でも最強クラス。
青物など不意な大物がヒットすることも少なくないので、安心できるこのリーダーを使用することが多く、PEが0.8号なら3号を、1号なら4号がおすすめです。
タイラバヘッド
スピニングタックル用で特別なものを用意する必要はなく、普段使用しているものでOKです。
ただ先述したように、スピニングリールは巻きのパワーがベイトと比べると不足しているので、巻き抵抗の少ないタングステン製のヘッドがおすすめ。
当然空気抵抗も少なくなるので、キャスティングもしやすくなります。
臨機応変にタイラバゲームを楽しもう!
このようにスピニングタックルにもベイトタックルに負けず劣らずのメリットがあります。
それぞれが持つメリットを最大限活かしながら適切な状況で使い分けていけば、きっと釣果は上がってくると思います。
今までチャレンジしたことが無いという方は、是非一度スピニングタイラバを試してみてくださいね。
筆者の紹介
岩室拓弥
釣具店・釣具メーカー勤務を経て、現在は福岡市東区箱崎港から出船している遊漁船「エル・クルーズ」の船長。
職業柄オフショアがメインとなっているが、元々は陸っぱりがメインでメバリング・エギングなど様々な釣りの経験も豊富なマルチアングラー。