サツキマスについて
サツキマスはアマゴの降海型の魚のこと。アマゴと違い、サツキマスになるとスモルト化(銀毛)し、アマゴの特徴であるパーマークが消え銀色の魚になります。
個体数が少ないことに加えて、禁漁区・禁漁期間の設定などのレギュレーションも厳しい魚です。さらに、遡上時はエサを積極的に捕食することが少ないため難易度の高いルアーフィッシングのターゲットの一つです。
サツキマスの分布・生息域
サツキマスの生息域は神奈川県より西側の本州、および四国、九州の瀬戸内側の河川とされています。アマゴの降海型ですのでアマゴの生息域とほぼ同じになります。
環境の変化に非常に弱い魚種で、森林の伐採や、堰やダムの建設による影響で近年は生息個体が非常に減少しています。
サツキマスの生活史
サツキマスが降海する個体は基本的にメスです。11月から12月に孵化したアマゴの稚魚が翌年の11月から12月に下流域に移動し海へと下ります。
海へ下りイワシなどのエサを捕食しながら成長し、4~5月くらいに川を遡上してきます。夏を川で過ごしたのち、秋になると産卵をし一生を終えます。
サツキマスの釣り方・タックル
サツキマスは遡上のタイミングが4月から5月以降となるため、その時期に遡上してくる河川で狙う事が可能です。所謂本流域での釣りとなり、多くの渓流が解禁をする3/1頃では、河口域に近いところでサツキマス釣りが楽しめる川もあります。
本流域と呼ばれる河川での釣りを想定した、釣り方とタックルをご紹介します。
サツキマスの釣り方
サツキマスは、本流と呼ばれる渓流域よりも少し下流の部分で釣りをします。
遡上してきた個体がどこに溜まっているかを探していく釣りなのでラン&ガンが基本ではあるものの、時にまとまった数の魚が回遊してくる事もあるため、その見極めを含め非常にゲーム性の高い釣りです。
サツキマス狙いのタックル
サツキマス狙いには専用のサツキマス・サクラマス用ロッドが一番です。また、7〜8フィート台のシーバスロッドなどでも代用ができます。リールは2500番から3000番あたりが使いやすいでしょう。
これより小さいサイズではサツキマスの強烈な引きに耐えることができません。また、これ以上大きいと一日キャストを繰り返すのに辛く感じてしまうことがあります。
サツキマス狙いのルアー
サツキマスを狙うルアーは、7センチ前後のミノーが現在では主流です。ミノーをダウンクロスと呼ばれる流し方で、上流部にルアーを投げて下流部に向かって引いてくる方法でサツキマスを誘います。
ほかにも10グラム程度のスプーンを使用し、ボトムを叩きながらリトリーブしてくる方法もあります。
サツキマス釣りで狙うべきポイント
サツキマスを釣るためには、溜まりやすいポイントを集中して狙っていくのがコツです。
いずれも地図で事前に見つけやすいポイントなので、釣行前に川全体を見てポイントの目星をつけておくと良いでしょう。具体的にサツキマスが溜まりやすいのは、以下のようなポイントです。
川の合流点
川と川の合流点は流れが合わさり、堆積した砂による浅瀬と川の浸食による深場があり、変化に富んでいます。
サツキマスが溜まりやすいのはその中でも浅瀬の部分。浅瀬の部分は合流点の中でも流れが緩やかで、海から遡上してきたサツキマスが休憩場所として利用することが多いポイントです。
カーブのインサイド
川がカーブしている場所では、カーブのインサイド(内側)が浅く、アウトサイド(外側)は深くなっています。インサイドは流速も緩くサツキマスも溜まりやすい場所。
シーズン初期は海に近いカーブのインサイド、季節が進んでいればそれより上流にあるカーブのインサイドを狙ってみると良いでしょう。
堰や落ち込み周辺
堰や落ち込み周辺もサツキマスが溜まりやすい場所。物理的に堰き止められているため溜まりやすいことと、溶存酸素量が豊富で餌となる小魚も多い場所であるため、サツキマスも多くの個体が溜まっている場所です。
サツキマスを釣るためのアクション
狙うべきポイントで繰り返しキャストを行っていても、ルアーのアクションが上手く出来ていないとサツキマスはなかなかヒットしてきません。サツキマスを釣るためのアクションを以下でチェックしていきましょう。
基本はスローなただ巻き
サツキマス釣りの基本アクションがスローなただ巻きです。捕食を目的に遡上してきているわけではないため、追わせて食わせるのではなく、目の前をゆっくり通して確実に食べられるエサを演出してあげるのがコツ。
キャストは上流側に向かって行い、ダウンクロスでルアーを流しつつただ巻きしてきましょう。
早巻き&ポーズ
スローなただ巻きに反応がないときは、その対極にある早巻き&ポーズも試してみましょう。早巻き&ポーズではリアクションバイトを誘発させるのが目的。
遡上は捕食が目的でないとはいえ、海でイワシなどを捕食していたサツキマスは、反射的に素早く動くルアーに反応して食ってくることも少なくありません。
トゥイッチやジャークで食い気を誘うのも有効
早巻き&ポーズと同じく、トゥイッチやジャークで食い気を誘うのも有効なアクションの一つ。ずっとトゥイッチやジャークを入れ続けるのではなく、巻いている途中にアクセントとして入れてみるのがおすすめです。
また水中に目立つ岩やカケアガリがあれば、その周辺は重点的にトゥイッチやジャークで誘うのも良いでしょう。
サツキマスが釣れるフィールド
サツキマスが釣れるフィールドは数が非常に少ないです。ここではサツキマスが釣れる代表的なフィールドをご紹介します。
長良川
長良川は岐阜~三重県を流れる木曽三川の一つ。日本三大清流の一つとしても有名で、市街地を流れていながらも、名水100選にも選ばれるほど水質のよい川です。川幅の狭くなり始める国道21号線あたりからが有名ポイントです。
揖斐川
揖斐川は長良川の西側を流れる、こちらも木曽三川の一つです。名神高速道路のあるあたりで釣れ出したらサツキマスのシーズンインを意味しています。川に立ち込むウェーディングの装備も整えて釣行するのがおすすめです。
木曽川
木曽川は長野県を源流に伊勢湾に流れ込む、木曽三川の中で最も流域の長い川です。
サツキマス以外にニジマスやイワナも狙うことができ、トラウトマンに人気が高いです。河口域から川幅の広い場所が多いので、遠投しやすいルアーを中心に揃えていきましょう。
吉野川
高知県と徳島県を流れる吉野川。柿原堰や樋門といった堰の下流が1級ポイントとして有名です。サツキマスの遡上は4月半ば頃から、雨が降って増水したあとが狙い目となる事が多いようです。
仁淀川
愛媛県から高知県を流れる仁淀川。全国で水質ランキング1位になったこともあるほど、透明度の高く綺麗な水で有名です。
上流に向かうほど川がカーブしている場所が多く、狙うべきポイントの中でも上げたカーブのインサイド狙いが基本となります。
サツキマスのおすすめロッド9選
サツキマスロッドの最も重要な機能は飛距離が出せること。本流域は川幅の広い場所であるため、その中で狙ったスポットに少しでも届くよう最低でも7フィートほどの長さは欲しいところです。
加えて、ミノー、スプーン、バイブレーションなど多くのルアーを使うサツキマス釣りですが、川の中に立ち込んでいることも多いので、1本のロッドで多くのルアーに対応できる汎用性の高さも求められるところです。
シマノ カーディフ モンスターリミテッド DP83ML
ジャクソン トラウトアンリミテッド TUSS-822ML
テンリュウ レイズ RZ772S-ML
メジャークラフト ファインテール バンシー FBS-742ML
ヤマガブランクス ルーパス 71
アングラーズリパブリック ニューエゲリア ネイティブパフォーマンス ESNS-74M
ダイワ ワイズストリーム 710ML-3
シマノ トラウトワンNS S77ML
シマノ カーディフ NX S72L
サツキマスのおすすめルアー8選
サツキマス狙いのルアーはバランスに優れたルアーが必須です。本流の激しい流れの中で、アングラーの思い通りにきっちりと動いてくれる高バランスのルアーでないとサツキマス狙いのルアーには適していません。
また、近年のハイプレッシャー化の影響で遠くのポイントにルアーを届けることで、フレッシュな魚に出会えるということもありますので、なるべく飛距離の出るルアーということも重要なポイントです。
スプーンについては実績のある定番のスプーンを選びましょう。サツキマスは非常にルアーにセレクティブな魚ですので、サツキマス狙いの定番とされているモデルは必ず準備しましょう。
デュオ スピアヘッド リュウキ 60S
ジャッカル ティモン トリコロール GT 72MD-F
スミス Dコンタクト 63S
ジップベイツ リッジ 70S
タックルハウス ツインクルスプーン TS-13
ダイワ レーザーチヌークS
ダイワ クルセイダー
シマノ カーディフ フリューゲル AR-C 70S
憧れのサツキマスを手にしよう
年に一度の遡上のタイミング、しかもそれは捕食のために上がってきているわけではないため非常に口を使わせるのが難しい魚、それがサツキマス。ヤマメの銀毛した魚サクラマスと並んでトラウトマンのあこがれ続けるターゲットです。
一生のうちに出会えるか出会えないかの魚、サツキマスを是非狙ってみてください。